真・恋姫†演義~舞い降りる賢君~   作:残月

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太公望、渾名で呼ばれる

 

 

それは、本当によく似ていて。思わず、あの時の夢を見ているのではと思ったほどに。

太公望にはあの時の彼等にしか見えなくて。

 

「……姫…発?」

「……はい?」

 

 

絞り出された声を出す太公望。それに対して太公望の目の前の女性『雪蓮』は逆に驚かされ、マヌケな顔をしてしまっていた。

 

「えっと、私って、そんなにその『きはつ』さんにソックリだったのかしら?」

 

 

アハハと困ったように笑う雪蓮。太公望はその言葉に、バツが悪そうに頭を掻きながらハァと息を吐いた。

 

「すまぬ……勘違いしたようだ」

 

 

太公望は釣竿代わりに使っていた打神鞭を持ち上げる。

 

「それと、質問の答えは否……まぁ、つまり何も釣れておらん」

 

そこまで話して、太公望は雪蓮の視線に気づいた。妙にニヤニヤと太公望を見て笑っていた。

 

 

「ワシの顔に何か付いとるか?」

「ううん、変なしゃべり方するなって思って。そんな可愛らしい顔してるのに……勿体無いわよ?」

 

 

怪訝な顔をした太公望に雪蓮は笑いを堪えた表情で告げる。

 

 

「ほっとけ」

「ああ、ごめんごめん!あやまるから、そんな冷たくしないでよ!」

 

太公望はフイッとそっぽをむく。雪蓮は太公望の態度に慌てて謝ってきた。

 

 

「でも釣りにしては可笑しくない?さっき見た針は釣針のじゃないわよね?」

「うむ、この釣針はワシの友が作ってくれた物での」

 

 

太公望は懐かしむように川に垂らした針を見る。

 

 

「でもそれじゃ釣れないんじゃ無いの?」

「構わぬ。ワシは生臭は食わぬし、釣りも只の趣味なのでな。考え事をしたい時にするのだ」

 

 

雪蓮は太公望の隣に腰を下ろし訪ね、太公望はそれに応える。

 

 

「あ、そう言えば名乗ってなかったわね。私は……」

 

 

人懐っこい笑みを浮かべながら自身の名を名乗ろうとした雪蓮だが思案顔になりながら、んーと悩む仕草を見せながら人差し指を唇に這わせる。そして良いことを思いついた様に笑みを浮かべた。

 

 

「私の名は雪蓮よ」

「……それは真名ではないのか?」

 

 

ニパーと笑みを浮かべながら真名を名乗る雪蓮に太公望はタラリと汗を流す。

 

 

「いいのよ。アナタには真名を預けても良い気がするの。私の勘は良く当たるの」

「やれやれ、真名とは神聖な物だと聞いたのだがのう。勘で預けるとは思わなかったわ」

 

 

勘だと言う雪蓮に太公望は溜息交じりで言葉を返す。それに対し雪蓮は女の勘は侮れないわよと笑顔だった。

 

 

「お主の真名を預かるは別としても名乗るとするかワシの名は呂望だ」

「呂望ね……じゃあ『望ちゃん』ね」

「ぶっ!?」

 

 

名乗ると同時にニックネームを付けられた事に吹く太公望。しかも呼び方が自身の親友と同じだから尚更である。  

 

 

「なんで吹くのよ-?」

「いや……この釣針をくれた者と同じ呼び方をされたから驚いたのだ」

 

 

プゥと頬を膨らませる雪蓮に太公望は自身の親友である普賢の事を思い出していた。

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