メイドさんに連いていき、1時間が経ったくらいだろうか。
森を抜けた。抜けた先には霧が濃い湖があり、外回って歩いていると空を飛ぶ水色の髪をした少女が氷を飛ばしてきたが、メイドさんに秒殺されていた。
でも今は、そんなことはどうでもいいんだ。重要な事じゃない。
少し歩いていると、全体が真っ赤にカラーリングされた城が見えてくる。
これを作った奴は頭がおかしいんじゃないだろうか。
俺は恐る恐るメイドさんに話しかけた。
「もしかしてあそこ、でしょうか?」
「そうよ、どうかしたの?」
「いえ、別に…」
城の事をdisってたなんて口が裂けても言えない。
城の前に着くと門番らしき人が居た。
メイドさんに今日は珍しく起きてるのね、と言われてたので、たぶん普段は居眠りをしているのだろう。
居眠りをする門番などクビにするべきだと思う。
中に入り、薄暗い階段を下りると、ある部屋に入るよう言われる。
言われるがまま入ると、真っ暗でとてつもない腐敗臭がした。
脳がここは危険だ、と危険信号を送り外に出ようと振り返る。
しかし、扉はいつの間にかに閉まっていた。
音も無く、振り返るまで外の光は入っていた。
なのに気がついたら閉まっている。
大抵こういうパターンは扉が開かない。
それでも俺は、ほんの少しの希望に縋る。
その期待を嘲笑うかのように、扉が開く事はなかった。
ここまで来て俺はようやく理解した。
「嵌められた」
怒りが込み上げるより先に、何かに話しかけられた。
「あなたは新しい遊び道具?」
話しかけられただけで、背筋が凍ったのは初めてだった。
声が醜いわけでもない。しかし、その声には純粋な殺意が込められていた。
おぞましい殺意ではなく、子どもが蟻を潰すような無邪気な殺意。
狂気的だった。人に向ける殺意ではない。
「遊び道具って、俺の事か…」
振り返りながら少女と向かい合う。
警戒したところで俺はただの高校生だ。
腐敗臭と少女の発言から考えると、一方的に嬲られるのだろう。
「そうだよ」
「ここに来る人間は皆私に与えられた玩具」
やはりこの娘も人間ではないみたいだ。
最初に出会った少女と同じようなものだろう。
見た目も結構似ているし。
「だから、私を楽しませてね」
少女が言い終えると、床が爆発する。
「がっ…なんだ…!?」
少し遅い防御を反射的にしたが、勢いを殺せず吹き飛ぶ。
「話で聞いていたけど、やっぱり丈夫なんだ」
「例え丈夫でも痛いもんは痛いんだよ!」
やけくそになって叫んでしまう。
「私には関係ないけどね」
少女はそう言うと光球で俺を囲んだ。
いや、囲んだのはほぼ一瞬だ。
その後更に囲んだ状態から光球を放ってきたのだ。
「こんなんありかよ…!?」
何度か被弾するが、やはり軽く火傷する程度だ。
「すごいすごい!じゃあ次はどう!?」
少女は興奮している。
落ち着いてくれ、話し合いで解決しようよ。
そう思っていると、炎の長剣を振りかざしてくる。
「やば…!」
避けきる事が出来ずに、俺の左腕は切断される。
尋常じゃない痛みと、左腕が突然なくなったため、バランス感覚が狂い倒れてしまう。
「うあ…あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛…」
「もっと私を満足させて」
振りかざされた炎の長剣を避け、飛んだ腕を拾い、よろめきながらも走り逃げる。
「これ腕とかくっつくのか…!?」
斬られた腕をくっつけようとしていると、新しい腕が生えてくる。
俺はいつから人間をやめたのだろうか。
「みーつけtぷぎゃ!?」
驚きのあまり斬れた腕を、少女の顔面に向かって投げ飛ばす。
悲鳴は可愛いのに全く和めない。
「ハァ…ハァ…ざまあみろ!」
中指を突き立てながら走り出す。
「ちょっとカチンときちゃった…ウフフ」
なんとか一時的に逃げる事はできた。
しかしここも、長くは持たないだろう。
相手のホームグラウンドなのだから。
刹那、目の前が光る。そう思った時には、視界が反転していた。
体を起こし、前を見ると、少女が立っていた。
すぐさま起き上がり、反対側へ逃げようとすると
そちらにも少女が立っていた。
「「これでもう逃げられないね」」
「…なあ、降参するからさ
その前に少し話をしないか?」
「「話?」」
「ああ、なんで君がそこまで狂っちゃったのか」
To be continued…
スペルカード名を出さないのは
ゲームではなく殺し合いだからです
それと2話目にこうなる事は確定してました
それっぽい伏線のセリフもあります
あれだけでわかる読者様がいたら驚きです