魔法少女まどか☆マギカ ラタトスクの騎士   作:如月ユウ

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みなさんお久しぶりです

前回、契約する発言をしたまどかに驚いた人もいると思いますが今回は杏子視点の話になります


54話 ゆっくり考えれば良い

「マミはどうなんだ?」

 

「エミル君が言った事?」

 

「あぁ」

 

「私はエミル君を守ることね。エミル君に助けてもらったあの時からずっと変わらない」

 

そうだったな。マミはエミルに助けてもらったんだよな。

 

「佐倉さんは何か考えた?」

 

「あたしは…まだわからない」

 

「そう…仕方ないわよね。キュゥべぇの正体を知って頭が追い付いていないもの」

 

そう、あのゴミ野郎の正体を知ったとき本気で殺そうとしたがエミルは一番冷静だった。

エントロピーとか宇宙の延命とか意味分からないことを話していたがエミルだけ…あいつだけは…

 

「佐倉さん?」

 

「悪い…少し一人で考えてくる」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「みんなはどうしたいのか…か」

 

エミルは街を守るため

マミはエミルを守るために

さやかは恭介とか言う坊やのため

ほむらはまどかのため

なぎさは分からないが織莉子とキリカはまあ、マミと同じ考えだろう。

それぞれ自分がどうしたいかの目的を持ってると思う。

 

ならあたしは?

 

あたしはどうしたいんだ?夢も願いもなくなって自由気のまま好き勝手に生きていてたあたしに何があるんだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何も考えずに歩いていると親父の協会…あたしの家に足を運んでいた。

 

「ここに来たのはあたしが魔法少女になった理由をさやかに話したとき以来だな」

 

ここであたしは魔法少女になった理由を話した。

親父が新しい説法を信者に説いて分かってもらおうとしたのに誰も聞いてくれなかった。

親父は真面目に考えていたのに誰も聞いてくれなくてすごく悔しかった。

 

「だけどエミルは…」

 

エミルだけは親父の説法を真面目に聞いてくれた。それがどれだけ嬉しかったか。あのときエミルがいたら家族は壊れなかったかもしれない。あたしはエミルのことを…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「この気配…!」

 

魔女の結界か。人が悲しんでるときに全く…

 

「空気が読めないな!」

 

魔法少女に変身して槍を構える。

でけー頭で手足が生えてやがる。こんな間抜けな魔女がいるなんてな。

 

「ソッコーで終わらせてやる!」

 

地面を蹴って魔女に接近する。

 

「おらよ!」

 

いつものように槍を振るう。グリーフシードは魔女しか持っていない。使い魔なんか倒しても無駄に魔力を使うだけ倒しても

 

倒しても…無駄なのに…

 

「ちっ…」

 

なんでこんなことを考えるんだよ。いつもようにやれば-

 

「うぉっと!」

 

危ない危ない、今は考え事をしながら魔女退治なんかしてる余裕はないな。ここは頭の中を空っぽにして落ち着こう。

 

「すぅ…はぁ…よし、いくぞ!」

 

両手で構えて姿勢を低くして接近、魔女の頭にひと突き

 

「まだまだ!」

 

突いたまま槍を斬り上げてジャンプし、一回転して力任せに叩きつける。

エミルが使っていた技を見よう見まねでやってみる。

 

「この技、意外と使えるな」

 

たしか魔神なんとかって技だったな。

エミルって技術のセンスとかありそうだな。ネーミングセンスはいまいちだかな。

 

「…っと死んだか」

 

魔女からグリーフシードが出てきた、案外余裕だったな。

こんな風に魔女を倒してグリーフシードを集めて好きに生きて

 

「あれ…」

 

なんで泣いてるんだ?

 

これがあたしの生き方なんだよな。これは間違いじゃない。

ならなんで泣いてるんだ?間違いだから?こんな生き方をしたくないから?

わからない…何がしたいのかわからない。

 

だってあたしの願いは

 

「親父の話を真面目に聞いてほしかったから…あたしは…」

 

魔法少女になったんだろ?

だけど親父はいない。あたしが家族を滅茶苦茶にしたから

 

「なんでこんなときに泣きそうになるんだよ…なんでエミルがいた事を考えちまうんだよ…」

 

エミルはあたしが求めていた事をしてくれた。さやかを助けてくれた。

なぎさを心配する事を言っていたがあたしにとっては妹の事を言ってるような感じだった。

マミと和解出来て、ほむらのことを本気で信じられるようになった。

 

だから…

 

「わかってる…わかってるのになんで…」

 

エミルがあのとき親父の説法を聞いていたらって考えちまうんだよ。

もう変えられない過去だって分かっている。それなのになんでエミルがいたら…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バギン

 

 

 

 

 

 

 

手に持っていたグリーフシードが砕けてハズレと書いた紙になった。

 

「グリーフシードが壊れ…まさか!」

 

振り返ったときには遅かった

魔女はあたしの手足を拘束して

 

「がっ…」

 

バラバラにして切断された。

切断された手足からドクドクと血が流れてる。

咄嗟に痛覚を遮断したから痛みは感じないが動ける様子はない。

 

「あたしってこんなに弱かったのか…」

 

自分は何がしたいか考えられないからあたしは…

 

「けっきょくあたしは…」

 

昔と何も変わらないじゃないか…親父の願いも叶えられずエミルがいなかったらさやかを助けられなかった。

 

「あたし一人じゃ…何も守れないじゃないか…」

 

何かもう疲れた…何も考えたくもない…これから生きてたってどうせ良いことなんて…

このまま魔女に殺されるけど不思議と恐怖はなかった。

 

「さやかを助けられたからな」

 

あいつとあたしと似てる。他人のために願い。仮に自分が幸せになれなくても前に進めた。

そんな姿を見れたからもういいや…

 

「良い夢を見れた…あたしはそれで…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「夢で終わらせない」

 

 

 

 

 

 

 

 

魔女が吹き飛ばされた。

あたしの目の前には黒一色の長いマフラーが風でなびいている。

 

「エミ…ル?」

 

「佐倉さん遅れてごめん」

 

エミルの背中があたしの目の前にある。

 

「なんで…エミルが…?」

 

「僕だけじゃないよ。みんないる」

 

「みんな…?」

 

エミルの声であたしの周りに複数の影が現れる。

 

「佐倉さん!」

 

「さやか、佐倉杏子の腕と足を」

 

「分かってるって、美国先輩、呉先輩」

 

「えぇ、私達が守るわ」

 

「エミル君の大事な友達だしね。一応協力してあげる」

 

「なぎさもお手伝いするのです」

 

「杏子ちゃん大丈夫!?」

 

みんながあたしを囲んでいた。

 

「なんで…ここに…?」

 

「織莉子さんの魔法で佐倉さんがここで戦っている未来を見た」

 

そう言えば織莉子の能力は未来予知だった。ついさっきのことなのになんで忘れてたんだ。

 

「織莉子さんは魔女の動きを先読みしてください。キリカさんは僕と一緒に」

 

「エミル君と一緒なら例えどんな地獄でも問題ないよ」

 

さやかに治療されながら魔女と戦うエミルとキリカの姿を眺めている。

接近して魔女を斬りつけときには避けて距離をとったりして、キリカはまだ戦いには馴れていなく、ぎごちない動きだったが動きに迷いはなくエミルの動きに合わせて鉤爪で魔女を切り刻んでいる。

あたしとは比べものにもならないほど洗練されていた。

 

「杏子、手足は治ったよ」

 

切断されていた手足がくっついていて痛覚の遮断を解くと激痛が走り、魔力を使って痛みを和らげた。

 

「悪いな助かった」

 

「気にしないで、あたし達は仲間なんだから」

 

「仲間…」

 

「杏子?」

 

「いや何でもない」

 

首をふってゆっくりと立ち上がると

 

「今だよエミル君!」

 

「テネブラエ、力を借りるよ!」

 

キリカが速度低下魔法をかけて魔女の動きが鈍くなるとエミルが魔女に急接近した。

 

「『魔神剣』!」

 

エミルがよく使う遠距離から放つ衝撃波から黒い霧のようなもの出て、魔女にあたると魔女が消失して結界がなくなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「エミル…あたしさ、どうしたいかわからないんだよ」

 

「わからない?」

 

魔女を倒して協会だった廃墟であたしはつぶやく。

 

「あたしは夢も願いもなくなって…どうしたいのかわからないんだよ」

 

もう我慢することがめんどくさくて思っていることを口にしていた。

 

「親父の話を真面目に聞いてほしくて、けどそのせいで家族がバラバラになった

 

事情を知らないやつは驚いていた。そうだよな、あたしの願いのせいで家族を壊しちまったから

 

「それから一人で生きるのに必死で物を盗んだり、お金を盗ったり悪いことした」

 

「だけど家族がいなくなったからそれは仕方ないんじゃ-」

 

「そんなわけあるか!生きるのが大変だから悪いことをして良いなんて思わないだろ!」

 

エミルは黙ってしまった。何も知らなければそれは悪いことだって誰もが言う。あたしはそういうことをしていたから

 

「前に一緒に住まないかって言ったとき断った理由がわかるだろ?あたしは汚れてるからだよ。使い魔を無視して悪いことをして、そんな風に生きてきたあたしがエミルと一緒に住む資格なんてないんだよ…」

 

エミルは眩しいくらい綺麗なんだよ。

あたしには真似出来ないくらい綺麗な心を持ってるんだよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「杏子…わかるよあんたの気持ち。あたしだって仁美が告白したとき一度後悔した。あのとき仁美を見捨てて魔女に殺されれば良かったって思ったから」

 

嘘だろ…そいつは親友なんだろ?坊やのためにその親友を見捨てようとしたのか?

 

「私も同じ…いえ私のほうがあなたより酷いわ。まどかのために数え切れない程の命を犠牲にした」

 

ほむら…まどかのために他の人の…あたし達も含めた命も犠牲にしたんだよな。

 

「私もよ佐倉さん。私も魔法少女の真実を知ったとき暁美さんを殺して私も死のうとしたわ」

 

マミ…

 

「私も同じね…まどかを殺して世界を救おうとしたから」

 

織莉子…

 

「佐倉さん、僕は生きるために人を殺しました。そうしなければ僕が死んでましたから。それに僕は綺麗な人間じゃない。僕は人とハーフエルフを根絶やしにしようとした…」

 

「なんで…なんでそんな風に言うんだよ!あたしは悪いことをしてるんだ!なんで怒らないんだよ!」

 

あたしは悪いことをしているのになんで…なんで優しくするんだよ…これじゃ逆ギレじゃないか

 

「佐倉さん、あなたは自分が悪いことをしていると自覚しています。それはとても繊細な人にしか出来ないことです」

 

「繊細な人?」

 

「はい。人は悪いことをしてもそれを反省しない人がほとんどです。それに悪いことをしたのは世間が悪いからだと言う人もいました。僕はそんな人が許せませんでした」

 

そうか…エミルはあたし達よりずっと長く生きてたから色んな人を見てたんだな。

 

「僕は佐倉さんみたいな悪いことをして反省する人間を見るのは本当に久々です。それはとても繊細な人にしか出来ません。罪を償おうとする人を僕は怒ったりしません」

 

「…」

 

「それに自分がどうしたいかなんてすぐに決まることじゃありません。ゆっくり考えて見つければいいじゃないですか」

 

「ゆっくり考える?」

 

「はい、佐倉さんが納得がいく理由が見つかるまでゆっくり考えていけば良いかと僕は思います」

 

ほんとエミルは優しいな…親父の説法を聞いてたら未来が変わっていたかもしれない。

 

「そうか…うん、そうだな。あたしなりに考えてみるよ」

 

「佐倉さんがそう決めたなら」

 

「杏子」

 

「えっ?」

 

「あたしのことは杏子って呼んでよ」

 

「…うん、杏子さんがそう決めたなら良いんじゃないかな」

 

なんて言えばいいかな。

エミルの顔を見えると頬が弛むというか心が暖かくなるような…そんな感じがする。

多分、気のせいじゃないかもしれないが

 

 

 

 

 

 

 

あたし…エミルのことが好きなのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

エミルがいたらと考えてしまうのはエミルのことが好きだからかもしれない。

 

「ははっ…」

 

「杏子さん?」

 

「いや、何でもない。あたし…自分で見つけてみるよ。自分がなにがしたいか」

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