今までの話を少しずつ読みやすいように修正中です。
時間は掛かりますが長い目で見て貰えたら幸いです。
黄巾力士の頭から顔を覗かせた太乙。太公望は何故、太乙がこの世界に居るのか疑問を投げ掛けようとした時に太乙の後ろから二つの影が飛び出した。
「ご主人ー!」
「お師匠様ー!」
四不象と武吉が飛び出すと太公望に抱きついた。
「スープー……武吉……」
「酷いッスよご主人!僕らを置き去りにして!」
「お師匠様!」
突然の事態に呆然としている太公望に四不象と武吉はまくし立てる様に話す。そしてそれに続くように太乙が黄巾力士から降りてくる。
「四不象も武吉君も太公望を探して心配してたんだ。と言うか僕らも腹に据えてたんだから」
「落ち着け太乙。その明らかに危険なマークの入った宝貝を片付けろ」
顔に影を落としながらドクロのマークが入った怪しげな宝貝を取り出し始めていた。
「つーか、師叔。俺っち達に何も言わずに仙人界から姿を消しといて何もお咎めが無いと思う方がおかしいさ」
「天化……」
同じく黄巾力士から飛び降りてきた天化はタバコを吸いながら太公望に語り掛ける。
そして黄巾力士からスゥと一人の女性が降りてくる。
その女性に太公望は目を見開いて見つめてしまう。
「久しいな……太公望」
「公主……うむ」
静かにそれでいて嬉しそうに二人は見つめあった。他にも数人いるのに二人だけの空間が出来ている。しかしその空気を壊したのは雛里だった。
「あの師叔……この方々は?」
「あ、うむ……この者達はワシが元々居た国で共に戦った者達だ」
遠慮がちに聞いた雛里に太公望は簡単に説明した。
「あ、あの……それじゃあもしかして、この子がスープーちゃんですか?」
「うむ。其奴が四不象だ」
「やっぱり!」
以前、太公望から話を聞いていた雛里は四不象に抱きついた。
「可愛い!モフモフです!」
「わ、ちょっ!」
感極まった雛里は四不象に抱きつくが四不象は可愛い幼女に抱きつかれて恥ずかしがっていた。
「くっくっくっ……スープーめ。慣れぬ相手に抱きつかれて動揺しておるわ」
「つーか、あの子は師叔の知り合い?」
「そう言えば、あの子も太公望の事を師叔って呼んでたね」
恥ずかしがる四不象に笑いを堪える太公望に天化や太乙は疑問を溢す。
「太公望……お主、幼女趣味であったか?」
「断じて違うから落ち着け」
かなり真面目な顔付きで問い掛ける竜吉公主に太公望はタラリと汗を流しながら否定した。
「しかし、お主等……何故ここに?」
「うむ……太公望を迎えに来たのが一番の理由だが……ところで」
太公望の質問に答えようとした竜吉公主。視線を移した先には地面にペタンと尻餅を着いたまま呆けている凪だった。
「あの者は何を呆けているのだ?」
「あの……凪さんに何も説明をしてなかったからかと……」
竜吉公主の疑問に答えたのは四不象に乗った雛里が答えた。
そう話についていけなかった凪は会話の中にあった単語に思考が追い付かずにフリーズした様だ。
「お師匠様が太公望……宝貝……仙人……」
「うーむ……もう少し、早くにワシの事を話すべきであったか」
そもそも太公望は凪に自身の事も仙人の事も話していなかった。
それを説明しようと思い、まずは道士の事や宝貝の事を話していたのだがその最中に黄巾力士が現れた為に説明は中断され、今に至る。
「やれやれ、お互いの事を話すだけで時間が掛かりそうだのう」
「一度、凪さんを横にしましょう」
呆けてるのか目を開けたまま気絶してるのか判らない凪を休ませようと横にさせる太公望と雛里。
互いの情報交換はまだまだ先になりそうだ。