魔法少女まどか☆マギカ ラタトスクの騎士   作:如月ユウ

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57話 私が望んだことだから

「キリカさん、ソウルジェムは…その…」

 

「かなり濁ってるよ」

 

エミルに見せると青紫の色をしているソウルジェムが黒く濁っていた。

 

「エミル君が気を病むことはないよ、これは私自身で決めたことだから。それに…私と契約出来たら多くの魔法少女を救えるんだろ?それなら-」

 

「それ以上言わないでください」

 

これ以上聞きたくない。キリカの言葉を遮断させた。

 

「エミル…君?」

 

「自分の命をそんな風に言わないでください。命はたったひとつのもので代わりになるものなんてありません。僕はそういう人を好きにはなれません」

 

「ごめん…私はエミル君にそんな風に思ってほしくなかった」

 

エミルのためだと思っていたがそれが逆に傷付けていいた。

 

「本当はキリカさんと織莉子さんには魔法少女に関わってほしくありませんでした。僕が魔法少女について話していれば」

 

「それこそエミル君が気にすることじゃないよ。私が魔法少女になるのは私自身で決めたこと、仮にエミル君は話しても私は契約してたと思う」

 

自分を変えられたのはエミルがいたからだ。あのときコンビニでエミルと会わなかったら今の自分はいなかった。だからエミルのために戦いたいと思った。

 

「大丈夫だよエミル君。私はエミル君を…みんなを絶対傷付けたりしない」

 

薄暗い笑みだが目は絶望していない。魔女になる覚悟の目だった。

 

「魔法少女を救うエミル君のためなら私は安らかに絶望できるよ!」

 

ソウルジェムが砕かれて絶望が突風となり、風が吹く。

エミル達は風で飛ばされないように足に力をいれて地面に踏ん張る。

キリカが倒れそうになるがエミルが受け止めると、とても安らいでいて眠っているかと思えてしまう。

目の前には女性の胴体が三つ組み合わせて頭には目玉のような物がついた帽子。

腕は鉤爪になっている姿をした魔女、キリカが絶望して産まれた魔女だ。

ゆっくりとキリカの身体を地面に置いてラタトスクの騎士に変身する。

 

「キリカさん…僕はキリカさんを絶望のまま終わらせたりしません」

 

目をつぶり意識を奥深くまで集中する。

エミルの身体には三つの線が繋がっていて、その線にはさやか、なぎさ、キリカの身体にもエミルと同じ線が繋がっていた。

キリカの線を糸をほどくようにゆっくりと確実に切れていき、エミルとキリカの線が完全に切れると彼女の姿も消えてしまった。

キリカとの契約が破棄されるのを確認したエミルは目を開けて剣を抜いた。

 

「契約させる立場としてキリカさんを救います」

 

地面を蹴り、魔女に接近する。

 

「『魔神剣』!」

 

衝撃波が魔女に傷を負わす。

 

「『砕覇双撃衝』!」

 

剣で突き、二度衝撃波を放つ。

 

「『裂破絶掌撃』!『秋沙雨』!」

 

突進斬りから背後に回り込み、連続突きを繰り出す。

魔女は反撃をせず、ただエミルの攻撃を受け続けている。

負い目を感じているがここで止めてしまえばキリカの想いを踏みにじることになる。

キリカと再び契約することで彼女の心が救われる。契約する者としての責任を果たさないといけない。

 

「『魔神閃光断』!」

 

魔女を斬り上げて、空中で斬りつけ、一回転して着地と同時に衝撃波を放つと魔女が力なく横たわる。

 

「僕はキリカさんを救うために再び契約します」

 

エミルは魔方陣を呼び出して魔女を包んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???

話し声が聞こえる。何を話しているかわからないがとても楽しそうだ。

 

だけど

 

「くだらない」

 

私はそう吐き捨てる。

勉強やテレビの話、部活や恋沙汰…みんな『そうなんだ』と言って返せる内容だ。

何が楽しいのか理解出来なかった。

本当にくだらなかった。

だけど笑い声が頭から離れない。

 

「違う…」

 

本当は羨ましかった。

私のことを気にしないでただ楽しくしているのが羨ましくてしかたなかった。

笑い声が私を囲うように聞こえる。

 

「うるさい…」

 

その笑い声から離れたい。笑い声が聞こえない場所に行きたい。

 

私は走った。

だけどその笑い声が離れず耳元で聞こえるように感じる。

 

「うるさい!」

 

夢中になって走る。耳を両手でふさいで走っても笑い声が聞こえる。

 

「笑うな!私の側で笑うな!」

 

私の声が聴こえてないのか笑い声が止まない。

 

「うるさい、うるさい!黙れ!私を無視して笑うな!」

 

気が狂いそうだ。

笑い声が頭に響き渡り、頭がおかしくなりそうだ。

私はこんな場所にずっといないといけないの?

 

いやだ

 

こんな場所になんかいたくない。

こんな気が狂いそうな場所になんかいたくない。

砂漠でも、深い森でも、地獄でも何でもいい。

こんな気が狂いそうな場所から離れなれるならなんだっていい。

 

お願い…誰か…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あいたっ」

 

無我夢中に走っていて目の前を見ず、なにかにぶつかって尻餅をついてしまう。

男の子が私に手を差しのべてくれて私は手を掴むと引っ張ってもらって立ち上がる。

 

「あ、ありがとう」

 

愛想笑いなのか笑顔を見せて去ろうとした。

 

「待って!」

 

思わず手を掴んだ。

 

「君もこんな場所に迷いこんだの?」

 

男の子は首を振った。

 

「僕は君に会うためにきた」

 

予想外のことで耳を疑ってしまう。今なんて言った?私に会いにきた?

 

「わ、私に?」

 

「うん、そう」

 

「なんで私なの?」

 

「絶望から希望に変えるために僕はここに来た」

 

絶望…多分、しろまると契約した魔法少女のことを言ってるんだろう。

 

「君は魔法少女を救うために魔女になったんだよね?」

 

「そうさ、エミル君が成し遂げようとしたことのために私は魔女になった。それでエミル君とまた契約して」

 

「そのあとは?」

 

「えっ?」

 

「再び契約したあとはどうするんですか?」

 

そんなの決まっている。

 

「エミル君のために戦うよ」

 

エミル君は私に勇気をくれた。そのおかけで私は自分を変えられた。だから私はエミル君の力になりたいから魔法少女になった。

 

「そうですか」

 

男の子は私の想いに少し納得したような顔をしていた。

 

「ならこことは違う場所に行きましょう」

 

男の子はまた私に手を差しのべると私は迷いなく男の子の手に触れた。

すると男の子の身体は消えて光となって私を包んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魔方陣を呼び出し、キリカの姿が魔方陣から現れた。

 

「エミル君…」

 

「ありがとうございますキリカさん。キリカさんがいてくれたおかげでインキュベーターと契約した魔法少女を救う道が出来ました」

 

「お礼を言いたいの私のほうだよ。エミル君があのときお金を拾ってくれて、私に勇気をくれたから私はエミル君のために何かしたいって感じたんだよ」

 

まるで心から笑えるような気持ちだ。自然とエミルに笑顔を見せていた。

 

「ありがとうエミル君…私に勇気をわけてくれて」




次はワルプルギスの夜との戦いではありません
実はというとまだもう1つ話が残っています
伏線は所々に置いてますが気付いた人はそのまま胸のなかにしまっておいてください
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