魔法少女まどか☆マギカ ラタトスクの騎士   作:如月ユウ

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友達にマミさんがファニングショットを知っているのに驚いたと言われました
兵法や兵器の本で勉強してますからそれぐらい覚えても違和感ないですし




51話 決闘 後編

カツン、カツンと一歩づつ確実に階段をのぼっていく。

 

「この階段を超えれば」

 

最上階の扉を開けた。

屋上であるのか風が吹いておりフェンスが屋上を囲っている。

そこには一人の魔法少女がいた。

 

「来たわね美国織莉子」

 

「暁美…ほむら…!」

 

世界を滅ぼす魔女を守ろうとする魔法少女

まどかを殺すには彼女を倒さなければならない。

 

「どうしてもまどかを殺すそうね」

 

「世界を守るためにはあの子の犠牲が必要なの」

 

「私がまどかを魔法少女にさせない」

 

「あの子がどれだけ恐ろしい存在なのか分かっているの?」

 

「わかっているわ。まどかが魔女になったらどうなるか」

 

織莉子は少し驚いた顔をするがすぐにほむらの言葉の意味を理解した。

 

「あの未来を知っているようね」

 

「知っているわ。あなたの目的もね」

 

「ならどうして!あの子がいたら世界が滅びるのよ!」

 

「美国織莉子、エミルと呉キリカが世界を滅ぼす存在だとしたらあなたは二人を殺す?」

 

「…」

 

「同じように二人を守るでしょう?」

 

織莉子も自分と同じ考えをすると理解したほむらは少しだけ口元を弛む。

 

「話はここで終わりにしましょう。ここからは決闘よ」

 

マシンガンを構えて織莉子に向かって銃弾の雨が降っていく。

 

「同じ手は二度も通用しないわ!」

 

織莉子は水晶玉を操作して銃弾を防いだ。

水晶玉を盾にして隙間から銃弾が通るなら今度は二重にして防げば隙間が小さくなり銃弾が通りにくくなる。

仮に隙間から出てきた銃弾は避けたり織莉子の周りに浮いている水晶玉を操作して防いでいる。

あの短い戦いで水晶玉と銃弾の性質を見分けた織莉子には戦術的にもセンスがあるようだ。

 

しかし

 

二重に敷いた水晶玉の盾が一瞬にして爆発して砕けた。

 

「今のは…いえ、時間を止めたのね」

 

納得して笑みを浮かべる。

 

「時間を操作する魔法。魔法少女の正体と私の目的を知っている。暁美ほむら、あなたは時間溯行者ね。それなら納得だわ」

 

二重で破壊されるなら次は三重にして展開した。

水晶玉の隙間がなくなりマシンガンから放たれる銃弾は弾き返されて少しづつほむらに近づいていく。

 

「何度あの結末を見たの?何度多くの人を犠牲にしたの?何度あの結末を繰り返すの?」

 

「うるさい!」

 

カシャン

 

時間を止めると手榴弾を使って水晶玉の盾を破壊する。

爆発したあとの煙がお互いの姿を隠したが

 

「がっ…」

 

腹部に強烈な痛みと玉のような物がめり込んで膝を着いて手を置いた。

 

「無駄よ。姿が見えなくても私にはわかる」

 

煙が消えると織莉子の姿が現れる。

 

「あの結末を受け入れられないあなたでは私には勝てない」

 

「それでもまどかを救う」

 

腹部の痛みを感じながらフラフラと立ち上がる。

 

「私はもうあと戻りは出来ない。これ以上の戦力…大切な仲間が多くいる時間軸はない。それに私は…」

 

エミルの優しさを知ってしまったから。

今まで誰にも理解されなかった辛さと悲しみをエミルだけは分かってくれた。

今後、エミル以外にほむらの気持ちを理解してくれる人はいないだろう。

 

「だから…私はここで負けるわけにはいかない!」

 

「なら、抗ってみなさい!世界を滅ぼすあの子が存在するこの世界で!」

 

まどかを救うため

 

世界を救うため

 

どちらも負けられなかった。

 

「私は時間を何度繰り返したかわからない。数えることもやめた」

 

水晶玉を破滅しながらマシンガンを撃ち続ける。

 

「それだけ多くの人を犠牲にしたのね」

 

「そうよ。私もこれ以上の犠牲は増やしたくないだから…」

 

織莉子の目の前に手榴弾が置かれていた。

 

「しまっ…」

 

「終わりよ」

 

回避しようにも遅かった。

手榴弾の信管が起爆して破片が織莉子を巻き込んだ。

 

「あ…うぅ…」

 

織莉子は倒れて服は赤く染まり一部は黒く焦げていた。

魔法少女といえど手榴弾を間近に食らえばひとたまりもない。

普通の人だったら死んでいただろう。

 

「勝負はついたわね」

 

マシンガンを戻して拳銃を取り出す。

 

「まだよ…まだ終わってない!」

 

ボロボロになりながらも負けを認めない。

 

「私はまだ負けてない。まだ戦える」

 

「いえ、あなたは負けよ」

 

拳銃をソウルジェムに向けた。

 

「美国織莉子。あなたは魔力を多く使いすぎた。それが仇となってソウルジェムの穢れがはやまった」

 

織莉子のソウルジェムは先程は白く綺麗に輝いていたが今は黒く濁っていた。

 

「戦術にしてはかなり良かったわ。けどソウルジェムのことを考えたら愚かな策よ。後先考えず魔力を使い過ぎるとすぐ魔女になるわ」

 

「く…うぅ…」

 

悔しそうに歯を噛み締めて声を押し殺す。

立ち上がろうにも力がはいらなかった。

穢れが溜まり過ぎたソウルジェムで治癒魔法を使えば魔女になるリスクが高い。

 

「どうしてあの子のためにそこまで戦えるの?」

 

なぜ一人のためにそんなに必死になるのかそれを聞きたかった。

 

「まどかは私の最初でたった唯一の友達。それを失いたくなかった」

 

心臓病が治って学校に馴染めず友達がいなかった頃

魔女に襲われたときまどかに助けられた。

魔法少女の姿のまどかに憧れていた。しかしワルプルギスの夜のときにまどかが死んでしまった。

自分に力があればまどかを助けられたかもしれない。

だからキュゥべぇに契約をして魔法少女になった。

 

「私はまどかのためなら永遠の迷路に迷ってもいい…最初はそう思っていた」

 

胸を締め付けられるように自分の胸に手を押さえる。

 

「何度やってもまどかを救えない。繰り返す度に心が

ボロボロになって他人との関係を拒んだ…けど心の中で誰でもいいから助けてほしい。私はどうなってもいいからまどかだけでも助けて願った…そのときエミルが現れたの」

 

「エミルさんが…?」

 

「エミルは本来この世界にはいない存在よ」

 

「なんでそのことを知って-」

 

「その様子だとエミルの正体を知っているようね」

 

織莉子は口元を手で覆い隠すが遅かった。

 

「もしエミルがいなかったら永遠の迷路にはさ迷っていた。私はもうあの永遠の迷路には戻りたくない」

 

ここでまどかを助けられなかったらまた時間を戻す。

そしてエミルとはもう二度と会えないだろう。

 

「そう…あの子にはそれほど大切な想いがあるのね」

 

大切な友達を救いたい。

ただそれだけで何度も繰り返した。

その気持ちは織莉子にも分かる。

もしほむらと同じ能力があればキリカとエミルを救うためために時間を繰り返すだろう。

 

「美国織莉子…もしあなたが魔法少女に関わらなければ少なくても良い友達関係になれたかもしれない」

 

「私もそう思うわ…あなたとならやっていけそうな気がしていた」

 

「これ以上の話は無意味ね。だから…ここであなたを殺すわ」

 

引き金を引こうと人差し指に力がこもる。

織莉子は避けようにも身体が動かずただ今の運命を受け入れるようにほむらを見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そこまで」

 

 

 

 

 

 

 

 

ほむらと織莉子の間に剣が割り込んで床に突き刺さる。

 

「ほむらさん、もう勝負はついたので銃をおろしてください」

 

ラタトスクの騎士に変身していたエミルが屋上の扉から出ていた。

エミル以外にもまどか達と下の階で戦っていたマミとキリカも屋上に来ていた。

ほむらは無言で拳銃を盾に閉まった。

 

「さやかさん。織莉子さんの傷を治してください」

 

「え、いいの?」

 

「もう勝負はついたからね」

 

織莉子に近づいたさやかは治癒魔法をかけて織莉子の身体の傷を治す。

 

「織莉子さん、まだまどかさんを殺すのは諦めきれませんですか?」

 

「あの子はエミルさんでも勝てない魔女よ。私はこの先の未来の結末を見た。あの子だけは絶対に生かしてはいけない」

 

そう言ってゆっくりと立ち上がる。

 

「私はあの子を殺すためなら何度でも戦う。止めたければ私を殺しなさい」

 

彼女の決意は固かった。

まどかが魔女になったあの結末をどうしても阻止したい。

それを止めるには織莉子を殺すしかない。

 

「どうして…どうしてそう簡単に命を捨てようとするんですか!」

 

だがエミルはそんな事をさせない。

 

「なんでお互い協力しようとしないんですか!どうして犠牲を出す考えしかしないんですか!」

 

「だけどあの子はいたら世界は-」

 

「十数年しか生きてないくせに世界なんて語るな!」

 

「なっ…」

 

エミルの言葉に織莉子は驚いて目を見開いた。

何千年も生きていたエミルからしては十数年なんてほんの一瞬の出来事にしかすぎない。

十数年しか生きていない人間が世界を語るなんて片腹が痛い。

 

「織莉子さん、僕は何千年も生きて世界を見てきました。人にはいえ、生命には無限の可能性があります。それが良い結果でも悪い結果でも決定された未来なんてありません」

 

シルヴァラントとテセアラの古代大戦で世界樹が枯れて消失すると覚悟したが英雄ミトスにより消失は免れ新たな世界樹が誕生するまで眠りについた。

世界が一つに戻ったときに生まれたは感情は人間とハーフエルフに対する恨み。

最初は人間とハーフエルフを滅ぼそうと考えていたがマルタとロイド達と旅をして感じた。

人もハーフエルフも世界には必用な存在だと

 

「それに一人を犠牲にして世界は救われるとは僕は思いません。僕は…一人の人間を殺したせいで世界を破滅に導いたんですから」

 

「えっ…」

 

世界を滅ぼすという言葉に耳を疑った。

 

「何十億人もいる人間のうちのたった一人ですよ?それで世界が滅びることがあったんですよ。それにその殺した人は僕の恩人の親友です」

 

 

 

「嘘だよね…」

 

 

 

 

 

 

この言葉を言ったのは織莉子ではない。

 

 

 

「だってエミル…あのとき電車にいたあいつらを殺そうとしたときあたしを止めたよね?エミルはそんなことしないよね?」

 

さやかの目の焦点が合っておらず

エミルの言葉が信じられなく嘘だと言ってほしいと願った。

しかしエミルは首を横にふった。

 

「僕はみんなが思うほど良い人じゃない」

 

「やめて…」

 

「僕はリヒターさんの親友…アステルさんをリヒターさんの目の前で殺した」

 

「エミル…お願い…言わないで」

 

「そしてリヒターさんにこう言いました」

 

「やめてぇぇぇぇ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「害虫一匹死んだくらいで世界は何にも変わらないじゃないか」

 

 

 

 

 

 

ラタトスクの間に来たリヒターに言ったあの言葉とそのときの表情を全員に見せた。

口元を歪ませて人間を害虫のように見下す目をしていた。

 

さやかの中にある何かが砕ける音がした。

 

「違う…エミルはそんなことは言わない…エミルはそんな考えはしない…」

 

さやかの顔は髪で隠れて見えない。

 

「だってエミルは人殺しなんてしない…エミルは騙されているんだ…」

 

手には剣を持っていた。

 

「お前だ…エミルを惑わせているんだ。お前が…お前がエミルをぉぉぉぉ!」

 

髪で隠れていた顔は殺気立った顔つきで織莉子を睨み付けて

ソウルジェムを叩き壊そうと剣を振ろうとする。

 

「っ…」

 

織莉子は目をつぶった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

剣が振るう音が聞こえない。

目を開けると

 

「…」

 

エミルが織莉子の目の前にいて、さやかの持っている剣が動かないように刀身を握っていた。

手に血が流れている。

 

「美樹さん…よくもエミル君を!」

 

身体全身が震えて髪が逆立つように怒りがこみ上げたマミはマスケット銃を召喚してさやかに撃とうとした。

 

「撃つな!」

 

エミルは鋭い剣幕で睨みマミは怯む。

マスケット銃の引き金は引く寸前で指が止まる。

 

「絶対に撃たないでください」

 

「だけど美樹さんはエミル君を-」

 

「もし撃ったら僕はあなたを軽蔑します」

 

エミルを傷付けたさやかを撃ちたいがここで撃ったらエミルのために戦うという意思に反する。

マミは下唇を噛んでマスケット銃を下ろした。

 

「さやかさん、剣を離してください」

 

「だけどエミル…こいつが…」

 

「織莉子さんは関係ありません。アステルさんを殺したとき僕はこの世界にはいません」

 

今も剣を握っていて床が少しづつ赤黒く染まる。

 

「アステルさんを殺したときまだシルヴァラントとテセアラが一つの世界になったばかりです」

 

「テネブラエ…エミルが言ってることは嘘だよね…」

 

僅かな希望を託してテネブラエに聞くが

 

「エミル様が言っていることは本当です。リヒターはアステルが殺されたことで怒り狂いエミル様を殺しました」

 

大切なものが無くなかったようなそんな気持ちが広がった。

剣を握る力がなくなりカシャンと音を立ててさやかの手から離れる。

 

「エミルはリヒターさんって人に殺されたんだよね?なんで生きてるの?」

 

「僕は…精霊は肉体がない存在。センチュリオンと同じように肉体がなるなるとコアという宝石に戻ります」

 

「じゃあ、あたし達と一緒なんだ…あたし達魔法少女と」

 

「それは違う。僕は元から人間じゃない。さやかさんは魔法少女になる前は普通の女の子だから僕とは違います」

 

もう考えることが出来ないのか頭の中が真っ白になる。

 

「幻滅したよね…魔法少女を救うと言っておいて人間を滅亡しようとしていたから」

 

「そんなわけない…エミルは優しいエミルだもん…」

 

世界を滅ぼそうとしていたがそれは過去の話。

さやかが描いていた理想のエミルは消えてしまったが

 

「あたしはそんなエミルのことが…」

 

好きなんだから

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二人が落ち着いたあとさやかの治癒魔法で手の傷を治してもらった。

 

「納得しましたか?人を殺すことで他の人が恨んで殺すことが」

 

「それでも私は…」

 

「殺し殺されその先に何がありますか?織莉子さんが想うような世界が救われる世界はありますか?」

 

「だったらどうすればいいのよ!」

 

エミルの腕に掴みかかる。

 

「私も誰かを犠牲にしたくない!だけどあの子がいたら世界が滅びる未来を見たのよ!だったら殺すしかないじゃない!」

 

ポロポロと涙がこぼれた。

織莉子自身も人殺しなんてしなくない。

だがまどかが魔女になったら世界が滅びる未来を見た。

殺したとしてまだ未成年者である織莉子にはその罪は重すぎすだろう。

人の命を奪うというのは自分自身に人殺しという傷痕が残る。

 

「教えて…どうすれば誰も犠牲にならないの教えてよ…」

 

腕に掴む力が弱まり泣きながら嗚咽する。

 

「わかりません。誰かを犠牲にしないで済む方法はあるのか僕自身にも」

 

ですがと言葉を続ける。

 

「一緒に考えることは出来るんじゃないかと思います」

 

「一緒に…考える?」

 

「僕はアステルさんを殺しました。それはもう変えられない過去です。織莉子さん、あなたはまだ人を殺していません。僕と同じ人殺しにはなってほしくありません」

 

手を差しのべる。

 

「僕達と一緒に考えましょう。どうすれば誰も犠牲にならない未来がつくれるか」

 

「いいの…私も一緒に…」

 

「当たり前じゃないですか。僕達は友達ですから」

 

ニコリと笑った。

その笑顔がとても眩しかった。

エミルが差し出した手に触れる。

 

「ありがとうございます…エミルさん…」

 

闇が消えて光が照らすように織莉子の心を解放した。




エミルからして十数年はほんの一瞬ですから
織莉子の言葉にイライラしたでしょう
これでおりこ☆マギカ編は終わりです

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