「今のさやかさんとなぎささんは魔法少女ではなく我々センチュリオンと同じ存在というのは話しましたね」
「確かエミルの部下のようなものなんだよね?」
「そう解釈して構いません。センチュリオンは戦わず配下の魔物を操作して魔物を戦わせます」
魔法少女に変身したさやかとなぎさは魔女の結界でテネブラエの下で配下の召喚の修行をしていた。
もし魔女の大きさが魔女だった頃と同じ大きさだったらいつもの廃墟では他の人にバレてしまうため他人には見えない魔女の結界のほうが修行しやすいとテネブラエが判断した。
「魔物はセンチュリオンの体内に宿していまして、私の呼び声に応えて召喚したり体内に戻したり出来ます」
魔方陣を召喚させるとインプが現れる。
「センチュリオンの場合はエミル様が魔物と契約して属性ごとに私達の配下となります。しかしさやかさんとなぎささんの場合ですと特殊なものでして魔女の力が体内に宿しているなら自身の魔女や使い魔を配下として召喚することになります」
「つまりなぎさちゃんの場合だとあの病院に出て来た魔女が配下ってこと?」
「そうなりますね」
「なんか自分が魔女になったときのイメージとかあまり思い浮かばないな」
「なぎさが魔女になったときはどんな姿だったのです?」
「ピエロの顔をした黒い芋虫みたいな感じだったかな」
「芋虫ってあんまりじゃないですか!」
「あたしに言われてもなぎさちゃんが魔女になった姿はそうだったんだし」
なぎさは腕を上げてぷんぷんと怒っている。
「話を続けますよ。お二人の場合ですと配下の召喚は自身の魔女だった頃をイメージすることかと私は思います」
「魔女だった頃のイメージ…」
目を瞑って自分が魔女になった姿をイメージする。
さやかは昔、親に読んでもらった人魚姫の話を思い浮かぶ。
小さい頃、恭介と一緒に行った水族館のような一本道を歩くと扉があり、扉を開けると今度はコンサートホールの場所になった。そのコンサートホールには燕尾服を身に纏った恭介がバイオリンを引いていた。
恭介のバイオリンを聴いているのは人魚姫の姿をして騎士のような格好をした巨大な魔女だった。
なぎさはさやかの言葉を頼りにピエロのような顔をした黒い芋虫をイメージする。
床も壁も置物の全てお菓子で出来ていた。
しかしお菓子には興味を示さず、チーズを探してみるがチーズだけは何処にもなかった。クッキーで出来た扉を開けるとキャンディのような頭部でだぼだぼの服を着てマントを羽織ったぬいぐるみのような姿でさやかが言った魔女とは全く異なる姿だった。
近付いてみると魔女の口が脹らみだして何かを吐き出すとピエロの顔をした黒い芋虫のようなものがなぎさの目の前に顔を近付けた。
「自分が思い浮かべた魔女の姿をイメージして魔方陣を召喚してみてください」
手を前に突き出して魔方陣を呼び出す。
互いの魔方陣から自分の魔女がだった姿がゆっくりと上がってくる。
「意識を途切れさせては駄目です。確実に召喚されるまで意識を集中してください」
テネブラエの言葉で意識を集中させる。ゆっくり、確実にその姿が目の前に現れる。
さやかは自身の魔女を見上げる。自分とは何倍も大きかった。
なぎさの魔女は彼女の腹部ぐらいの背の高さだった。
「これがあたしの…」
「思ったより小さいのです」
「召喚に成功したようですね。次は魔女を操ってみてください」
「操るってどうやって?」
「自分が思っていることを魔女に伝えるよう動かすのです」
テネブラエがインプを操作するとインプはターンをしたりジャンプして一回転したりした。
二人も動けと頭で命令してみるが魔女は全く動いてくれない。
「動け~動け~」
「口ではなく心の中で命令するように動かしなさい」
「むむむっ…」
テネブラエの言う通りに命令してみるが相変わらず動いてくれない。
「難しいのです」
「これは基礎より大切なことです。これが出来なければ配下を操って戦わせることは出来ません」
それから配下を動かす修行が続いた。
「これで終わり!」
使い魔を倒したキリカは鉤爪を消した。
「そっちはどうさやか?」
さやかの応答がない。
「おーい聞いてるー?」
『先輩、話しかけないでください!今、動きだそうとしたところなんです!』
「ふーん」
『ふーんって…こっちはかなり大変なんですよ』
「エミル君のこと以外は興味ないし。私の魔法でしばらくは結界は消えないからそのまま頑張りな」
本来なら魔女か使い魔を倒したら結界はなくなるがキリカの速度低下魔法で結界が消える速度が遅くなっているので結界は消えずに残っている。
「エミル君、こんな場所だけど私と一緒に」
「待ちなさい」
腕を組もうとしたキリカの腕をほむらが掴んだ。
「泥棒猫、邪魔なんだけど」
「邪魔なのはあなたよ。私のほうが先にエミルと約束したわ」
「嘘言ってエミル君を盗ろうなんて泥棒猫らしいね」
鼻で笑って余裕そうにしているが
「近いうちに出掛けると約束したわ。ねぇ、エミル?」
「え、あぁ…うん」
嘘は言っていない。中庭でほむらと一緒に出掛けると約束していた。
「近いうちっていつの日?」
「さぁ?あなたには関係ないことよ」
「いいや、大いに関係する。私はエミルとデートしたいからね」
「それは一生叶わないわね」
「よし、刻んでやる。覚悟しろ」
「待って、待ってください!」
鉤爪を召喚してほむらを刻もうとしたがエミルに止められる。
「キリカさんの魔法は他のと平行して使えば使えなくなるんですよね?ほむらさんもこんなときじゃなくてワルプルギスの夜の戦いに備えて魔法や武器はあまり使わないでください」
キリカの速度低下魔法と鉤爪を平行して使えば魔力が回らなくなり、速度低下魔法が使えなくなる。
銃に関しては日本の法律で所持するのは禁止されているのはエミルでも知っているので無駄に使わずにワルプルギスの夜のときに使ってほしいと思っている。
「運が良かったね」
「それはこちらの台詞よ」
お互い武器を仕舞うとエミルは一息ついて安堵する。
「うーん、どうするかな」
ベットの上でキリカはスマホを操作していた。
「見た目も大事だけど味も大事だよね」
開いていたページはお弁当についての特集だった。明日、エミルにお弁当を作るのでどんなお弁当にするか考えていた。
「おかずどうしようか…」
ウィンナー、卵焼き…定番過ぎる。
コロッケ、からあげ…揚げ物やったことないから無理。
ハンバーグ…時間かかるから却下。
「あ~!もう!何にすればいいんだよ!」
枕に向かってボフンと顔を押し付ける。
そのとき誤って画面に触れてページを移動させた。
「あ、やばっ」
今、見ているページに戻そうとしたが開いたページに食い付くように見た。
「サンドイッチ…?」
誤って押したページはサンドイッチのレシピだった。定番の玉子サンド以外にもホットサンドやフルーツサンド等さまざまなサンドイッチのレシピが書いてあった。指で画面をスライドさせてページを次々と見ていくと作り方も簡単で材料も手頃な物で作れそうだ。
「これ使えるかも」
おかずを作るよりパンに挟んだほうが料理をしない自分でも作れる。
まさにキリカが求めていた料理だ。
ノートの一番後ろのページを破いてすぐにレシピの作り方をメモをする。
「これであの泥棒猫にアッと驚かせられる」
明日が楽しみだ
午前中の授業が終わりいつものように屋上に行くがエミルの手にはお弁当がひとつしかなかった。
「エミル君、今日はエミル君のためにいっぱい作ったから!」
キリカの手にはタッパーを持っており、タッパーを開けると色とりどりのサンドイッチだった。
「ありがとうございます。いただきますね」
「うん!いっぱい食べてね!」
タッパーからタマゴサンドをとって口に運ぶ。
「どうかな…?」
不安そうな視線のキリカを感じながら何度も噛んで味わい、ゴクンと喉を鳴らしてサンドイッチを飲み込んだ。
「おいしいです」
「本当!?」
「ですが味が濃いですね。特にマヨネーズがかなり多いです」
「そう…」
「大丈夫ですよ。何度も練習すればおいしくなりますから」
「そのとき味見してくれる?」
「僕でよければ」
「うん!」
不安な表情が消え去り満面の笑みに変わった。帰ったら料理の練習をしようと心に決めた。
「ほむら、気持ちは分かるけど抑えなよ」
「ほむらちゃんこういうときは怒っちゃダメだと思うよ?」
「わかってる…わかってるわ。こんなことになる原因は私にあるから」
持っていた箸をへし折って食べ終わったお弁当の箱を手で壊していたほむらをまどかとさやかはなだめていた。
暁小説投稿サイトにも魔法少女まどか☆マギカ ラタトスクの騎士を投稿しました
新たに文を追加しましたので時間があるときに見てください