GOD EATER 2 RB 〜荒ぶる神と人の意志〜   作:霧斗雨

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第3話です。
もう少し投稿していけそうです。



第3話 実地訓練

「だぁ〜っ、クソッ!」

 

訓練用ダミーアラガミを斬り伏せ、レイは喚いた。

 

『どうした?』

 

「どうした、じゃねぇよ!あんたは鬼畜か畜生ッ!!」

 

オウガテイル型のダミーアラガミを持ち前の馬鹿力を使って両断し、神機をアサルト、つまり銃形態に変化させ、バレットを乱射する。

そして、ダミーが弱った瞬間を狙って、ショートブレードで切り裂く。

ダミーアラガミの攻撃を走り回りながら紙一重で交わし、飛び回って応戦する。

この様な訓練を、レイはここ毎日続けていた。

毎日毎日難易度がバンバン上がり、あっという間にくたくたである。

普段ならこんな口調はしないのだが、もう我慢の限界だった。

 

『ふむ。神機の扱いには慣れたか?』

 

「んなもんだいぶ前に慣れたわっ!慣れる前からこうだったじゃねぇかよッ!!」

 

未だ出現し続けるダミーアラガミを片っ端から切り捨てながら、レイは怒鳴った。

流石にイライラが限界点に到達していた。

 

『ではそろそろ訓練を次のフェーズに移行しよう思う』

 

「あぁ?次!?何やんだよ!」

 

このダミーとの乱戦の次のフェーズとはなんなのか。

まさか大型ダミーアラガミや中型ダミーアラガミとの乱戦ではないか。

勘弁してくれ、マジで。

 

『それはお楽しみだ。……この訓練が終わってからだがな。ペースを上げるぞ』

 

「はぁ!?っておいおい!!さっきから出て来過ぎだっつーんだよこんのちくしょおおおっ!!」

 

レイは半ばヤケになりながら、全力でダミーアラガミに飛びかかった。

 

ーーーー

 

「お、お疲れー……」

 

「……ああ、お疲れ」

 

ロビーで出迎えてくれたナナが引くくらいに、レイはボロボロになっていた。

あの後、躍起になってダミーアラガミを討伐していったのだが、なんと最後の最後にまさかの予想的中、大型と中型のダミーアラガミとの乱戦が待っていたのだ。

ジュリウス曰く、『ダミーアラガミだから、危なくなったら止められる、安心して戦え』だそうだ。

ふざけるな、普通に死ぬわ。

あっちこっちから飛んでくる攻撃を必死にかわし、スキをついては反撃し、全て討伐し終わった時にはもう体力的にも精神的にも限界だった。

しかもこれが例の次のフェーズではないというのだから、やってられない。

 

「凄いね、私なら無理だよー」

 

ナナが苦笑いしながら言った。

そう、この鬼畜訓練させられているのはレイだけなのである。

ナナと入れ替わりで訓練の予定が入っていたため、ジュリウスに頼んで訓練の様子を見せてもらったのだ。

そしたら、なんという事だろう、やった事の無い優しい訓練を行なっているではないか。

全力でジュリウスに殴りかかりそうになったが、その瞬間にナナの訓練が終了し、レイの番と成ったのである。

そして、今に至るのだ。

 

「もう無理。俺、もう限界。もうめんどくさい。この後まだ対人戦闘の訓練残ってっし」

 

「私もだよー。おでんパン食べる?」

 

「あのさナナ、俺は食ったら何でも万事解決って訳にはいかねぇの」

 

そう言いつつもおでんパンを受け取り、串を引っこ抜いて齧り付く。

疲れていると何故何でも美味く感じるのだろう。

 

「お代わりもあるよ」

 

「おでんパンばっかりそんなにいらねぇよ」

 

レイはおでんパンを食べきると、ため息をついた。

 

「あぁ〜、めんどくせぇ。さて、しょうがねぇや、行ってくっかね」

 

「あ、私も行く」

 

2人してソファから立ち上がり、ミッションカウンターに向かおうとした瞬間、エレベーターからジュリウスが現れた。

 

「お前たち、この後の対人戦闘の訓練は無しだ」

 

そう言われた瞬間、ナナが顔を輝かせたが、その横でチッ、とレイは舌打ちをした。

対人戦闘の訓練なら、ジュリウスを負かすことが出来るレイである。

折角さっきの復讐ができると思ったのに。

 

「別の訓練用のミッションを発行しておいた。詳しくは現地で説明する」

 

そう告げると、ジュリウスは出撃ゲートの方へ歩いていった。

業務連絡なら、端末を使えばいいのに。

 

「別の訓練かぁ。どんな訓練だろ、緊張するー」

 

「そうかぁ?ま、あの鬼畜訓練じゃねぇならなんでもいいや。行こうぜ」

 

「えー、待ってよぉ」

 

わたわたとおでんパンの入った白い袋を担ぐナナを尻目に、レイはさっさとミッションカウンターでフランからミッションを受注し、ゲートからヘリポートに移動し、ヘリに乗り込んだ。

そこから数分遅れて、ナナがヘリに乗り込む。

目的地は、黎明の亡都だ。

 

ーーーー

 

『……ジュリウス隊長、新人二人を同行するとは聞かされておりませんが』

 

「すまない、だがあの二人ならその実力はもう兼ね備えていると判断している」

 

無線から、はぁという溜め息が聞こえた。

 

『おっしゃることは承りました、今後は二度とこのようなことのないように……せめて私には一言ください』

 

「……ああ、約束する」

 

『では、一人も欠けることのないように……ご武運を』

 

プツッと無線が切れるのと同時に、後方から2人の駆ける足音が聞こえた。

 

「……来たか」

 

ジュリウスが2人の方を見る。

レイとナナは、ジュリウスの正面に並び、2人揃って敬礼をした。

 

「フェンリル極致化技術開発局、ブラッド所属第二期候補生二名、到着いたしましたあ!」

 

ナナが言う挨拶を、レイは隣で黙って聞く。

こんなめんどくさい挨拶、覚えられるかっての。

 

「ようこそブラッドへ。隊長のジュリウス・ヴィスコンティだ。それでは……今より、実地訓練を始める」

 

「……えっ?」

 

これには、流石にレイも唖然とした。

まさかとは思うが、こいつの言う実地訓練とはもしかして。

 

「レイ、どうした?」

 

「ん、いーや、なんでも」

 

ジュリウスが、レイの様子に気がついたのか問いかけてきた。

レイは、適当にはぐらかす。

そんなに間抜けな顔をしていたのだろうか。

 

「そうか。見ろ……アレが、人類を脅かす災い、駆逐すべき天敵……アラガミだ」

 

ジュリウスが、スッと先を指さす。

そこには、死んだヴァジュラを捕食するオウガテイル、ドレッドパイクが見えた。

 

「手段は問わない、完膚なきまでにアラガミを叩きのめせ。いいな?」

 

「えっ、あっ……あのっ、これって……実戦ですか!?」

 

ナナが驚きの声を上げる。

当たり前だ、何も聞かされていないのに、いきなり実戦だなどと言われれば、誰だって驚くだろう。

そういう事は先に言え、ビビるわ。

 

「フッ、本物の戦場でやってこその、実地訓練だ。お前たちが実力を発揮できさえすれば問題になるような相手じゃない、いいな?」

 

その瞬間、ジュリウスの後ろから一体のオウガテイルが、3人を捕食しようと飛びかかってきた。

咄嗟の出来事に、レイは隣で呆然と突っ立つナナに覆いかぶさった。

グシャ。

何かが噛まれた音が、頭上でした。

 

「え……」

 

「おいおい……」

 

飛び掛ってきたオウガテイルは、ジュリウスの左腕に噛み付いていた。

そんな状態なのに、ジュリウスは平然と立っている。

冷静に、オウガテイルを視認すると、神機を銃形態から剣形態に変化させ、切り飛ばした。

すぐさま回復錠を投与し、ジュリウスは2人に語りかける。

 

「古来から人間は強大な敵と対峙し……常にそれを退けてきた。鋭い牙も、強靭な爪も持たない人類がなぜ勝利したのか。共闘し、連携し、助け合う「戦略」と「戦術」……人という群れを一つにする、強い「意志」の力……。「意志」こそが俺達、人間に与えられた「最大の武器」なんだ。それを忘れるな!」

 

そういうと、クルリと振り返り、神機を構える。

2人も、それに習って神機を構えた。

レイはすぅ、と深呼吸をして、ジュリウスの合図を待つ。

 

「時間だ、いくぞ!」

 

その瞬間、レイはジュリウスよりも早くスタートをきって、アラガミの群れに飛びかかった。

 

ーーーー

 

「今期の候補生は優秀だな」

 

そう言って、ジュリウスは笑う。

事実、ミッションが始まってから、ジュリウスは何もしていない。

開始地点からほぼ動くことなく、2人の戦闘を眺めていた。

サポートに当たっていたフランですら、する事がなかったようだった。

飛び出していったレイを見て、ナナも最初は戸惑っていたが、すぐにアラガミに向かって行った。

ナナのブーストハンマーがドレッドパイクを叩き潰し、レイがオウガテイルを片っ端から切り捨てる。

特に、レイのその動きが人間離れしすぎていて、ジュリウスは少し戦慄した。

訓練の時から感じていたのだが、見ていてひやひやさせる癖に被弾率は非常に低く、ショートブレードのとアサルトの手数を最大限に生かし、確実に仕留めるのだ。

アラガミの攻撃を紙一重で交わし、対人戦の体術まで応用しながら、アラガミを切り刻んでいく。

しかも、死角からの攻撃すら完璧に把握し、的確かつ迅速に対応する。

極めつけはその身体能力。

あの、男子としては細すぎる体のどこにあの馬鹿力が秘められているのか。

その他の身体能力も、異常と言えるものだった。

対人戦の訓練時は、少し気を抜けばあっという間に地面を拝まされてしまう。

いくら適合率が非常に高く、第三世代のゴッドイーターだからといって、あの動きをバーストモードをならずに通常の状態でできるとは。

 

「頼もしい限りだな」

 

アラガミを片付け終わった2人は、最早帰投ムードである。

その時、突然無線からフランの声が響く。

 

『緊急連絡!想定外のアラガミの反応です!オウガテイルと思われます!』

 

はっとして2人の方を見ると、オウガテイル3体を目の前にして、2人とも動かない。

先程の実力があれば、あっさり切り抜けられるはずなのだか。

どうも、倒すべきか、撤退すべきかの指示を待っているようだった。

それならば、とジュリウスはオウガテイルに囲まれた新人2人に歩み寄る。

 

「なかなかいい動きをするな、新入り……。いい機会だ、お前たちが目覚めるべき「血の力」をここで見せておこう」

 

ジュリウスがハァッ、と気合を込める。

瞬間、レイとナナは捕食していないのにバーストモードになった。

 

「力が……みなぎる……!」

 

「おいおい、なんだこりゃ……」

 

「今から「ブラッドアーツ」を目標に対して放つ。少し離れていろ」

驚く2人に対し、ジュリウスは淡々と指示を出した。

 

「ブラッドアーツ……?」

 

「戦況を覆す大いなる力……。戦いの中どこまでも進化する、刻まれた血の為せる業……」

 

ジュリウスの神機が青白い光を放つ。

鋭く踏み込み、一気にオウガテイルの間合いに飛び込んで一閃。

ただ、それだけだった。

 

(一撃かよ……)

 

「これが、ブラッドアーツだ。俺たちブラッドに宿る「血の力」、そして「ブラッドアーツ」、これをどう伸ばし、どう生かしていくかは……全て、お前たち「意志」次第だ。覚えておいてくれ、いいな?」

 

言葉をなくした2人に、ジュリウスは語りかけた。

2人は、無言で頷くしかなかった。

 

ーーーー

 

「お疲れさんっと」

 

フライアのロビーに戻ってきた2人は、ソファに腰を下ろした。

 

「ブラッドアーツか……。凄かったねー」

 

「だなぁ。俺達もあんなのを使えるようになれってかぁ?ったく、めんどくせぇ」

 

「そうかなぁ。かっこよかったよ?」

 

そういいながら、ナナがおでんパンを口に運ぶ。

よっぽど好きなのだろうが、一体どこから出したのだろう。

 

「あ、レイ、さっきはありがとね。あのままだったら、私死んでたかも!」

 

「ん、ああ、別に気にすんなよ」

 

そう言いながら、レイは自販機で適当に買ったジュースを飲んだ。

 

「いやー、レイも凄かったねぇ!どうやったらあんな動き出来るの?というか本当に17歳?同い年?」

 

「んん?いや、だってほら、アラガミが何処にいるとか、どっから攻撃してきてるとかがさぁ、俺はなんとなく分かんだよ。見えるし聞こえるし感じるしで。後、あの動きはスラムで駆け回ったら身についたね。アラガミに襲われるなんてしょっちゅうだったから余計だな。後、年齢は嘘偽りなく17歳。サバ読んでどうすんだよ」

 

「えー、本当?」

 

嘘だー、とナナが笑った。

しかし、分かるものは分かるのだ。

頬に残るこの一本の傷ができたあの日から、五感が異常なレベルで鋭くなり、アラガミの気配に対して凄まじい程に敏感になった。

ついでに、身体能力まで異常に向上したのである。

そのおかげでここまで生きてこれており、アラガミとの戦闘にも役に立っている。

 

「いや、マジだって」

 

「へー」

 

「オイコラ、信じてねぇな?」

 

してるよー、とおでんパンを食べながらナナが言った。

まぁ、疑われるのは仕方がない。

どうとでも思ってくれていたほうが、面倒が無くていい。

 

「っし、ナナ、ロミオとの任務の時間だぞ、遅れんなよ」

 

「え、もう?よし、行こっか!」

 

2人は、ソファから立ち上がり、出撃ゲートへ向かって歩き始めた。




読んでくれてありがとうございます。
さて、このジュリウス隊長、とても楽しそうです。
主人公、頑張れ!
期待されてるぞ!
本人はきっと嬉しくないでしょうけども。
そして、主人公の化け物体質。
設定はあるのですが、うまくかけるかどうか。
善処します。
感想、お待ちしています。
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