「あ、エミル君」
午前の授業が終わりいつものように屋上に向かおうとしたらキリカがエミルを見つけ小走りで近寄る。
「エミル君もしかしてお昼かい?」
「今から屋上に行くところです」
「私も一緒にいいかな?」
少し恥ずかしがりながら聞いてくる。
「いいですよ」
「ほんと!?」
「はい。一緒に行きましょうか」
「うん!」
キリカは笑顔になり一緒に屋上に行く。
「(良かった断られなくて…)」
キリカは幸せいっぱいの気持ちでニヤニヤしていた。
「(エミル君がくれたあの言葉のおかげで私自身が変われるかも…)」
自分の性格が嫌だったキリカは変わりたいと願っていたが変われるきっかけがなくずっと臆病だった。
同じ処遇のエミルと出会って話を聞き自分自身も変われると後押しをしてくれた。
「(エミル君…私はエミル君のおかげで変われるかもしれない。そのとき君に…)」
屋上
エミルが屋上に着くとまどか達はベンチに座っていてお弁当を広げていた。
「エミルおそ~い」
「ごめんごめん。一緒に食べたい先輩がいてね」
「先輩?」
後ろに隠れていたキリカは少し顔を出した瞬間ほむらは血相を変えて立ち上がり盾を召喚して拳銃をキリカに向けた。
「エミル!そいつから離れて!」
「ほむらさん!?」
エミルはキリカを守るように彼女を背中に隠した。
「そいつは危険よ!離れて!」
「ほむらさんこそ銃をおろしてください!」
「エミルお願い!そいつは-」
「暁美さん」
マミはマスケット銃を召喚してほむらに向けた。
「巴マミ、なにをしているかわかっているの?」
銃口をキリカから離さずマミを睨む。
「えぇ、エミル君を襲おうとしている暁美さんに銃に向けているわ」
「彼女は危険なのよ」
「私にとってあなたが危険なのよ。暁美さんはエミル君が守ろうとしている彼女を撃とうとしている」
「ならエミルを彼女から離れるように説得しなさい」
「私はエミル君のために戦う。今のエミル君は彼女を守ろうとしているの。それを邪魔するならたとえ暁美さんでも容赦しないわ」
マミにとってエミルは絶対的な正義で生きる希望
彼に銃口を向けているほむらは敵である。
「(エミルに依存したのが裏目に出たわね…)」
内心舌打ちをする。
もう1つ拳銃を取り出したいが片方の手はキリカを守っているエミルに向けている。
盾に触れるにはエミルから銃口をおろさないといけない。
「ほむらさん。あなたが呉先輩になんの恨みがあるのかわかりません。だけどここで銃を使えば学校中が騒いで警察が来て下手をすれば僕達が事情聴取をすることになる」
エミルは冷静な判断をしてほむらに銃を収めるように言う。
「ほむらさん今は銃をおろしてください」
「っ…」
ほむらは唇を噛んで銃を盾に戻した。
「ひっく…ぐすっ…」
キリカはほむらの殺気と拳銃の脅しに怯えて泣いてしまった。
「マミさん。呉先輩をお願いします」
「えぇ…行きましょう呉さん」
マミに手を引っ張られて屋上の階段をおりる。
二人が階段をおりたのを確認すると怒りに満ちた表情をしてほむらを睨む。
「ほむらさん。あなたはなにをしようとしたんですか」
エミルの視線を見ないように目をふせる。
「あなたが今やろうとしたのは犯罪です。なにがあったか知りませんがどんな理由であれ人を殺してはいけません」
「けどあいつは!」
「いい加減にして!僕達の敵は魔女と使い魔なんだ!呉先輩は何も関係ない!」
「彼女は関係あるのよ!」
ほむらの発言でエミル以外にまどか達も驚く。
「何で呉先輩が関係あるんですか」
「まどか達がいるここじゃ話せない…」
ほむらはそれ以上言わなかった。
「(鹿目さん達がいると話せない?僕一人ならいいってことなのか?)」
エミルはこれ以上何も聞かず不穏な空気のままお弁当を食べた。
放課後
「美樹さん今日の修行なんだけど休みでいいかな?」
「いいけどなんで?」
「ちょっと用事があってね」
エミルはカバンを持って教室を出た。
校門前
「エミル」
校門から出ようとするとほむらに呼び止められる。
「呉キリカについて話があるわ」
「ごめん、今日は用事があるからそれが終わってからでいいかな」
「いえ今すぐじゃないと」
「呉先輩を殺す計画ですか?」
ほむらは黙ってしまう。
「もしそのことなら慎んでお断りする。どんな理由であれ魔法少女と関係ない人を殺すのはよくない」
「だけどエミル!」
これ以上聞きたくないのかほむらを無視して家までの帰路を歩く。
「(エミル…)」
ほむらはその背中を追うことは出来なかった。
家に帰ると私服に着替えリュックに掃除用具を詰め込む。
「なにをしているのですかエミル様?」
「家に帰る途中スプレーで落書きしている壁を見つけたからそれを掃除しに行くの」
「だから掃除用具を」
「テネブラエも手伝ってほしいんだ」
「私もですか?」
「人の姿に変身できるでしょ?」
「まあ…エミル様がそう仰るなら…」
しぶしぶ了承してテネブラエは老紳士の姿に変身した。
玄関を出るとマミとキリカがいた。
「やあ…エミル君」
「マミさんに呉先輩?」
「呉さんがエミルの家はどこって聞いてきたから私と一緒に行くことにしたの」
「そうだったのですか」
「エミル君その荷物はなんだい?」
「家に帰る途中で壁が汚れている場所がありまして。それを掃除しに」
「エミル君、隣にいるその人は?」
「はじめまして私はエミル様の使用人のテネブラエと申します」
テネブラエはおじきをする。
「て、テネブラエ!?」
「エミル君!君はお金持ちの人だったのか!」
マミとキリカはお互い違う意味で驚いた。
「マミさんあとで説明します。呉先輩、テネブラエは悪ふざけをしているので本気にしないでください」
「え、えぇ…」
「そ、そうなのか…」
「くっくっくっ」
テネブラエは笑いを堪えていた。
昨日来た道を思いだしながらスプレーの落書きがある壁を見つける。
「ひどいな…」
キリカもエミルと同じ気持ちになる。
「これを綺麗にするの?」
「はい」
「なら私も手伝うわ」
「もちろん私も手伝うよエミル君!」
「ありがとうございます」
エミルはリュックから掃除用具を取り出して壁の清掃を開始した。
「こんな感じかな?」
綺麗までとはいかなくてもスプレーの落書きはなくなった。
「マミさん、呉先輩。手伝ってくださってありがとうございます」
「ううん、私もこんなことは放っておけないし」
「エミル君は私の恩人だからね。当然だよ!」
「エミル様。私には何もないのですか?」
「テネブラエもありがとう」
苦笑いしながら拗ねているテネブラエにもお礼を言った。
「お礼したいので僕の家に来てもらえますか?夕飯作ります」
「エミル君料理出来るのかい?」
「ある程度は作れます」
「エミル君が作る料理はとても美味しいのよ」
「楽しみだなぁ」
掃除用具をリュックに入れて帰ろうとした。
「あの…」
振り返ると緋色を基準とした制服を着て髪をサイドテールにした女学生が声をかけた。
「あなた達がこの壁を掃除したのですか?」
「はい。そうですけど」
「私の家の壁を掃除してくださってありがとうございます」
女学生は頭を深くさげるとエミルは驚いた。
「い、家?」
「はい。私の家の壁です」
指をさした方向をみると大きな豪邸が建ててあった。
昨日は夜中でよく見えなくて今日は掃除に夢中で気付かなかった。
「お礼をしますのでどうぞはいってください」
女学生は歩き始める。
「エミル様。ここは彼女の気持ちをもらうべきです」
「そ、そうだね」
あの女学生は誰なのか
知っている人はネタバレは勘弁してください