二つの銃弾が響いた瞬間、四人が動いた。
キリカが接近して召喚したカギ爪がほむらを切り刻もうとするが一瞬にしてほむらはキリカの背後に回って頭部に拳銃を突き付けていた。
「…!」
拳銃を持っている手を後ろ蹴りをして拳銃を蹴られてガク引きをしてしまいキリカから軌道が外れてしまう。
「そらっ!」
片足を軸にしてカギ爪を横に振る。
ほむらは身体を反らしてかわしてそのままバク転をしてキリカと距離をとる。
「思ったほどやるみたいだね。うん、でも、まあ、ここで終わったらつまらないからね」
キリカは特に驚いたりせずにいた。
それに対してほむらは一言も口を開かない。
「(接近して頭部を狙うのが無理なら…)」
拳銃からサブマシンガンに変えて遠距離から弾幕を張った。
「確かにその距離なら私が近付く前にやられるけど」
不敵の笑みを浮かばせて身体をひねって回避してカギ爪で銃弾を弾いていた。
「そんなんじゃ簡単には当たらないよ!」
銃弾をカギ爪で弾いていると何発か跳弾してほむらに向かって飛んでいく。
「撃ったのが自分に返ってくるなんて皮肉なもんだね」
キリカの言葉に思わず奥歯を噛んでしまう。
「私も泥棒猫と同じことは出来るけどね!」
腕を振るとカギ爪が外れてほむらに向かって飛んでいく。
「そらっそらっそらっ!」
カギ爪を何度も投擲する。
それを難なくかわしていくが次第にキリカが振る腕がはやくなっていく。
投擲したカギ爪の1つがほむらの肩に掠れてしまう。
「つぅ…」
痛さに堪えるように顔を歪ませる。
「あはっ、対したことないじゃん」
そのままカギ爪を投擲してほむらを少しづつ追い詰めてゆく。
マスケット銃の銃弾は織莉子に向かって発射されるが織莉子は水晶玉を操って銃弾を防ぐ。
ほむらとキリカは動きながら戦っているに対してマミと織莉子はお互い動かずマスケット銃と水晶玉を召喚していた。
「お互い動きの読み合いかしら?」
「そうかもしれないわね。でも読み合いなら私のほうが有利よ」
真っ直ぐ来る水晶玉に気を取られて横に来る水晶玉がマミの防壁の侵入を許してしまうが
「やるわね。けど…」
撃ち切ったマスケット銃を棍棒にして水晶玉を破壊する。
「戦いや経験なら私のほうが上よ」
マスケット銃を大量に召喚して宙に浮かせる。
「ティロ・ボレー!」
マミの合図でマスケット銃が軍隊のように一斉射撃される。
水晶玉を織莉子の目の前に出して銃弾を防ぐが何発か水晶玉の隙間から侵入して織莉子に着弾する。
着弾した場所には血がにじみ、彼女の純白のドレスが赤く染まる。
「くっ…」
口元を歪ませて痛みを堪える。
「油断はしないことね」
「まだよ!」
織莉子は水晶玉を召喚して再びマミに差し向けるが
カシャン
次の瞬間、背景が白黒になり織莉子が絵のように動かなくなる。
「なんとか間に合ったようね」
少し息を切らしたほむらがマミの手を握っていた。
「暁美さんこれって」
「手短に説明するわ。これは私の魔法なの」
「これが暁美さんの…」
マミは辺りを見ている。
織莉子以外にキリカ、遠くで戦いを見守っているエミル達も絵のように動かなくなっている。
「私の魔法は時間を操作することが出来るの。私に触れている間はあなたもこの空間を移動することが出来る」
説明し終わると肩の傷みを感じたが肩に手を乗せる。
出血しており肩から血がにじんでいた。
「暁美さん動かないでその傷治すわ」
肩に手を当てて治癒魔法をかける。
「助かったわ」
「それでこの後どうするの?」
「悪いけどあなたは呉キリカの相手をしてもらっていいかしら?私だと相性が悪い」
「相性が悪い?」
「呉キリカの魔法は相手の動きを遅くする魔法。接近戦が得意じゃないから私だと分が悪い」
「だけど遠距離で銃を使えば」
「それも無駄だったわ。呉キリカはカギ爪を使って弾を跳弾して何発か私に当ててきた」
「確かに相性が悪いわ。わかったわ私に任せて」
ほむらは時間を動かそうとして盾に手を触れようとしたら
「ちょっと待って」
マミがほむらの盾を動かするのを止める。
「なにかしら?」
「呉さんを無力化する方法を思いついた」
「無力化?」
「それはね-」
マミが考えた作戦をほむらに説明すると
「それなら問題ないわね」
「それでね。暁美さんが持ってる銃で蓮根みたいな穴が空いた銃はあるかしら?」
「蓮根って…これ?」
盾からリボルバーを取り出した。
「そう、それを貸してくれないかしら?」
「別に構わないけどあなた、銃は造れるでしょう?」
「私が造れるのは使い捨てのマスケット銃だけなの。現代の銃の様な精密な物は造れないわ」
ほむらはマミにリボルバーを渡すと廃墟の中にはいっていく。
「時間を稼ぐわ。その間に」
「私が廃墟で準備をするわ」
お互い背中合わせにして身体を密着させる。
「私が離れる前に目を瞑ってと耳に手を置いて」
ほむらの指示通りに目を閉じて手を耳に置いた。
「目と耳をふさいだわ」
「これが上手くいけば呉キリカには勝てる」
「美国さんはどうするの?」
「心配しないで私がなんとかする」
「お願いね。エミル君と鹿目さんのために」
「えぇ、もちろんよ」
背中が離れるとマミも白黒の背景になり動かなくなる。
廃墟の入り口に戻り閃光手榴弾を取り出してピンを抜き手元から離すと閃光手榴弾は宙に浮いて動かなくなる。
再び廃墟にはいり屋上まで走って屋上の扉を開けると盾に手を触れて時間を動かす。
「巴マミ…頼んだわよ」
閃光手榴弾から180デシベルの爆音と強烈な発光が放たれる。
「あ…う…」
「耳が…」
目の前で閃光手榴弾を受けた織莉子とキリカはキーンと耳鳴りを感じていた。
「みんな…大丈夫?」
エミルは手を顔におさえていた。
どうやら遠くにいるエミル達にも被害を受けていた。
「目の前が白く見える…」
「耳が痛い…」
「頭がキーンとするのです…」
さやか、杏子、なぎさも被害を受けたようだ。
「まどかさん大丈夫?」
「私も少し頭に響いてる…」
まどかもエミルと同じように頭に手をおいていた。
「今の光はノストロビアが発する光と似てましたね」
「テネブラエは大丈夫なの?」
「ノストロビアの光を見ても平気ですからこれぐらい問題ありません」
「耳のほうは?」
「少し聞こえずらいですがしばらくすれば戻ります」
テネブラエはあまり効いてないようだ。
「今の光と爆音は魔法?」
「魔法とは少し違うとあたしは思う」
「違う?」
「ほむらが一瞬にして消えて爆音が出た。あれは…そう、時間だ!あいつは時間を止めて移動したんだ」
「時間を止める?」
「エミル、さやかが魔女になった駅のホームを覚えてるか?お前が吹き飛ばされてさやかを守ろうとしたときほむらが来た。そのときほむらの手を触れたら魔女…いや景色全体が白黒になって動かなくなった。あれはほむらの魔法で動かなくなったんだ。あたしが動けるのはほむらの手に触れていたからだと思う」
「そういえば…前に時間を操ることが出来るって聞いたことが」
「それ本当なのエミル?」
「うん、ほむらさんから直接聞いた」
「爆音についてはわからないがほむらが一瞬にして消えたのはほむらの魔法だとあたしは考える。じゃないとほむらが一瞬にして消えた理由の辻褄が合わない」
杏子の説明を聞いてエミル達も納得する。
「あの泥棒猫どこいった」
キリカは辺りを見渡す。
ほむら以外にマミの姿もなくなっていた。
「キリカ!半歩下がって!」
後ろに下がるとキリカがいた場所に銃弾が突き刺さる。
織莉子がいなかったら銃弾が足を貫通してしただろう。
うえを見上げるとほむらが廃墟の屋上にいて二人を見下すように見ていた。
「屋上に移動していたようね」
「あの泥棒猫いつの間に」
織莉子とキリカは廃墟へとはいって行く。
「あたし達はどうする?行く?」
「…いや、まだここで待ってよう」
エミルは首を振ってさやかの提案を却下した。
「僕達はあくまで傍観者。僕達まで行くと勝負の邪魔にしかならない」
廃墟
ほむらがいる屋上まで進もうとしたら
「来たわね」
マミが一人で待ち構えていた。
「私の後ろにある階段から暁美さんがいる屋上まで行けるわ。ただし…呉さん。あなたはここで残ってもらうわ」
「マミ…なんで私だけ?」
「私は個人的に呉さんに用があるの。美国さんはそのまま行っていいわ。屋上で暁美さんが待ってる」
「キリカ、悪いけどここでマミと戦って。あのまま続いてたら私はマミに負けていたわ」
「まあ…いいけど…」
若干不満げにうなずくと織莉子はマミに近付くように歩きだす。
「美国さんもこんなことしたくはなかったわよね…」
「そうねマミ…」
お互いに争いたくない気持ちだった。
それを共感しただけでもまだ良いほうだろう。
二人は振り返らず織莉子は屋上までの階段を行き
マミはキリカと対峙する。
「それでここで決闘を再開するの?」
「えぇそうよ。けど1つだけ確認したいことがあるの」
「確認したいこと?」
「エミル君のついてよ」
なぜキリカだけ残したか
マミが考えた作戦とは