GOD EATER 2 RB 〜荒ぶる神と人の意志〜   作:霧斗雨

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第24話。
我等が誤射姫様のキャラエピパート。


第24話 教官先生と誤射姫

その日は久し振りの休日で、遅めの朝御飯を食べようとレイがラウンジに入ると、ハルオミがカノンと何がをやっていた。

 

「……いいか、物陰からよく狙え。そのままミッション終了まで、ずっと狙い続けるんだ……」

 

「でも、積極的に動かなかったら、やられてしまいますよ?」

 

「うーん、まいったな……」

 

「……何やってんだ、あれ」

 

ムツミに簡単な朝食を作ってもらい、それを頬張りながらレイはジト目でハルオミを見た。

物陰からよく狙うのはいいが、終了まで狙い続けてどうするのか。

そんな事をしたら、同行メンバーに何しにきたんだと怒られてしまう。

 

「ま、俺にゃ関係ねぇか。ありがと、ご馳走さん」

 

すっかり空になった器をムツミに返し、レイは席を立った。

ふと視線を感じ、ちらりとそちらを見ると、ハルオミがジッとレイの方を見ており、一瞬だが視線が合ってしまった。

 

「……っと、そうだ!おーい、ちょっとこっち来てくれ!」

 

そう声をかけられ、レイは咄嗟に逃げようかと迷ったが、流石にそれは失礼すぎると思い、軽く溜息をつきながらハルオミの方に向かう。

猛烈に嫌な予感がする。

 

「この前ミッションに行ったから知ってると思うが、こちらはブラッドの副隊長!」

 

「あ、どうも、私は……」

 

「この子は第四部隊の精鋭、台場カノンちゃんだ」

 

カノンの名乗りを遮ってハルオミが言った。

 

「はぁ、知ってますが」

 

「えっ……と、あの、精鋭でもないのですがご紹介に預かりました、台場カノ……」

 

「うん、いいぞ!ベストな組み合わせだ、俺の目はごまかせない」

 

雲行きが完全におかしい。

思わず逃げ出そうとするが、ハルオミがしっかりと肩を握ってくれているので動けない。

 

「あのな、カノン。隠してたわけじゃないんだが……この人が、今日から君の教官だ!」

 

「ええっ!?」

 

「んなぁ!?」

 

レイは驚きに眼を丸くした。

一体全体どういうことなのか。

 

「教官の言うことをよ〜く聞いてブラッド流の戦闘術を教えてもらえ……お前ならできるさ」

 

「で、でも、ハルさんが私の教官という話では……?」

 

「フッ……俺なんかが教えることは、もう、無いんだ」

 

ハルオミがフッと遠い目をした。

が、そんなことで任されるなどたまったものではない。

慌ててハルオミに食らいつく。

 

「待て待て待て!それはあんたの責任転嫁だろうがっ!」

 

「じゃ、任せたぜ!」

 

「あああ待て!オイコラァ!」

 

爽やかな笑顔を残し、ハルオミはやり遂げた感を全身で表しながらラウンジから出ていった。

レイの声など、きっぱり無視して。

あとには、何がなんだかさっぱり分かっていないという顔のカノン、全力で巻き込まれたレイだけが残される。

 

「あの……いまひとつ、状況が飲みこめませんが、ハルさんもああ言ってますし……」

 

「奇遇だな、俺も飲みこめてねぇ。まぁ、アドバイスくらいならなんとかなる……かなぁ……」

 

確かカノンは第一世代神機のブラストだったはずだ。

レイが使用するのは第三世代神機のアサルトで、ブラストなど使ったことはない。

アドバイスすらできないような気がしてならない。

 

「はっ、はいっ……!えーと、それでは……!本日から、教官先生について行きます!不束者ですが、どうぞよろしくお願いします……!」

 

「……あー、ついてこなくてもいいから……」

 

「早速ですが、私、面談をした方がいいと思うんです。今後の方針とか、色々……!」

 

「あー、うん、じゃ、あそこでやろうか……」

 

ひとまず、カノンを連れてモニター前のソファに向かい合わせに座る。

 

「では、本日の面談、よろしくお願いします!」

 

「で、何が聞きてぇの?」

 

「あ、なるほど……そうですねぇ……」

 

少し、カノンは考えるような素振りを見せて、顔を上げた。

 

「何を聞いたらいいのか、分かりません!」

 

「だったらなんで面談したいって言ったんだよ!意味ねぇだろうが!」

 

「あっ!そういう意味ではないんですよ!」

 

思わずカノンの頭を叩きそうになった。

しかし、カノンも一応先輩である。

グッとこらえ、カノンの話に耳を傾ける。

 

「私はどうも、戦績がよろしくなくてですね、頑張ってはいるんですが、結果を出せなくて。でも何がダメなのか、自分でもよく分からないんです。きっと、この仕事に向いてないんじゃないかと……」

 

「一個聞くけどさ、カノンさ、自分の誤射に気付いてる……?」

 

レイは一番気になっていることを聞いた。

前回ハルオミの謎探索に付き合った際に酷い目をみたからである。

もしも、カノンが誤射に気がついていないのならば、この後かなり厄介なことになる。

 

「確かに私の射撃の腕は、優秀じゃないですよね。それは、なんとなく分かります。タイミングも悪いんです。射線上に味方がいたり、アラガミが勝手に動いたり……!」

 

「……それ、タイミングの問題じゃねぇな。アラガミは勝手に動くものだぞ……」

 

わかっていた。

わかっていたが、それを違う方向に解釈していた。

これはこれで、厄介極まりない。

 

「ええ、分かります。……つまり、「よく見て当てろ」という、そういった、寝る子は育つ的な、基本に返れと言う事ですね!?」

 

「え、あ、まあ……うん?」

 

「すごく勉強になります!教官先生、ありがとうございました!では、早速ミッションに行きましょう!」

 

何故か勝手に物凄くポジティブに解釈され、レイは苦笑いを浮かべる。

準備してきますね、とカノンが立ち去ったあと、レイはため息をついて頭を抱えた。

 

「うん、俺もう無理な気がしてきた……」

 

ーーーー

 

カノンが受けていた任務は、小型アラガミの討伐という簡単なものだった。

カノンがどの程度出来るのか確認すべく、普段よりも突っ込まずに相手をしたのだが、一向に射撃が行われない。

たまに発射されるバレットは、何故かレイの方に飛んでくる始末である。

前門の虎後門の狼とはこういうことを言うのだなと実感した瞬間である。

何とかアラガミの攻撃とカノンの砲撃を裁き切り、ミッションを終えた。

 

「あのっ、どうでしたか!?教官先生の言う通り、よく狙いました!」

 

「いや、うん……もう少し、積極的に攻撃しようか……」

 

なぜか嬉々として聞いてきたカノンに、レイは事実を突きつけた。

流石にこれは酷い。

 

「はあ……ふうー……すみません。帰って、また出直します……」

 

目に見えて落ち込んだカノンを見て、レイは何故か罪悪感に襲われることになった。

 

ーーーー

 

第二回目のカノンの面談。

窓際のカウンター席で、カノンは遠い目をした。

 

「……昔は、「防衛班」ってところで働いてたんです。出来の悪い新人でしたけど、皆さんによくしていただいて……」

 

ここでレイは首をかしげる。

防衛班なんて聞いたことはない。

来たばかりだから知らないのかもしれないが。

レイをほったらかしてカノンは語り続ける。

 

「そこで必死に頑張っていたんですが、防衛班は再編されるし、新人さんもいっぱい来るしで……いつの間にか、古参兵になってたんですね、私……」

 

「君、古参兵、だったんだ……見えねぇな……」

 

驚愕の事実である。

レイは、自分よりも少し先輩といった位だと思っていた。

予想を裏切って、まさかの古参兵だった。

 

「ええ……時間だけは、勝手に流れて行くんです。いつまでも新人気分じゃダメだぞって、ハルさんにもよく注意されました」

 

「そういや、第四部隊って普段は何してんだ?」

 

「第四部隊は遊撃部隊として、少人数で柔軟な運用を行うとされていますけど……そうそう、それなんですが!」

 

パチン、とカノンが手を打った。

 

「私、やらなくてはならないことがあるんです」

 

「何?」

 

「第四部隊は二人だけなのに、私が足を引っ張ってばかりで……状況を打破するには、ブラストの新機能が……一人で数人分の火力を叩きだす、オラクルリザーブが必要なんです!」

 

「……うわぉ」

 

オラクルリザーブとは、OPを予備領域に貯める、ブラスト限定の技術である。

つまり、他の銃身では扱えないOPを消費する超高火力バレットが撃てたりするのである。

これが一般の神機使いの場合、メリットが大変大きい技術と言えるのだが、カノンの場合、このメリットがデメリットに変わる恐れがある。

普通よりもバレットを撃つことが出来るということは、誤射の確率が上がるということでもある。

多少の誤射はブラストに限らず、その他の銃身でもままあるのでご愛嬌として受け取れるが、元々誤射の多いカノンである。

最悪同行した神機使いがやられてしまう。

 

「だけど、私の神機との相性が悪いのでリッカさんから禁止されてて……でも必要なんです!教官先生の方からリッカさんにお願いしていただけないでしょうか!?」

 

「まあ、一応頼んでみるけど……期待、すんなよ?」

 

「ありがとうございます!あっ、このことは、ハルさんには内緒でお願いします。ビックリさせたいので……さて、ミッションですね!前回の反省を踏まえて、積極的に撃ちにいきますよー!」

 

この後、前回の動かなさを補うほどのバレットの連射を見せ、レイは滅茶苦茶誤射された。

 

ーーーー

 

アラガミからではなく、カノンからの誤射でボロボロになってアナグラに帰投したレイは、リッカの元に向かった。

とりあえず、相談はしてみることにしたのだ。

レイから事のあらましを聞いたリッカは、難しい顔をした。

 

「なんかボロボロだけど大丈夫?うーん、カノンちゃんに、オラクルリザーブかあ……」

 

「……大丈夫とだけ言っておこう。で、どう思う?」

 

「これはオフレコってことでいい?オラクルリザーブを禁じたのは、私じゃなくてハルさん。理由は……分かるよね?」

 

「あー、やっぱりか……」

 

なんとなくそんな気はしていた。

オラクルリザーブは、ブラストなら使える機能。

カノンの神機だけ相性が悪いなんて、そんな事はないだろうと思ってはいたのだ。

 

「オラクルリザーブが実戦配備されたとき、一部のゴッドイーターがカノンちゃんの……例のクセを憂慮して、転属動議を出したんだ。それで、「彼女の神機と、オラクルリザーブは相性が悪い」って禁止にしたのがハルさん、彼女も含めて誰も傷つけないように、ね」

 

ある意味ハルオミの優しさが垣間見えた瞬間である。

これが男だったらこんなことしないのかもしれないが。

 

「でもさ、これは純粋にエンジニアとしての見解だけど……あの子の神機との適合率の高さは、注目に値する。戦い方はともかく、神機使いとしてのポテンシャルは最高だよ。旧型で、どこまで火力が伸びるのか……見てみたい、と思ってる」

 

割と真面目にリッカが言った。

神機整備士(エンジニア)のリッカだからこその見解だ。

 

「今は、レイがカノンちゃんの教官……なんだよね?」

 

「そうらしい……勝手にされちまった」

 

「それなら、決定権は、レイにある。あの逸材を、生かすも、殺すも、レイ次第だよ」

 

「そう簡単に言うなよ……アイツの誤射、滅茶苦茶怖いんだぜ……?あと、犠牲者に恨まれたくもないぞ俺は……」

 

そう、レイが一番心配しているのはここだ。

オラクルリザーブをカノンが使うのは、そこまで反対しない。

しかし、ただでさえ高火力のブラストに誤射される危険性の上に、そのバレットの威力が上がれば上がるほど誤射された時のダメージが大きくなる。

禁止にされているものをわざわざ解除して、被害を被りたくはない。

 

「分かるよ……」

 

ガックリと項垂れるレイに、リッカが同情したような声で言った。

おそらく、リッカはカノンに誤射されてボロボロになった神機使い達を見ているのだろう。

 

「カノンちゃんの成長を見て、決めたらどうかな?そうだ、これ、カノンちゃんに渡して欲しいんだ。チューニング頼まれてたの、終わったからさ」

 

ーーーー

 

結局レイは1日悩み、再びリッカに相談した。

その内容に、リッカは納得するかのように頷いた。

そして翌日、レイはカノンに面談するからとっとと来いと告げ、前々回と同じモニター前のソファに座った。

カノンが来る前にリッカと合流、軽い打ち合わせをする。

そこへカノンがやってきて、二人の向かいに座った。

 

「では、本日の面談をお願いします、教官先生……と、リッカさん」

 

「あのさ、今日のミッションでちょっと見せてほしいものがあるんだ」

 

レイではなく、リッカが切り出す。

打ち合わせた結果、そうなったのだ。

 

「はっ、はい。なんでしょう……?」

 

「禁止された君のオラクルリザーブを、解禁できるかどうか……その資質をね」

 

オラクルリザーブ、という単語が聞こえた瞬間、カノンの顔が目に見えて明るくなる。

 

「ええっ!?私、オラクルリザーブを、使えるんですか?」

 

「待て、早まるな。テストが先だ」

 

今すぐにでもオラクルリザーブを使いそうなカノンを、レイは割と真剣に止めた。

それを聞き、カノンは少しがっかりしたような顔をしたが、すぐに気合に満ちた表情に変化した。

 

「がっ、がんばります!全身全霊を傾け、奮闘することを誓います!で、あの……何か、コツのようなものを教えていただけないでしょうか……?」

 

それを聞くのかよ。

内心で突っ込んだが口には出さない。

 

「回復弾主体、攻撃より、仲間のサポートを心がけるようにしな」

 

「なるほど……!分かりました!支援を、特に回復弾の使用を心がけます!」

 

1日悩んで出した答えは、これだった。

というか、これしかないだろとしか言えない。

撃たれるのが嫌なら撃たれてもいいものに変えたらいいじゃない、という理屈である。

 

「それなら間違いないね。カノンちゃん、応援してるよ」

 

「あ……ありがとうございます。私なんかのために……!やりましょう!やって見せましょう!」

 

ーーーー

 

レイが用意したミッションは、小型アラガミの討伐という簡単なもの。

カノンのテストということで簡単なものにしたのはいいものの、困ったことが発生する。

ダメージを受けないのだ。

ということはカノンが回復弾を使わないということで、テストにならない。

ただでさえダメージをほぼ受けないレイのこと、今回のみバックラー禁止にしたところで全く縛りにもならない。

さてどうしたものかと1人悩んでいると、後ろからカノンの回復弾を受ける。

バイタルはまだ正常だったはずなのに何を、と振り返ると、真剣なカノンの表情が目に入る。

回復弾を主体にして戦闘しろと言ったのはレイだ、カノンはそれを実行しただけ。

もうどうしようもないので、レイは戦法を暴力メインに切替えた。

これならもう少しダメージを受けられる。

少なくともさっきみたいに過剰回復になることは減るだろう。

ということでオウガテイル堕天に全力の回し蹴り、ドレットパイクにパンチを一撃お見舞いした。

蹴りの方はそこまででは無かったが、殴った拳が痛い。

ドレットパイクの外殻の硬さを甘く見た結果である。

 

(逆にしときゃ良かったな、畜生いってぇ)

 

悶々としながら蹴って殴って投げて叩きつける。

ヒバリからバイタル危険域というオペレーションが入る。

どうやら、蹴ったり殴ったりという対人戦法は思ったよりもダメージを食うらしい。

見てみると、手の甲はズルズルに向けて血が滲んでおり、足も傷まみれでおまけに腫れ上がっている。

瞬間、カノンの回復弾が飛んでくる。

タイミングは絶妙である。

たまに回復弾が飛んでくるのを除けば、だが。

討伐を終え、アナグラに帰投してリッカと合流、再びラウンジのモニター前のソファに向かい合わせに座る。

 

「テストは、どうだったでしょうか。努力したつもりですが……」

 

心配そうにカノンが聞いた。

 

「回復弾なら、オラクルリザーブとの相性もいいし、この路線なら問題ないと思うな、私は」

 

「だな。禁止は解除でも問題ねぇだろ。回復弾なら」

 

レイはリッカの意見に同意した。

 

「じゃ、じゃあ……!いいんですね!?あ……ありがとうございます!教官先生!リッカさん!」

 

嬉しそうに顔を輝かせるカノン。

ほぅ、と息を吐き出して溜め込んでいた思いを呟いていく。

 

「ほんとによかったです……ずっと、「明日から来なくていいぞ」って言われないか不安で……皆さん、ちゃんとオラクルリザーブを使いこなしてるのに、私だけ……「窓際族」なんていう変なボキャブラリーも増え……」

 

「……大丈夫?」

 

「……なんか変な追い込まれ方してんな」

 

「すみませんっ!家に電話してきますっ!」

 

ほんの少しだけ同情の目を向ける2人を置いて、カノンは勢いよく走り去っていった。

リッカとレイは顔を見合わして吹き出す。

 

「よかったね。回復弾なら、彼女のクセが出ても丸く収まるし……これからもがんばってね、「教官先生」!」

 

「リッカ、お前楽しんでるな……?ま、やるだけやってみるさ。……どうなっても俺は責任取らねぇ」




第24話です。
今回の誤射姫様のキャラエピパートは、前回に比べると短いですが、まぁ、誤射姫様オンリーでしたので許されると思ってる。
さて、前回も言いましたとおり、キャラエピ消費回はここでいったん終了し、ストーリーに戻ります。
つまり、ここからはナナちゃんエピ!
頑張るぞ!
ところで。
リザレクション体験版、配信の次の日には告知ムービーを見ることが出来ました。
面白い、面白いよぉ!
でも、ブラッドアーツになれてしまった私にとって、ちと厳しい戦いだったりします。
でも。
綺麗になったキャラ達がかっこいいしかわいいし綺麗!
ツバキさんとサクヤさん綺麗だし、リンドウさんとコウタとソーマさんかっこいいし、アリサとヒバリはかわいい。
大満足でした。
早く本編やりたいよぉ!
リザレクション編もやっていこうと思ってるので、始まったらそちらもよろしくです。
感想、お待ちしています。
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