本当はここまで来る予定ではなかったんですが
「なんでエミル君が関係してるの?」
エミルがなぜ出てくるのかキリカにはわからなかった。
「呉さんはエミル君のことが好きなんでしょう?」
「好き?いや違う!私はエミル君を愛してる!好きとか大好きっていう奴は本当の愛なんて知らない!」
両手を大きく広げてまるで演説するかのような迫力で語る。
「愛が全てさ。人は愛がないと生きていけない。それを邪魔するやつは始末しないと」
「暁美さんがそうなの?」
「あぁそうさ!あの泥棒はエミル君にとって邪魔な存在なんだ!」
もしエミルが廃墟に行ってこの話を聞いていたら感情をあらわにして激怒していただろう。
大切な友達を悪く言うことはエミルが許さない。
だがマミは動じず冷やかな目でキリカに質問する。
「なら…どうして魔法少女になったの?」
「えっ…?」
突然のことで理解が出来なかった。
「それはエミル君のために-」
「エミル君は呉さんと美国さんを魔法少女にさせたくなかった。魔女退治という同族殺しをする最低な戦いをね」
声のトーンを低くしていた。
「後悔して自分を憎んでいると思うわ。あのとき魔法少女のことを話しておけば良かった」
「やめて…」
「魔女について詳しく話しておけば良かった」
「うるさい…うるさい!」
「キュゥべぇに契約を持ちかけられたら断れと言えば良かった」
「黙れぇ!」
カギ爪で切り裂こうとするが難なく避けられる。
「エミル君の目を見た?とても悲しんでいる目をしていたと思うわ」
好きな人と一緒にいられる嬉しさで気づかなかったがエミルは後悔と謝罪をしたい気持ちでいっぱいだった。
「私も呉さんと美国さんが魔法少女になってほしくなかった」
「…」
マミに言われて魔法少女になったとき、なぜエミルが悲しそうにしていたかようやくわかった。
エミルのためだと言ってけっきょくは自分の都合だけを考えていた。
そのことを理解すると自分に対して怒りが覚えてきた。もし過去に戻れるなら自分を殴りたくなる。
だが
「マミだって魔法少女になったじゃないか!」
それだけでは納得出来ない。
魔法少女になってほしくなかったらなぜマミは魔法少女になったのか
それが聞きたかった。
「私はエミル君に会う前から魔法少女よ」
私に言っておいて自分勝手なことを言ってきた。まるで子供の言い訳だ。
「そんなの-」
「ずるいわよね?」
キリカが言おうとした言葉をマミが先に口にする。
「私もそう思うわ。けど、呉さんにとってはどうでもいいことでしょう?」
確かにマミが魔法少女になった事については興味はなかった。
そんなことならエミルの事に頭を使う。
「マミもエミル君のことを愛してるの?」
「そうよ。私もエミル君のことが好き。エミル君のために戦うって決めたの」
「なら…どっちがエミル君の隣にふさわしいかここで決めようじゃないか!」
「本当はこんな風に決めたくなかったけど今回ばかりは仕方ないわね」
「呉さん」
「マミ」
お互い武器を構える。
「「エミル君の隣は私のものよ!」」
床を蹴るとマミは後ろ、キリカは前に移動する。
マスケット銃を撃ちながらマミは後退しキリカはカギ爪で銃弾を弾いて接近する。
銃は遠距離
カギ爪は近距離
戦いでは自分が優位な立ち位置で戦うのは常識
その武器の特性を生かすため移動する。
しかし
「そんなんじゃ追い付かれるよ」
キリカのほうが先にマミな近づいて優位な立ち位置を確保した。
「銃だからって接近戦が苦手ってことじゃないわ」
撃ち尽くしたマスケット銃の銃身を持ってカギ爪を防いで新たにマスケット銃を召喚してキリカに向けるが
「その距離なら!」
腕を振ってマスケット銃の銃口をずらして銃弾を回避、カギ爪で斬りつけようとしたが
「まだよ!」
また新しいマスケット銃を召喚してカギ爪を防いでキリカに向けるが今度は足で蹴って銃口をずらされ外れる。
避けては攻撃、避けては攻撃の同じ動作を繰り返す。
遠くから見れば二人はまるでダンスをしているような動きだ。
ソウルジェムの穢れが限界までダンスをすると思われたが
キリカがマスケット銃の銃口を避けないでわざと銃弾を身体に受けた。
「つぅ…」
「呉さん!」
マミが驚いたがそれが狙いだった。
「うらぁ!」
カギ爪で胴体を刻もうと腕を振り上げる。
マミは膝を曲げて足だけで上半身を支えるように後ろに反らして回避した。
胸元に結んでいるリボンを取ると重さで服からリボルバーが飛び出た。
それをキャッチすると親指でハンマーを押して引き金を引くと直ぐに撃てる状態
シングルアクションにして引き金を引いてもう片方の手でハンマーを叩いて強制的にシングルアクションにする動作
ファニングショットを行った。
「なに!?」
まさかもう1つ銃を持っているとは予測出来なくカギ爪で銃弾を弾いて宙に回転して下がった。
「心配してくれてありがとねマミ」
「本当にそう思っているの?」
キリカは心にもないお礼を言うとマミは胸元のリボンを結び直した。
「それでソウルジェムの限界がくるまで同じことをするの?」
「そうね…それもいいけど」
マミの周りにマスケット銃を召喚して持っている手に持っているマスケット銃を回転させて構えた。
「私はそろそろ決着を着けたいわ」
「これ以上やっても意味はないし…やってやろうじゃん!」
キリカはカギ爪を大きく鋭くして召喚させる。
「今度は逃げないわ。来なさい!」
「なら、そうさせてもらうよ!」
片手で一丁ずつマスケット銃を持って撃つと身体を回転させて撃ち尽くしたマスケット銃を投げて別のマスケット銃を持って撃つ。
くるくると回ってマスケット銃を撃ち、撃っては投げて撃っては投げての繰り返しをする。
キリカは銃弾とマスケット銃を切り刻んで接近する。
銃声の間隔が少しづつ短くなり、やがて連射するようになり
「「はあ…はあ…はあ…」」
二人は息を切らして銃口とカギ爪がお互い突き付けられる距離までたどり着いた。
「ここまで来たけどどうする?」
「呉さんは戻ってやり直したい?」
「それは…お断りだね!」
キリカが提案を断るとマスケット銃の引き金を引こうとする。
「やらせない!」
カギ爪で銃身を刻むとマスケット銃をバラバラになった。
「そんな…!」
「もらった!」
マミの身体を真っ二つにする勢いでカギ爪で刻んだ。
「これで…!」
勝った。
それが油断だった。
マミの身体がリボンに変わりキリカを拘束しようと襲いかかる。
速度低下の魔法をかけようとしたが
「しまっ…」
速度低下の魔法をかける前にリボンが彼女を襲いかかり身体をぐるぐる巻きにされて身動きが取れなくなった。
「油断は禁物よ」
廃墟を支える柱の影からマミの姿が現れる。
「マミ…どうして…」
確かに手応えはあったはず
それなのになぜマミはここにいるのか。
「呉さんが戦ってたのは私がリボンで操っていた偽物よ」
「そっか…はじめからマミの手の平で踊っていたってこと…か」
今の状況を理解すると悔しそうに歯を食いしばる。
マスケット銃を召喚するとキリカの腰に装着しているソウルジェムに銃口を向けた。
「ここで殺すの?」
「いえ、そんなことはしないわ。その代わり負けを認めて」
「私はまだ負けてない!この程度のリボンぐらい-」
「いい加減にして!」
マミの声が部屋中に響く。
「これ以上エミル君を悲しませないで!」
「エミル君が…悲しむ?」
「呉さんもエミル君のことが好きなんでしょう?エミル君が悲しむようなことはしたくないでしょう?」
「そんなの当たり前だ!私だってエミル君がこれ以上悲しませることなんてしたくない!」
キリカも同じ気持ちだった。
好きな人の悲しむ顔は誰だって見たくない。
「もし私が呉さんを殺したらエミル君はとても悲しむわ」
「私がマミを殺したらエミル君は私を恨む?」
「それはわからない…けど、とても悲しむと思うわ」
「そう…だよね…」
エミルが悲しむ姿は見たくない。
そう思っていくと戦う気力が失せてくる。
これ以上戦っても意味はない。
エミルを悲しませたくない。
それだけ分かれば充分だった。
「私が負けを認めればエミル君は喜ぶんだね」
「えぇ、お願い呉さん…これ以上エミル君を悲しませないで…」
懇願するようにキリカにお願いした。
「わかったよ…」
小さい声だがしっかりとした声で
「私が…負けでいいから」
キリカが負けを認めた。
マミさんが考えた策はリボンで自分の偽者をつくることでした
叛逆でもほむらに同じことをしていましたし