その土地は海と山に満ちていた   作:エロ漫画博士

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比企谷八幡

「比企谷さーん!冷蔵庫はここら辺でいいんけー?」

 

八幡「あーとりあえず端っこに置いといてください」

 

 

3月10日

 

初春

 

私こと比企谷八幡は石川県珠洲市にあります奥能登の小さな町におります。

え?何故そんな所にいるのかって?

それは話すと長いんですが…

 

 

〜回想

 

 

2月某日

 

立春

 

比企谷父「八幡、来月から1人暮らししろ」

 

???

 

俺の脳内の浮かんだのはとりあえず?だった。へ?この親父は何言っちゃてるの?てかヒトリグラシ?あれかな?借り暮らしのアリなんとかかな?

 

比企谷母「あなた、それじゃ八幡の説明になってないでしょ!実はね私の親戚が旅館を経営しているんだけど人手不足らしいの。それでお父さんがあなたを真人間にする為に行かせようって事になったのよ」

 

箸で掴んでいたブロッコリーがコロコロと転がり落ちていた。

小町も初めて聞いた様子で口をポカーンと開きながら呆然と両親を見ている。

 

比企谷父「そういう訳で向こうの高校に転入手続きをしておいた。部屋の都合もつけてある」

 

八幡「ちょ、ちょっと待ってくれって!は?転入?いや俺はこっちで…」

 

何とか我を取り戻し親父に食ってかかるも親父の凄みのある目力に圧されてしまい、出しかけた言葉は喉の奥へ沈んでいった。

 

先ほどから固まっている小町に目線を向けるとやっと状況を飲み込めたのだろう、平然を装った表情で「ま、まぁごみいちゃんだし?し、仕方ないよね」とつまりつまりながら呟いていた。

 

えーーん

お兄ちゃん小町と離れ離れになるの辛いよー!

 

親父は小さく溜息をつくと

 

比企谷父「引越しは明後日だ。明日1日有効に使いなさい」

 

明日1日有効にって…

一体何すりゃいいんだよ。

 

食べかけのビーフシチューを一気にかっ込み部屋のベットに横たわると真っ先に浮かんだのはあいつらの事だった。

 

八幡「…なんて言えばいいんだよ」

 

雪ノ下雪乃の依頼

由比ヶ浜結衣の依頼

比企谷八幡の依頼

 

 

俺達は本当の意味で繋がって行くことが出来ると思っていたのに…

懊悩に囚われた思考は考える事を許さない様に瞳を静かに下ろさせた。

 

 

 

翌朝

 

 

スズメの朝チュンが静かな部屋に反響していた。毎日思うのだが何故スズメは朝しか鳴かないんだろう?

そんなどうでもいい事を考えながら1階に下りて洗面所へ向かう。

 

歯を磨き寝ぼけた顔を起こすため頭から冷水をぶっかけた。2月の水は震え上がるほど冷たく目を覚ますには十分だが、どれだけ被ろうとも思考が冴えることは無かった。

 

あいつらに何て言えばいいのか思いつかない。明後日には俺はこの町からいなくなる…その事実をどう伝えればいいのか

 

リビングのソファーに腰を落とし天井を仰いだ。今日は何かの記念日らしく学校は休み。赤べこのように項垂れるとスマホの画面がチカチカと光だした。

 

着信の相手は由比ヶ浜からだった

 

八幡「…もしもし」

 

結衣「おはよーヒッキー起きてた?」

 

由比ヶ浜は相も変わらず陽気な声で話している。

 

八幡「あぁ」

 

その明るい声に俺は短くそう伝えると由比ヶ浜は電話口で「…よし」だとか「頑張る」とか小さく呟くと

 

由比ヶ浜「あのね、これからゆきのんと3人で遊びに行かない?せっかくの休日だしさ」

 

いつもの俺ならば二言で「嫌だ」と言っていたかもしれない。しかし今の俺にとってはこいつらと会える最後のチャンス…なら俺が言うべき言葉は決まっていた

 

八幡「別に構わんぞ」

 

予想打にしていなかったのだろう。

由比ヶ浜は電話越しにもわかるくらい驚愕した声色で

 

結衣「ヒッキーが素直だし!?」

 

いやいや、俺だって素直な時くらいあるよ?戸塚と遊ぶ時とか、戸塚と話すときとか、戸塚といる時とか。やべ…全部戸塚だった

 

結衣「それでね、場所はまだ決めてないんだけど…」

 

由比ヶ浜はばつが悪そうに言っていたが、俺にとっては好都合だった。

会えなくなる前に由比ヶ浜との約束、雪ノ下も反対はしないだろうあのテーマパーク

 

八幡「行きたい所がある。舞浜駅で待ち合わせでもいいか?」

 

俺の問いに由比ヶ浜は何かを読み取ったんだろう。一時ほど無言だったがすぐさま「うん、ゆきのんにも伝えておく」と短く返事すると通話を終えた。

 

待ち合わせまで時間はあるが考える時間が欲しかった俺は直ぐに支度をして待ち合わせ場所に向かった。

 

駅に着くと休日らしく人で溢れかえっていたが今日行くのは別の方だ。わりかし新しく出来たとこは海により近く面しており、この時期は静かに周る事が出来るらしい。

 

カバンから文庫本を取り出し時間まで読みふける事にした。タイトルは【秒速5センチ…】これは色々な物のスピードを題材とした物語だ。桜の花弁が落ちるスピード、雨が落ちるスピード、雲が落ちるスピード。

 

 

''人が歩み寄れるスピード''

 

 

暫くすると人混みの中から2人の姿が見えた。

 

雪乃「ん、んん、それで?行きたい場所って?」

 

雪ノ下は何とも途切れの悪い咳払いをし無理矢理空気を変えようとしていた。雪ノ下さん、相変わらず下手ですね。

 

八幡「おぉ、すまん。この前ランドには行ったがシーの方に行ってみたくてな」

 

俺の口からこんなリア充のデートスポットが提案されるとは思っていなかったのだろう。3人は瞬きを忘れ暫しの間固まっていた。いや、舞浜ってそれしかないじゃん?いくら俺でもと思ったが由比ヶ浜が「…うん。皆で行こう」と2人に囁くと俺達は歩き出した。

シーに着くと予想通りと言ったところか。ランドとはうって変わり賑やかと言うよりかは誰しも落ち着いていてゆっくり楽しめるような感じがした。

 

結衣「ゆきのん!海だよ!海!」

 

雪乃「由比ヶ浜さん、そんなに騒がなくてもわかるわ」

 

セントなんたら号の先頭で由比ヶ浜と雪乃はまるでカップルの様に腕を組みながら海面の向こうを見つめていた。

まぁ雪ノ下さんは若干暑苦しい表情してますがね。

 

特になんのアトラクションが乗りたいとかあるわてげは無かったが、由比ヶ浜の走り回る姿に俺達は振り回されていた。

 

八幡「由比ヶ浜、そんなに走ると転ぶぞ?」

 

結衣「ちょ!ヒッキー!私そんなにこど…きゃ!」

 

地面に張った水が凍っていたのだろう。由比ヶ浜はつるんと滑って尻餅をついた。だから言ったのに…

 

結衣「ぅーんーいたいー」

 

八幡「ほれ、立てるか?」

 

無意識でお兄ちゃんスキルが発動してしまった?!あちゃー小町に2人にはあまり発動させるなって言われてたのに。

 

結衣「あ、ありがとう」

 

由比ヶ浜は弱々しく俺の手を取ると頬を薄紅色に染めながらお団子髪をくしくししていた。う、うーん…はちまん187のダメージ。

 

雪乃「なるほど、あーすれば自然に手を…」

 

何か雪ノ下さんがボソボソと言っているが、え?雪ノ下さんも転ぶ気?俺の手2人も繋いだら裂けちゃいますよ?

俺の視線に気付いた雪ノ下はサッと目線を逸らした。ほんのり染まる頬は年相応の色合いで何とも可愛らしい。

 

ぎゅるるるー

 

突然虫が鳴った。

いやさ、何で腹が減ると腹の虫とか変な言い回しをするんだろね?普通に腹がポンポコリンで良いんじゃありません?あ、やっぱりダメですよね。

 

由比ヶ浜と雪乃はお互いの顔を見合わせ「ぷっ」と笑うと瞳に少しだけ溜まった涙を拭いながら優しく呆れるように微笑んだ。

 

雪乃「そろそろお昼にしましょうか」

 

結衣「あ!私行きたい所ある!2人とパスタとかどう?」

 

八幡「俺は構わんぞ」

 

特に昼飯の場所を考えていない俺にとって由比ヶ浜の提案はナイスパスであり雪ノ下も異存はない様子で俺達はゴンドラが見える小さな洋食店に入った。

 

結衣「ここってテラスだし少し寒いんだけどすぐ近くの水辺をゴンドラが通ったりして面白いんだよ」

 

ゴンドラが通るのに何が面白いのか知らんがとりあえず寒い。俺は羽織っていたコートを毛布代わりに足元に広げ寒さを凌いでいた。2人はというとまぁいつも通りぴったんこカンカンさ。

雪ノ下も小言は言うが表情は満更でもなさそうだし、もうゆるゆりしちゃいなよyou!

 

料理が運ばれて来ると、何処からともなく「ゴーン、ゴーン」と鐘の音が響き渡り水辺を進んでいたゴンドラには白の衣装に包まれた男女の姿が見えた。

 

結衣「ふぁー良いな。私もこんな結婚式したいなー」

 

雪乃「確かに素敵な結婚式ね」

 

2人ともやっぱり女の子なんだな。

一色や他の女子と比べ恋愛に興味ないと思っていたが、やはり特別なロケーションには憧れはあるのだろう。

ってあなた達まだ17でしょ?結婚とか早いっての。

 

食事を終えて、また当てもなくぶらぶらと歩いていると何やら由比ヶ浜が気になるところを見つけたらしい

 

結衣「タートルトーク?」

 

どうやらこのアトラクションは亀のベトが観客を巻き込みながらのトークショーをするらしい。中々のユーモアと見た目の可愛らしさに老若男女問わず大人気だという。にしてもベトって…反対から読んだら。いや、考えないでおこう。あいつも一応はムードメーカーらしいしな

 

アトラクション内に入ると劇場型で前方に大きなスクリーンが用意されていた。1番前の真ん中しか空いていなかった為そこに腰掛けると「ぱぱぱぱーん」と音が鳴りアトラクションが始まった。

 

ベト「いやー今日もお客さんがたくさんいてちょー嬉しいぜー!わざわざ俺のトークを聞きに来たって事はお前らー準備はできてるのかー?!」

 

ベトの前振りに観客は「はーい」と大きく返事すると

 

ベト「抱きしめて!銀河の!」

 

観客「…?」

 

おいおいおい!?めっちゃ滑ってんじゃん?!それどっかの銀河系アイドルだよ!?亀じゃねーよ!?

しかしベトは挫ける事を知らない

 

ベト「おいおいおいーそんなんじゃ海のおっとこぬし様に祟られるぜー」

 

ちょい、ベト!ぶっこみすぎだろ?そのうちジブリからつっこまれても知らんぞ?

がこのやりとりはベトを知ってる人に取っては恒例らしい。周りにいる観客からはドッカンドッカンと笑声が響き渡った。え?これって笑うとこなの?

由比ヶ浜と雪ノ下に視線を向けると雪ノ下は首を傾げしかめっ面をしていたが由比ヶ浜は案の定大爆笑。お前の沸点低いな…

 

それから色々と海にまつわる話やベトの話があり、その度にネタをぶっこみ観客大爆笑。あのトーク術だけは素直にすげーと感心した。

 

終わりも近付いてきた頃に観客からベトに対して質問コーナーがあった。

小さい子供が「なんで亀なの?」とかカップルが「今日初デートなんです」とか割とどうでもいい内容だったがベトのトークはそれすらも大爆笑に変えてしまう。まったく恐れ入る…

 

結衣「はーい!はい!はい!」

 

質問も後一つとなった頃に隣にいた由比ヶ浜が大きな声で手を高く上げていた。

 

八幡「由比ヶ浜、ちょっとまて…」

 

さすがにこんな1番前で晒し者になるのは恥ずかしい。何としてでも阻止せねば。と思ったが俺の足掻きは虚しくベトは最後の質問者を由比ヶ浜に決めた。

 

ベト「おー!可愛いカップルじゃねーか!恥ずかしがってねーで手を繋ぎやがれー!」

 

ちょ!ベト?!お前何言っちゃてんの?!俺達は別に付き合…おずおずと由比ヶ浜の方に視線を向けると案の定顔を赤リンゴみたいに染めていた。

隣からは威圧?闘気?剣気?みたいなのが感じれたが気づかなかった事にしよう。

 

結衣「あのねベト、私達まだ付き合って無いんだけど…」

 

由比ヶ浜は一区切りし小さく深呼吸すると

 

結衣「三角関係に素敵な終わり方ってあるのかな?」

 

 

 

 

由比ヶ浜さん?あなた何て爆弾ぶっこむの?会場静まり返ってんじゃん?これだけ人がいるのに森閑としてるよ?

 

しかしさすが口先の魔術師

 

ベト「おいおい!ヒッキー二股してんのかー?!罪作りな男だぜー!そんな奴は帰りにショップで俺の甲羅を買って背負いやがれ!」

 

会場は満場一致で「うんうん」と。

ちょっと待って?なんでベトにまでヒッキー呼ばれんの?外にいるし隣に知り合いいるからヒッキーじゃなくない?

 

俺の心の叫びは虚しくこうしてベトのトークショーは幕を閉じた。

 

永久に閉じてろ!

外に出るとほんの少しの時間でも暗闇にいたせいか太陽の光が眩しく輝いて見えた。まぁ実際くっそ眩しいんだけどな。

 

由比ヶ浜のぶっこみネタを問う事に抵抗があった為敢えて何も聞かず俺達はまた歩き始める。

 

太陽が黄色からオレンジに変わり辺りが黒に染まる頃には銀色の光が地表を照らしていた。

 

夕食も終えた俺達は最後の花火を見て帰ることに決め花火がよく見えると言う事でセントなんたら号の先頭にまた足を運んでいた。

 

結衣「今日は楽しかったね」

 

雪乃「ええ、たまにはこんな休日もいいものね」

 

2人の満足そうな表情に不満などあるはずもない。不満があるとすればそれは俺の…

 

八幡「由比ヶ浜、雪ノ下。話がある」

 

2人は花火が上がる方向を向いていたが俺の方に視線を向けると無垢な笑顔で俺を見つめていた。

 

言わなきゃ…

こいつらだけには言わなきゃ…

 

八幡「実は俺!」

 

 

「ひゅ!ぱーん!」

 

 

夜空に向日葵が音を立てて咲いた。

 

結衣「わーすごいー!」

 

雪乃「ええ、本当ね」

 

「ひゅるるーぱーん!」

 

「どかーん!」

 

花火は次々と夜空に咲き乱れそこにいる全ての人を魅了していた。ただ俺だけには「まだそれを言う事は許さぬ」と言いたげにしている様に感じた。

 

花火が打ち終わると何処からともなく拍手が聞こえてき、俺たちもあわせて手を叩いた。ふと由比ヶ浜が物思いに空を仰ぎ

 

結衣「最後の花火ってね名前を鏡空花って言うんだって。そしてもう一つの名前が死灯花…」

 

その名前の由来は知らない。しかし二つの心の名前が付けられたのには何処か納得がいってしまった。

 

結衣「そういえばヒッキーさっき何言おうとしたの?」

 

雪乃「そういえばそうね」

 

喉まで出かけていた言葉はとうの昔に消え去っており、今の俺には彼女達に伝えられる言葉を持ち合わせていなかった。

 

八幡「…なんでもねぇーよ。電車も混むし早く帰ろうぜ」

 

2人は訝しんだ表情をしていたが渋々納得した様子でシーを後にした。

自宅に帰ると両親は既に就寝しており小町も自室にこもっているようだった。俺はリビングのソファーに腰掛けると盛大にため息をついて天井を仰いだ。

 

八幡「結局言えなかったな…」

 

俺はあの時何て言うつもりだったのだろう?今となってはそれさえもわからない。独り煩悶していた俺に一通のメールが届いた。差出人は一色いろはだった。件名は短く今から葛西臨海公園駅に来いとの一言。いつもとは違った内容に俺は気だるい身体を起こし支度をして駅に向かった。

 

駅に着くと一色は既にそこにいていつも通りのあざとさで

 

いろは「せんぱーいーおっそーい」

 

ときゃるんとしながら俺の腕に飛びついてきた。いやいや、遅いとかいきなり呼び出されて急いで来たんだし大目にみろよ。

 

八幡「で、こんな時間に呼び出して何の用だ?」

 

いろは「ふふーん、まだ秘密です!」

 

一色はいつものあざとらしさでイタズラな笑顔で答えた。

ったく、こいつの将来が心配になっちゃうぞ。

 

葛西臨海公園か、数日前に来た時は雪が降っていたが、今はただ如月の月が澄んだ空気を凍らせ辺りは静寂に包まれていた。夜の公園ってなんかおばけとか出そうではちまん怖い。

 

一色は腕を絡めたまま言葉を発する事なく公園の奥へ進んで行った。時折空を仰いでは白銀に輝く月を見つめ小さなため息をついていた。

 

奥へ進んでいくとクリスタルビューの目の前で一色は足を止め「…よし」と呟くとそのさらに奥へと歩みを進める。

 

あの時とは景色がまるで違ってみえる。当たり前なのかもしれないが視覚的ではなく体感的とでもいうのだろうか…

 

いろは「…能登って魚介が美味しいんですよね」

 

一色の放った言葉に一瞬理解することが出来なかった。一色はこちらを見る事なく遥か海の向こうを眺めていた。

 

何か言わないと、それだけが頭の中を巡ったがなに一つ言葉が見つからず、絞り出す様に俺は「そうか」とだけ答えた。

 

いろは「きっと自然も残ってて綺麗な場所なんでしょうね」

 

実際そんなのしらん。確かに奥能登は自然と生きていると言うくらい絶景などがあるらしいが、今の俺にはさして重要な事では無い。今俺が見ていたのは、いつものあどけない笑顔を見せる一色でなく、大人びた表情で俺を見つめる一色だった。

 

一色はそれから一言も話そうとせず、ただじっと俺の言葉を待っていた。

きっと小町にもで聞いたのだろ…あいつらに言えなかった俺は一色に言えるのか…

 

八幡「…つーかもう遅いし電車無くなったらマズイから帰るぞ」

 

結局言えなかった。一色は一時こそ呆れた様子だったが次の瞬間にはどこか寂しげな表情を見せて「はい」とただ短く答えた。

 

いろは「せんぱい、月が綺麗ですね」

 

八幡「あぁ、そうだな」

 

駅までの帰り道一色は一言だけ囁いた。

 

いろは「こんな時間に呼び出してすみませんでした。せんぱい…さようなら」

 

電車を降りると一色はその瞳に大粒の涙を流していた。

 

八幡「いっ!」

 

「ドアが閉まりますーご注意くださいー」

 

無情にもドアは閉じ言いかけた言葉は一色に届くことは無かった。

 

自宅に帰りシャワーを浴びてベットに横たわると瞼を静かに閉じ眠りに落ちていった。

 

 

比企谷父「着いたら連絡しろよ」

 

比企谷母「身体に気をつけて」

 

小町「…お兄ちゃん」

 

八幡「あぁ、行ってくる」

 

「能登空港行きの便間も無く出発します」

 

 

これから俺の新しい生活が始まる。

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