突然エミルが倒れた
「エミル!」
ほむらはエミルの肩を掴んで揺する。
「エミルしっかりして!」
「エミル君!」
ほむらの声でまどか達はエミルの元に行く。
「契約した際、体力を消耗して疲れが溜まったのでしょう」
「エミル君を休ませましょう」
ほむらとマミはエミルの腕を肩に乗せて歩きはじめる。
マミホーム
エミルをベットに寝かせた。
「私…さっきまで駅にいたんだけど…」
「私が説明するわ」
ほむらはさやかが魔女になった後の行動を伝える。
「私…魔女になったんだ」
「美樹さやかを救ったのはエミルよ」
「エミルが?」
「それに関しては私がご説明します」
テネブラエはエミルの正体と自分の世界。ラタトスクとの契約を説明した。
「(あのとき来たのはエミルだったんだ…)」
「エミル様がさやかさんを召喚しましたのでさやかさんはエミル様の配下かもしれませんね」
「配下?」
「つまりエミル様のものということです」
「私が…エミルの…」
さやかは驚きを隠せなかった。
ソウルジェムが穢れて魔女に変貌したらエミルと契約して配下になった。
一度に色々なことを説明されて頭が追い付かない。
「テネブラエさん。そんな言い方はないかと」
「そうですね。申し訳ありませんさやかさん」
「べ、べつに気にしてないよ。エミルが助けてくれなかったら私、魔女のまま終わってた」
「さやかちゃん…」
「それとごめんまどか!」
さやかは頭を下げた。
「あのとき意地張ったせいでまどかを傷付けた」
「さやかちゃん、私…」
「ごめん!本当にごめん!」
さやかは頭を下げたまま謝る。
「ごめんねさやかちゃん。私、さやかちゃんのこと思ってたのにさやかちゃんのこと傷付けたちゃった」
「まどか…」
「さやかちゃん…こんな私でも友達でいてくれる?」
「うん…当たり前じゃない…」
さやかはまどかに抱き付く。
「私達…小さい頃から友達じゃん」
まどかはそれが嬉しくて泣いてしまう。
悲しいことが起きてでる涙ではなく嬉しくて本当に良かったと安心してでる涙。
「(あたしって…ほんとバカ…)」
あのとき仁美の宣戦布告で自棄になり魔女の戦いで足を引っ張らないようにしたがそれが逆効果だった。
みんな心配していたのに意地張って拒んでいた。
「(エミルのおかげだ…エミルがいてくれたから…)」
静かに涙を流す。
「(ありがとうエミル…こんな馬鹿なあたしを助けてくれて…)」
さやかside
あの後落ち着いてマミさんの家を出た。
家に帰ったら当然怒られましたが
疲れが溜まっていたので今はベットに横たわっている。
「なんか久しぶりに帰った気分ね」
自暴自棄になってまどかを傷付けて最低だな…あたし。
「それでもエミルは私を助けてくれた」
エミルは私の側にいてくれた。
「勇気は夢を叶える魔法」
思わずエミルから貰った言葉を口にする。
最初は勇気が魔法になる訳ないって思ってたけど今なら分かる。
この言葉はとても素敵な言葉だなって。
「奇跡はわからないけど魔法はあるんだね」
明日エミルに聞いてみよう。
この言葉はエミルが考えた言葉なのか。
翌日
マミホーム
「佐倉さん、エミル君をお願い出来る?」
「任せとけってマミ」
エミルはベットに眠ったまま目覚めなかった。
エミルのことを杏子に任せてマミは学校に向かう。
「契約って体力使うんだな」
「エミル様との契約は本来魔物とするのです。魔女というイレギュラーと契約しましたので体力が奪われたのかと思います」
「ふーん」
「それより杏子さんは学校に行かないのですか?」
「私、通ってないから」
「通ってない?」
「エミルが起きたら教えてやる」
「聞いてみたいな。佐倉さんが学校に通わない理由」
エミルは目を開けて上半身起こしていた。
「起きてたのかよ」
「今さっき起きたばかりだよ」
「なら言わないとな… 」
「言いたくないならいいよ」
「いや、言ったからには筋を通す」
意外と仁義があるんだなとエミルは思った。
「私の親父はね。聖職者の人なんだ。毎日新聞読んで新しい世界には新しい宗教が必要なんだって言ってたんだ」
「新しい宗教?」
「ある日親父は教義にないことを信者に話した。そのあと信者は居なくなって教会から破門された。端からみればあやしい新興宗教さ」
「確かに教義ないことを説法したら誰も信じたりしません」
「テネブラエそんな言い方…」
「いや、テネブラエの言うことは正しい。破門されてから私達家族は食うものに困った」
「だからキュゥべぇにお願いしたんだ」
「あぁ、親父の話を真面目に聞いてくれますようにって。そしたらおっかないくらいの人が増えてった。それから私は魔法少女の仲間いり」
「そのときマミさんとコンビ組んだんだ」
「マミには世話になった。戦い方を知らない私に色々教えてくれた」
懐かしむように笑う。
「けど、親父に私の願いがバレて親父の説法ではなく私の願いで信者は集まったと知ったときはカンカンだったよ。娘の私にお前が魔女だって罵って」
「魔女って…」
「それから親父は変わった。毎日酒を呑んで頭がイカれて最後は私を残して家族揃って無理心中さ。笑っちゃうだろ?私の願いで家族を壊した」
「けど佐倉さんは…」
「慰めはけっこう。もう割りきってるから」
エミルは杏子になんて声をかければいいかわからなかった。
「今ならヴァンガードの気持ちわかるな」
「ヴァンガード?」
「僕達の世界にあったシルヴァラント解放戦線をしていた組織だよ。その人達はテセアラとマーテル教会を恨んでいたんだ」
「恨んでた?」
「僕の世界はシルヴァラントとテセアラの二つの世界に別れていたんだ」
「なんかデッカイ戦争のせいで分けないといけなくなったんだよな」
「うん。ロイド達が再び一つの世界に戻したのが新たな最悪のはじまりだった。シルヴァラントはテセアラより衰退した文化だったから差別されたんだ」
「ひでぇな…同じ人間同士なのに」
「僕の住んでたパルコマスタっていう街にロイドが襲撃した。そのときからロイドを恨んだ。僕の両親を…」
「許せないな…ロイドってやつ」
「けどそれは誤解だったんだよ。ロイドは逆にパルコマスタの人を助けていたんだ。本当にパルコマスタを襲ったのはヴァンガードで自作自演だったんだ。その事を知ったときはロイドに謝りたい一心だったよ」
「そうなのか」
「けどその両親は本当の両親じゃない…」
「エミル…」
「僕は精霊だから家族なんていない。いや、ある意味テネブラエ達が家族かな?ずっと側にいれくれたから」
テネブラエの頭を撫でるとテネブラエは不機嫌になる。
「私はペットじゃありません」
「ごめんごめん」
パッと手を離して布団を被る。
「もし佐倉さんのお父さんが僕の世界にいたら僕の世界はもう少し良い方向に行ったかもしれない」
そしたらヴァンガードなんてなかったかもと言って天井を見つめる。
「なんかごめん。後から僕の話になって」
「気にすんな」
「もし良かったら佐倉さんのお父さんが言っていた内容聞かせてくれないかな?」
「いいよ、毎日親父の話を聞いてたから覚えちゃったから」
杏子は自分の父親が説法した内容を話した。
エミルはその声が心地よくてゆっくりと目を閉じた。
杏子side
「寝てるのかよ」
親父の説法の内容を話していたがエミルは寝てやがった。
聞きたいと言っておいて
「まあ…昨日一番頑張ったから仕方ないか」
エミルのおかげでさやかは元の姿に戻った。
私達が出来ないことをエミルがやってのけた。
「こいつ…すごい力を持っているんだな」
もしあの力が私に牙を剥いたら想像するだけで身震いするな。
「親父がお前の世界にいたら変わったか…」
それは私が言うことだよ。
お前があのとき教会に居て親父の説法を聞いてたら親父は壊れなかったかもしれない。
私は魔法少女にならないで済んだかもしれない。
「魔法なんか使わないで真面目に聞いてくれたのはお前がはじめてだよ」
私はエミルの髪をそっと撫でた。
「エミルも家族がいないんだな…」
私は小さい頃から家族の愛情を貰って育ったがエミルは家族の愛情をずっと知らないで育った。
「それって寂しいよな…」
ずっと一人で世界を守って頼れるのはテネブラエ達だけ
「エミル…」
お前が望むなら私は…
杏子にもエミルを見る視線に変化が?