魔法少女まどか☆マギカ ラタトスクの騎士   作:如月ユウ

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21話 はじめから強者はいない

「さやかちゃーん」

 

さやかは一人で登校していると背後からまどかと仁美が走ってくる。

 

「さやかさん。昨日お休みになられましたが大丈夫なのでしたか?」

 

「う、うん。昨日はちょっと風邪気味だったけどもう大丈夫だよ」

 

「本当ですか?」

 

「そりゃもうバッチリ!」

 

さやかは心配かけないように笑顔をみせる。

 

「(さやかちゃん…)」

 

「(大丈夫だよまどか。もう立ち直ったから)」

 

「あれは上条君?」

 

恭介が松葉杖を使って歩いていた。

 

「上条君。もう学校に来られるようになったのですか?」

 

恭介が校門にはいるのを後ろで見ていた。

教室にはいると恭介はエミルを含んだクラスメイトと話していた。

 

「上条、退院したばかりなのに学校来て平気なのか?」

 

「家に込もってたら運動にならないからね。リハビリもかねて松葉杖で登校するよ」

 

「恭介、時間あればまたバイオリンきかせて」

 

「もちろんだよエミル」

 

まどか達は恭介が話している姿を遠くで見ていた。

 

「ほら、さやかちゃんも行けば?」

 

「わ、私はいいかな」

 

さやかは遠慮しがちでいる。

その様子をみた仁美は何か考えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後

 

「さやかさん」

 

授業が全て終わりさやかはマミと合流しようとしていたら仁美に呼ばれる。

 

「どうしたの仁美?」

 

「もしよろしければ放課後少しお時間よろしいでしょうか?」

 

「わかった。ごめんまどか、マミさんに遅れるって伝えてくれないかな?」

 

「わかった。私達待ってるね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ファーストフード店

「それで話ってなに?」

 

「実は…恋の相談なのです」

 

「恋?」

 

「実は私…上条君のことずっとお慕いしていました」

 

「えっ?」

 

突然、恭介のことが好きだと言った。

 

「仁美が恭介を?そっかー恭介も隅に置けないね」

 

アハハと笑って誤魔化す。

 

「最初は遠くから見るだけでしたが一緒に過ごしていくうちに上条君に想う気持ちがどんどん強くなりました」

 

「へ、へぇ~」

 

「さやかさんは上条君のことどう思っていますか?」

 

「どうって…ただの幼馴染みだけど?」

 

幼馴染みなのは本当である。

幼少期の頃から恭介と一緒に過ごしている。

さやかも一緒に過ごしているうちに恭介を幼馴染みから異性として見るようになった。

しかしその気持ちを今も伝えられずいた。

 

「私は自分に嘘をつきたくありません。さやかさんあなたは本当の自分と向き合えますか?」

 

「私は…」

 

「あなたは上条君を見つめていた時間は私より長いですし上条君が入院していたときもあなたが上条君の支えになっていた。だからこそ、私よりさやかさんが先に越す権利があります」

 

まるで宣戦布告をするように言う。

 

「明日の放課後に上条君に告白します。丸一日だけお待ちします。その間にさやかさんは自分の気持ちを決めてください。それでは失礼します」

 

仁美は立ち上がり頭を下げるとそのまま出た。

気が付いたら自宅のマンションまで歩いていた。

マンションの自動ドア前にはまどか達がいた。

 

「さやかちゃん…どうしたの?」

 

「私…後悔しそうになった。あのとき仁美を助けなければ良かったって」

 

「仁美ちゃんを?」

 

「仁美が恭介の事が好きなんだって」

 

さやかが泣きそうになりまどかはさやかを抱きしめる。

 

「私…最低だ。マミさんやエミルみたいに正義の味方になりたかったのにこれじゃあ正義の味方失格だよ…」

 

「さやかちゃん…」

 

「どうしようまどか…このままじゃ恭介が仁美に取られちゃうよ…」

 

泣くのを堪えられず涙を流してしまう。

まどかもそのまま抱き付かれたまま涙を流す。

エミル、マミ、ほむら、テネブラエはなにも出来ず涙を流す二人を見守るしかなかった。

しばらくして泣き止んださやかは涙を拭いた。

 

「ありがとうまどか…もう大丈夫だから」

 

「さやかちゃん、今日は魔女退治は休んだほうが…」

 

「昨日休んだから今日はちゃんと魔女退治に行く」

「けど、さやかちゃん…」

 

「今は美樹さやかの意思を尊重しましょう」

 

「ほむらちゃん…」

 

「悩んでいるより身体を動かしたほうが多少マシになると思うわ」

 

「ありがとう転校生…」

 

さやかは自分の頬を叩いて気合いをいれる。

 

「よーし!昨日休んだから今日はしっかり魔女退治するわよ!」

 

さやかは先ほどとは打って変わりいつものも表情に戻る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魔女の結界

魔女は触手を全方位から攻撃する。

 

「きゃ!」

 

「あいつ…強い」

 

接近戦が得意な二人は魔女の触手により近付けなかった。

マミとほむらは銃を使い遠距離から撃つ。

 

「エミル、美樹さやか。あなた達はまどかを守って」

 

「魔女は私達に任せて」

 

「はい!」

 

エミルはうなずいたがさやかは首を振る。

 

「私だって!」

 

地面を蹴り接近するが魔女は触手を使いさやかを捕らえる。

 

「さやかちゃん!」

 

触手が一瞬でバラバラになる。

さやかは杏子に抱えられていた。

 

「佐倉さん!」

「ったくマミ、自分の後輩はちゃんと助けろよ」

 

さやかを地面に置くと槍を構える。

 

「さやか、手本を見せてやるから…」

 

「邪魔しないで…」

 

再び魔女に接近した。

触手が襲いかかるが斬り捨てて魔女を斬る。

魔女は真っ二つになるがその間から触手が現れてさやかを突き刺す。

 

「ふふ…」

 

さやかは不敵に笑う。

 

「はは…はははは!ほんとだぁ…その気になれば痛みなんて簡単に消しちゃえるんだぁ…」

 

笑い続けながら何度も斬りつける。

 

その姿は狂気に満ちていた。

 

「(このままじゃ美樹さんが…!)」

 

「マミさん!美樹さんをここまで引っ張ってください!」

 

「え、えぇ」

 

エミルの指示でなんとか我にかえりマミはリボンを使ってさやかを拘束する。

さやかは無理矢理壊そうとしたがマミはリボンを引っ張り魔女から離した。

 

「マミさん邪魔しないでください!」

 

「駄目よ美樹さん。今のやり方じゃ無駄に魔力を消耗するだけよ」

 

「けど!」

 

「美樹さやか。今のあなたが出来るのはエミルの戦い方を見て覚えることよ」

 

ほむらは冷たく指摘する。

 

「くっ…」

 

拘束されて何も出来ないさやかはエミルが戦う姿をただ見るしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エミルside

今回の魔女は強い。

魔女は崖にいるから一方通行の道のりしかない。

触手が僕に襲いかかるが最小限の動きと触手を斬りつけながら魔女に近付く。

 

「『穿孔破』!」

 

斬り上げたあと魔女に突き攻撃をする。

真上から触手が降り注ぐ。

「『魔神閃光断』!」

 

跳躍して触手を斬り上げ、着地すると同時に斬り下げて衝撃波を放つ。

 

「『降魔穿光脚』!」

 

二回斬りつけたあと跳躍し急行下して蹴り衝撃波を放つ。

最後の蹴りが効いたのか結界がなくなり魔女は消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あげるよ」

 

エミルからグリーフシードを受けとるとさやかは杏子に投げた。

 

「それが目的なんでしょ?これでさっきの借りはチャラ。」

 

「おい、さやか」

 

「行こうまどか…」

 

さやかは変身を解くとふらふらしていた。

 

「さやかちゃん!」

 

まどかは崩れそうになるさやかを支える。

 

「ごめんまどか…ちょっと疲れちゃった」

 

まどかの肩を借りながら歩く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バス停

外は雨が降っておりまどか達バス停に雨宿りしていた。

「さやかちゃん…こんなのないよ。痛くないなんて嘘だよ…さやかちゃんのためにならないよ」

 

「私のため…?」

 

さやかはゆらりと立ち上がりソウルジェムを取り出した。

 

「今の私はこんな石ころなんだよ?何が私のためなの?」

 

「それは…」

 

「良いよねあんたは素質があって。けど私は素質なんてないからあぁするしかないの」

 

「それは違う」

 

エミルはさやかの言葉を否定した。

 

「僕だってはじめて戦いをしたときは剣の握り方さえ知らなかった。何度も戦いを経験して剣の握り方や振り方を覚えてようやく技を収得した」

 

素質ではなく経験の問題だとエミルは言う。

 

「僕やマミさん、ほむらさんは何度も戦いを経験をしてようやく今のように戦えるようになった」

 

「自慢なの?自分は戦えますって言いたいの?」

 

「美樹さんから見てそう思うよね…けど僕は美樹さんがあんな風にボロボロになりながら戦う姿は見たくないんだ。ここにいるみんなが美樹さんがボロボロになるのを見てとても悲しんだ」

 

まどかはさやかはボロボロの状態で魔女と戦っている姿を見ていて耐えきれず泣いてしまった。

 

「僕はそんな風に戦わせたくない。だから僕が戦い方を教える」

 

さやかは何も言えなくなりバス停から出た。

 

「待ってさやかちゃ…」

 

「離せよ」

 

腕を掴もうとした手をはたいた。

 

「あんたみたいなのが一番ムカつくんだよ。何も出来ないくせに」

 

そう言って雨の中を走り去る。

まどかはその背中を追いかけることは出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「(私…最低だ!まどかにあんなひどいこと言って!)」

 

本当は言いたくなかった。

エミルが言ったことは正しかった。

けどそれを拒んで意地を張っていた。

 

「(これじゃあみんなに顔会わせることなんて出来ない)」

 

さやかは無我夢中に走る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

背後から腕を掴まれ後ろを振り向くと

 

「やっとつかまえた」

 

エミルがさやかの腕を掴んでいた。

 

「エミル…?」

 

「さっきは言いすぎた。それに関してはごめん」

 

「なんで謝るの?エミルが言ったことは正しいんだよ?」

 

「そのせいで美樹さんを追い詰めた。本当はこんな風に言いたいなくなかった。」

 

「エミル…」

 

「帰ろう。みんな美樹さんを待ってる。」

 

さやかの手を握り歩こうとした。

 

「美樹さん?」

 

「ごめん…今はまだ頭冷やす時間がほしい」

 

一歩も動かずうつむいていた。

 

「わかった…けど僕も一緒にいる」

 

さやかはうなずくと二人は雨の中を歩いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分前

「あんたみたいなのが一番ムカつくんだよ。何も出来ないくせに」

 

そう言ってさやかは雨の中を走り去る。

まどかはその背中を追いかけることは出来なかった。

 

「さやかちゃん…」

 

「テネブラエ、みんなをお願い」

 

「エミル様?」

 

エミルは走り出しさやかを追いかけた。

ここで追いかけなかったら後悔してしまうと思ったからだ。

 

「美樹さんどこ行ったんだ?」

 

雨に打たれながらさやかを探す。

さやかが走ったあとすぐ追いかけたからそう遠くには行かないはず

 

「いた!」

 

目の前にさやかがいた。

エミルはさやかの背中を追いかけてようやく手が届いた。

 

「やっとつかまえた」

 

「エミル…?」

 

さやかは少し驚いた顔をしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇエミル…」

 

「なに?」

 

さやかはエミルに手を引っ張られながら歩いていた。

 

「なんで私を追いかけたの?」

 

「友達を助けるのに理由は必要?」

 

「友達?」

 

「友達は助け合うものでしょ?だから美樹さんを追いかけたんだ」

 

さやかのほうを見ないで前を歩く。

 

「よく…わかんない」

 

それからは無言になり雨の中を歩き続けた。

 

雨が止んで空が明るくなる。

 

「雨…止んだんだ」

 

「そうだね」

 

雨に打たれ続けてた二人の制服はずぶ濡れだった。

 

「今から家に帰る?」

ふるふると首を横に振る。

「わかった」

 

エミルはさやかの手を離さないでいた。

今、離せばさやかは一人で魔女と使い魔退治に行くからだ。

ソウルジェムが穢れて魔女になるのだけは絶対に阻止したい。

 

「これ飲んで」

 

「ありがとう…」

 

自販機で暖かい飲み物を購入してさやかに渡した。

 

「暖かい…」

 

一口飲むと身体の内側から少しづつ暖まる。

 

「さすがに夜からずっと歩いてたから眠い」

 

エミルはあくびを噛み殺す。

 

「ごめんエミル…私のわがままに付き合って」

 

「僕が勝手に来たから気にしないで」

 

エミルは眠気覚まし用の缶コーヒーを飲む。

 

「(なんでエミルは…私を…)」

 

さやかはわからなかった。

無茶な戦い方をしてあんな酷いことを言ったのになぜエミルは追いかけたのか。

 

「(それに…)」

 

今もさやかの手をずっと握っていた。

 

「(なんでずっと手を握ってるの?私はどこも行かないのに…)」

 

もし離せば勝手にどこかに行くとエミルは思っていたがさやかはその事は知らない。

 

「(エミルの手…暖かい。雨が降ってるときでもエミルは私の手を離さないでくれた)」

 

「恭介じゃなくてエミルだったら…」

 

「えっ?」

 

「あっ」

 

思っていたことを口にしていた。

 

「何が恭介じゃなくて僕がなの?」

 

「いや…その…何でもない」

 

エミルはこれ以上聞かなかった。

さすがに歩き続けたのでベンチを探して見つけると座る。

 

「学校サボっちゃったね」

 

「私は一昨日もサボちゃった」

 

「今から行けば遅刻で済むかな?」

 

「多分、先生に怒られるわね」

 

「どうする?」

 

「サボろっか」

 

さやかの提案でサボることにした。




同じ道を辿ったエミルだからこそさやかの気持ちがわかる
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