GOD EATER 2 RB 〜荒ぶる神と人の意志〜   作:霧斗雨

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第30話です。
ラケル博士の依頼。


第30話 ラケルの依頼

共に訓練をしていたレイとロミオはラウンジへ戻ってきた。

ソファに座るなり、ロミオはぐったりと寝そべってしまう。

レイは手に持っていた上着をソファにかけると、ドカッと腰を下ろした。

 

「つ、疲れた……」

 

「こんぐらいでバテてるようじゃまだまだだぜ。あれでも俺の半分だぞ?」

 

「お前の標準おかしいって……」

 

クククッ、とレイは楽しそうに笑う。

そこへ、長らく留守にしていたジュリウスがラウンジに入ってきた。

 

「おー、ジュリウスじゃねぇか。久しぶりだな」

 

「ああ、長い間留守にしてすまなかった」

 

レイとロミオの近くまで歩いてくると、2人に淡々といつものように連絡事項を告げ始める。

 

「今、ラケル先生が極東にいらっしゃっている。黒蛛病の研究で、サカキ博士といろいろ協議する予定だ」

 

相変わらず少し堅苦しいが、久しぶりすぎて、それが逆に新鮮に感じられた。

レイもいつも通りに応じる。

 

「へぇ、そりゃまた珍しい」

 

「病室の視察を終えられたそうだから、挨拶をして来るといい」

 

「ああ、わかった。んじゃ、行ってくるわ」

 

レイはソファにかけておいた上着を羽織りながら立ち上がる。

 

「んじゃ、俺も行こうかなー」

 

レイと一緒に挨拶に行こうと、ロミオも立ち上がる。

が、そんなロミオの肩をジュリウスが掴んだ。

 

「さて、俺がいない間にいろいろあったようだが、あいにくあまり把握できていなくてな。ロミオ、詳細を報告してくれないか」

 

「……了解」

 

うう、と顔をしかめるロミオを尻目に、レイは苦笑いを浮かべながら病室へ向かった。

病室の中へ入ると、いつもの様な微笑みを浮かべて、ラケルがレイを出迎える。

 

「……どうも」

 

「お久しぶりです、良いところに来てくれましたね」

 

「はぁ、なんです?」

 

「これからサカキ博士に、ご挨拶に参ります。よかったら……支部長室まで案内していただけませんか?」

 

そう言われ、レイはジュリウスの言葉を思い出す。

そういえば協議がどうとか言っていたような気がした。

 

「……俺でいいなら案内しますよ」

 

「ありがとう。それでは、よろしくお願いしますね」

 

レイはラケルの後に回り、車椅子を押す。

しばらく歩いて、支部長室の前までやってくると、ラケルはレイにここまででいいです、と言った。

 

「ありがとう。ちょっと待っていてくださいね」

 

それだけ言い残し、さっさと中へ入っていってしまった。

残されたレイはすることがなく、壁にもたれてぼんやりと天井を見上げる。

 

(……暇だ)

 

「ん?サカキのおっさんは来客中か?」

 

「はい、そうですよー」

 

声をかけられ、レイは適当に返事をした。

誰かが近づいて来ているのは気配でわかっていたので、敬語だけは使っておこうと思った結果がこれである。

 

「随分と気の抜けた返事だな。その腕輪……噂のブラッド、ってやつか……サカキのおっさんに何の用だ?」

 

その人は、フッ、と鼻で笑った。

レイはその人に目をやると、質問に答える。

 

「これが俺の素なんすよ。俺はラケル博士の付き添いで、詳しいことは聞かされてねぇっすね」

 

「そうか……よくあることだ」

 

そう言うとその人は、レイとは反対側の壁に寄りかかって腕を組んだ。

褐色の肌に銀髪に白い服。

どこか見覚えのあるその服を見て、レイはその人に尋ねる。

 

「……極東支部の人なんすか?」

 

「ああ、そうだ。いや、今はむしろ……」

 

その人はレイの質問に短く答え、何かを続けようとしたが、そのタイミングで支部長室のドアが開き、ラケルが出てきた。

ラケルは、その人を見ると少し首をかしげ、レイの方を見て問うた。

 

「……お知り合い?」

 

「いや、今さっき、な」

 

レイの代わりに、白衣の男が答えた。

ラケルは、少し目を見開くと言った。

 

「貴方……シックザール前支部長の……?」

 

「ん……ああ、ソーマ・シックザール。ヨハネス・フォン・シックザールの息子だ」

 

白衣の男、もといソーマは答える。

ラケルの顔に微笑みが浮かんだ。

 

「……ご挨拶が遅れて申し訳ありません。貴方のお父様にお世話になったラケル・クラウディウスと申します。是非、一度お会いしてお礼を申し上げたいと……」

 

「ああ、礼なら直接、本人にお願いしたいな。いずれ、あの世で直接会える……」

 

シン、と冷たい空気が流れる。

ラケルの笑が凍ったように見えた。

 

「フッ、すまない……冗談だ」

 

「ずいぶんとキツい冗談をおっしゃる方ですね……もしかして、それが原因で、お相手に月まで逃げられてしまったのですか?」

 

さっきよりも深い笑みを浮かべ、ラケルが言った。

ソーマの眉間に、少しシワが刻まれるが、グッと黙っている。

さらに温度が下がった気がした。

 

「冗談です」

 

クスリ、とラケルが笑った。

今の冗談の中に、笑える箇所はなかったと、レイは思った。

 

(なんつーブラックジョークの飛ばし合いだよ。俺がいるのわかってんだよな、この博士?)

 

レイは今すぐにでも逃げ出してやろうかと思ったが、そういうわけにもいかず、黙って立っていた。

フン、とソーマが鼻を鳴らした。

 

「あんたはどうも他人な気がしないな……俺と同じで、混ざって壊れた匂いがする」

 

これに、ラケルはクスリと笑った。

 

「フフッ、光栄ですわ……そろそろ失礼致します。さ、参りましょう」

 

そういうと、ラケルは軽く頭を下げ、車椅子を動かしてソーマの横を通り過ぎ、エレベーターの前で止まった。

追いかけようとしたレイに、ソーマは静かに歩み寄るとポソリと言った。

 

「お前はどことなく、俺のダチに似た匂いがする……いい神機使いになってくれ、じゃあな」

 

ぽん、と軽くレイの肩を叩くと、ソーマは支部長室のドアを開けた。

 

「サカキのおっさん、入るぞ。色々欲しいものがあるんだ」

 

支部長室に消えるソーマの背中を見送ると、レイは慌ててラケルを追いかけた。

エレベーターはまだ来ておらず、レイはラケルの横に立つ。

そして、1度だけ振り返る。

ソーマの背中にあったエンブレムに、見覚えがあり、少し気になったのだ。

そのエンブレムはフェンリルマークとは少し違っており、アリサやコウタが背負っている、クレイドルのものだった。

 

ーーーー

 

ラケルを指定された場所まで送ると、レイはロビーに戻った。

ふと、ロミオとジュリウスはどうなったのかと気になり、ラウンジに足を踏み入れると、さっきと同じ場所にジュリウスが座っていた。

ロミオの姿はもうなかったので、どうやら話は終わったようである。

レイが戻ってきたことに気がついたジュリウスは、ソファから立ち上がりレイに歩み寄った。

 

「よ、どうしたジュリウス」

 

「ああ。ロミオのことは、本人から事情を聞かせてもらったよ。よくやってくれた……感謝している」

 

「いいってことよ」

 

クク、とレイは笑った。

それにつられたのか、ジュリウスもクスリと笑った。

そして、すぐにいつもの真面目な表情に戻る。

 

「話は変わるが、先ほど、ラケル先生から直接、俺のところに通達があった。黒蛛病の研究や、神機兵の実用化に向けて、副隊長……お前の力を貸して欲しいそうだ」

 

「……はぁ?なんで俺なんだよ。ま、拒否権はねぇんだろうから行くけどよ」

 

「その通りだ。詳しくはラケル先生に直接聞くといい」

 

レイはうげぇ、と顔をしかめた。

こういう事はいつもジュリウスがこなしているだろうのに、一体どういうことだろうか。

 

「これから少しの間、またフライアで過ごすことになるだろう。極東で、やり残したことが無いようにな」

 

「へーへー。んじゃ、こっちはしばらく頼んだぜ」

 

ヒラヒラ、と手を振って、レイはラウンジから出ると、ロビー1階にいるよろず屋から回復錠などをある程度買い込んだ。

おそらくだが、フライアに戻ったら今ほどではないだろうが、それなりに任務に行かされる筈だ。

どうせ買うことになるならフライアで買うよりもここで買った方が安いのである。

持てるだけの装備品を持ち、レイは1人フライアに戻った。

久しぶりにフランに会い、軽く挨拶をした後にラケルの部屋に入った。

 

「朽流部レイ、一時帰還しました。で、俺に何の御用です?」

 

部屋の巨大なモニターの前にいた。

レイの声に気が付き、ゆっくりと振り返る。

その顔にはやはり微笑みが浮かんでいた。

 

「おかえりなさい……急に呼びつけて、ごめんなさいね。さっそく、本題に入りましょう」

 

そういうと、ラケルは目の前の電子モニターをカタカタと弄り始めた。

いくつかのデータがモニターに現れ、レイはそれにサラッと目を通しながら、ラケルの次の言葉を待った。

 

「サカキ博士の助言もあって……赤乱雲の発生時期やその規模が、高い精度で予測できるようになりました。そこで次は、貴方に神機兵開発の……クジョウ博士の、お手伝いをしていただきたいのです」

 

くるり、とこちらを向きながらラケルは言った。

レイはその内容に少し驚いて質問をする。

 

「は?クジョウ博士の方をですか?」

 

そう、ラケルはクジョウのライバルであるレアの妹なのだ。

普通ならレアの方を手伝ってくれ、と言うだろうのに。

 

「クジョウ博士は前回の失敗を受け、神機兵の装甲強化を行うために、特定のアラガミ細胞を収集なさっています……その採取のお手伝い、お願いできますか?」

 

レイの知りたいことは一切答えられなかった。

レイは内心で首をかしげながらも、一応は言う事を聞いておくことにした。

 

「……なんで俺なのかはよくわかんないんですが、ま、了解です」

 

「ありがとう……詳細はクジョウ博士に直接伺ってくださいね」

 

ウフフ、とラケルが笑う。

本当に何を考えているのかわからない。

レイはさっさとラケルの部屋から出て、クジョウの元へ向かう。

その途中で、レアと出会った。

疲れた顔を浮かべたレアは、レイに気がつくと優しく微笑んだ。

 

「……あら、戻ってきてたのね。お疲れ様……」

 

「ども」

 

「結局、本部の意向は変えられなかったわ。神機兵の無人運用を優先することが、正式に決まりそうね」

 

少し、悲しそうな表情をレアは見せた。

それもそうだ、自分の研究が認められなかったのだから。

 

「でも……まだ私、諦めてはいないの。結果さえ出してしまえば、決定は覆るから……私を支えてくれる、ラケルのためにも……ね」

 

ふぅ、とため息をつくと、またねと一言告げてレアは立ち去った。

これからすることを思うと少し心苦しく思うが、頼まれた仕事はこなさなければ。

レイははぁ、とため息をつくと、再び足を動かしてクジョウの元へたどり着いた。

クジョウはレイを見てパッと表情を明るくする。

 

「おぉ、貴方ですか!?素材採取に協力してくれる、ブラッドの方というのは!初めまして、私はクジョウ……あ!貴方は、私の神機兵に無断で乗り込んだ……!?」

 

「あ、はは……」

 

「……いやいや、まぁいいでしょう。ラケル博士に免じて、水に流しましょう」

 

手伝いに来たブラッドが、神機兵に無断乗り込みをした人間だと気が付き、クジョウの表情は苦々しいものに変わった。

レイは苦笑いを浮かべてごまかす。

 

「さて……私とラケル先生とのこれからをよろしくお願いしますよ!」

 

「これから……?そいつぁ、どういう意味ですかね?」

 

クジョウの言葉に、レイは首をかしげた。

 

「え!いや……これからの研究って意味ですよ!神機兵のね、ハハハッ……」

 

レイのツッコミに、クジョウは急にあたふたとしながらごまかした。

そして、レイに持ってきて欲しい素材の書かれたメモを手渡すと、そそくさと研究室に戻っていってしまった。

その背中を苦笑しながら見送ると、レイはメモに目を通す。

 

「……なんだろう、これ、全部ターミナルにあるんだけど」

 

現状で作ることの出来るショートブレードを全て持っているレイは、ターミナルに大量のアラガミ素材が眠っている。

集めたかったが故に集めただけだが、使わなかった素材もひょんなところで役に立つものである。

せっかく買ってきた回復錠などは、次の機会に使うことにする。

ターミナルから素材を引き出して、それをクジョウに渡すと、感謝の言葉と適当な場所で待機するように言われた。

なので、なんとなく庭園で寛いでいると、エレベーターからラケルが現れた。

 

「フフ、やっぱりここにいたのね……みんなが恋しいの?」

 

「……さあ?どうなんでしょうね。ご想像におまかせしますよ」

 

いつものようにニヤリと笑って答える。

それを見て、何を思ったのかラケルはクスクスと笑った。

 

「よかったらランチを一緒にどう?」

 

この誘いに、レイは少しだが警戒した。

が、すぐに笑顔を見せて了承の言葉を述べる。

 

「……お言葉に甘えて」

 

こちらですよ、と言いながら車椅子を動かし始めたラケルの後ろを、レイは静かについて行った。

 

ーーーー

 

「おいしい?」

 

こくこく、とレイは頷いた。

出された料理の名前などわからないし、ナイフとフォークを扱う手もたどたどしいものだったが、ひとまず料理は中々絶品だった。

それを見て、ラケルは嬉しそうに微笑む。

 

「よかった。思えば、あなたとこうしてお話するのは初めてですね。ジュリウスから近況は聞いているのだけど。フフ、ジュリウスね、フライアに戻るたびにブラッドのみんなのことを楽しそうに話しているの」

 

レイはフォークを動かす手を止めた。

口の中のものをさして味わうことなく飲み込むと、ラケルの言葉に耳を傾ける。

 

「私が引き取った頃は無口で、あまり笑わない子だったから安心しているわ」

 

「そうだったんですか。意外なこともあるもん……いや、そうでもないか」

 

思っていたとおりのような過去を送っていた。

むしろ想像通り過ぎて、レイは何故だか同情した。

 

「環境への適応能力が高くて、手のかからない子ではあったのだけれど、少し心配していたの。きっとあなたたちを本当の家族のように想っているのね」

 

「そーいや前にそんな事を言ってましたっけね」

 

以前ジュリウスが言っていたことを漠然と思い出す。

あんな小っ恥ずかしいことを言えるものだと思ったものだ。

 

「……あなたやギルに「家族」という表現は少し違和感があるかしら」

 

「ま、少し」

 

「でもね、ジュリウスと過ごしてきて私は思ったの。人間が、ともに同じ時を過ごし、ともに語らい、ともに泣き、ともに笑いあうことさえできれば……そこには「家族」という絆があるのだと」

 

「……かもしれないですね」

 

ラケルの言葉で、レイは兄のことを思い出す。

血はつながっていなくとも、アイツとは兄弟で、最後の家族だ。

そう思うと、ラケルのいうことも満更でもないのかもしれない。

そんなふうに思っていると、ピピピピ……と通信機が鳴った。

確認してみると、クジョウからの仕事の依頼だった。

それを察したのか、ラケルが口を出す。

 

「クジョウ博士から?」

 

「用件が終わったから改めて謝礼したいとのことで、呼び出されましたよ」

 

「私の都合であなたを振り回してしまう形になってしまってごめんなさいね……でも本当に助かっています」

 

ペコリ、とラケルが頭を下げた。

レイはそれに少し驚いたが、黙ってそれを観察する。

そして、この前サラッといなされた質問をもう一度ぶつけてみた。

 

「でも、いいんですか?俺無人運用の神機兵ばっかり手伝ってて」

 

「神機兵の開発は有人・無人のどちらも急務だと思っています……」

 

「……だったら」

 

レアの方を手伝ってもいいじゃないか、と言おうとした瞬間、ラケルがしゃべり始める。

 

「これはブラッドのみんなには内緒ですが。フライアであなたたちの活躍を耳にすると、時折どうしようもなく胸が苦しくなるのです」

 

「……そりゃまたどうして」

 

カラカラ、と車椅子を動かし、レイの横にやってきたラケルは、そっとレイの手を握った。

 

「多くの戦果をあげているということはそれだけ身を危険に晒しているということ。できることならすぐにでも、あなたたちを戦場から引き揚げさせ毎晩のように家族の団欒を楽しみたい……これは私の夢なのです……レイ。ジュリウスと……そしてブラッドのみんなのことを……これからもよろしくお願いしますね」

 

「言われずとも、そのつもりですよ」

 

微笑みながらレイはラケルに言った。

どうもラケルはレイの質問に真剣に答える気は無いらしい。

なら、聞き続けるのは無意味だ。

クスクス、というラケルの笑い声が聞こえ、スッと目の前に手紙が差し出された。

 

「フフ。クジョウ博士も貴方のことを随分と気に入ったみたいですよ。「あの人は私の救世主だ」……なんて、仰っていましたから。ああ、この手紙を、クジョウ博士に渡していただけないでしょうか。ラケルからです、と……よろしくお伝えくださいね……」

 

フフ、とラケルが意味深な笑みを浮かべる。

レイはそれに何故か寒気を感じ、手紙を受け取ってさっさと部屋を後にする。

ラケルの笑みを見てから、何故か悪寒が止まらない。

この手伝いも、何かの陰謀の為の準備に過ぎないように思えてくる。

ここまで考えて、レイは思考を打ち切った。

これ以上考えたところで、それを今どうにかできるわけでもない。

ふう、と1つ深呼吸をして気分を落ち着けると、クジョウのラボへと入った。

クジョウはレイが入ってきたことに気がつくと、顔を輝かせながらレイに駆け寄ってきた。

 

「いやー、ありがとう!貴方の協力のおかげで、研究がはかどりましてねぇ!自立制御装置の完成も、あと一歩というところですよ!まぁ、その一歩というのが最大の難関なんですがね……」

 

「……あ、はは……そういや、なぜ無人タイプの神機兵を?」

 

「よくぞ、聞いてくれました!無人制御にかける、私の哲学を披露させていただきましょう!」

 

(しまったやらかした!こりゃ地雷踏んだぞ!)

 

普段のおどおどとしているクジョウが、怒涛の勢いで迫って来たため、レイは自身の迂闊な失言に後悔しながら引いた。

レイが引いているのにも関わらず、クジョウは声を荒らげながら話し始める。

 

「いいですか、無人型の神機兵は、パイロットが不要なのですよ!この意味が分かりますか?破壊されても、誰も傷つかない!……そりゃ私の心は痛みますがねぇ。もう誰もアラガミに殺されることはないのです!ところが有人型ときたら、どうです?あれではゴッドイーターが命を危険に晒すのと、何も変わらない!無人型こそ「人にやさしい」最先端の兵器なのですよ!どうですか、これが私の目指すところです!」

 

持論を一気にまくし立て、クジョウは満面の笑みを浮かべた。

無人型に対する熱意が感じられるが、サラッと有人型をけなしたような気がして、レイはそれを訪ねてみる。

 

「……レア博士と仲が悪いんですか?」

 

「べっ、別に個人的に嫌っているわけではありませんよ?ただ研究開発の上で、ライバルというだけでね……ま、まぁ、不満がないと言えば嘘ですがね。実際のところ、レア博士の政治能力の高さには舌を巻きますよ……なのに、昔の戦車と変わらない設計思想の有人型開発に何を手間取っているのか……その辺が、限界なのですかねぇ。グレム局長の目はごまかせても、私の目はごまかせませんよ……あっと、しまった!口がすべりました!いえ私は全然、レア博士と対立する気は毛頭ありませんよ!」

 

グチグチとレアについての本音を、クジョウはレイにほぼ漏らした。

レイはそれに対して苦笑いを浮かべると、話題を変えてみる。

 

「じゃあ、ブラッドについてどう思います?」

 

「なんといっても、あのラケル先生の研究成果ですからね!ラケル博士の子どもたちに、私が敬意を払わないはずがない!」

 

パッと表情を明るくし、クジョウはラケルに思いを馳せ始めた。

 

「それにしても、本当に、ラケル博士は……素晴らしい人ですよ。科学者として優秀で、健気で、ホタルのように儚く……あっ、いえ!特に深い意味は無く……ただ素晴らしい科学者を敬愛してやまないという……科学者として、ですね……いやぁ、誰かとこんなにしゃべったのは、久しぶりですよ!貴方は何て、話しやすい人なんだ!」

 

勝手にあんたが話してるだけだよ、とは言えず、レイは苦笑いを浮かべながらクジョウにさっきの手紙を差し出した。

 

「それで……ん?これは?」

 

「ラケル博士からです。よろしく、と」

 

「えっ?ラケル博士から私に……てっ、手紙っ!?なっ、なんという……!」

 

クジョウはレイの手から手紙をひったくった。

そして、慌ててレイに弁解を始める。

 

「ああ、すみません!気が動転して……あ、ありがとうございます、このご恩は忘れません……!でっ、では私はこれでっ!」

 

「いや、あの……忘れてくれていいですよ……って、聞いちゃいねぇ……」

 

言うことだけ言って、クジョウはわたわたとラボの奥に消えていった。

その背中をぼんやりと眺めると、レイはロビーに向かい始めた。




遅くなった結果がこれだよ!
と1人部屋で泣きそうになっている霧斗雨です。
お久しぶりです。
たいへん遅くなってすみません。
最近、昔ジャンプで連載していた封神演義が再熱しました。
いやぁもう、面白い。
そして、太公望かっこいい。
王天君も、伏羲もかっこいい。
1人で漫画読みながらゲラゲラ笑って楽しんでいます。
その傍らにはvitaとGOD EATERの小説とコミックが。
もちろんvitaに入ってるソフトはGOD EATER。
そろそろリアルに影響が出かねないことになり始めていますが、後悔はしていない。
さて、ラケル博士が暗躍をそろそろ始めますが、それにうっすら気が付き始めているレイは一体何なんでしょうか。
まあ、ラケル博士をなんとなく警戒しているからできるのでしょうが。
ああ、もうすぐ……。
感想、お待ちしています。
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