さやかの魔女化は阻止出来ません
エミルは後悔した。
さやかが告白したあとすぐ捕まえておけば良かったことを
魔女の結界
エミルは使い魔を斬り捨てる。
さやかを追いかけるのに夢中になり魔女の結界にのまれているのに気が付かなかった。
すぐさまラタトスクの騎士に変身して使い魔を攻撃した。
使い魔は二人の周りをただ回っているだけで攻撃してこない。
「はぁぁぁ!」
さやかも魔法少女に変身して使い魔を斬り捨てる。
「(あのときすぐ捕まえておけば…!)」
魔力を使えばソウルジェムが穢れる。
グリーフシードがない状態ではさやかのソウルジェムが危ない。
使い魔がいなくなると結界が消えて立体駐車場に戻る。
さやかは変身を解くと倒れそうになる。
「美樹さん!」
エミルはさやかに駆け寄る。
「大丈夫…」
足を動かそうとしたがふらついてしまう。
「その身体じゃ無理だよ。ほら、僕が肩貸してあげるから」
エミルがさやかの腕を肩に乗せる。
「ありがとう…」
二人は駐車場から出た。
「美樹さんもうやめよう。これ以上は…」
「私は魔法少女だから…魔女と使い魔を倒さないと…」
「だからって」
「うるさいな…」
エミルの肩から離れる。
「私のこと放っておいて」
さやかは一人で歩きエミルはそれについていくしかなかった。
電車の車内
「(なんで…エミルはあたしに付きまとうの?あたしを優しくするの?)」
さやかは理解出来なかった。
突き放すことを言ったのに
文句一つ言わずさやかのことを心配していた。
「(恭介のときも戦っているときもエミルは側にいてくれた…)」
自分がしてきたことに嫌気が差してきた。
「(お願いこれ以上優しくしないで…でないとあたし…あんたのこと…)」
「言い訳しちゃダメっしょ。稼いだ分は全部貢がせないと」
「女は人間扱いしちゃダメっすね。犬なんかと思って躾けないとアイツもそれで喜んでいるし、ちょっと油断するとすぐ付け上がって籍入れたいって言うから」
派手なスーツを着た男性二人が話していた。
「甘やかすのは禁物よ。テメーみたいなのが10年後も同じ額を稼げるっかっての」
「(なにあいつら?女を犬みたいに?それにその女の人はあんたのために…)」
他人のために戦っているさやかにとっては聞き捨てならない話だ。
「捨てるときもしつこいんすよね。それに辺ショウさんは羨ましいっすよ。俺も-」
「ねぇ」
さやかが男性二人の前に立っていた。
「その人のこともっと詳しく教えてよ」
「お嬢ちゃん一人?ダメだよこんな遅くまで夜遊びは?」
「その人ってあんたを喜ばせようとして頑張ってたんだよね?役に立たなくなったら捨てちゃうの?」
「なあ、知り合い?」
「いや…」
「ねぇ、この世界って守る価値なんてあるのかな?教えてよ?でないとあたし…」
「美樹さん」
ソウルジェムが輝き出す前にエミルがさやかの腕を掴む。
「すみません。彼女、今日は色々ありまして。あと夜遅くまでお仕事お疲れ様です」
早口で言って別の車内に移動する。
「彼氏君?」
「さあ?」
別の車内
「何しようとしたの?」
「あんたには関係ない」
「魔法少女になろうとしたでしょ?」
「いいじゃん別に…」
「僕達が戦う相手は魔女と使い魔だよ」
「あいつら女を犬みたいに扱う最低なやつらだよ?あのまま放っておいたらあいつのために頑張っている女の人が捨てられるんだよ?」
「だけど僕達が介入するには理由が足りない。それにあの人達にも家族がいる」
「なら無視しろって言うの!」
「僕だってどうにかしたい。けど殺したらあの人達の家族だって悲しむ。その後悔する。なんであのとき殺してしまったのかと」
「(エミル…そこまで考えて)」
「ごめん…」
さやかの頭を撫でた。
「わかってもらえたなら十分だよ」
駅のホーム
電車を降りるとさやかはエミルの肩に寄っ掛かるように座っていた。
「エミル…」
「なに?」
「なんであんたそんなに優しいの?」
「優しくなんかないよ。僕は臆病なだけ」
「臆病?」
「友達が傷付くのが嫌なんだ。何も出来ないのが嫌なんだ。だからは僕は自分が傷付いても助けたいんだよ」
「それじゃあんた自身救われないじゃない」
「救うとか救われないとかの問題じゃないんだ。大切な人が守れればそれで十分だよ」
自分がいた世界ではマルタ、テネブラエ、リヒター
今いるこの世界ではまどか、さやか、ほむら、マミ
エミルは多くの人に支えられて生きてきた。
それを失うのが何より怖かった。
それらを守りたいからラタトスクの力を甦らせた。
「そっか…」
さやかは納得した。
彼女は他の人を助けたい。ただそのことだけを考えていた。
エミルは違った。
彼は相手がどういう風にすれば救われるの考えていた。
似ているようで違う。
「やっぱりエミルは優しいね」
「だから僕は…」
「優しいよ。だってあんたはあたしのこと追いかけてくれた。恭介に告白する後押しをしてくれた。電車で会ったあいつらを殺そうとしていたあたしを止めてくれた…それってあたしのことを思ってやったことだよね。あたしが傷付くのを見たくないからだよね?」
一度話し出したらもう止まらなかった。
「あたし…そんな優しいエミルが…」
ホームの階段から足音が響く。
それは慌ただしく大きい音だ。
「やっと…見つけた」
杏子が息を切らして駅のホームから現れた。
「また美樹さんを?」
エミルは立ち上がりさやかを守ろうと前に出るが
「違う!私はさやかを助けにきた!」
「助けに?」
「ほむらから連絡があったんだ。さやかが危ないから助けてほしいと」
少し疑問に感じたがほむらから言われてきたのならば信用は出来る。
息を切らして来たのが何よりの証拠だ。
「わかった。美樹さんにグリーフシードを渡して」
「ほら、さやかこれ使え」
「もういいの…」
グリーフシードを渡そうとしたがさやかはソウルジェムを見せると
「お、おい…これ…」
「そんな…」
彼女のソウルジェムは黒く染まり穢れていた。
「杏子…前にあんたが言ったよね。誰かを幸せを願った分、他の誰を呪わずにはいられないって。私達魔法少女はそういう仕組みだったんだよ」
そう言って立ち上がる。
「でもね。それでもエミルはあたしのことを助けてくれた。あたしはそれだけでもう十分なの…」
魔女になるのを覚悟したさやかはエミルに笑顔を見せた。
「ありがとうエミル…こんな馬鹿なあたしを助けてくれて…」
一筋の涙がソウルジェムに触れた。
それが彼女の最後だった。
さやかを中心に突風が吹き飛ぶ。
「うわぁぁぁぁあ!」
「さやかぁぁぁぁぁ!」
さやかファンのみなさん本当にごめんなさい
彼女は魔女になる運命なのです
でも安心してくださいさやかの救済はあります