真・恋姫†演義~舞い降りる賢君~   作:残月

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太公望、心境を王天君に語る

 

 

伏羲の体から分離し、『道士太公望』と『魂魄王天君』になり向かい合う二人。

 

 

「久し振りだのぅ王天君」

『ああ、普段融合してるっても俺はアンタの中で寝てるような状態だからな』

 

 

太公望と王天君。元は伏羲と言う最初の人の一人で太公望と王天君が融合し、真の記憶と能力を取り戻した姿。

 

女媧との戦いを決めた元始天尊によって魂魄を二つに割られ、片方は死亡した赤子に入れられ太公望となり、残りは王奕として金剛山に送られ王天君になった。

 

外見や人格は太公望がベースとなっており、王天君は普段は寝てるような状態らしい。しかし王天君は夢の中で太公望の状態を察しているらしく分離しても事態の把握は早かったりする(過去にソレで女媧を騙した経緯有)

 

 

『くだらねぇ話は省くぜ太公望。お前、何を考えてやがる?』

「なんの事かのう?」

 

 

睨むような王天君の視線をニョホホと笑う太公望。

 

 

『とぼけんな、お前も感じてるんだろ?女媧の力をよ』

 

 

王天君の言葉にピクリと反応する太公望。

 

 

『女媧の力はこの世界から幾つか感じる。そんで一番近い力の発生源がこの方角に進んでやがる』

 

 

王天君はスッと指を差す。その方角はこの大陸一番の都『洛陽』がある方角だった。

 

 

『だってのに、お前呑気に旅をするなんざ……』

「王天君よ。ワシとてただ呑気に旅をしていた訳ではないぞ」

 

 

よっこらしょと立ち上がる太公望。腕を組むと真面目な顔付きになる。

 

 

「まずこの大陸は疲弊しておる。ある程度力を付けねば女媧の力と衝突した際に民は立ち直れなくなる」

『ああ、蓬莱島や崑崙山があった場所と違って戦えば死ぬ連中は増えるだろうな』

「次にだ。女媧の力がもたらした世界の割にはワシ等が知っている世界とは違いすぎる時代も力も」

『アンタが賢君なんて呼ばれてる時点で狂った世界だと思ったよ』

 

 

太公望は自身の感じた事を話し、王天君は納得していく。

 

 

「何より、此処には他の仙道が居らぬのだ。戦う力を集めていくべきと思ってのう」

「それがあのチビや傷女か?頼りねぇだろ」

 

 

王天君の言うチビは雛里、傷女は凪の事である。

 

 

「何が起こるか解らぬからな。備えは必要であろう?」

『へ、民のためにってか?この世界でも封神計画でもする気かよ?』

 

 

太公望の言葉を笑う王天君。

 

 

「そこまでの話はする気はないのぅ。だが……」

『あん?』  

「少なくともワシはこの世界を見捨てぬ。見捨てるには……大切なものが出来過ぎた」

 

 

太公望の言葉に王天君はハァと溜息を一つ。

 

 

『だったら好きにしな。俺はもう少し寝る』

 

 

王天君はそう言うと太公望と再度融合を始める。

太公望は『うっひゃひゃ』『くすぐったいのぅ~』等と宇宙人太公望になりながら笑っており、これまた異色な光景と化していた。

 

 

そして融合を終えると太公望は『道士太公望』から『伏羲』の姿へと戻っていた。

 

 

 

「次に向かうは………洛陽だのぅ」

 

 

 

太公望は先ほど王天君が指差した方角を眺めながらポツリと呟いた。


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