GOD EATER 2 RB 〜荒ぶる神と人の意志〜   作:霧斗雨

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第5話です。
ギルさんの登場と、あの極東のお方の登場。



第5話 ギルバート・マクレイン

静かなロビーに、バキッ、と何かを殴る音と、ドサッ、と誰かが倒れ込む音が響いた。

ジュリウスと話をしていたレイは、ジュリウスと一緒に駆けつけた。

そこには、見知らぬ男と、尻餅をついたロミオ、何が起きたのかわからないと言った様子のナナがいた。

 

「いっ……てぇ……いきなり殴ることないだろ!」

 

殴られた部分を押さえながら、ロミオが叫んだ。

男は、チッ、と1つ舌打ちをする。

状況がさっぱりわからないレイとジュリウスは、顔を見合わせながら男に話しかける。

 

「……状況を説明してほしいな」

 

「ちょっと、よくわかんなくて……」

 

男ではなく、ナナが困ったように言った。

 

「こいつの前いた所とか聞いただけだよ!そしたら、急に殴りかかってきて……」

 

ロミオが男をピッと指差し、喚く。

 

「アンタが隊長か……」

 

男が、キッとジュリウスをにらみながら口を開いた。

 

「俺はギルバート・マクレイン、ギルでいい。このクソガキがむかついたから殴った、それだけだ……懲罰房でも除隊でも、勝手に処分してくれ。じゃあな」

 

そう言い残し、ギルはエレベーターの方へと消えて行った。

 

「あいつ……短気すぎるよ……そりゃ俺も、ちょっと聞き方しつこかったかもだけどさ……」

 

「暴力はよくないねえー、先輩も結構いじりすぎだったかもだけどさー」

 

未だへたり混んでいるロミオの顔をのぞきこみながら、ナナが少し呆れたように言った。

負けじと、ロミオも言い返す。

 

「軽く行った方が早く打ち解けられるじゃん!」

 

フゥ、とジュリウスがため息をつきながら、はっきりと告げる。

 

「今回の件は不問に付す……ただし、戦場に私情を持ち込まぬよう、関係を修復しておくこと」

 

「えー!無理だよあんなのー!」

 

「お前たちもしっかりサポートしてくれ、いいな」

 

そう言って、ジュリウスはくるりと向きを変え、ギルを追うようにエレベーターの方へと消えて行った。

そのジュリウスの顔が、少し寂しそうだったのをレイは見逃さなかった。

 

「無理だってー!あんな暴力ゴリラとなんか、やってらんないよー!」

 

「おいおいロミオ、そんな風に言ってやんなよ。元はと言えばお前が追及しすぎたせいなんだろ?そういうのは、苦手な奴からしたらしんどいんだぜ?因みに、俺も苦手な」

 

さりげなく自分コミュニケーション苦手ですアピールをしつつ、レイはロミオに言った。

おそらく、ロミオはギルの踏み込んで欲しくないところまで踏み込んでしまったのだろう。

知らず知らずの内に、逆鱗を踏んでしまったのだ。

ロミオは、どうも納得がいかないのかブツブツと文句を言いながらその場を去っていき、ナナとレイだけが現場に残されてしまった。

あの感じからだと、ギルを探しに行ったとは思えない。

関係の修復、このままほっておいたら一生かかってしまいそうだ。

 

「参ったね、どうすっかなこりゃ」

 

「うーん」

 

「ん、ナナ、どうした?」

 

腕を組みながら首をひねっているナナに、レイは問いかけた。

 

「あのね、おでんパンを人にあげるとさ、レイみたいに素直に受け取ってくれるか……笑ってツッこんでくれるんだよね」

 

「……素直に受け取った覚えはねぇけどな?……で?」

 

「でも「いらない」って言う人がたまにいて……そういう人ってだいたい何かに追い詰められてる気がする。先輩とギル、仲よくしてほしいな……」

 

「……」

 

ナナがしゅん、と暗い顔をレイに向ける。

 

「……しょーがねぇ、世話焼いてやっかね。ちょっと行ってくらぁ」

 

ナナの頭を軽く二回ほど叩いて、レイは現場から移動し、エレベーターに乗り込もうとしたその時、レイの肩をジュリウスが叩いた。

 

「んだよ、とっくにいなくなっちまったのかと思ってたぜ」

 

「すまないが、任せる」

 

「あいよ。じゃなきゃ行かねっつの」

 

ジュリウスにヒラヒラと手を振った。

そして、庭園でエレベーターを降りる。

いるなら、ここだろう。

案の定、ギルは庭園にいた。

ベンチに座って、こちらを睨んでいる。

 

「ああ、お前か……俺の処分が決まったのか?」

 

「まぁね。ギルへの処分はロミオとの関係修復だ」

 

レイが、静かに告げると、ギルはハハッと笑った。

スッとベンチから立ち上がり、レイの正面に立った。

レイだって背は高いほうなのに、ギルの方が少し背が高い。

 

「ハッ!そりゃあ、いい……あの、ジュリウスって隊長に頼まれたんだろ?案外おせっかい焼きだな……俺は、やるべきことを、やるべき時にやった、他意はないさ。ま、配属早々、つまらないもの見せたことは詫びるよ。あとでロミオにも言っておくか……」

 

「頼むぜ。ああ、そーだ、問題があったら、いつでも言えよ。聞くだけならなんぼでも聞いてやんよ。溜め込まれてミッションに支障が出られるとこっちが困っちまうぜ」

 

「へぇ、そうかい……ハハッ!隊長に似て、お前もおせっかいなヤツだな!なんにせよ、俺は俺の仕事をキッチリこなすだけ、物事はシンプルだ」

 

「そのセリフ、いいね。今度つかってみるぜ」

 

ハハハ、と2人して笑った。

 

「……そうだ、あの時は変な流れになっちまったから改めて言わせてくれ。俺はギルバート・マクレイン、グラスゴー支部からの転属だ。ブラッドになったのはつい先日だが、神機使いとしての経歴は5年、槍はそれなりに使う……よろしくな」

 

「俺は朽流部レイ、神機使いになって少ししか経ってない、バリバリの新人だ。色々よろしく、ギル」

 

2人してニヤリと笑い、軽く握手をした。

どうやら、こいつとは上手くやれそうだった。

 

ーーーー

 

「いやー、やりやすいわ。さすが経歴5年、経験が違うね」

 

「茶化すな。それより、お前本当に新人か?新人の動きのそれじゃないぞ」

 

「それよく言われる」

 

フライアのロビーに2人の話し声が響く。

あの後、ギルはロミオに謝り、少しぎくしゃくしてはいるものの、和解した。

レイはギルと何度か共に任務をこなし、改めて経験者だということを実感していた。

対してギルは、レイは本当は新人てはないのではないかと疑い、事あるごとに質問をした。

動きが新人のそれではないのだ。

一度ターミナルから調べたのだが、意味はなかった。

 

「なぁギル、次はさ」

 

「ブラッドというのは、君たちか?」

 

レイが、シユウ狩りに行こうぜ素材が欲しい、と言おうとした瞬間だった。

不意に、声をかけられたのだ。

クルリと振り返り、声の主を確認する。

金髪で太眉、水色の瞳。

右側だけ伸ばした前髪にクルクルとしたカールをかけており、それを指で弄っている。

なんというか貴族のような華やかな格好をしており、腕にはレイたちとは違う、赤い腕輪をはめている。

そして、何故かはわからないが偉そうにしている。

フライアでは見たことのない顔だ。

 

「誰だ?」

 

「知らねぇよ。マジで誰だこいつ」

 

「フフ、緊張するのも無理はない……だが安心したまえ!この僕が来たからには、心配は完全に無用だッ!」

 

頭の上にハテナが飛ぶ2人を構わず、金髪太眉は大袈裟に動きながら熱弁を始めた。

2人の反応に気がついたのか、金髪太眉は名乗りを上げる。

 

「おっと、失礼した……僕はエミール……栄えある、極東支部「第一部隊」所属!エミール・フォン・シュトラスブルクだッ!」

 

「……うわぉ」

 

「……そうか、よろしくな」

 

なんというか、面倒くさい奴だった。

 

「この「フライア」はいい船だね……実に、趣味がいい……しかし!この美しい船の、祝福すべき航海を妨げるかのように……怒涛のような、アラガミの大群が待ち受けているという……きっと……君達は不安に怯えているだろう……そう思うと僕は……僕は……いてもたっても、いられなくなったんだッ!そういう訳で、君たちには僕が同行するよ!まさに、大船に乗ったつもりでいてくれたまえ!」

 

終始演劇のように動きながらエミールは気持ちを伝えてきた。

フライアは船じゃなくて移動要塞だった気がするのだが。

お前に頼るまでもねぇわやかましい。

レイはうんざりしながら、ギルは呆れたように顔を見合わせ、少し溜息をつく。

はっきりいうと、そろそろめんどくさいのだ。

 

「いや、いいから。結構ですんで」

 

「遠慮はいらない、弱きを助けるのが僕の義務ッ!それこそが「騎士道精神」というものだからだッ!」

 

「うぉ……、いや、俺らだけでもやってけるから……。いらねぇって」

 

何故かレイたちが完全に弱者みたいな言われ方をされている。

こいつは、目の前の俺達がゴッドイーターだということを忘れているのではなかろうか。

 

「君は、非力を恥じているのか?いや、恥ずべきことは何もないッ。強大な敵との戦いには、この正義の助太刀こそあるべきだッ!」

 

「てめぇなんか腹立つな!もういいから帰れ!」

 

「その心意気、分かるよ……自分の船は、自分で守る心意気……騎士は食わねど……高楊枝ッ!」

 

「うっぜぇ!その諺騎士じゃねぇし、武士だし!つーか寄ってくんな!キモイ!」

 

「気に入った!」

 

「勝手に気に入るな!離れろ!」

 

「何が何でも同行させてもらうぞ!!」

 

「近いっつってんだろ離れろやかましい!わかったから離れろ!終い目にゃ殴り倒すぞ!」

 

言い合いは、レイが押し負けた。

心底嫌そうな顔をしながら、エミールを睨みつける。

そんなことはお構いなしに、強引に同行許可をもらったエミールは、満足そうにレイから離れた。

「共に戦おうッ!輝かしい人類の未来のためにッ!」

そう言って、エミールは右手を突き上げ、レイたちの方を見続けながら、階段の方へと歩き出した。

 

「我々の勝利は、約束されているッ!」

 

「ああ、そーかい!……あ、おい、そのまま行くと」

 

「うわあああああ!!」

 

レイの忠告も間に合わず、エミールは階段を踏み外し頭から落ちていった。

 

「……ややこしいヤツが、来たな」

 

「ジュリウスから極東支部のヤツが応援に来るとは聞いてたが……俺もうやだわ」

 

うんざりしながらレイは言った。

ギルは苦笑いを浮かべている。

 

「なぁギル、この後対人戦の訓練やろうぜ。あのエミールとかいうヤツもつれて」

 

「ん、ああ、いいが……」

 

「ちょっと仕返しするくらいならいいだろ」

 

そう言って、レイはギルを放ったらかして、フランに「あのさ、対人訓練するから訓練所よろしく」と言いに行ってしまった。

 

「変わったやつだな」

 

「行くぞ、ギル!」

 

ギルは、苦笑しながらもレイを追いかける。

訓練場に着いた時、先に到着していたエミールは、再び大袈裟に動きながらレイに話しかけ、再び怒りを買った。

レイは、有言実行とばかりに、容赦なくエミールを張り倒したのである。




エミール、難しい。
そう思ったこの話です。
今まで私の作らなかったキャラであり、苦手なキャラであり、私の書きにくいキャラであるこのお方。
言っておきますが、決して嫌いなのではありません。
苦手なだけです。
むしろ、キャラエピソードではたいへん笑わせて貰いました。
再度言います、この手のキャラの描写が苦手なだけです。
元々語彙力が低いことも相重なり、なんと言っていいのかわからなくなり、表現が同じになり……と、私には大変ハードルが高かったりするのです。
エミールさんごめんなさい。
そう思うと、ギルはやりやすかったりします。
私の好きな設定のキャラですからね。
話の中でレイは非常に仲良くしていますが、原作ゲームでもきっと仲がいいだろうと勝手に思っています。
そうであって欲しい。
そう信じています。
感想、お待ちしています。
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