「…え?」
葵が持ってきた、チョコクッキーを口に運ぶ手前で手に持ったまま固まっている空桜が間抜けな声を出した。
「いや、羨ましいのには何か理由あるだろ?」
私はそう言われて考える…そして目の前にいる碧眼の少年をみる。
楽しくて幸せな毎日を送れそうだなぁと思ってしまった。
そんなことを思ってしまった自分にはっとして突然恥ずかしくなる。
その間も葵の質問の答えを待っている視線は向け続けられている。
「あ、あれだよ!幸せそうじゃん?」
必死に紡ぎ出した言葉がそれだった。
「ほう…?幸せそうか…おれおんま興味ねぇから見たことないな。
それで?好きな人とかはいんのか?」
…あぁ…
危機を脱したつもりが更に自分の首を絞めちゃった…
そして、またもや必死に言葉を紡ぎ出す。
「い、いやー?好きな人はいないんだけどねぇ…」
「なんだそりゃあ?」
頼むよぉ…葵ぃ…そこで許して…
はっ!いい案を思いついた私は葵に質問を投げかける
「そういう葵は好きな子とかいないの?」
「いや、いないなぁ」
即答だったよ…
「好きな人が出来るってのはそれだけ弱みができるってことだからな」
「誰と戦ってるの…」
葵がよくわからないこと言って来て私はげんなりするしかなかった…
けれど、葵の瞳は何かを鋭く見つめているようだった…
その後は二人とも黙りこくってしまい、ただ宿題を消化するだけとなってしまった。
日も暮れてきてそろそろ帰る時間だ。
私は今日はアタックする日だって頑張ったけれど特に成果は挙げられなかったと思い少し哀しい気持ちになっていた。
「じゃあ、また月曜日ね。バイバイ」
そう言って手を振った私に葵は驚きの言葉を返した。
「好きな人と付き合えるといいな」
「えっ?いっいやいやいや!わ、わたし好きな人いないよ!」
「無理するなよ。丸わかりだったぜ?
まぁ応援してやるからおれが出来ることだったら何でも言えよ?じゃあな」
「いやっほん…」
私が全部言い終わる前にドアを閉めて家に引っ込んでしまった。
「もぉ〜っ」
私はふてくされたふりをしながらも内心、嬉しかった。
目線を感じた私は葵宅の二階の窓をみた。
窓から私を見ていたのはめいちゃんだった。
にっこりウインクをして奥に引っ込んでいった…
「二人とも不思議だなぁ…」
つい、声に出してしまい、自分にビックリした私は恥ずかしさから走って家に帰った。
夕陽の中を走りながら、私はもっともっともっと頑張ってアタックして葵を振り向かせると心に決め走る速度を上げた。