真・恋姫†演義~舞い降りる賢君~   作:残月

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その頃仙人界は③

 

 

仙人界蓬莱島。

 

 

其処にある太乙真人の研究所を竜吉公主は訪ねていた。

 

 

「太乙、調子はどうじゃ?」

「竜吉公主、もうそろそろ完成するよ」

 

 

竜吉公主の目の前にあり、太乙が改造しているのは外史へと向かう為に改造している崑崙の最高幹部が乗る宝貝『黄巾力士』

ロボットの様な姿をしていて頭の部分にコクピットが有る。更に最高級宝貝合金で作られておりかなりの強度を持つ持つ宝貝だ。ちなみに使用者の名前が腹部に表記されているコレには太乙の名前が入っていた。

 

 

「皆の様子は?」

「ああ、今は『誰が行くのか力で勝負。仙人界バトルロワイヤル』が開催中だ」

 

 

太乙の疑問に答えた竜吉公主。それを聞いた太乙は引き攣った苦笑いを見せる。

 

 

「まさか、蓬莱島でやってるのかい?蓬莱島が壊滅したら修理で余計に時間が掛かるぞ」

「心配無用じゃ。元始天尊や楊戩が見張りをしておる。周囲に被害を出したらその時点で負けじゃ」

「そのルールだと哪吒は不利になるなぁ……」

 

 

現在、行われているバトルロワイヤル会場を思い苦笑いだった太乙。竜吉公主の説明を聞いて多少ばっかり気が楽になったがルールを聞いて我が子が不利だと思う。

 

 

「時に太乙よ。仮に天化や普賢が勝ったらどうするのだ?彼等は魂魄。地上には行けないのではないか?」

「フッフッフッ心配御無用。私が開発した特殊宝貝がある!その名も……」

 

 

竜吉公主の問いに太乙は待ってましたと目を輝かせながら懐に手を入れる。

 

 

「太乙特性宝貝『霊受』だ!コレを使えば一時的に肉体を得る事が出来る」

「こんな物で肉体を得られるのか?」

 

 

太乙が取り出したのはソフトボール程の太極マークが入った玉だった。これだけで肉体を得られるのかと竜吉公主は首を傾げる。

 

 

「この宝貝は哪吒に使った蓮の花と同じ効果を得るんだ。この霊受に魂魄を封じ込め大気を吸収して肉体に宿す。ま、一時的に宝貝人間みたいになる訳だ」

「凄いが……いつの間にこんな物を」

 

 

太乙の説明に感心はしたが、いったい何時の間に作ったのか疑問が残る竜吉公主。

 

 

「ハッハッハッ、平和だからね。暇さえあれば宝貝開発に力を注ぐさ。それに魂魄になった人達が地上に行かなきゃならない事態にも備える為って言うのもあるけど」

「備えあれば……か。今回は正にその様になったな」

 

 

竜吉公主は霊受を太乙に返すと部屋を出ていく。

 

 

「では、私は行くよ。私も旅支度をせねばならぬからな」

「ああ、わかった。悪いんだが後で四不象と武吉君、それとバトルロワイヤルの勝者を此処に連れて来てくれるかい?外史へ行くときの説明もしなければならないからね」

 

 

太乙の頼みを竜吉公主はウムと頷くと今度こそ部屋を出ていく。

 

 

太乙の部屋を出た竜吉公主はバトルロワイヤルの会場を見に行く。丁度、勝者が決定した様だ。

 

 

「行くのは彼奴か……太公望よ。もう直ぐ会いに行くからな」

 

 

バトルロワイヤルの勝者を確認した竜吉公主は空を見上げながら漸く太公望に合えるという気持ちを募らせていた。




今回、出て来た宝貝『霊受』はオリジナル設定の宝貝です

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