2人の教官と最弱の小隊 growth record   作:トランサミン>ω</

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さてさて、過去編は一旦ここまでとして、本編に戻っていきましょう!
過去編はまたいずれ書くことになりますのでその時までお待ちください。


もう1人のアイゼナッハ

学園浮遊都市《メルキア》。

外観は《ミストガン》とほぼ変わりない。

《メルキア》との交流学校は3日間。最終日である3日目には、メインイベントである交流戦が例年催されている。

残りの2日間も各学科同士の技術を競い合うイベントが開催され、一般学生が愉しめるイベントとなっている。

しかしその裏側ではありとあらゆる方面での合同協議が控えているのだ。

ガーディアンリーダーであるフロン立ちにとっては目の回るような忙しさである。

 

 

「ふーん、《ミストガン》と似たような作りなのね」

 

 

「ま、同じ学園浮遊都市だからな。違いがあるとすりゃ教育方針だろ」

 

 

「教育方針……?」

 

 

カナタの言葉に首をかしげるミソラ、そんな彼女を見てレクティ、リコ、カズキ、カナタの4人はため息をつく。

 

 

「ね、ねぇエイジっち。今日の予定なんだけど…」

 

 

ミソラはカナタからの指示通り渾名を考えてきたようだが。

 

 

「今のは聞かなかったことにしてやるから夜までに別の渾名な」

 

 

「う、うそ!?夜通し考えたのに…っ!?」

 

 

5人はこんなやり取りをしながら《メルキア》のドーム壁の外側へと集まっていた。

この後簡単な持ち物検査を受けた後、都市内へと入ることが許可される。

開会式でのエキシビションが予定されているユーリは一足先に開会式が行われる闘技場へと赴いていた。

特務小隊の一員であるカナタとカズキは『教官だから』、という理由でエキシビションを欠場している。

ユーリを説得するのに手を焼いたのは言うまでもないだろう。

カナタたちは厳重にロックされた隔壁をを通り、《メルキア》の市街地へと進んでいく。

そこは大通りを中心に無数の屋台の組み立て中であった。

道行く人々の殆どが闘技場を目指しており、5人もその流れに従った。

カズキが周囲を見渡すと、やけにキョロキョロとあたりを見回すリコの姿が目に入った。

 

 

「リコ、知り合いでもいるのか?」

 

 

「ふっ、わたし以上の美貌の持ち主は、ここにもいないようだな」

 

 

「女神さまはそういう所しか見てないんだな」

 

 

その時、ふとレクティが立ち止まり、物欲し気な表情を浮かべた。

彼女の視線の先には、開店準備を行っている屋台の姿、割り箸に巻き付けた白い雲のようなお菓子を店員が作っていた。

その姿を見かねてカズキが声をかける。

 

 

「レクティはわたあめが食べたいのか?」

 

 

「え、ええーっと。そ、そのぅ…」

 

 

レクティは俯いたまま、モゾモゾと口を動かすだけだ。

言いたいことはあるのだが、言い出せないらしい。課外授業である後ろめたさもあるのだろうが、レクティはいつも遠慮しがちなのだ。

 

 

「食べたいの?それとも違うのか?」

 

 

「そ、そのぅ…」

 

 

申し訳なさそうに人差し指をつんつんとくっつけ合わせるレクティ。

 

 

「(遠慮することないのにな。俺が教官だってことに気を遣いすぎなんだよな)」

 

 

いつまで経っても口に出せそうにないレクティの為にカズキは助け舟を出した。

 

 

「屋台の開始は開会式の後だし、明日はこの辺りは屋台で埋め尽くされるから、その時に買ってあげるよ」

 

 

屋台の売上が最も伸びるのは2日目である。その理由は3日目に交流戦があるため、闘技場に人が密集するからだ。

そのため稼ぎ時である2日目には、大通りを囲むように屋台が出揃い、どの屋台が美味しいかという情報も揃うのだ。

普段からカナタの手伝いでロジスティクスと関わっているカズキはそのことを知っており、確実に美味しい食べ物にありつけるという訳だ。

 

 

「えっ!?そ、そのぅ…ごちそうして頂かなくても、あとで自分で買いに…」

 

 

「そう言うことを言えるレクティだから、奢ってあげたいと思うんだよ」

 

 

カズキの口元が自然と綻ぶ。

 

 

「…約束。指切りでもしようか」

 

 

ぶっきらぼうにカズキがレクティの小指に指を絡める。

するとレクティがさも嬉しそうに微笑んだ。

 

 

「良かったわね。レクティ」

 

 

そんな2人のやり取りを見ていたミソラは、片目を瞑ってウィンクして見せた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「な、なんでこんな所にいるの!?」

 

 

闘技場についたミソラたちはカナタとカズキに付いていく。

彼らは警備の学生たちがいる関係者用の通路を通り、闘技場の2階部分に位置するプライベート空間ーVIPルームの前に立っていた。

 

 

「ここならエキシビションがよく見えるだろ?」

 

 

カナタの言う通り、ここからフィールドの見晴らしは最高だ。

フィールドに面する壁は全面ガラス張り。ソファーや大きめのテーブルが備え付けられており、ルームサービスのメニューなども完備してあった。

目敏くマッサージチェアを見つけたリコは、当たり前のようにリクライニングにして座った。

 

 

「ふむ、VIPルームか。わたしに相応しい空間だな」

 

 

「ま、いいけどさ。エキシビションが始まったらちゃんと観戦するんだぞ?」

 

 

そんな様子のリコにカナタが軽く注意を促す。

一応授業中なのだが堂々としたものだ。

一方でミソラとレクティは豪勢な空間に足が竦んで入れないようだった。

見かねたカズキが手招きをして漸く室内に足を踏み入れる。

 

 

「ね、ねぇ。こんないい場所どうやって確保したの?」

 

 

おそるおそるといった調子で、ソファーに腰掛けたミソラが尋ねた。

 

 

「クロエに特務用の席はどこか訊いておいたんだよ。エキシビションの間はクロエたちはいないし借りさせてもらってるんだ」

 

 

カズキがミソラにこの部屋を使っている理由を説明した。

それに続いてカナタが付け加える。

 

 

「ちゃんと許可は取ってるから気にすんなよ。間違っても無断侵入とか不法占拠じゃねーからな?」

 

 

考えていたことを当てられたかのようにミソラの表情が強ばる。

そんな時レクティが声をかけてきた。

 

 

「あ、あのぅ…カズキさん、カナタさん…?の、飲み物です。冷蔵庫の中に入っていたので、ど、どうぞっ!」

 

 

グラスに注がれたパインジュースがテーブルに置かれる。

誰が命じたわけでもないのにこういったことを出来るのはレクティの良いところだと2人は評価している。

 

 

「ありがとな」

 

 

「さんきゅーな」

 

 

カズキとカナタにだけでなく、リコとミソラにも飲み物を配っている。

周りへの配慮を欠かさないのは、彼女の優しい性格の表れであり、美点だ。

性根が優しく、内気だが強い魔双剣士。それが2人のレクティに抱く印象だ。

3人の中でレクティが最も戦闘スキルに優れているのは疑う余地もない。

だが、レクティは周りの目を疑いすぎるため、弱点であるあがり症は克服したものの、未だ全力を出せていないのだ。

 

 

「(優しすぎるんだよな…)」

 

 

カズキはそう思う。

周りを気遣うこと、相手を気遣うこと。それはとても大事なことだがやりすぎは良くない。

カズキは考えすぎた頭をリセットするべく、グラスのジュースを一口呷った。程よい酸味が口に広がり思考を冷静に指せる。

 

 

「さてと、そろそろエキシビションが始まるぜ。全員窓際に移動しろよ」

 

 

カナタの声に反応し、4人は窓際へと足を運んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《メルキア》側の代表生徒のエキシビションが始まるのと同時にアルケナル級のダミーバードが大量に投入される。

フィールドを埋め尽くさんばかりの規模に観客たちは息を呑んだ。

《メルキア》の代表生徒たちの数は4人、それぞれが魔剣や魔銃を握りしめる。

嵐に荒れ狂う大波のようなダミーバードの大群に、荒々しく猛々しい『剛』の攻撃で突入する。

それぞれが周りを気遣うことなく、己の役割のみを果たす戦闘スタイル。

その結果として生み出されるのは、独立した指揮者たちの協奏曲。奏でる楽曲は戦闘によって生じる破壊の爆発と騒音だ。

中でもとりわけ、強力な学生がいた。

武人のように険しい双眸。月の光を集めたように輝く、銀色の髪をした少女だ。

彼女の振るう魔双剣は接近した10体のダミーバードを一瞬で撃墜する。

 

 

「ふんっ!この程度くだらんわっ!」

 

 

言い捨て、銀髪の少女は急上昇。

彼女を墜とさんとするダミーバードたちが樹液に群がる蟲のように群がっていく。

ある程度の数が集まった時、彼女は急降下し魔双剣戦技を放つ。

 

 

アイゼナッハ流魔双剣戦技ー千衝撃

 

 

両手に持った魔双剣が、ハリネズミのような刺突を放つ。

高速で放つ刺突技の壁、銀髪の少女ーブレア・アイゼナッハの圧倒的な戦闘力にダミーバードはすり潰され、観客席からどっと歓声が沸いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

VIPルームでその様子を見ていたカナタはこういった。

 

 

「ふーん、やっぱ今年も個人の戦闘スキルの披露か」

 

 

尋常ではない戦闘力を見せつけた少女への称賛は全くなく、寧ろ興醒めしたような貌をしていた。

そんな彼に続いてカズキが口を開く。

 

 

「《メルキア》の教育方針は個人の戦闘力を追求すること。でもそれってつまりは独りで戦う力を付けるってだけで信用する仲間は要らないって考えだろ?俺はそういうのは嫌いだな」

 

 

そう告げる彼らを見たミソラは、教官たちがここまで他者を批判するのは珍しい、と思う。

だがそれは彼らにも確実な教育方針があり、先程までの戦い方が彼らのそれに反するものなのだと考え直した。

 

 

「お前たちの中で1番戦闘に秀でてるのはレクティだ。もし運悪くレクティが強大な魔甲蟲と1対1で戦うなんて事になったら、そのときはさ…」

 

 

言いかけてカズキはぼーっとしているレクティに気づく。

 

 

「レクティ、大丈夫か?」

 

 

「えっ…?」

 

 

気もそぞろいなレクティが慌てて答える。

 

 

「あっ。は、はいっ…!」

 

 

「もしかしてさっきの銀髪の彼女、レクティの知り合いか?」

 

 

『さっき』という言葉がエキシビションに参加していた少女を指すことはすぐに分かった。

彼女が用いた魔双剣術は、アイゼナッハ流。レクティと同じ流派だ。剣神と奉られた者が生み出しし、最強の魔双剣術。

 

 

「なんと言いますか…そ、そのぅ…知り合いと言うのではなくてですね。もっと…あのぅ…」

 

 

レクティが言いよどんでいると、VIPルームもドアがいきなり開かれた。

ノックなしで開かれた入口には、先程までエキシビションに参加していた、武人の如き険しい表情をした銀髪の少女が立っていた。

 

 

「カナタ・エイジはいるか?」

 

 

「ん?俺だけど」

 

 

カナタが椅子から立ち上がり返事をした途端、周囲の空気が張り詰めていく。

銀髪の彼女がカナタへと気迫とも言えるオーラを放っている。

 

 

「そなたがカナタ・エイジか」

 

 

突然の来訪者が誰なのかわかった途端、レクティはカズキの後ろに隠れ、彼の制服の裾をぎゅっと掴んだ。

 

 

「お前って、エキシビションに参加してた。えーっとなんて名前だっけ?」

 

 

「《メルキア》空戦魔導士科予科2年、ブレア・アイゼナッハだ」

 

 

彼女が名前を名乗った直後、ミソラが思わず呟いた。

 

 

「アイゼナッハ…って?」

 

 

その場にいた全員の視線がカズキの後ろに隠れるレクティに注がれる。

 

 

「むっ!……レクティ!?」

 

 

ブレアの険しい双眸がレクティを捉えた。

 

 

「あ、あのぅ…ブレアさんっ!?何故あなたが、ここに…!?」

 

 

「そなたに話す義理などない。ようがあるのはカナタ・エイジ。そなただ。何でも《ミストガン》で1番強いらしいな」

 

 

ブレアの鋭い視線がカナタへ向けられる。

 

 

「誰に聞いたんだよ?」

 

 

「クロエ・セヴェニーだ。彼女が最強だと噂されていたが本人曰くそなたの方が強いらしいな。隣にいたロイド・オールウィンも同意していたぞ」

 

 

「ああ、あいつらか。…そんで要件は?」

 

 

「手合わせ願おう。できるだけ実践に近い形でな」

 

 

そう言いながらブレアは屋内にも関わらずミスリス魔装を展開する。

重厚感のある、刀身の長い魔双剣が虚空から出現。八双の構えを取って見せた。

カナタはさり気なくブレアの隙を伺ってみたが、ブレアの構えには微塵も隙が無い。

正真正銘のアイゼナッハ流だろう。

 

 

「そういやお前も魔双剣使いなんだったな」

 

 

そう言ってカナタはカズキの方を見やる。

そんな彼の様子にカズキはまさか…?といった顔になった。

 

 

「あいつらがどう言ったかは分かんねーけど。《ミストガン》最強の魔双剣使いなら知ってるぜ」

 

 

カナタはクロエやロイドが自分に押し付けてきた厄介ごとをカズキに押し付けることにしたのだ。

カナタは自分の言っていることは間違っていないと言った様子で、冷や汗を流すカズキの方を指さした。

 

 

「そこにいるカズキ・アルカラスは事情があってエキシビションには出てないが列記とした特務小隊の一員だ。魔双剣を使う者なら《ミストガン》でコイツより強いヤツを俺は知らねーよ」

 

 

カナタの言葉にブレアの視線がカズキへと移る。

 

 

「ならば、カズキ・アルカラス。手合わせ願おう。《ミストガン》最強の魔双剣士の実力見せてもらおう」

 

 

「どうしても決闘しなきゃだめなのか?」

 

 

「肯定だ」

 

 

「なら俺の負けでいいよ」

 

 

それだけ告げてカズキはブレアから視線をレクティへと向けた。

そんな彼にリコが話しかける。

 

 

「なんだ?勝負しないのか?」

 

 

「俺は今はお前たちの教官だぞ?理由もなしに戦うことは出来ないし、こんな場所で戦ったらクロエに迷惑かけるだろ」

 

 

「ふむ、確かにそうだな。無益な戦いは無意味だ」

 

 

カズキは自分の陰に隠れるレクティの頭に手を置いてもう一度行った。

 

 

「お前と戦う理由はないよ」

 

 

その言葉に考え込んだブレアは何を悟ったのか徐ろにカズキに近づいてきた。

勿論魔双剣は構えたままで。

 

 

「ならばこれでどうだっ!!」

 

 

無防備なミソラの喉元へといきなり魔双剣の刃を突きつける。

突然の攻撃にミソラの頭が真っ白になる。

教え子に刃を向けられたカズキは不愉快そうに眉を顰めた。

 

 

「な何のつもりだ?」

 

 

「これで戦う理由は充分かと訊いているっ!!」

 

 

彼女もなかなかの問題児らしい。

カズキが軽率な受け答えをしたことを若干後悔したときだ。

 

 

「あのぅ…や、やや、やめてくださいっ!ブレアさんっ! 」

 

 

怯えながらもレクティがアマノハバキリを展開して立ちふさがる。

 

 

「ふんっ!まだアイゼナッハ流を使っているのか!アリアを護れず、庇ってもらうだけの無能風情がっ!」

 

 

『アリア』と言う言葉でレクティの貌に明らかに影が差した。

何のことかカズキが尋ねようとした時、ミソラが魔砲剣をブレアに向けて振るった。

ブレアは舌打ちしながら後ろへ跳躍する。

 

 

「あんた何様のつもりよっ!!」

 

 

ミソラがビシッとブレアを指さした。

理不尽に晒された怒りからか、ミソラの怒気はブレアをも凌ぐものだ。

 

 

「そなたこそレクティのなんだ?」

 

 

「友達で仲間よっ!あんたがレクティに手を出すって言うなら、容赦はしないわっ!」

 

 

ミソラは砲口をブレアへと向けて魔力の収束を開始する。

 

 

「まからレクティにも友達ができるとはな」

 

 

怒りを込めた瞳でミソラたちを見渡すブレア。

 

 

「ふざけるなっ!わたしの妹を傷つけておきながら自分はのうのうと友達作りだと!?どうせそなたらもレクティと同じ落ちこぼれなのだろう!」

 

 

ミソラとレクティの2人との対峙であってもブレアは怯まない。

寧ろ間合いを自らの得意とするものに詰めようとする。

 

 

「やれやれ、心外こそ極まれりだな」

 

 

音もなく忍び寄っていたリコがアテナの銃口をブレアの側頭部に向ける。

 

 

「先程から黙っていればわたしまで凡俗扱いとは、勘違い甚だしいぞ」

 

 

「お、お願いですからここは穏便にっ!」

 

 

レクティの願いもむなしくブレアの敵意は一層増すばかりだ。

 

 

「…落ちこぼれの仲間など、くだらんわっ!」

 

 

言うや否や、ブレアの双眸がミソラを捉えた。

来るっ!直感的に把握したミソラが引き金を絞っていた。

屋内での魔力砲撃、間合いはほぼゼロ。

到底躱せる距離ではなく、最悪死傷者が出ることすら考えられる禁止行為。

しかしブレアはその砲撃を美しい袈裟斬りで弾き飛ばし、唖然としているミソラに鋭い右回し蹴りを入れる。

悲鳴と共にミソラが激しく吹き飛ばされた。

それと同時にリコが頭部へと威力を調整した魔力弾を放つ。

だがブレアは銃口から魔力弾が放たれる時には既にリコの懐へ潜り込んでおり、リコのアテナをはじき飛ばした。

ミソラが砲撃をしてから僅か3秒間での出来事だった。

 

 

「落ちこぼれ同士が群がったところでこの所詮程度だ」

 

 

冷たく言い捨てるブレアにレクティが立ちはだかる。

ブレアの暴走を止めるべく床を舐めるような低姿勢で斬り掛かる。

対するブレアは仁王立ちするかの如くレクティを斬り下ろそうとしていた。

1人2振り、2人の魔双剣が交錯する刹那、同じく魔双剣を展開したカズキが2人の剣戟を受け止めた。

 

 

「…な、なんだとっ!」

 

 

ブレアが驚愕の声を漏らす。妙なる技の調べを奏でる。

カズキの披露したそれは、妙技と言っても過言ではない。

 

 

「お前らがここで戦ったら問題になるだろ。部屋も壊しやがって。ブレアって言ったか?強いヤツと戦いたいなら交流戦の相手―E601小隊を指名してくれよ」

 

 

カズキの言葉にカナタも笑みを零す。

 

 

「こんな落ちこぼれどもと戦えというのか!?」

 

 

「ミソラたちが落ちこぼれ…ねぇ。じゃあもし勝てたら俺が本気で勝負してやる。それでいいな?」

 

 

「……」

 

 

「まずは合法的にミソラたちを倒してみろよ。俺との勝負はそれからだ。こんな騒ぎ起こして都市外追放になったらシャレにならないしな」

 

 

都市外追放という言葉にブレアの貌が歪んだのをカズキは見逃さなかった。

彼女程の実力者がアイゼナッハ流の聖地《オエキス》を離れここにいるのには理由があると踏んでのことだ。

 

 

「…いいだろう!こやつらを蹴散らしたあとにそなたを倒す。首を洗って待っていろ」

 

 

「あんたにだけは絶対負けないわっ!」

 

 

ブレアに蹴り飛ばされたミソラが意地で告げる。

 

 

「口だけは達者なようだな。そなたらも気を付けることだ。レクティはわたしの妹に重症を負わせた悪人だからな」

 

 

「悪人って…」

 

 

その言葉と同時に曇るレクティの表情。

それに気付いたカズキがフォローを入れる。

 

 

「何言ってんだお前ら。この部屋をこんなに吹き飛ばしたんだ、お前ら全員悪人だよ」

 

 

あっけらかんと言い放つカズキにブレアが敵意の視線を送る。

それに気づいてか気付かずか

 

 

「とりあえず戻って伝えてこいよ。わたしの相手はE―601小隊だってな」

 

 

「ふんっ!言われなくてもそうするつもりだっ!」

 

 

そう言い残しカズキたちの元から立ち去っていくブレア。

こうしてミソラたちは交流戦参加への切符を手にすることになるのであった。




初めてこんなに書いてしまいました。
分けた方が良かったですかね。
作者の文才のなさの結果、こうなってしまい申し訳ないです。
感想、ご指摘などお待ちしております。

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