艦隊これくしょん~雪花幻月~【未完凍結中】   作:幽々やよい

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もう10月になりますね。

新しいアニメも色々と始まります。皆さんは何を観る予定でしょうか。

それはともかく、雪花幻月の最新話も投稿します。


8,疑問

「命中させちゃいます!」

 

 

「グオオオオオオオオオオオ……」

 

 

  電ら、廿日市基地第1艦隊はあれから更に進軍し、『南西諸島防衛線』へと出撃をしている。

  昨日から2日続けて挑戦してみてはいるものの、今一火力に欠け完全に深海棲艦を倒せてはいない。途中で誰かが大破したり等、撤退せざるを得ない状況が続いている。

 

 

  今も戦闘中であるが、なかなか深海棲艦を倒すことが出来ない。押しては押され、押しては押されの状態が続いている。この状況に、暁がとうとう痺れを切らした。

 

 

「あーもう!きりがないわ!」

 

 

「あ、暁ちゃん冷静を欠いちゃだめだよ!」

 

 

「ですが、まだ駆逐艦2隻を倒しただけ……。この状態は非常に芳しくないですね……。痺れを切らしたくなるのもわかります。」

 

 

  いつもは冷静な神通も、これほど倒せないとさすがに焦ってきているようであった。と、その時痺れを切らして集中力が散漫している暁に向かって、敵軽巡から魚雷が放たれていた。

 

 

「あ、暁ちゃん魚雷!魚雷が来てる!」

 

 

「え?きゃあああ!」

 

 

「暁ちゃん!?大丈夫ですか!?」

 

 

  明らかな一瞬の隙を狙われてしまった暁は、今の攻撃で中破レベルの損傷を負ってしまった。しかし、すぐに立ち上がり12.7cm連装砲を構えられる準備をしていた。

 

 

「もう、許さない……許さないんだから!」

 

 

「そんな悠長なこと言ってられないのです!大分危険な状態になっちゃったのです!」

 

 

「もうほとんど弾薬ないですよう!」

 

 

「提督!指示をお願いするのです!」

 

 

  幽は今までの対話や戦闘履歴等を踏まえて考え、このように全員へ伝達した。

 

 

『撤退!敵に注意しつつ撤退しなさい!』

 

 

「「「「「了解!」」」」なのです!」

 

 

  電たちは進度半ばではあるものの、これ以上の戦闘は不可能であるとしてその海域から撤退した。

 

 

 

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「では、今回の反省をするのです。」

 

 

 電たち第1艦隊と廿日市基地の司令官の幽、通信の大淀と開発の明石の八人は、基地内の会議室に集まり今回の作戦の反省会をしていた。

 

 

「海域のデータも大分集まってきたわ。で、今日のを含めた今までの戦績を見ると、やっぱり火力不足は否めない所ね。電たちはどう感じてる?」

 

 

「その通りなのです。もう少し火力があれば、もっと有利に戦線を進められると思うのです。」

 

 

「それと提督、あの海域からは軽空母が現れ始めます。遅かれ早かれ航空戦力の増強も考えていくべきかと。」

 

 

「そうよ!このままだと制空権とられっぱなしになっちゃうわ!」

 

 

「成る程ね~……。明石、重巡、戦艦、正規空母、軽空母の装備って一通りある?」

 

 

「へっ?あ、い、一応一通りありますけれども。」

 

 

「あら、そう。ふーむ……。」

 

 

  第1艦隊からの請願と、明石の発した返答を聞いた上で、今回の案件についてどのようにしていくべきであろうかを幽は熟考していた。ここで執る采配を間違えると、物事が悪い流れへ向き悪循環へと陥ってしまう可能性もある。

  しばらくの熟考の結果、幽はこうきりだした。

 

 

「建造しましょう。戦艦レシピと空母レシピで一回ずつ。少なくとも重巡以上の艦娘は必要になってくるわ。」

 

 

「あ、幽さん、空母の件なんですけど。」

 

 

  幽の言葉に対して、大淀がある情報を付け加えた。

 

 

「先ほど大本営から通達があったのですが、皆さんの軽空母撃沈艦数が基準を越えたので、正規空母赤城が配属されるそうです。」

 

 

「あら、そうなの?」

 

 

「ふーん、そんな報酬とかあるんだ。」

 

 

「一応頑張って軽空母撃沈しといて良かったのです。」

 

 

「じゃあ戦艦か重巡ね。火力を上げるためにもやりましょう。」

 

 

  そして幽は第1艦隊の方へ向き直り、

 

 

「貴女たちも、誰がいつ出られてもいいように訓練しておきなさい。」

 

 

「「「「「はい!」」」」なのです!」

 

 

「あ、神通、教導よろしく。」

 

 

「わかりました。皆さん、それではこのあとみっちりしごきますから。」

 

 

「「「「は、はい!」」」」

 

 

  神通に教導を頼んだ瞬間、駆逐艦全員の顔が固まったのは気のせいであろう。うん、気のせい。

 

 

「大淀さんと電、明石は一緒に来て。」

 

 

「「「はい!」」」

 

 

「じゃあ、一先ず解散。各自自主的に行動しなさい。」

 

 

「「「「「「「了解!」」」」」」なのです!」

 

 

  各々が自分の思う通りに行動し始め、会議室から出て行く。最後まで残っていた三人は、建造をするため建造ドックへと向かった。

 

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「 英国で産まれた帰国子女の金剛デース!ヨロシクオネガイシマース!」

 

 

「 羽黒です。妙高型重巡洋艦姉妹の末っ娘です。よろしくお願いします。」

 

 

「金剛に羽黒ね。この基地の提督の簓雪(ささらゆき)幽よ。よろしく。」

 

 

  2隻の建造の結果、高速戦艦金剛と重巡羽黒が廿日市基地に着任した。

  かなりハイテンションな金剛と少し弱気に見える羽黒、性格的に相反している二人が来たなと幽は直感的に感じた。

  幽がこの基地について詳しく話そうとしたとき、電がいつになく興奮して幽の機先を制し金剛に話しかけた。

 

 

「金剛さん、お久し振りなのです!」

 

 

「オーウ、この声は電ですネ!久しぶりデース!」

 

 

「あら、知り合いなの?」

 

 

「昔、一緒に戦ったことがあるのです!」

 

 

「また一緒に戦えるネー!よろしく頼むヨー!」

 

 

「はいなのです!」

 

 

「羽黒も久しぶりデース!またよろしくネー!」

 

 

「は、はい!よろしくお願いします。」

 

 

  金剛と電、金剛と羽黒がそれぞれ仲睦まじい状態でいるのを見て、幽はあることを考え電に伝えた。

 

 

「じゃあ電、金剛と羽黒に基地内を案内してあげなさい。赤城は明日着任だし、ある程度の期間一通り訓練もしなきゃだからゆっくりでいいわ。」

 

 

「わかったのです!それじゃ、行くのです!」

 

 

「わかったネー!」

 

 

「あ、あの……失礼します。」

 

 

「ええ。また後で。」

 

 

  三人が幽たちに声をかけたあと、幽と大淀は残っていた事務仕事を終わらせるために提督室へ、明石は幽から依頼された改修を終わらせるため工厰に、それぞれ戻っていった。その姿が遠くに離れ角を曲がって完全に見えなくなったとき、金剛がふと呟いた。

 

 

「……何か変ネー。」

 

 

「「え?」」

 

 

  二人は驚いて金剛の方へ振り向く。金剛は先程までの明るい雰囲気ではなく、真顔で、真剣な雰囲気を感じさせていた。だが、二人には今の金剛の言葉の意味が理解できなかった。

 

 

「変なところ……ですか?特に無かった気がするのです。」

 

 

「私も特には……。」

 

 

「ああ、さっきの行動についてじゃないネー。提督自身についてだヨ。」

 

 

「司令官自身……?」

 

 

  電は余計に意味がわからなくなり、頭をひねって考え始めた。が、特に気になるところが思い付かず、余計に首を捻ることになる。

 

 

「うーん……、やっぱりわからないのです。」

 

 

「まあ、私自身も完璧にわかるわけじゃないんだけど。」

 

 

  その前口上を述べてから、金剛はさらにこう続けた。

 

 

「幽提督は『何かを』隠してる。そう感じて仕方がないネー。」

 

 

「隠してる?何でそう感じたんですか?」

 

 

「ごめんネ羽黒、そこまではわからないヨー……。強いて言うなら、勘だネ。」

 

 

「勘……ですか?」

 

 

  二人とも、金剛の言ったことに内心驚いていた。理由が勘だったこともその一つであるが、なぜそのような判断に至ったのかが全くわからなかったからである。

  驚いているままの二人をよそに、金剛はこう続けた。

 

 

「『幽提督は、自身の根幹を成す何かを隠している』。提督と話しているとき、直感的にこう感じたネー。」

 

 

「根幹……ですか。」

 

 

「そう。信用するにも、その人の根幹がわかっていないと出来ない。でも、彼女の場合根幹が見えないから信用したくてもなかなか出来ないネー。」

 

 

「なら、直接聞いたりするのはどうなのですか?」

 

 

「それはNot Goodだヨ、電。確かに踏み込みが必要な時もあるけど、まだ今じゃないネー。」

 

 

  でも、と金剛は言いながら幽の向かっていった方向へ向きを変える。既に幽は提督室へ行ってしまいその姿は無かったが、金剛はおそらく幽が向かったであろう方向を睨んでいた。そして、かなり小さな、近場にいる二人にしか聞こえないくらいの音量で、こう呟いた。

 

 

「いつか絶対に話してもらうヨ、私たちの前で……。」

 

 

  二人は金剛の威圧感におされてしまっていた。基本的に心優しい性格の二人には、こういった精神的威圧が十二分に効いてしまう。そのため、完全に金剛の空気に呑まれてしまっていた。

 

 

 

  そのような空気の中で、電はふと金剛の言っていることがわかった気がした。そもそも、それは電が最初から感じていた事であった。ある意味、これは羽黒よりも幽の近くで圧倒的に長い時間共に過ごしている電だからこそ、答えられたのかもしれない。

  電には、幽について謎に思っている事が二つあった。一つ目が大淀との関係、そして二つ目が幽の『妙な』親近感である。金剛が言っていたのは『根幹に関わる』事なので、二つ目があてはまる。

  電は建造されて初めて幽に会ったとき、少し不思議な感覚を感じていた。「提督と艦娘」という感じよりは、明らかに「同じ艦娘同士」という感覚がしていたのである。その時は何故だろうと思っていたが、気のせいだと片付けてしまい、今の今まで忘れてしまっていた。だが考えてみると、これは普通におかしいことである。

 

 

  「提督=人間」=「艦娘」が成り立つようにすることはできない。それぞれが全く異なるものであるからだ。もしもこの法則が成り立つものがあったとすれば、それは最早異質な存在になってしまう。幽はこれに当てはまってしまう(・・・・・・・・・)。だが、幽は異質な存在ではないと電は感じている。

  ここから、電は金剛が言っていた「自身の根幹を成す何かを隠している」ということの意味に気づくことができた。

 

 

(司令官……。貴女は一体何者なのです……?)

 

 

  電はさっきまで金剛が見ていた、幽が提督室に戻っていった方向の廊下を見ていた。窓のほとんど無いこの廊下は、日が落ちてきたのか先の方が闇で全く見えなくなっていた。電は疑問を抱えた表情のまま、闇の方をじっと、立ち尽くしたまま見つめていた。




自分的に、金剛って普段は英語混じりのハイテンションな口調だけど、いざ真剣な話になると話し方が純日本語に近くなる印象があります。


伊58についての話も、近いうちに投稿するつもりです。


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