GOD EATER 2 RB 〜荒ぶる神と人の意志〜   作:霧斗雨

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第19話。
しばらくキャラエピ消費回が続く。


第19話 3人との交流

神機兵事件の後、レイはシエルに庭園に呼び出されていた。

 

「ここから先、メンバーの戦闘効率を向上するには、遠距離からの攻撃を重視したほうが、いいと思うんです。ちなみに……君は、バレットエディットを積極的に使用していますか?」

 

「……ほぼ使ってねぇ。そもそもよくわかってない」

 

「そうですよね……わかります」

 

シエルが力強く頷いた。

そもそも銃はそれなりには使うが決定打には使わないタイプの戦闘方法を取るため、レイは自分の銃身であるアサルト、その他の銃のマニュアルなんぞ見たことがない。

訓練の時にジュリウスから変型の方法を聞き、やって覚えたのだ。

止めは近接で指すし、普段装填しているバレットは、元から支給されていたものである。

弾の変更の仕方がわからないだけなのだが。

言ってしまえば、フライアの自分の部屋にある機械類は見たことも無いものが多く、使い方なんぞ分からなかったため、躍起になりながらいじくり回して理解した。

そんなやつがバレットをいじれるはずが無いのである。

 

「バレットエディットはその難解さからか、多くの神機使いが敬遠しがちですが……本当に素晴らしい技術なんです!弾道の挙動の変化は、立ち位置が流動的になりがちな遠距離攻撃において、多くの選択肢を与えてくれますし……性質を変えることで、威力や範囲のコントロール、更には、味方の回復効率の向上まで……」

 

シエルが熱心に説明してくれたが、レイの頭はそれについていかなかった。

呆然とするレイに気が付き、シエルは慌てた。

 

「あ……すみません、ちょっと熱くなってしまいました……」

 

「い、いや、続けてくれ。バレットエディット、好きなんだな」

 

「はい、好きなんです……」

 

シエルは、ほわんとした笑みを浮かべた。

本当に好きなようである。

 

「そこでですね……もし、お時間があったらでいいんですけど……その……」

 

もじもじ、とシエルが俯いた。

そして、意を決したように顔を上げる。

 

「……私が作ったバレットの検証実験に付き合ってもらえないかな……と」

 

「それはいいが、検証実験って何するんだ?」

 

「いえ、あの……難しいことではないんです!挙動を、横で見てもらって……あの、ほら、自分では見えにくいので……」

 

だんだんしどろもどろになってきたので、レイは即座に了承した。

 

「よしOK!わかったから、少し落ち着け」

 

「あ……ありがとうございます!すごく……嬉しいです……」

 

嬉しそうにシエルが微笑む。

前はこんなふうに笑う事は無かったので、レイとしては嬉しい限りである。

 

「もし可能であれば、すぐにでも検証実験に行きたいのですが……準備の方……大丈夫でしょうか?」

 

「誰に言ってんだ、いつでも行けるぜ」

 

「よろしくお願いします!」

 

討伐の対象は多数の雑魚とヤクシャの討伐だった。

戦闘開始とともに、シエルは的確にアラガミを打ち抜き、雑魚はあっという間に沈黙、ヤクシャの肩鎧と頭に結合崩壊を起こさせた。

シエルは満足げに頷くと、レイに検証実験を終了しようと言い、ヤクシャに向けて一撃見舞った。

しかし、そのバレットはヤクシャに当たることはなく、後ろに旧時代の残骸を粉砕してしまった。

突然の誤射に、シエルは呆然とする。

咄嗟にレイは飛び出してヤクシャに致命傷を与えてコアを抜き取った。

その間も、シエルは呆然と自分の神機を見つめている。

 

「……」

 

「どうした?体調でも悪いのか?」

 

「あ、い、いえ、私の体調は大丈夫ですよ!ただ、神機の方が……調子が悪いというか……いえ、違いますね……」

 

神機から自分の作ったバレットを抜き取って見つめる。

 

「いくつかのバレットが、今までと違う挙動になっているんです。それも……悪くない方向に……その分、発射時の挙動に、少し違いが出ているので反動制御を修正しなければ、いけないんですが……」

 

「ふぅん……そういえば、シエル、射撃の技術、すごいよな」

 

レイは、ポツリと呟いた。

シエルがハッとしながらレイの顔を見てくる。

 

「あっ……もし自慢っぽく聞こえたらすみません……違うんです……銃を扱って長いので、つい、癖で……」

 

「わかった俺が悪かった、そういう事じゃねぇよ、落ち着け。とりあえず、整備班に相談だな」

 

自分の失言にレイは後悔しながらシエルを落ち着かせる。

 

「はい……そうですね……詳しく調べてみようと思います……。あ、今日は……ありがとうございました。また、よろしくお願いしますね」

 

「おう。あっ……と、悪い、シエル。このあとバレットの変更の仕方教えてくれ……」

 

これが、極東にくる少し前の話。

この後、滅茶苦茶シエルに笑われながらやり方を覚えたのはまた別の話。

 

ーーーー

 

リッカの言うリンクサポートデバイスの検証実験に向かおうとしたレイの通信機に、極東支部の整備班の協力によりバレットの違和感について分かったとの連絡があり、レイはリッカに断りを入れてシエルの元に向かった。

どうやら協力してくれていたのは主にリッカだったらしい。

どうも、今度滅茶苦茶世話になりそうである。

 

「あの……先日付き合っていただいた時に違和感があったバレットの件なんですが……リッカさんの分析結果によると、回復弾のオラクル細胞の結合が変異していたそうです……変異によって細胞同士が固着して、エディットが出来なくなり他の銃身タイプでは使えなくなった代わりに、進化した、と……結果的に、従来の体力回復効果に加え、状態異常回復効果が発揮されるバレット、になっているようです……」

 

「んん?つまり……どういうことだ?」

 

「推論にすぎないという前提で、おそらくブラッド同士の「血の力」による感応波の相互作用では……と、仰っていました」

 

「は、ブラッドの?」

 

「はい……私も、まだ信じられないんですけど……「血の力」による感応現象が、神機を経由してバレットに作用し、「意志の力」で進化する「ブラッドアーツ」のように……いわば「ブラッドバレット」とも言うべき特殊なバレットに進化した……そう、サカキ博士は仰ってました……」

 

そう言うと、シエルはまじまじとレイを見つめた。

 

「なんだよ」

 

「いえ、ただ、検証実験の感覚は「血の力」に目覚めたときの感覚ととても似ていたので、少なからずも君の「血の力」も関係しているのだと思います」

 

「え?まさかぁ。俺の喚起能力ってそこにも影響すんの?」

 

「あくまで仮説ですよ。でも、おそらくほぼ確定ですけどね」

 

そう言ってシエルはクスクスと笑う。

 

「あと、その後……あの……多分、シエル君の想いが強すぎるせいじゃないかな、って……からかわれたんですケド……」

 

そう言って、シエルが恥ずかしそうに目を逸らす。

あのオッサンめ、いらんことを吹き込むなよ。

 

「ま、そこはともかく、やったな、大発明だ!」

 

ポン、とシエルの肩を叩いてやった。

シエルが驚いたように目を見開く。

 

「はい……!嬉しいです!リッカさんも、サカキ博士も……君のように喜んでくれました……少しでも、皆のお役に立ちたかったので……嬉しいです……あの、このバレットを試験運用してみようと思ってて、……もし、良ければ、君も一緒に……」

 

「勿論だ、行こうぜ」

 

リッカは何時でもいいと言っていたし、今は、シエルに付き合ってやろう。

レイはそう思って頷いた。

シエルの顔が嬉しそうに輝く。

 

「はい!それでは、準備が済むまでお待ちしていますね」

 

ーーーー

 

バレット試運転の舞台となったのは鉄塔の森、相手はザイゴート五体。

簡単な討伐任務だ。

レイとシエルは、今回はレイが常にザイゴートの攻撃を無理しない程度に受け、シエルがブラッドバレッドで回復しながらザイゴートを倒すという、普段ならやらない手段で任務をこなした。

レイが普段通り飛び出していけばすぐに終わる任務だが、あくまでもブラッドバレットの試運転である。

致命傷を避けながらだが、レイはザイゴートの出す毒霧の中にわざと突っ込んでみたり、体当たりを食らったりした。

その度にシエルが回復させてくれるので、安心ではあるがなんとも言えない不快感に襲われ、レイは苦笑した。

シエルの方をちらっと見ると、ハンドサインで「終了しましょう」と送ってきたので、レイはここぞとばかりに張り切ってザイゴートを倒した。

ザイゴートを倒し終えたのを確認すると、シエルがレイのすぐそばまでやってくる。

 

「お疲れ様でした。大丈夫ですか?」

 

「おお、余裕余裕。いやぁ、凄いなそれ」

 

ははは、と2人で笑いあった。

 

「「意志の力」によって新たな性質を生み出す、バレット……ブラッドバレット……このブラッドバレットの仕組みをより、細かく解明できれば戦術の可能性が、更に大きく広がると思うんです」

 

「ああ、そうだな」

 

「すごく……わくわくしています!君と……ブラッドの皆と……極東支部の皆さんと力を合わせて……。私、ブラッドバレットの研究を進めて……もっと、もっと……皆の役に立ちたいです!」

 

ーーーー

 

サテライト拠点護衛任務の第一弾が終了した次の日、レイはアラガミの素材の入ったアタッシュケースをリッカに届ける途中、突然ギルに声をかけられた。

 

「なあ、レイ。最近、俺と任務に行った時に違和感はないか?」

 

「え」

 

ギルの唐突な質問に、レイは驚いた。

いきなりなんだというのか。

 

「いや、どうも神機の調子が良くなくてな……」

 

「ああ、そういうことか。そうだなぁ、少しやりにくくなったっちゃなったか」

 

「やはりそうか……」

 

はぁ、とギルがため息をつく。

 

「まあまあ。リッカに相談してみろって。俺も用があるからさ」

 

「そうか。なら、一緒に行こう」

 

「お安い御用で」

 

レイとギルはロビーを後にし、リッカの元へ向かった。

リッカはほかの神機のメンテナンスを行っており、日を改めることにしようとしたが、リッカ本人に止められた。

曰く、「面白そうだから」だそうだ。

ギルがリッカに状態を説明する。

 

「……やっぱり、今の神機がしっくりこない感じ?」

 

「持ち替えてから、ずっと違和感があったんだ。性能はともかく、どうも重量バランスが、な……」

 

「そっか……まぁ長物はフロントヘビーになりやすいからね。まだ、チューニング方法も確立してるとは言えないし……まぁ、とりあえずいろいろ試してみようよ」

 

そういいながらリッカは手元の機械をいじり始める。

 

「内部のフレームと、機関部の調整をして……前寄りの重心の緩和に、ブラッドアーツ発動時の抵抗力の調整……うーん……結構、いろんな素材が欲しくなるね……」

 

「なるほどな……」

 

ギルとリッカが難しそうな顔をする。

そんな中、レイは調整に少し興味を持った。

いい機会だ、混ぜてもらおう。

 

「なんか面白そうだな。手伝うぜ」

 

「ん……いや、そういうつもりじゃ……いや……ありがとう、頼むよ」

 

最初、ギルは少し渋ったがすぐに了承してくれた。

 

「じゃ、決まりだね!必要な素材は、基本的にギル君が把握してね」

 

「了解。悪いが、完成まで付き合ってくれ。よろしくな」

 

「おう、任された。ああ、そうだリッカ、リンクサポートデバイスのやつなんだが、素材持ってきたぜ」

 

レイはリッカにアタッシュケースを差し出した。

リッカが嬉しそうに素材を受け取る。

 

「本当?ありがとう!これで、試作品の改良が進むよ。改良が終わったら、また実験に協力して欲しいんだけど……頼んでいいかな?」

 

「勿論だ、じゃなきゃこうやって来てねぇよ」

 

「助かるよ。いい仕事、しよう……!早速改良に入るよ、終わったら連絡入れるね」

 

「OK、こっちもシエルに呼び出されてんだ、丁度いい」

 

「ああ、ブラッドバレッドの件だね?」

 

レイはこくりと頷いた。

傍でギルがハハッ、と笑う。

 

「はは、忙しそうだな。なら、俺は素材の把握をしてくることにするよ」

 

「おう、終わったら連絡くれよな」

 

「じゃあ、また後でね」

 

3人はハイタッチを交わすと、それぞれの要件をこなす為に解散した。

 

ーーーー

 

リッカたちと別れたレイは、シエルの待つラウンジへと向かった。

既にシエルはやってきていて、レイに気がつくと嬉しそうに笑った。

 

「待たせたか?」

 

「いいえ、大丈夫ですよ」

 

レイはシエルの横に座る。

すると、シエルは資料を手渡してきた。

 

「えーと、ですね……あ、それです……。そこにある通り、整備班の方たちのおかげで非常に興味深い、分析結果を手に入れることができました。まずは、まとめですね……」

 

「OK、よろしく」

 

シエルはこくん、と頷くと、バレット講座が始まった。

 

「「ブラッドバレッド」は、我々ブラッドが銃身を使い込むことで突然変異によって発生するバレットです……銃身タイプの制限や、エディットができないことと引き換えにバレットエディットでは、実現できない効果を発揮できる……と」

 

「ほう」

 

レイは資料を見ながら必死に話についていく。

事前知識が薄いものを説明してもらって理解するのは、最近気がついたのだが昔から相変わらず苦手なようで、すぐに頭が回らなくなる。

ただし、努力はする。

じゃないと相手に悪い。

 

「で、今回判明した「ブラッドバレッド」の分析結果として……基本的な構造・組成自体は変わらないものの……どうやら「突然変異したモジュール」の性質変化によって新たな形質や、特性を獲得したようなんですよね……」

 

「突然変異したモジュール?なんだそりゃ」

 

「あっ、す、すみません……えっと、ですね……バレットはモジュールによって、どんな弾になるかが決まります。今までのモジュールは、基本的に1つの機能だけだったんです。でもブラッドバレッドでは、モジュールの突然変異によりさらにもう1つ「特定の性質」を得るようです……。中には今まで実現できなかった性質も含まれます。「状態異常回復」もその一つです。この「突然変異したモジュール」のことを、暫定的に「変異モジュール」と呼んでいます……ここまで、OKですか?」

 

「よしわかった、自分で勉強する」

 

レイは苦笑いを浮かべて両手を上げた。

お手上げである。

 

「今の、お話はこのあたりに記述がありますよ。ちょっと、読んでおいた方がいいかもですね……」

 

シエルが立ち上がってレイの資料の一部を指さした。

レイは慌ててその項目を見る。

ふと気がつくと、シエルがレイの顔をじっと見つめていた。

 

「どうした、俺の顔に何かついてるか?」

 

「あ、いえ……すみません……ちょっと、ぼーっとしてました……えっと……」

 

レイから眼を逸らし、少し考えるような仕草をしたあと、シエルは微笑みながら昔のことを話す。

 

「あのですね……こうやって横に並んで、勉強するのとか……私、ずっと憧れていたんです……ラケル先生や、レア先生や……軍事教練の教官……ずっと、大人の先生から教わっていたので……私一人だけ座って……先生は、だいたい正面か、横に立ってて……だから……今、少し不思議な気分だったんです。肩を並べて、勉強してるなあ……って」

 

「……そっかぁ」

 

「あ……何か、変な話しちゃいましたね……あっ……忘れてました……!」

 

顔を少し赤らめながら、シエルはワタワタとしながら資料の1箇所を指さす。

 

「見てください。変異モジュールが、発生した要因の考察です」

 

「待て待て、俺の名前が挙がってんだけど……」

 

戸惑いながらシエルの方を向く。

シエルは非常に嬉しそうな顔をして笑っている。

 

「やはりでしたね……「血の力」に目覚めた時の感覚と、本当に似ていたので……報告は……以上です」

 

ーーーー

 

シエルの報告が終わったすぐ後、ギルが声をかけてきた。

 

「よう、必要な素材をまとめてきたぞ」

 

「さすがの仕事の早さだな。どれどれ」

 

ギルに手渡された紙を見ながら、レイは頭をひねる。

どうも手持ちにあるような。

 

「「餓爬牙」と「焔獣牙」なんだが……頼めるか?」

 

「勿論。つかこれ、多分ターミナルにあるぞ」

 

「本当か?」

 

ギルが首をかしげた。

どうしてだろう、疑われているような気がする。

 

「嘘ついてどうするよ、ちょっと待ってな」

 

レイは、アナグラロビーのターミナルから二つの素材を呼び出した。

その素材の入ったアタッシュケースを、ギルに差し出す。

 

「……ほらよ。これで、後はリッカがやってくれんだろ」

 

「ああ、ありがとう。早速持っていくか」

 

フッとギルがいたずらっぽく笑ったのをレイは見逃さながった。

移動中にさりげなくそのことを言ってやると、普段の仕返しだと頭を小突かれたので、背中を叩き返してやった。

そんな感じで話しながらギルとレイは、リッカの元を訪ねた。

相変わらず神機を弄っていたが、レイとギルを見つけると、さっさと作業を中断して飛んできた。

 

「私に用でしょ?」

 

「そうだけど……って、あれ、ほっといていいのかよ」

 

レイは放ったらかしにされた神機を指さす。

リッカは大丈夫だよ、と言うと、ギルからアタッシュケースを受け取り、その中を確認した。

 

「うん、素材は揃ったみたいだね。でも、少し時間がかかるから、できたら連絡するよ。あ、レイ、改良が終わったんだけど、今から大丈夫かな?終わったものから次々片付けて行かなきゃね」

 

「仕事滅茶苦茶早くねぇ?ま、俺はいつでも行けるけどな」

 

「ははっ、お前達は本当に忙しい身だな。2人揃って無理はするなよ」

 

ギルの忠告にハイタッチで答える。

そのまま、自分の神機に手をかけ、レイはアナグラロビーのヒバリからミッションを受注した。

 

ーーーー

 

「こんな時間になっちゃったね……でも、いいデータがとれた。ありがと」

 

そう言ってリッカは笑った。

そもそもが遅めの時間帯、出撃した時、空はもう黄昏がかっていた。

そんな時からのスタートだった為、日がすっかり暮れてしまっていた。

リッカはレイに一本の炭酸ジュースを手渡す。

 

「君、ハードワーカーだね。普通はこんなの嫌だと思うけど……」

 

「はは、かもな。だが、楽しいぜ」

 

肩をすくめながらレイはジュースを飲んだ。

刺激の強い炭酸が、喉を通るのがとても心地よい。

 

「あははっ!希望がある仕事は、最高だよね。この試作品はさ、ずっと昔に設計されたんだ。フェンリルの技師によって。リンクサポートデバイスと神機の併用は不可能だったんだけど、それを覆す、画期的な支援機材になるはずだった……」

 

「へぇ」

 

「でもフェンリルの回答は、「机上の空論にすぎない」。予算もつけられず、研究はお蔵入り。それでもあきらめきれずに、技師は自前で開発を続けて……結局、実現できないままに亡くなっちゃったんだけどね」

 

あはは、とリッカが笑い、レイの顔を見た。

その顔が、少し寂しそうに見える。

 

「その技師が、私のお父さん。神機とリンクサポートデバイスは、同時に使えるはずなんだよ。君が証明したようにね」

 

今までよりもしっかりした声で、リッカは言った。

それほど、リッカにとってこのデバイスの開発は重要なことなのだろう。

 

「これから、しばらく一緒に仕事することになるけどさ……ひとつ、約束しよう。お互い、遠慮なし。私が間違ってたら、それに気付いたら、ちゃんと言ってほしいんだ」

 

「ああ、了解だ」

 

2人で缶ジュースをグッと飲む。

ふと、リッカの持つ缶が目に止まる。

 

「ところでリッカ、それなに」

 

レイはリッカの持つ缶を指さした。

レイの持つ水色の缶ではなく、黄色というよりも黄土色というのが正しいであろうカラーリングに、見間違いでなければ「カレー」の文字が見えた。

非常に気になる。

 

「え?冷やしカレードリンクだよ。美味しいよ」

 

リッカはニッコリと笑顔をレイに向けてきた。

飲んでみて、とばかりにレイに差し出す。

 

「い、いや、俺はいいわ……」

 

レイは苦笑しながら断った。

カレーは大体どうやっても食えるものになることは、経験上理解しているが、ドリンクとして飲むのは少しいただけなかった。

なんというか、レイの中でカレーは食べ物という概念を崩したくなかったのである。

それに、大体食えるものになるとはいえ、ちゃんと食えないものも生まれることも、レイは経験上理解していた。

リッカは残念そうに、そっかぁ、というと、唐突にもう一本冷やしカレードリンクを購入した。

まだ飲みかけのはず、と首をひねっていると、リッカはそれをレイに投げてよこした。

 

「え」

 

「飲みかけだったの気にしたんたでしょ?だから、新しいやつ。奢るから、飲んでみてよ」

 

「……お……おう……ありがとう……?」

 

どうしてこうなった?

手にある冷やしカレードリンクの缶を見ながら、レイは呆然としていた。

目の前では、リッカが笑顔で反応を待っている。

飲むしかない。

覚悟を決め、プルトップに手をかける。

カシュ、と栓が開いた瞬間に漂ってくるカレーの匂い。

意を決して口に運び飲み込む。

 

「!」

 

「どう?」

 

吐き出しそうになるそれを必死に飲み込み、レイは笑顔を浮かべてリッカに言った。

 

「悪い……俺には合わないわ……」

 

できたらうまいと言ってやりたかった。

しかし、うまいとお世辞でも言うのを本能が拒んだ。

 

「そっかぁ、ごめんね」

 

「い、いや、こっちこそ悪い……」

 

リッカが少し落ち込みながら謝罪してきた。

レイも、謝罪し返す。

そして、そのまま、冷やしカレードリンクを一気に飲み干した。

なんともいえない悪寒が全身を駆け巡るが、それらを必死で押さえ込んで笑ってみせる。

 

「奢ってくれて、ありがとな」

 

「……どういたしまして」

 

あはは、とリッカが笑った。




シエル、ギル、リッカのキャラエピ消費回でした。
きっとこいつら、四人一緒になると滅茶苦茶話弾んで楽しそうだなって思ったり。
次は、あれだ、第一部隊と絡ませよう。
そうしよう。
さて、ハルさんとの絡みをどこにぶち込むのかが問題。
これはなんというか、4章連続で行かないと行けないような気がしてくる。
という謎の使命感に襲われているのですが何故でしょう。
てことはあれか。第一部隊やって、ギルエピ咬ませてハルエピだーっと終わらしてからのアリサと教官先生か。
ここまで行ったら次は、ナナちゃんとロミオ!
早よ書かなあかん。
感想、お待ちしています。
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