美国久臣の登場です
ふと目が覚めてしまう。
窓を見るとまだ暗く朝日が来る時間はまだ先だろう。
隣に寝ている二人を見る。
キリカはだらしないが幸せいっぱいで寝ており
織莉子は安心しているように眠っていた。
二人を起こさないようにゆっくりとベットから離れて部屋を出る。
「テネブラエ」
トイレで手洗いをしているエミルがテネブラエを呼ぶと彼の近くにテネブラエが姿を現す。
「決闘の内容は聞いた?」
「はい、中庭で姿を消して聞いていました」
「なら内容は省略するね」
蛇口をひねって水を止めて壁に設置しているジェットタオルに手を入れて乾かす。
「テネブラエは決闘についてどう思う?」
「最善の策だと思っていますいます。あのままなにもしなければほむらさんと織莉子さんがどちらか死ぬまで戦うでしょう」
ジェットタオルから手を離す。
「ですがエミル様の本筋は決闘ではありませんね?」
「テネブラエはわかってるんだね」
「争いを好まないエミル様が決闘を提案するのは何か策があると予想してました」
「策といっても大したのじゃないよ」
洗面台を背にしてテネブラエを話す。
「決闘自体は無意味。そんなことをしてもお互い得することなんてないよ」
「でしたら…あぁ、なるほど。そういうことですか」
テネブラエはなにか理解したようだ。
「理解した?」
「エミル様らしいかと思います」
「廃墟に着くまで姿は消したまま待機してて」
「御意」
テネブラエが姿を消すとエミルはトイレに出る。
「おや?こんな時間に起きている人がいるとは」
トイレから出ると一人の男性と鉢合わせする。
「あ、あの…もしかして」
選挙ポスターや街頭演説で見かける程度だったがエミルには見覚えがあった。
「美国議員ですか?」
「君は…おっと、まずは僕から自己紹介をしないとね。はじめまして。僕は美国久臣。織莉子の父です」
「え、エミル・キャスタニエと言います」
直立姿勢をして頭を深くさげる。
「そんなかしこまらなくていいよ。僕まで緊張しちゃうよ」
「でも議員ですから失礼がないよにしないといけません」
エミルの目上に対する態度に思わず久臣は苦笑いをする。
「そこまで偉い議員じゃないし、出来れば肩の力を抜いて話してくれれば僕としては嬉しいかな」
「は、はい。美国議員」
「今は仕事じゃないから久臣でいいよ。名字だと織莉子と被ってしまう」
「じゃあ…久臣さんで大丈夫ですか?」
「うん、それぐらい力抜いてくれれば。娘が色々お世話になってるね」
「いえ、僕も色々とお世話になってます」
「立ち話もなんだし時間があるなら僕の部屋で話をしようか」
「は、はい!ぜひお願いします」
議員と一緒に会話するのは滅多に出来ない。
エミルはその誘いには勿論受けた。
久臣の私室
「コーヒーで良かったかい?」
「大丈夫です」
久臣の部屋は織莉子の部屋とは違ってシンプルで社長が座るような椅子と机が置かれており。
机には山積みの資料、ノートパソコンが開いていた。
どうやら夜遅くまで仕事をしていたのだろう。
エミルは来客用のソファに座り、コーヒーがテーブルに置かれると久臣は対面するようにソファに座った。
「織莉子から聞いたけどもう一度君の名前を聞かせてくれる?」
「エミル・キャスタニエといいます。見滝原中学校の二年生です」
「名前からして海外の人?」
「はい。アメリカのカリフォルニア州のサンフランシスコに住んでいました。日本へ来たのは両親の仕事の都合です」
「アメリカ人なのに日本語が上手だね。いつから日本に?」
「去年の春に見滝原中学校に入学しまして。日本語はアメリカにあります日本語講座で勉強しました」
「一年で話せるようになったのか。それはすごいね」
「と言ってもフランクな話し方はまだ出来ません。良くて敬語です」
「それでもそこまで話せるのはすごいと僕は思うよ」
「ありがとうございます」
「君には感謝している。織莉子はクラスからは良い印象だけど友達らしい人が遊びに来ることがなくてね。友達が出来たと言ったとき織莉子はすごく嬉しそうにして僕に話してきた」
「いえ、僕はそこまでのことはしていません。僕はただスプレーで落書きされていた壁を掃除していただけですから」
「あれは君がやってくれたのか」
「すいません。綺麗にしようとしましたが汚れはやっぱりまだ…」
「いや十分だよ。業者を呼ぶとお金がかかるしね。無償で壁を綺麗にしてくれるのはとても嬉しいよ」
「は、はい」
「それとこれは多分、君のことだと思うけどね」
「僕の?」
すると久臣はエミルに頭をさげた。
「ありがとうエミル君。織莉子から言われたあの言葉のおかげで僕は会見を開けた」
自分は織莉子になにか言ったのか?
エミルはそう思った。
「あの久臣さん」
「勇気は夢を叶える魔法」
「その言葉…!」
「僕の賄賂疑惑の圧力で織莉子は僕以上に辛かっただろう。僕は父親失格だ」
娘にも不評が起きたことに罪悪感を持っていた。
「けどエミル君が言ったあの言葉のおかげで僕は会見でみんなに僕の思いを伝えることができた」
「あれはキリカさんが言った言葉です」
「織莉子の話だとそのキリカちゃんが言ったあの言葉はエミル君からもらったと聞いたが?」
「えぇ…まあ…そうですが」
「エミル君は僕を…いや美国家を救ってくれた。それだけは事実だ。それは誇って良いことだと思う」
「ぼ、僕はそこまでは」
エミルは恐縮してしまう。
「それでエミル君、君がもし良ければ美国家の一員になってくれるかい?」
「え…えぇ!?」
あまりにも唐突なことに驚いてしまう。
「織莉子も君のことを大層気に入っている。最近では異性として見ていると言っていた」
「い、異性!?」
まだ会って1週間も経っていないのに織莉子はエミルを異性として見ている。
最近の女の子は惚れやすいのか。
「君なら織莉子を任せられると僕は考えている。エミル君は女性に対して忠実そうだと思う」
真剣な表情だった。
大事な娘であるから何処の馬の骨の男には簡単には渡せない。
しかし久臣はエミルを信頼しており、娘の織莉子もエミルを異性として意識していた。
「あの久臣さん。僕はまだそこまでのことは」
「あぁ、ごめん。織莉子があんなに嬉しそうにしていたから」
ハハハッと笑ってソファを座り直す。
「だけど僕はエミル君なら織莉子を任せられると思う。それは本当のことだ」
「久臣さん…」
「ほかに好きな女の子がいるなら織莉子も諦めるだろう」
けどと言って久臣は続ける。
「エミル君…もし君が織莉子のことが好きなら、そのときは僕は君を美国家の一員として迎え入れる」
「僕は…」
なにも言い出せずどう答えようと悩んでいると
「いや、すぐに決めなくてもいい。突然のことで頭が整理出来ていないだろう。ゆっくり考えて答えを出してほしい」
「ありがとうございます…」
「時間をもらって悪かったね。エミル君も眠いだろう?」
「はい、そろそろ寝ようかかと」
「ありがとうエミル君。君のおかげで僕は前に進めるようになった」
エミルは久臣の部屋の扉に手をかけようとしたら
「エミル君」
久臣がエミルを呼び止める。
「織莉子を…娘を救ってくれてありがとう」
今の久臣は国の政治家である美国議員ではなく娘を大事にしている父親の姿だった。
エミルはなにも言わず久臣の部屋を出た。
「久臣さん…ごめんなさい。僕はあなたが思うほど良い人ではありません。僕は織莉子さんを…あなたの大事な娘を化け物に変えてしまいました」
久臣の部屋から出て織莉子の私室まで歩いている。
もしあのときキリカと一緒に行けば
「織莉子さんは犯罪を犯そうとしています。それが世界のためだと思っても僕は良いと思いません」
織莉子の私室の扉を開ける。
二人はまだ眠っていた。
「織莉子さんを絶対に殺させません。勿論、まどかさんとキリカさんもです」
二人が起きないようにベットにはいると再び眠りにつく。
おりこ☆マギカでも織莉子の回想にしか出ませんでしたし
もし生きていたらこんな風に思ってたでしょう
エミルについては好印象です
助けられたこともありますが織莉子がエミルのことが好きなのと
性格が良いと感じています