エミルとテネブラエはほむらについて行く。
「ねぇ、テネブラエ。魔女の正体は…」
「あくまで予想です。私もソウルジェムが魔女になることは当たって欲しくありません。しかし我々もある意味ソウルジェムと同じものを持っています」
「そうだね…」
しばらくするとほむらの自宅前に着いた。
「はいって」
ほむらはドアノブを回して二人を招く。
「えっと…おじゃまします」
ほむらの家にはいると
「これは…!」
壁と床は白一色に統一されていて大量のモニターが壁に設置されていた。
ほむホーム
「座って」
カラフルな円形のソファが設置されておりその中心にテーブルが置かれていた。
「う、うん」
エミルは適当な椅子に座りテネブラエは椅子に座らずエミルの隣に座る。
「ほむらさん。私が言った推測は合っていますか?」
「えぇ、貴方が言った通りソウルジェムの穢れを限界まで溜めたら魔女になるわ」
「じゃあ今まで僕達が倒した魔女は…」
「みんな魔法少女よ」
ほむらは無表情で告げる。
「そうなんだ…」
「意外ね。慌てたり動揺するかと思ったわ」
「動揺はしているよ。けど、よく考えればなんか納得だなって」
「だからほむらさんはまどかさんを魔法少女にするのを阻止しているのですね」
「えぇ」
「なんでこの事をみんなに話さなかったの?」
「信じるかしら?魔女はみんな魔法少女だって」
「それは…」
「だから話さなかったのよ」
「けど、このまま真実を話さないでいたら…!」
「わかっているわ!」
ほむらは叫ぶ。
「私だってその事はわかっているわ。けど、話しても誰も信じてもらえなかった」
「信じてもらえなかった?」
ほむらはハッとなり口を隠す。
「信じてもらえなかったってどういうこと?」
「何でもないわ」
「何でもないって…けど信じてもらえ-」
「何でもないって言ってるでしょ!」
ほむらは盾を召喚して拳銃を取り出しエミルに向ける。
「わかった。そのことは聞かないことにする」
エミルは拳銃の脅しに怯えずしっかりとした目線でほむらを見る。
「けど、暁美さんは薄々気付いているんだよね?僕とテネブラエはこの世界の人じゃないことを」
「…」
ほむらは目を伏せる。
「テネブラエ。僕達も本当の事を話したほうがいいと思う」
「よろしいのですか?」
「うん」
目を閉じて深呼吸したあと目を開ける。
「僕の名前はラタトスク。この世界とは違う世界に住んでいる精霊。人間じゃないんだ」
「精霊?」
「僕達の世界について話したほうがいいね。テネブラエ。お願いできる?」
「わかりましたラタトスク様」
テネブラエは頷いた。
「私達の世界はマナ…魔法少女でいう魔力が存在する世界です。マナを生む大樹カーラーンからマナを得ていました。そのとき大樹カーラーンに宿った精霊がラタトスク様です。ラタトスク様は我々エイト・センチュリオンを従われて魔物を使役しマナを運ばせて世界中のマナのバランスを保たせています」
「それがエミルなのね。」
「うん。けど僕の世界には別の世界と繋がっているんだ」
「別の世界?」
「ニブルヘイム。魔族が住んでいる世界で我々の世界を侵略しようと企んでいました」
「だから僕はギンヌンガ・ガップに扉を作って封印して魔族の侵略を阻止した」
「しかしシルヴァラントとテセアラという大国が魔科学というマナを使った兵器で戦争を起こし大樹カーラーンが枯れてしまいました」
「それじゃあ…貴方達の世界は…」
「いえ、ニブルヘイムに侵略はされていません。その危機を救ったのは英雄ミトス。彼は大いなる実りを発芽させ大樹を復活させようとしました。そのときシルヴァラントとテセアラの二つを分裂されマナを奪い合うことで世界を維持しようと考えました。我々センチュリオンとラタトスク様は大樹の復活を信じて眠りにつきました」
「それでその世界は奪い合ったまま?」
「いえ、800年の時が流れて再生の神子コレットとその仲間達により大樹は復活し二つの世界は再び一つになりました」
「僕は大樹を枯らした人間とハーフエルフを憎んだ。そのときギンヌンガ・ガップに来た人がいた」
「来た人?」
「人間とハーフエルフ。僕の憎むべき存在。彼らは僕に本来の役目を果たして欲しいと頼んだ。けど僕は彼らの言葉に耳を貸さずに人間を殺した。それに激怒したハーフエルフに僕は殺された」
「殺されたのなら…」
「それに関してはご安心ください。我々センチュリオンとラタトスク様は肉体がなくなってもコアという宝石に戻ります。」
「宝石ってことは…」
「そう、僕とテネブラエ…センチュリオンと精霊は元々、肉体がない存在なんだ」
ほむらは肉体がない存在だと言われて驚く。
「僕はラタトスクの力が復活するまで記憶を無くしてギンヌンガ・ガップに来た人間の肉体を生成した。そして僕が狙われないように偽物のラタトスク・コアを造った」
「偽物?」
「マルタ…僕の好きな人の額に偽物のラタトスク・コアを埋め込んだんだ」
エミルは手をかたく握る。
「僕は最低なことをした!マルタに偽物のラタトスク・コアを埋め込んで僕が狙われないようにして!」
「けどそれは貴方が狙われないためだから仕方な-」
「そういう問題じゃない!」
エミルはほむらを睨む。
「記憶が甦るまで僕もマルタの額にあるラタトスク・コアが本物だとずっと信じていた。だけどそのせいでマルタは命を狙われた」
奥歯を噛み締める。
「僕は最低な精霊だ。ラタトスクの力が復活するまでずっとマルタが狙われるようにして…」
「エミル…」
「それでもマルタは僕のことを恨んだりしなかった。マルタはラタトスクである僕を受け入れてくれた」
握りしめた拳をほどく。
「僕は仲間と一緒にギンヌンガ・ガップに行き再びギンヌンガ・ガップの扉を閉じた。あるべき世界に戻すために」
「あるべき世界?」
「僕の世界は元々マナはなかったんだ。世界中のマナを集めて世界がマナがなくても大丈夫な世界に変えた。そのマナを使ってニブルヘイムに続く扉を守り続ける」
「それが貴方の役目なのね」
「うん、1000年という長い年月を経て僕達の世界はあるべき姿に戻った」
そう言ったあとエミルは浮かない顔になる。
「それから事件が起きたんだ」
「事件?」
「ギンヌンガ・ガップの扉を護っているとき別の異次元が現れた。そのとき僕の力がその異次元に吸い込まれた」
「…!」
「そのとき僕の体内にあるもう一人の僕がギンヌンガ・ガップに残ってテネブラエを使って僕を探させた」
「ラタトスク様を見つけるのに10年もかかりました」
「…」
ほむらは黙ってしまう。
「暁美さん?」
「私のせいだわ…私がエミルを…ラタトスクをこの世界に呼んでしまった」
「巻き込んだ?」
「私も真実を話したほうがいいわね」
「真実?」
「私はまどかを救うために何度もこの時間軸を繰り返しているの。」
「鹿目さんを救う?」
「私はまだ魔法少女ではない時まどかに助けられた」
「けど鹿目さんは魔法少女じゃ-」
「えぇ、この時間帯では『まだ』魔法少女じゃない」
「一体どういう…」
エミルは理解出来ていない。
「私の能力は時間操作する魔法。時間を止めたり過去に戻ったりすることが出きるの」
「そんな魔法が存在するとは…」
テネブラエは驚いていた。
「私が魔法少女じゃない頃。魔女に襲われているときまどかに助けられた。私はまどかみたいな魔法少女に憧れた。けどワルプルギスの夜の戦いでまどかは死んだ…」
ほむらはうつむく。
「私はまどかの力になりたくてインキュベーターに契約して魔法少女になった。」
「インキュベーター?」
「貴方達がキュゥべぇと呼んでいる知的地球外生命体よ。」
「それがキュゥべぇの正体…」
「私はまどかの力になりたかった。けどワルプルギスの夜と戦う度にまどかは死んだ。だから私はまどかを魔法少女にさせないようにして私がワルプルギスの夜を倒せばまどかは死なずにすむと考えた。」
「それで何度も時間を…」
「私はただまどかを助けたいだけ!なのに何度も時間を繰り返しても勝てない」
涙をぽたぽたと流す。
「もう私はどうすればいいかわからない!けど、まどかを魔法少女にさせないでワルプルギスの夜を倒さないといけない」
ほむらは涙を拭いた。
「だから私はたとえ何度繰り返すことになっても必ずまどかを守ってみせる」
「(暁美さん…鹿目さんのために何度も一人で…)」
ほむらの真実を聞いたエミルは立ち上がり彼女に近付く。
「暁美さん。僕にもワルプルギスの夜を倒す協力をさせてほしい」
「協力?」
「僕は暁美さんの力になりたい」
「私のせいで貴方はこんな戦いに巻き込まれたのよ?恨んだりしないの?」
エミルは首を横に振る。
「僕は一人で戦ってきたわけじゃない。マルタ、テネブラエ、ロイド…仲間がいたから今の僕がいる。だから僕は暁美さんの力になってワルプルギスの夜を倒したい」
はっきりとした声でほむらに言う。
「次にワルプルギスの夜と戦うときは一人じゃない。僕が側にいて一緒に戦う。そしてワルプルギスの夜との戦いを終わらせる」
「本当に一緒に戦ってくれるの?」
「うん」
「私は一人じゃない?」
「僕が一緒に戦う」
エミルは手を差し出す。
「一緒にワルプルギスの夜を倒そう」
ほむらはゆっくりと手に触れるとエミルは彼女の手を握りしめる。
「私はもう一人で戦うことはないんだね…」
「うん。」
「まどかが魔法少女にならなくていいんだよね…」
「僕が鹿目さんの代わりに戦う」
「これで…ワルプルギスの夜との…戦いを…終わりにして…くれるのよね…」
ほむらは泣きそうになる。
「我慢しなくていいよ。」
「だめ…私はもう泣かないって…」
「溜め込むのはよくないよ。ときには吐き出そう」
「う、うぅ…」
「僕が側にいるから…」
ほむらは我慢できずエミルに抱き付いた。
「うぇぇぇぇん!」
ほむらは泣き出してエミルは彼女を抱き締めて頭を撫でる。
「ごめんなさい…はしたないところを見せて」
「気にしないで」
「ねぇ、ラタトスク」
「エミルでいいよ。」
「ならエミル」
「なに暁美さん?」
「これから一緒に戦うから名前で呼んでほしい」
「えっと、ほむら…さん?」
「呼び捨てでいいわ」
「なんていえばいいかな…癖?まだ呼び捨てでは言えないかな」
「貴方がそういうなら構わないわ」
エミルは離れようとしたらほむらは抱き付いたまま離さない。
「ほむらさん?」
「もう少し…このままでいいかしら?」
「う、うん…」
「誰かに抱き締めてもらうのは久しぶりね…暖かい」
ほむらは力を強めて抱き付いた。
「これでまどかを救える」
「いや、みんなを救うんだ」
「そうね…みんなを救いましょう」
ほむらはこの戦いで全てを終わらせる事を胸に誓った。
エミルと一緒にワルプルギスの夜を倒すため
後半は少し急すぎでした?