GOD EATER 2 RB 〜荒ぶる神と人の意志〜 作:霧斗雨
書き溜めていたものをひとまず吐き出していこうと思います。
うまく書けているといいのですが。
「……鬼畜かよあの隊長」
ぶつくさと言いながら、レイはロビーに戻ってきた。
あの後、訓練がスムーズにいき、出現していた訓練用ダミーアラガミの最後の一体を倒した時だった。
再度、あちらこちらにダミーアラガミが出現し、襲いかかってきたのだ。
それも、数が増えている。
終わりじゃねぇのかよ。
そんなことを思いながら、再びレイはダミーアラガミを一掃する。
再びダミーアラガミが出現し、襲いかかってきては一掃し……。
この手順を5回は踏んだ。
手順を踏む度にダミーアラガミの数は増えるし、そもそも初日だしですっかりくたびれてしまったのだ。
「あんにゃろう、覚えてやがれ」
いつか必ず痛い目を見せてやる。
そんなことを思いながら、ロビーのソファに腰を下ろそうとして、先客がいることに気がついた。
非常に露出度の高い服に身を包んだ、猫耳のような髪型をした少女だ。
その脇には白い大きな袋が置いてあり、少女の手には、レイの見たことのないパンがあり、少女はそれを美味しそうに食べている。
レイが唖然と見ていることに気がついたのか、少女は顔を上げてニコリと笑った。
「あ、お疲れ様ー」
「お、おう……」
声をかけられ、レイは逃げられなくなったことを悟った。
ひとまず少女の向かいに座る。
「君もブラッドの新入生……じゃなくて、新入りの人だよね?」
新入生て、学校じゃねぇよここ。
突っ込みそうになるのを堪え、レイは頷いた。
「ああ。朽流部レイだ」
「私はナナ。同じく、ブラッドの新入りです!よろしくねー。えーと、レイちゃん?」
「よろしく……って、おい待て。なんでちゃんだ、俺は男だ」
え?とナナが首をかしげる。
確かに、レイの体の線は細く、顔立ちも目付きが鋭いことを除けば整った容姿であるらしく、昔から義兄やら周囲の男共によく女に間違われたが、今では長かった黒髪を短く切りそろえ、頬の一筋の傷を見えるようにしている。
流石に、もう女には見えないだろう。
それに、声はどう頑張っても女性の声ではない。
名乗った後なのに間違われるか、普通。
「あははは、ごめんごめん。冗談だよ」
「冗談には聞こえなかったぞ」
ナナは笑顔でそういうと、再び手に持ったパンを食べ始める。
中に何が入っているのか、よく見てみると、串に刺さったおでんである。
……え、マジかよ。
「……よく食べるな」
「そうかな?結構、これでフツーだよ?それにさ、「ゴッドイーター」は食べるのが仕事だからこれも仕事の一環みたいなものなんですよ!……でしょ?」
「なんか違う気がする」
あはは、そう笑いながらナナはパンをペロリと平らげた。
噛む度にバキバキと何かが噛み砕かれる音が響く。
え、おい待て、串はどうした。
「え、ちょ、おま、串は」
「あ!そうだ!お近づきのしるしに……はい、どうぞ」
ナナは脇にあった白い大きな袋から同じパンを取り出し、レイに差し出した。
「え、まさかその袋の中身全部……!?」
「お母さん直伝!ナナ特製のおでんパン!すっごく美味しいから、良かったら食べてよー」
「人の話聞けよ!」
「おっと、私そろそろ訓練の時間だから」
レイの話をすべて無視し、ナナは立ち上がって袋を担いだ。
そして、レイに手顔で手を振った。
「行ってきまーす」
「……行ってら」
もう、問いかけることすら諦め、レイはナナを見送った。
「残したら、あとで怒るからねー」
「へーい」
片手をあげ、ひらひらと振りながら適当に返事をして、目の前のおでんパンに向き直る。
今までに見た事の無いジャンルの食べ物。
「良かったら、じゃねぇのかよ……」
うう、と顔をしかめながら、ひとまず串を抜く。
もしかしたら食べられるもの、つまりはパスタなどなのかとも思ったが、見事な竹串だ。
どうやってああも軽々食ったんだあいつ。
ナナの咀嚼力に軽く恐怖しながら、レイは思い切っておでんパンにかじりついた。
そのお味は。
「……あ、意外と食える」
それなりに美味しかった。
ーーーー
「あー、お帰りー」
「おー……」
ナナと入れ替わりで行われたジュリウスの鬼畜訓練が終わり、くたびれて戻ってきたレイは、ロビーで再びナナに会った。
「なんか疲れてるねー」
「まぁな。あんにゃろう、マジで痛い目見せてやる」
ジュリウスに密かな復讐を誓った瞬間だった。
「あはは。あ、そうそう。レイも極東出身なんだね」
「ん?ああ。って、言ったかぁ、俺?」
自分が極東出身であると、ナナに言った覚えはないのだが。
「名前だよー。ほら、極東地域独特の名前でしょ」
「ああ……成程。この辺じゃレイ・朽流部になるのか」
「私だったらナナ・香月だね。ねぇ、レイ、おでんパン美味しかった?」
「……話題をコロコロ変えるなよ、ついてけねぇ。ま、まぁまぁだな」
「よかったー」
そう言って、ナナは嬉しそうにニコリと笑う。
よく笑う奴だな。
レイは、ナナのことをそう思った。
「ねぇ、串も食べた?」
「……なぁその質問がかなりおかしい事に気が付かねぇの?」
どうやら串まで食べるものだったようだ。
今までも大概な食生活だったと思うが、ここに来てまさか食物以外のものを食わされるとは。
おかしいだろ、嫌すぎる。
「いい歯ごたえだよ?」
「お前それマジならだいぶ怖いぞ」
「そうかなぁ」
そんな雑談をしている2人の、ニット帽をかぶった金髪の少年が、「ふっふ〜♪」と鼻歌を歌いながら通り過ぎた。
が、すぐに足を止め、2人の方を見る。
「……あれ?見ない顔だね、君ら」
「こんにちは」
「うっす」
「何か1人適当だね……。あ、ひょっとして噂の新人さん!?」
そう言って、ニット帽の少年が2人を指さした。
ナナとレイは軽く頭を下げる。
「はい、これからお世話になります、先輩!」
「どーも」
ナナがした丁寧に、レイは乗っかって簡単に挨拶をする。
苦手なのだ、こういうのは。
「先輩……いいね!なんか、いい響き……!」
パッとニット帽の少年の顔が明るくなる。
この辺では先輩とは言わないのだろうか。
「よし、俺はロミオっていうんだ!先輩が何でも教えてやるから、何でも聞いてくれ!あ、その前に言っておく!ブラッドは甘くないぞ、覚悟しておけよ!」
こう言われ、レイは咄嗟に「あのジュリウス隊長は鬼畜か?」と聞きそうになったが、今聞くのはそんな事ではないだろう。
なので、レイは少し考えてから質問を口にした。
「じゃあな、ブラッドってなんだ?」
「お、おぉ……い、いい質問だね!うーん、そうだなぁ……」
あ、しまった、敬語忘れた。
レイが気がついた時にはもう遅く、ロミオは2人への返答を考え始めていた。
(ま、もいっか。ジュリウスにもタメだし)
「「ブラッド」は……えーと、「血の力」を秘めていて……そう!「血の力」に目覚めると……必殺技が使えるんだ!うちの隊長なんて、すごいんだぜ?どんなアラガミだってズバーン、ドバーンってたおしちまうんだからな」
なんか大事なところが全部曖昧です、そしてすべて知ってます先輩。
こう言おうとした瞬間に、ナナが顔を輝かせながら口を開いた。
「すごーい!じゃあ、ロミオ先輩の必殺技ってどんな感じなんですか?」
「ば、バッカ、お前、ほら……必殺技ってのはさ、そんな、すぐ手に入るもんじゃないんだよ……」
さっと下を向き、ロミオの目線が泳ぐ。
あ、これはもしかして。
「あ、そうだ!今みたいな質問はさ、「ブラッド」を設立した「ラケル博士」に、どんどん聞けばイイと思うな!じゃ、またな!」
ロミオはなにか慌てるように立ち上がり、足早に立ち去って行った。
ナナ、お前ってやつは。
「あれ……質問タイム、もう終わり?なんか、マズイこと聞いちゃったかなー?」
「さあな」
レイは首をかしげながら、ナナの方を見る。
ドンピシャだよナナ、いきなり地雷踏んだぞお前。
それにどうもナナは気がついていないようで。
「お前、大物だな」
「え?何が?」
「いいや、別に」
ロミオ先輩、グッサリきただろうな。
レイとしては、苦笑するしか無かった。
その、可哀想な先輩とはこの後すぐに会うことになる。
ーーーー
ロミオと別れてすぐ、ラケルから呼び出しがかかり、レイとナナはラケルの研究室へやってきた。
そこには、既にロミオがやってきていて、ソファに腰をかけている。
ずいぶんと緊張した顔だった。
そんなロミオの隣にナナが座り、その横にレイも座る。
全員が揃ったのを確認し、ラケルは口を開いた。
「よく来ましたね、ブラッド候補生の皆さん。本来なら、正式な晩餐会を催したいところですが……」
「あれ?ロミオ先輩も「候補生」なの?」
「うるさいぞナナ……!」
ロミオ先輩、ご愁傷さま。
ついさっきはぐらかしたばかりだったのにな。
レイは1人、苦笑いを浮かべつつ、ラケルの次の言葉を待った。
「ふふっ……すっかり仲良くなって、うれしいわ。それでね、今日は皆さんにブラッドとしての心得を、お伝えしておきたくて」
「よ、よろしく、お願いします!」
緊張しきったロミオの返事に、クスリとラケルは笑い、優しく微笑んだまま説明を始める。
「ご存知の通り、アラガミによって世界は滅びの道を進んでいます。それを押し止めてきたのは、神を喰らう者「ゴッドイーター」……。そして今、ゴッドイーターを超える「ブラッド」が新たな時代を切り拓こうとしています」
「そっ、そうなんだよな!ジュリウスや俺達が「血の力」で……!」
「ブラッドに選ばれた皆さんには、「血の力」が眠っています。「血の力」は、意志の力……。「血の目覚め」を迎えたブラッドは、その強い感応の力であまねくゴッドイーターたちを高め、導く……」
ロミオの発言をサラッとスルーし、ラケルは説明を続ける。
「ロミオ……ナナ……そしてレイとジュリウス……。皆さんは、ブラッドとして、ゴッドイーターの先頭に立ち彼らを教導する存在なのです。今はまだ眠れる種ですが……強い願いが、強い意志の力を生み、やがて「血の力」を目覚めさせるでしょう。その日を、楽しみにしていますよ……」
ラケルが、再び優しく微笑んだ。
どうやら、心得とやらは終わったらしい。
「ラケル博士……!俺、頑張ります!」
「応援してるよ、ロミオ先輩!」
「ばっ、ばか!他人事じゃないんだぞ!」
ははは、と笑い声が研究室に響く。
そんな中、レイはラケルの目の奥に、なにか暗いものを見た気がした。
楽しかったです。
楽しかったですとも。
久しぶりに、滅多に見ない場面をアーカイブで確認しながら書きました。
ジュリウス隊長が張り切った。
ナナちゃんの顎は凄すぎる。
先輩、ごめんなさい。
そんな第2話でした。
こんな感じで勧めていきます。
感想、お待ちしています。