GOD EATER 2 RB 〜荒ぶる神と人の意志〜   作:霧斗雨

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第17話です。
ルフス・カリギュラ編、最終話。


第17話 前を向いて

レイが予想したとおり、ギルは単独でミッションを受けようとしていた。

未確認の新種に一人は無謀だと、ヒバリが止めるもギルは聞かないようで、ヒバリが困っているようだった。

そこへ、レイは割り込んだ。

 

「俺も行くぜ。悪いが、この後の訓練場の予約、消しといて」

 

「あ、はい!」

 

ヒバリがホッしたように機器をいじり始めた。

ギルは、レイに掴みかかる。

 

「副隊長、これは俺の問題で、俺がやるべき事だ……これ以上、関わるな」

 

「ギルが俺に言ったこと覚えてるか?「独断で無茶するな」ってヤツだ。……支え合えるのがチームだろ、ギル一人じゃ返り討ちにあうぜ、俺も手伝う」

 

「……お前まで巻き込んで失うわけにはいかねぇんだ」

 

何とかレイを引かそうとするが、レイはそれには応じない。

レイはニヤリと笑った。

 

「そりゃ嬉しいね。だけどな、その忠告を俺がはいそうですかと素直に聞くと思うのか?悪いが、聞けなぇな」

 

「クソッ、おせっかいにも程があるぜ……!」

 

話は平行線を辿る一方で、さっぱりケリがつかない。

 

「あー、お取り込み中のところ悪い!副隊長さんは俺が巻き込んじまったんだ」

 

言い合う2人の間に、ハルオミが割り込んだ。

ギルが眼を見開く。

 

「ハルさん……!」

 

「ギル、3人で行こう」

 

「いくらハルさんの言う事でも……!」

 

「なあ、ギル。これは、俺の問題でもあるんだぜ?それに、もし俺が一人で行ったとして、お前……黙って見ているか?」

 

ハルオミがギルを諭した。

ギルは、沈黙する。

 

「…………いえ……。……すんません。目の前の事しか、考えられなくて……」

 

「いいんだよ、似た者同士だ。……なあ副隊長さん?」

 

そう言って、ハルオミはレイに目配せをした。

レイはゆっくりと一度だけ頷いた。

 

ーーーー

 

赤いカリギュラは、いつまでも赤いカリギュラと言い続けるわけにもいかないので、ルフス・カリギュラと命名された。

決戦地は、愚者の空母。

 

『部隊の降下を確認』

 

レイの目は愚者の空母の奥に居るルフス・カリギュラをチラッと捉えた。

 

「おー、チラッと見えただけだけどホント、見事なまでに赤いねぇ」

 

「カリギュラとの戦い方は頭に叩き込んだな?」

 

「勿論」

 

ギルがレイに問うた。

レイはしっかりと答える。

ここに来るまでの間、カリギュラとの戦闘マニュアルを叩き込んだ。

その通りに動くつもりは全くないけれども。

 

「赤いカリギュラに通じるかは賭けだが……まずは右腕の部位破壊を狙う」

 

「了解」

 

「ギル〜、ケイトの仇だからってあんま力むなよ?」

 

ハルオミがギルに言った。

ギルは、俯いてしばらく黙った。

 

「わかってます……」

 

それを見て、レイはフゥ、と溜息をつくと、ギルの背中を一度だけ叩いた。

 

「ギル、みんなで帰るぞ」

 

「あ?」

 

「ケイトさんの神機も」

 

レイはギルに笑顔を向けた。

ギルは少し目を見開き顔をそらしたものの、軽く頷いた。

 

「だな。いい加減持って帰ってやらないと、な!」

 

「よーし、それじゃ……」

 

神機をに銃形態に変化させ、走る。

ルフス・カリギュラをしっかりと視認すると、ハルオミは立ち止まった。

ハルオミの銃形態はスナイパー、シエル同様遠距離射撃が得意なのだ。

対するレイとギルはアサルト、中距離からの連射が得意である。

なので、ハルオミよりも近づいて立ち止まる。

全員が射程圏内に入ると同時に、ハルオミが叫んだ。

 

「ファイア、ファイア!!」

 

全員での集中砲火。

たまらず、赤いカリギュラは仰け反る。

しかし、すぐに体勢を立て直した。

 

「グギャアアアアッ!」

 

左右のブレードを展開して、レイとギルに切りかかる。

それを、ギルはガードして、レイは飛び跳ねて避けた。

 

「そら、一発目喰らいなぁ!」

 

レイはブラッドアーツのスパイラルメテオをカリギュラのブースターにヒットさせ、着地と同時に方向転換して地面を蹴る。

右腕のブレードに向けて、ファントムネイルを繰り出す。

が、カリギュラはそれを薙ぎ払いで弾いた。

 

「なっ!?」

 

相殺どころか押し返されたレイは、空中で一回転しながら着地した。

それでも、勢いを殺しきれずに後ろに滑る。

 

「何こいつかってぇ!」

 

「ガアアアアッ!」

 

二度連続で攻撃してきたレイに狙いを定めたカリギュラは、空中に舞い上がり高速の突進と斬撃を繰り出した。

 

「っ!」

 

バックラーを展開し、インパクトの瞬間後ろに飛んでダメージを軽減する。

それでも、陥没した場所ギリギリまで追い込まれた。

一歩後は深い大穴だ。

 

「っぶねぇな、おい」

 

レイは足場を確保するためにも自身の右側へ走る。

カリギュラの猛攻を避けながら、アサルトでカリギュラの足を攻撃して延々注意を引きつける。

レイに集中し続けるカリギュラの側面から、ギルがチャージグライドを当てた。

ハルオミがカリギュラの頭にバレットを命中させる。

突然の攻撃に、カリギュラは思わず怯むが、ギルを左ブレードで薙ぎ払って吹き飛ばした。

追撃を阻止するためにレイが飛び込む。

スキをついて二人が攻撃する。

これを何度か繰り返した時だった。

 

「ぐわっ!」

 

「ギル!お前ちょっと頑張りすぎだ!退がれ!」

 

再度吹き飛ばされるギルをハルオミが援護をする。

さっきからギルはガードをせずに突っ込んでばかりである。

このままではギルが危ない。

 

「しっかし、かってーなコイツ。これで本当に弱ってんのかね……!?」

 

「はっ、信じて突っ込むしかねぇっしょ!」

 

再びレイがカリギュラ目掛けて特攻をかける。

ハルオミは援護のためスコープを覗いた。

カリギュラの肩に刺さった神機に思わず目がいってしまう。

 

(腹決めてきたつもりだったんだけどな……チラチラ目につきやがる……ケイト……)

 

その時だった。

 

「ああああああっ!!」

 

退がっていたはずのギルが、先に突っ込んでいるレイなどお構いなしにバレットを乱射したのである。

 

「うおっ!?」

 

突然の出来事に、さすがのレイも驚いた。

咄嗟にカリギュラから離れ、距離をとる。

 

「ギル!?」

 

思わぬギルの強行にレイは驚きを隠せない。

ギリギリ喰らわなかったが、巻き込まれていたらと思うとゾッとした。

 

「あいつ、頭に血ィ登ってやがる!副隊長さん悪ィ!援護頼むッ!」

 

「だぁびびった!了解!」

 

ギルに続いて、レイもカリギュラに飛びかかる。

そんなことお構いなく、ギルはカリギュラに突っ込んだ。

右腕のブレードを狙い、チャージグライドを当て結合崩壊を起こさせる。

 

『ッ!アラガミ、活性化します!』

 

ヒバリの警告が耳に響く。

 

「ギル、避けろォッ!」

 

レイの叫びが聞こえた瞬間だった。

左ブレードが、目の前に迫る。

咄嗟に穂先をあてがい、パリングしようと試みるも無駄だった。

薙ぎ払いの勢いに負け、宙を待った直後に右側から尾の攻撃をまともに喰らい地面に叩きつけられた。

三度ほどバウンドし、ようやく止まった時には身体は言うことを聞かなくなっていた。

 

『ギルバートさんバイタル危険域です!誰か回復を!』

 

ヒバリの声が遠く聞こえる。

ゆっくりと視線をカリギュラの方に向ける。

カリギュラは、息を大きく吸い込み、動けないギルにブレスを吐こうとしている。

ハルオミがバレットを当て、気をひこうとしているがさっぱり効果が無い。

このままでは死んでしまう。

だが、身体に力は入らない。

 

(くそ……なんだこの様は……ケイトさんはもっとうまく立ち回ってたってのに……仇ひとつまともにとれねぇのか俺は……)

 

「間に合えええええッ!!」

 

朦朧とする中、ギルはカリギュラの正面に踊り出して走ってくるレイの姿を見た。

その姿勢がドンドン低くなり、あっという間にトップスピードに乗る。

神機を持っていない方の手をギルに引っ掛け、全力で地面を蹴って飛んだ。

おかげでカリギュラのブレスを避けることは出来たが、着地が取れずにゴロゴロと転がる。

 

「……!?」

 

ギルは、今何が起きたのかわからなかった。

え、何が起きた?

 

「っぶねー、ギリギリだぜ」

 

むくりとレイが起き上がる。

そして、ギルに回復球をぶつけ、口に回復錠を投げ込んだ。

 

「いやー、賭けだったわ。案外いけるもんなんだなぁ」

 

ギルを担いだ方の腕をぐるぐると回した。

トップスピードからギルを拾い上げてからの跳躍は、流石に少し厳しかった。

本音を言うと、ギルを担いだ瞬間肩からもげるかと思った程だ。

まあ、もげなかったし救出もできたのだから成果としては万々歳だろう。

一人うんうん頷いていると、回復しきったギルがレイの胸倉をつかんだ。

 

「わあギル物騒。なに、どうしたよ」

 

「副隊長、無茶するなと前言った筈だ!」

 

それを聞くと、レイは笑顔でギルの腕を掴んだ。

ぎりぎりと力を込める。

ギルが痛みで顔をしかめ、レイから手を離した。

 

「無茶するな、だァ?そりゃこっちの台詞だってんだ、ふざけんのも大概にしやがれこの野郎ッ!何いきなり暴走して死ににいってやがる!仇とるんじゃなかったのか、あぁ!?」

 

ぐるん、とギルの視界が回った。

そして、背中から地面に落ちる。

投げられたのだ。

 

「そこでちっと頭冷やしてから来いッ!……ったく、勘弁してくれよ。ギルは、攻撃に集中してりゃいいんだよ。何のために延々気ぃ引いてたと思ってんだ」

 

それだけ言い残すと、レイはハルオミの援護に入る。

ギルは、フゥ、と息を吐いた。

レイにあんな風に怒鳴られるのは初めてだった。

今までは、こちらを茶化すような軽口を叩いたり、真剣な時でも何処か適当な話し方しかしていなかったのに、今回は別だった。

レイは、怒ったのだ。

ギルが、自分の命を顧みず、レイやハルオミの存在すら無視して突っ込んでいったことに。

2人がずっとサポートをしてくれていたのに、一人で勝手に突っ走って危うく死にかけたことに。

 

『あんまり独断で無茶はするな……万が一があった場合、残されたヤツは一生、お前の命を背負い続けるんだ……』

 

そう、レイに言ったのは自分ではなかったのか。

なのに、言った本人がそれを守らないでどうする。

ギルは、立ち上がって神機を構えた。

既に、レイが注意を引き付けており、ハルオミが攻撃を繰り返している。

ギルは走った。

二人を支えるために。

カリギュラの左側面に回り込み、左ブレードにチャージグライドをぶち込み、再度方向転換して側面に回って攻め続ける。

 

「やーっと普段の調子が出てきたな」

 

レイはニヤリと笑うと、ライジングエッジからダンシングザッパーを繰り出してブースターを破壊する。

怯んだところに、ギルがカリギュラの顔を突き壊す。

ハルオミがカリギュラの後ろ足の関節を攻撃してこかせ、総攻撃を行う。

遂に、カリギュラは地に倒れた。

 

「やったか?」

 

全員、息が切れている。

もうすっかりバテているが、警戒は解かない。

 

『いえ、これは……!』

 

カリギュラが、ゆっくりと体を持ち上げた。

 

「グギャアアアアッ!」

 

「マジか……こいつぁ、しつこい奴だぜ……」

 

神機を再び構え直した瞬間だった。

これまでよりもさらに早く、カリギュラがレイとギルを切り飛ばしたのである。

ギルはガードすることすら間に合わず、気がついた時には宙を舞っていた。

 

「くっ、直撃……喰らっちまった……」

 

レイは半ば本能で後ろに飛んだものの、避けられたのはほぼ奇跡だった。

無茶苦茶な稼働をしまくったせいか、足にガタがきはじめている。

 

「追撃!来るぞ!」

 

ハルオミの声にハッとして前を見ると、尾での攻撃が既に目の前に迫っていた。

当たる寸前に飛んで避け、カリギュラを睨む。

カリギュラの最後の力だろうか。

壊れたはずのブースターを起動させ、今までよりも早く、そして重い攻撃を繰り出す。

バックラーの展開も間に合わず、神機をただ持ち上げたところでカリギュラの攻撃が直撃、あまりの衝撃に神機が手から離れてすっ飛ばされた。

 

「っ!」

 

「副隊長……!」

 

ギルは咄嗟に立ち上がろうとするも、がくりと膝をついた。

力が入ってくれない。

 

(また、俺は……こうやって……大切な人を……失うだけなのか……。……いや!)

 

ギルの瞳に力がこもる。

動かないからなんだ。

無理矢理にでも動かせばいいじゃないか。

 

「ここで諦めるわけには……いかねえんだよぉっ!」

 

必死の思いで立ち上がる。

神機を構え、カリギュラに向けて駆け出した。

 

「そうだよ、ギル。それで……いい」

 

カリギュラの死角に回ったハルオミが頭を狙撃、一瞬だけカリギュラの気を引きつける。

そのスキをついて、レイはカリギュラの肩に刺さったケイトの神機を蹴った。

深く押し込まれ、カリギュラが悲鳴を上げる。

 

(ケイトさん……ケイトさんが言ってたこと、少しだけ……分かった気がします……)

 

カリギュラに向かって、走る。

これに気がついたカリギュラが、ギルの方をむき、吠える。

 

(こいつは……俺を支えてくれました。そして……俺は、こいつを支えたいです……だから……!)

 

ギルの中で、何かが弾けた。

 

「届けええええ!」

 

全力で突き出されたその槍は、カリギュラの胸を貫通した。

大穴を開けられたカリギュラは、断末魔を上げると、今度こそピクリとも動かなくなった。

カリギュラの肩から、まるで役目は終わったとばかりにケイトの神機が抜け、地面に突き刺さった。

 

『アラガミ、沈黙しました……!』

 

ヒバリの声が耳に届いた瞬間、ハルオミとギルはその場にへたり込む。

レイも、ぶはっと息を吐いた。

 

(マジで死ぬかと思った……っ!)

 

ゆっくりと深呼吸をし、歩き出す。

ギルの前まで行って、立ち止まった。

 

「ん、お疲れさん」

 

そっと右手を差し出す。

ギルはそれに捕まり、立ち上がった。

そんなふたりを見ながら、ハルオミはケイトに思いを馳せる。

 

(ケイト……俺も聖人君子じゃないからさ。今でも、ギルに対する割り切れない思いが、多分あるんだよ。だから、我ながら、らしくもない……仇討ちなんて考えて色んな支部を渡り歩いてたんだけどさ。ギルに偉そうに言っていた割に……まあ、俺もお前を失ったことに耐え切れず……ずっと止まってたんだな)

 

ハルオミはチラリとレイの顔を見た。

今回の討伐が上手くいったのは、レイがいたからだ。

レイが、あの時ギルに発破をかけたから。

その他にも色々立ち回ってくれた。

 

(でもな、ケイト……あのまっすぐな若いヤツのおかげでさ、ギルが前を向いて、歩き出したんだ。俺もいつまでもくすぶってる場合じゃないよな……だから、そろそろ……歩き始めるよ)

 

ギルとレイは何かを話し合っている。

レイは苦笑を浮かべ、ギルは何かのやり方を聞いているのだろうか。

それを見て、ハルオミはフッと笑うと、空を見上げた。

 

(いいよな?ケイト……まあ……気長に待っててくれよな)

 

立ち上がって、ゆっくりと歩き、二人の肩を抱いた。

 

「よっしゃ」

 

レイとギルの顔を交互に見てから、ハルオミは笑顔を見せた。

 

「んじゃ、帰るかあ」

 

二人は頷くことで答えた。

役目を終えたケイトの神機が、嬉しそうにその刀身に夕日を反射させ、輝いていた。




おわったぁーっ!
やっと終わったルフス・カリギュラ編っ!!
長かった!
長かったよぉっ!
今回、三人でやっとの思いで討伐した因縁の相手、ルフス・カリギュラ。
上手くかけたでしょうか。
そうである事を祈りたい。
今回、戦闘中に、レイがギルを怒鳴るシーンがありました。
ホントの戦闘中なら絶対出来ないでしょうけども、レイ君、先輩を投げ飛ばすのはどうかと思うよ。
ちなみに背負い投げだったりする。
さて、次回からは平和な極東支部を書いていこうと思います。
い、一体いつ本編に戻れるんだろう。
とにかく頑張るぞ!
感想、お待ちしています。
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