GOD EATER 2 RB 〜荒ぶる神と人の意志〜   作:霧斗雨

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第7話。
シエルさん登場。
やっと「も」の意味を知りました。


第7話 最後の候補者

帰投中、ロミオやナナが何かをずっと言っていたようながするが、レイはそれをほぼ聞き流していた。

なんとなく覚えているのは、ジュリウスがラケル博士が何時でもいいから部屋まで来いと言っていることだけだったりする。

それに、レイは適当に返事をし、フライアに戻ってすぐ自力で部屋まで戻り、死んだように寝た。

はっと目が覚め、時計を確認したところ、まだ帰ってきてから数時間しかたっていない。

あれだけフラフラで帰ってきて、たった数時間程度の睡眠で充分だったのだから、レイは自らの回復力に思わず唸った。

自室からロビーに戻ると、ロミオ、ナナ、ギルとどうやら極東支部に戻るらしいエミールが待ち構えていた。

 

「君には大きな借りができた……まずは礼を言わせてくれ」

 

「いや、別にたいしたことしてねぇし。結局アラガミは逃がしたし」

 

「なんというおくゆかしさ……!実力と礼節を兼ね備えているというのか……!」

 

「い、いや……あのな。つーかあんたあれ見てなかったろ」

 

「何より君のあの力……!君こそが世界を包む闇を払う剣なのかもしれない」

 

「なぁ……お前話を」

 

「だが!ライバルとしてすぐに君に追いついてみせよう!」

 

「だああるっせえ!誰がライバルだ!話聞けこの野郎!そして何故寄ってくんだよ!離れろ!」

 

レイは最初こそ普通に話そうとしたが、やはり耐えきれず怒鳴りつけるが、当の本人は怒鳴られようが全く聞かず、くるりと振り返り右手を掲げて歩き始めた。

 

「次に会ったときお互いの研鑚の成果を見せ合おうじゃないか!我が友よ!」

 

「やかましいわ!」

 

レイの怒声など聞こえぬ、とばかりに無視し、エミールは極東へ帰っていった。

 

「俺、あいつすっげー苦手」

 

普段なら見せないような表情を見せるレイを、ロミオがなだめながら言う。

 

「き、極東支部ってあんな人ばっかなのかな」

 

「んな事あってたまるか」

 

「でも、お菓子くれたから多分いい人だよ!」

 

「おまえいつの間に……」

 

エミールに貰ったお菓子を食べ、目を輝かせているナナを、レイは呆れたような目で見た。

 

「俺、ナナをある意味で尊敬する」

 

「それより、お前大丈夫なのかよ?数時間前までフラフラだったのに」

 

ロミオが心配そうにレイに聞いた。

 

「ん?ああ、それに関しちゃ、背中がまだちょっと痛ぇ位で後は全然大丈夫。自分でもびっくりだぜ。俺、こんなタフだったっけなぁ?」

 

そう言って、レイは首をかしげた。

 

スラムで暮らしていた時でも、割と回復は早かった方だが、ここまでだった試しはない。

 

「へぇー。背中なんかなってるか見てやろうか?」

 

「あ、頼むわ」

 

ロミオの言葉に甘え、レイは、背中を向け、服を捲る。

その服をもう少し捲って、ロミオはうわっ、と声を上げる。

 

「なぁ、ちょっと洒落にならないレベルの痣ができてるぞ。これでちょっと痛い程度ですんでんのが不思議」

 

「うげぇ、マジかよ。まぁ、死ななかっただけマシだな」

 

はは、とレイは笑いながら捲り上げた服を戻した。

あれは本気で死ぬかと思った。

 

「……あれが「血の力」か……」

 

不意に、ギルが声を上げた。

ギルはレイに背中を向けたまま続ける。

 

「結果としてはみんな無事だったのはいいが……あまり無理はするなよ?ロミオ、さっきは悪かったな」

 

「え、お、おう」

 

それだけ言うと、ギルは去って行った。

ロミオは少し戸惑っているが、レイはナナと目を合わせ、クスリと笑った。

どうやら、うまくいっているようだ。

 

「あ、やっべぇ、呼び出し忘れてた。行ってくるわ」

 

ふと、ジュリウスが言っていたことを思い出し、慌ててラケル博士の部屋に向かった。

部屋の前でジュリウスが待っており、一緒に部屋に入る。

そして、近くのソファにジュリウスとともに座らされる。

 

「ついに「血の力」に目覚めましたね……ジュリウスに次いで貴方がふたり目です……おめでとう」

 

「……ありがとうございます」

 

ラケルが、微笑みながら言った。

レイの正面で、ラケルは考え込むような仕草をする。

 

「さて……何からお話しましょうか……」

 

「ラケル博士、あのアラガミは?」

 

レイは、1番気になっていたことを切り出した。

あのアラガミが現れた瞬間、神機が動かなくなったのだ。

そのせいで死にかけたのだから、今後遭遇した時のためにちゃんと知っておきたい。

 

「貴方が遭遇したアラガミ……「マルドゥーク」は暫定的に「感応種」と呼ばれています……。「感応種」は強い「感応現象」によって他のアラガミを支配しようとすることがわかっています……。オラクル細胞を持つ神機も言わばアラガミの一種……エミールさんの神機が動かなくなったのはそのためです」

 

「「感応現象」?」

 

聞きなれない言葉にレイは首をかしげる。

この問に答えたのは、ラケルではなくジュリウスだった。

 

「「感応現象」はオラクル細胞同士が互いに影響を与え合う現象のことだ。俺たち神機使いや神機そのもの、そしてアラガミとの間でそれぞれ起こりえる。「血の力」も「感応現象」の一種だな」

 

「「血の力」が「感応種」に対抗できるというのはまだ仮説だったのですが……フフッ……図らずも貴方がそれを証明してくださったのですね」

 

そう言うと、ラケルは車椅子を器用に動かし、レイに触れることが出来るくらいの距離まで近寄った。

そして、レイの手を優しく包む。

 

「貴方の「血の力」をもってあまねく神機使いを、ひいては救いを待つ人々を導いてあげてくださいね……」

 

「……はい!」

 

ラケルが嬉しそうに微笑む。

レイも、少し微笑んで答えた。

 

ーーーー

 

「へ?」

 

「「血の力」がわからない?」

 

「……おぉ」

 

ナナとロミオに詰め寄られ、レイは戸惑いながら頷いた。

エミールが極東に戻り、ラケルから話を聞いてからここ数日、ミッションでブラッドアーツが使えるようになったので、ミッションが大変楽になったのだが、肝心の血の力に関しては全くわからなかった。

ジュリウスの様にわかりやすい変化が起きるわけでもなく、他の変化が現れる訳でもない。

しかし、ブラッドアーツは使えるのだ。

つまり、血の力は発動しているが、効果は不明という訳だ。

レイ自身訳が分からず、首を捻っているところを、ロミオとナナに呼ばれ、向かった庭園でこうやって問い詰められている。

 

「いやいや「ブラッドアーツ」は使えてるんだろ?わからないってどゆこと?そもそもブラッドアーツ自体「血の力」が戦闘用の技になったやつなんだしさ」

 

「え?」

 

ナナがキョトンとしながらロミオの方を見た。

 

「ラケル先生がこのあいだいってただろ?ブラッドアーツは「技」で同じ神機だったら同じ技が使えるけど「血の力」はその人特有だって」

 

「もちっと正確に言ったら同じ刀身パーツなら、だな。パーツが変わればブラッドアーツも変わるぞ」

 

「うーん、そういわれれば聞いた気も……」

 

未だ釈然としないナナに、ロミオは少し困ったように説明する。

 

「えっとぉ。例えば、ジュリウスの「血の力」は「統制」っつって俺たちをバースト状態にできるだろ?あれだよあれ!」

 

「ああー……バヒューンって光ってちょっとのあいだ強くなるやつね!」

 

「合ってるけどさ……」

 

「……もういんじゃね?」

 

ロミオと2人してナナへの説明を諦める。

なんとなくでもわかっているならそれでいいだろう。

 

「ジュリウスの「血の力」は見た目にわかりやすい変化が起きるが、俺のはそういうのじゃねぇらしいんだよなぁ」

 

「じゃあレイの「血の力」は発動してるのに目立った変化がないってこと?」

 

「そうらしいぜ」

 

ロミオとナナは顔を見合わせた。

そして、レイに笑顔を向ける。

 

「これからじゃん?たぶん!」

 

「そーそー!そのうちなんかわかるって!たぶん!」

 

「たぶんて。つか、ナナそれどっから出した、頭わしゃわしゃすんのやめろ」

 

ナナが、左手につけたアバドンのパペットでレイの頭に噛み付いた。

人形だから痛くはないが、それでわしゃわしゃと弄るのはやめて欲しい。

レイの言うことを素直に聞き、ナナはパペットを引っ込め、ニッコリと笑う。

 

「そういえばさ、ブラッドに新しい人が来るんだって!」

 

「ん、また?」

 

「しかも今度は16歳の女の子だぜ?またあのゴリラみたいなのが来たらどうしようかと思ったけどよかったよな!」

 

「年下か」

 

ロミオの顔が、嬉しそうに輝いた。

新人がどんな人物だろうと関係ないが、それより。

 

「なぁ、ロミオとギルはまだ仲が悪いのか?」

 

こそこそとロミオに聞こえないようナナに聞いてみる。

 

「あれじゃない?ケンカするほど〜ってやつ」

 

「ああ、成程」

 

「なんだよ?」

 

ロミオに聞かれ、2人はブンブンと首を振った。

 

「ブラッドもどんどんにぎやかになってくねー!どんな子なのかなぁ?」

 

「さぁね。あっと、ジュリウスが呼んでらぁ、例の新人さんが来たってよ。さっさと行くぞ」

 

端末に届いたメールを確認すると、レイは立ち上がる。

ロミオとナナも端末を確認し、立ち上がった。

3人は、仲良くエレベーターに乗り込み、目的地として指定されたラケルの部屋に向かった。

 

ーーーー

 

部下に連絡を入れた後、ジュリウスもラケルの部屋に向かおうとエレベーターを待っていた。

コツ、コツと後ろに誰かが接近してくる。

この、規律正しい歩き方は。

ジュリウスは振り向いて、その姿を確認する。

そこには、予想していた人物が立っていた。

 

「久しぶりだな。ラケル先生の付添、じゃあ……なさそうだな」

 

「ええ、任務は更新されています」

 

人物は、冷静に、そして顔色一つ変えずに言った。

 

「正式にブラッドの隊員として招聘されました。貴方もお変わりなく、何よりです」

 

ーーーー

 

4人が到着した時、部屋にはまだラケルしかいなかった。

入室の許可を貰い、ロミオ、ナナ、ギル、レイの順番に入って、並んで待つ。

少し遅れてジュリウスが入ってきて、ドアの近くに立つ。

また少し遅れて、コンコン、とドアをノックする音がした。

 

「シエル・アランソン、入ります」

 

静かな声とともに、一人の少女が部屋へ入ってきた。

白髪で薄青い瞳、ピンと姿勢を伸ばし、規律正しい歩き方でブラッドのメンバーの前に立ち、敬礼をする。

 

「本日付で、極致化技術開発局所属となりましたシエル・アランソンと申します。ジュリウス隊長と同じく、児童養護施設「マグノリア=コンパス」にて、ラケル先生の薫陶を賜りました。基本、戦闘術に特化した教育を受けてまいりましたので、今後は戦術、戦略の研究に勤しみたいと思います」

 

ここまではっきりと言いきると、シエルはブラッドのメンバーから視線を外し、恥ずかしそうに言った。

 

「……以上です」

 

「シエル、固くならなくていいのよ。ようこそブラッドへ」

 

ラケルがシエルに優しく言った。

なんつーか、人馴れしてないな。

レイはなんとなくそう思った。

なんというか、この手のことが苦手というか、した事がなさすぎてわからない、という風に見えたのだ。

 

「これで、ブラッドの候補生が皆揃いましたね。「血の力」を以って、遍く神機使いを、ひいては救いを待つ人々を導いてあげてくださいね……ジュリウス」

 

最近聞いたような言葉を述べると、ラケルはジュリウスの名を呼んだ。

ジュリウスが、ドアの前から離れ、シエルの横に立つ。

 

「これからブラッドは、戦術面における連係を重視していく。その命令系統を一本化するために、副隊長を任命する。ブラッドを取りまとめていく役割を担ってもらいたい」

 

これを聞いて、ロミオが少しソワソワしているようにレイには見えた。

忘れがちになるが、このブラッドでジュリウスの次に古株なのはロミオなのである。

そう考えると、ここはロミオが指名されるかな、とレイは考えた。

入って早々の新人に、そんな役を任せないだろうと。

 

「ここまでの立ち回りと、早くも「血の力」に目覚めたこと……お前が適任だと判断した。副隊長、やってくれるな?」

 

「……は?」

 

レイは、驚きのあまり目を丸くする。

まさかと思っていたことが現実になるとは。

いやいや、そこは俺じゃないだろ。

素人でも強かったらいいとか、実力主義にも程がある!

 

「わー、副隊長ー!よろしくねー!」

 

「え、いや、待て、拒否権は無いのか!?」

 

「まあ、順当だろ。ナナはあれだし、ロミオは頼りないしな……」

 

「うるさいよ!お前の方がよっぽどありえないよ!」

 

「いや、だから!あー、もー!こんなとこで喧嘩すんなぁ!」

 

レイは、バリバリと頭を掻いた。

誰も話を聞いてくれない。

どうやら、拒否権は無い様だった。

戸惑うレイなどお構いなしに、ギルとロミオは言い争いを始める。

 

「前にも言ったが、お前は敵と距離開けすぎだ。そのくせ被弾率が高いってのはどういうことだ」

 

「イノシシバカに言われたくないね!だいたい、皆の射線の邪魔になってるの気づいてないの?」

 

ギルの言葉に、ロミオが反論する。

止める身にもなって欲しい。

 

「もう止めろよ、めんどくさいな!」

 

「皆って誰だよ」

 

「わたしじゃないよー」

 

「うるさい!俺だよ、バーカ!」

 

「聞け!」

 

仲裁に入ろうとするも、ことごとく無理され、レイは流石に泣きそうになった。

これまとめるとか無理だろ。

 

「チームの連携に不安が残る現状だが、お前ならきっと出来るさ」

 

「何を根拠にそんな事ほざくんだその口は」

 

レイは、恨みを込めてキッとジュリウスを睨む。

ジュリウスは、苦笑しながら肩をすくめると、隣のシエルに指示を出した。

 

「シエル。副隊長とブラッドについてのコンセンサスを重ねるように」

 

「了解です」

 

そして、未だ言い争いを続けるロミオとギルにも、一言だけ指示を出す。

 

「お前らも、そのくらいにしておけ」

 

この一言で、ロミオとギルはバツが悪そうに顔を背けた。

 

「戦場でもその調子で、規律正しく頼む」

 

「どこが規律正しいんだよ」

 

思い切り顔をしかめながらレイは言った。

正直、やっていける気なんか全くと言っていい程しない。

 

「副隊長、改めてよろしくお願いいたします」

 

「あーもーいーや。ん、よろしく」

 

シエルが、レイの前に進み出て軽く会釈をした。

仕方なく、レイも会釈を返す。

もう、ここまで話が進んでしまったのならば、諦めて吹っ切ってしまう方が賢いというものだろう。

 

「では、後程」




シエルさん、重宝しています私です。
だって、敵体力視覚化便利なんだもん。
やられそうになったら回復弾撃ってくれるもん。
なんやかんやで助けてもらいまくっています。
さて、主人公のレイですが、なんだかんだでみんなと仲良く出来るという素敵スキルの持ち主です。
こいつ、出してないけど手先は器用で歌も楽器も料理もうまいっていう万能人間なんだぜ。
出してないけど。
出す機会があったら出したいな、出す時ないけど。
でも、ゲームのプレイヤーキャラクターも結構なんでもできる人なので問題は無さそうかな、なんて勝手に思ってます。
万能人間か、なりたいな。
感想、お待ちしています。
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