ソードアート・オンライン ~銀~   作:六尺様

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どうも六尺です。
キリトとリーシャたちがいきなりパーティ組んでいる描写が
流石に突拍子過ぎると思ったのでこの話を入れました。

そんなに重要な話でもありません。
むしろネタ回に近いものですね。

それではどうぞ。


《剣士キリト》

完全に誤算だった。今世紀……は流石に盛りすぎだが今年のベスト5に入る程度にはやらかしてしまった。そんな風に内心頭を抱えている男剣士がいた。

 

「それじゃあ、よろしく?」

「よろしくお願いします」

 

目の前の二人からそう告げられると、剣士《キリト》はぎこちない笑顔でそれに手を挙げて反応するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃあ、この場にいるメンバーでパーティを組んでみてくれ!」

 

事態を起こした原因がこの一言だった。その言葉を聞くことをなんとなく彼は察していたが、実際そうなると動けないものだと実感する。彼、SAOプレイヤーキリトはため息を吐くのだった。だが、最低誰かとペアを組まなければ攻略には参加できない。仕方なく周りを見回し、他プレイヤーの様子をうかがう。現実は厳しいもので、どうやらここに来たものは元よりパーティ行動をしてきた者が多いらしく、既に集団で固まりつつあった。ああ、なんとなく中学の入学したての頃の光景だなぁ、などと昔の苦い記憶をフラッシュバックさせながら肩を落とす。藁にも縋る思いで、自分の隣にいたもう一人の方に顔を向けた。

 

「………何?」

 

眺める視線に気づく……というよりは視線が来ることを察していたかのように素早い反応が返ってきた。それに対してキリトは少し安堵したように小さな嘆息をする。そして、緊張気味の声で聞いた。

 

「アンタもあぶれたのか?」

 

そう聞くと同時に、相手から鋭い眼光を向けられる。地雷を踏んだかと一瞬腰を引いてしまうも、彼女(・ ・)はそれ以上は何も反応を示さず、視線をキリトから離した。

 

「………あぶれてないわよ。周りがみんなお仲間同士だったみたいだから遠慮しただけ」

 

それをあぶれたっていうんだがなぁ、などと思うが口にはしない。言ったら速攻で肘鉄かブーツのかかとで踏まれるかのどっちかだ。彼女は今日知り合った細剣使い(フェンサー)であり、このアインクラッドにおけるダンジョンで戦ってるのをキリトが発見。ギリギリの戦いを強いられていて、危うく死ぬ寸前で彼に助けられたのだ。なお、彼女は自分が自分であるために戦い、全力を出したうえで死ねたならそれで本望と言っていた。それを見かねたキリトが攻略会議に誘い、自分の目が届く範囲で見守ろうと彼は思ったのだ。

 

「なら俺と組まないか?どっちみ誰かと組まなきゃボス攻略には挑めないわけだからさ」

 

自分の中では、できるだけの客観的な理由をつけたわけだが、それに対する彼女の反応は「そっちから申請するなら組んでやらないこともない」というものだ。思っていたよりも平穏な答えが返ってきて安堵する。そして、仰せの通りにパーティ申請フォームのウィンドウをだし、申請を送ろうと指を伸ばす。

 

「……お?」

 

その指が申請ボタンに触れることはなく、わずか数ミリと言うところで止まった。それを見た彼女が訝しげな顔をする。

 

「……わたしに対して下手に出るのがそんなに嫌かしら?」

 

その誤解に対して「ちがうちがう」と手を振った後に、ある場所を指さした。

 

「……あそこの2人も誘わないか?」

「え?」

 

その場所へと視線を向けると、確かに人影が二つあった。しかも周りにも人はいない。どうやら自分たちのように彼らも周りからはオファーは来なかったようだ。

 

「あそこの2人って……」

「まあ……片方がベータの可能性があるし、できるだけ周りも後々面倒そうなやつとは組みたくないんだろうな」

「そうと分かってるのならなぜ組もうとするの?あなたも疑いをかけられるわよ?」

「んー……平たく言えば4人ならボスへの攻撃を許してもらえるかなって思ってさ」

「……?どういうこと?」

 

彼女には彼の考えが伝わらなかったようだったが、説明は後ですることにし、とりあえずはぐれ仲間を誘うべく足を進める。そして―――

 

「あのー……ちょっといいかな?」

「え?」

 

声を掛けられた2人がキリトの方に向く。一人はやはり、ディアベルが頭を下げているときに周りを鼓舞しつつ場を盛り上げてくれた女性プレイヤーだった。もうひとりも、遠目で既に分かっていたがキバオウの意見に対してベータテスターをかばった人物だった。かばった……というよりその人物は正論をぶつけただけなのだが、キバオウの態度からみて今後彼女に突っかかることは目に見えているだろう。そんなことも思いながらキリトは話を続ける。

 

「良かったらでいいんだが……俺たちとパーティを組まないか?」

「えっと……それはどういった了見で?」

 

2人の内の前者が問う。大した意味はないと首を振り、二人に説明することにする。

 

「単純な理由さ。2人のパーティが2つあるなら、恐らく周りのmob処理をやらされる可能性が高い。まあ、既に7人のパーティが6つ出来上がってるから、4人になったところで望みは薄いかもだけれど……状況によってはボス戦でボスにダメージを与えることが許されるかもしれないだろ?」

 

その言葉に顔を見合わせる2人。暫しの間小声のやり取りが聞こえたのちに、再びキリトの方に二人は向いた。

 

「私たちなら構わないけど……でも、レベルはそんなに高くないわよ?」

「ああ、構わない。パーティを組めば多少のレベル差は気にならないはずだ。ゲームはまだ序盤だしな」

 

彼はそう言うと、後ろの自分の相方を手招きする。交渉が終わったことを告げ、改めてパーティ申請フォームを出す。そして相手からYESの返事をもらい、視界の左上に意識を向ける。そこにはレイドパーティを組んだときに表示されるメンバーのHPと名前があった。ひとりひとりの名前を確認していく。一番上から《Asuna》《Lea》《Rixia》と表記されている。どれが誰の名前なのかはわからないがキリトにとって一人だけ読めない者がいた。

 

Rixia……?リクスィアって読むのか?

ローマ字だとリィアで2番目のLeaと被るから違うか……?

 

そんな風に思考を凝らすが、分からないものは分からない。自己紹介で分かればいいと思い、名乗ろうしたときだった。

 

「そこの4人はパーティを組めたかい?」

 

広場の中心より、聞き覚えのある男性の声が聞こえてきた。見ると、やはりディアベルのものだったようで、こちらに向かって手を挙げている。

 

「あぁ、問題ない」

「そうか!ならこれから攻略の役割分担をするからこちらに来てくれ!」

 

そう言われ、自己紹介は後回しとなる。そして告げられた役割とは……

 

「君たちの役目は6つある隊のうちのひとつ、E隊のサポートをしてほしい。取り巻きとして出現するコボルドを戦っているみんなに近づけさせないようにね」

 

分かってはいたことだが、やはりそうなってしまうと脱力感を感じてしまう。要は、後方でおとなしくしてい欲しいというところだろう。それに対して細剣使いが非友好的な反応を見せたので、キリトはそれを手で制しながらうなずく。

 

「了解だ。重要な役目なんだな」

「ああ、みんなが安全に戦えるように細心の注意を払ってほしい。それじゃ、頼んだよ」

 

まるで歯磨き粉のCMに出てくるような白い歯をキラッとさせ、ディアベルは自分のパーティの場所へと戻って行った。

 

「……どこが重要な役目よ。ボスに攻撃できないじゃない」

「こうなると思って一応パーティメンバーを増やしたんだが……やはり、望みは薄かったかな」

 

2人を自分たちのパーティに引き入れた理由を説明しつつ、彼はうなだれる。

 

「まあ、とりあえずこの攻略会議の後は少し4人でミーティングしよう。お互いの戦闘スタイルってのを口頭で話すだけでもだいぶ違うはずだ」

「……わかった」

「了解よ」

「はい」

「……とはいえ、名前と顔が一致しないのは流石に不便だから、自己紹介だけは済まそう。俺はキリトだ」

 

そう切り出すと、3人は顔を見合わせた。そして次に名乗ったのは……

 

「そうね……私はアスナよ」

 

細剣使いの相方だった。

 

「私はリア、よろしく」

 

次に誘った二人のうちのひとり、ショートヘアの女性からだ。

そして最後に……

 

「初めまして―――」

 

凛とした声が聞こえ、その方向を向く。するとフード姿のもう一人が小さく会釈をし、続ける。この時点でキリトは「ん?」と思った。なぜなら聞こえたのが女性の声(・ ・ ・ ・)だったからだ。

 

「リーシャです、よろしくお願いします」

 

聞き間違いではなかった。口元がマスクで覆われ、若干こもって聞こえる声は確かに女性の声だったのだ。キリトは今の状況を察するやいなや、自分の置かれた立場に絶望した。

 

お、俺はまさか……

 

信じたくはなかった。が、次の言葉が間違いであってほしいと願う心の叫びを跡形もなく吹き飛ばした。

 

「あら、二人とも女性だったのね」

 

悪意もなく、ただ事実を述べた相方の言葉が耳に入る。気軽にパーティを組んだ結果がこれだ。

 

自分以外が女子だけのパーティに入ってしまったのかあああああああ!!!??

 

入ったというより、完全に事態を引き起こしたのは自分であることはわかっていた。勝手にフードの彼女、リーシャが勝手に男だと思い込んでいたのも自分、ボスに攻撃したいという考えを働かせて二人を誘ったのも自分。すべてにおいて、身から出た錆というわけだ。

 

「うん、それじゃあ―――」

 

内心悶えるキリトの心なんていざ知らず、リアがそう切り出しこう言った。

 

「よろしく?」

「よろしくお願いします」

 

 

 

そして今、現在に至る――――。

 

 




というわけでお疲れ様でした。
キリト君が女子に囲まれる回。

まあ、いつものことですね(白目)

茶番も挟みつつ、違和感を緩和できたなら幸いです。
それでは、最新話で会いましょう。

失礼します。
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