「「「さよならぁぁぁいっ」」」
帰りのホームルームも無事終了し、今日のルーチンワークは終了だぜっ!
クラスの空気は一気に緩み携帯などを取り出しながら部活に行くやつ、帰るやつなど思い思いに行動を始めている。
おれは万年帰宅部なのでなんの思い入れのない教室をさっさと後にする。
ドアを越えかけたあたりで1人の女子に後ろから声を掛けられた。
…振り返るまでもない…声だけでわかる…俺は内心溜息をつきながら振り返る。
「どうしたんだ?空桜」
「あ、えっと…」
空桜は自分から話しかけといてなかなか話そうとしない。なにもじもじしてんだ。なに?フラグ?フラグ立ったの?
いや、空桜のフラグまじいらないわぁ…へし折って変わりにめいのにさしかえてやりたいわ。
10秒くらい沈黙が続いた後、ようやく空桜が口を開く。…てか、なんで周りも静かなんだよ、やめろよ緊張するやん…
空桜がようやく紡ぎ出した言葉は実にシンプルだった。
「今日…一緒に、帰らない…?」
時間が止まった…止まらぬはずの俺の信じられる数少ないもののひとつが裏切った…まぁ本当のところは止まってない。
止まったと形容してもいい程静まった…てか凍りついた。
うちのクラスが。
空桜を見ながら思う。何だこいつは?あれか?時間ごと空間を凍らせる能力でも持ってるのか?
…まぁ、現実逃避はこんくらいで。
「突然どうした?」
おれは落ち着いた声色で返事をする。
クラスの連中が固唾を飲んで見守る…特に男子の皆様。この中に朝から突っかかってきたやつらはいない。奴らはなぜか昼前に早退していった。
「今日、部活なかったからさ…たまにはね?」
たまにはってなんか前は帰ってたけど最近帰ってないねみたいじゃないか。
…まぁいいか。
「いいぜ。たまにはな」
こんな時にもしっかりたまにはなにアクセントをつける。
クラスの奴らをみると、みんな唖然としている。
中には頭を抱え倒れ込んでる男子までいる…お前らなんなんだ…引くぞまじで。
「じゃあいくか」
そういうと空桜は頷いたのでそのまま俺は教室を後にする。後ろから空桜もついてくるのが気配でわかる。ついでに教室から怒号が巻き起こっているのもわかる。
学校の帰りは特に会話もせず微妙な空気が続いた。
今日は今朝、家でのこともありおれは普段は絶対にしないであろうことをする。
「空桜」
「ひゃいっ!?」
え…なにいまの?…まぁいいか
「勉強は大丈夫か?」
「だ、大丈夫って?…大丈夫だよ…うん…」
この言い方はあれだな…大丈夫じゃないな。仕方ない。今日は気分がいいからな
「よし、今週の土曜ひまか?」
「え、うん、ひまだけど?」
「じゃあ家に来るか?おれも暇だし勉強教えるぞ」
「あ、ありがとう!…今日どうしたの?いつもより優しいけど…」
「何言ってんだ?いつも優しいだろ…」
「どこが…」
そのあと二人で笑った。うん、甘酸っぱいね。青春だね。
そうこうしてるうちに空桜の家の前についた。
「じゃあまた月曜…じゃなくてまた明日ね」
「おうよ…また明日な」
明日が土曜日だからな…気が変わらないうちにパパッと勉強を教えようと。
空桜と別れた後は、いつも通り1人で帰路につく。
家に着き、中に入ったが…ん?めいはいないのか。
今日は部活がないはずだが…
とりあえずは着替えようかな…おれは洗面所へ行き鏡を見る。
「ふぅ…」
鏡の前に立つと溜息が出てしまう。
その理由は目にある。
俺の目は何故か青いのだ。碧眼ってやつ。
別に親が外人というわけではない。自慢じゃないが家の両親は純日本人だ。
まぁ、父親にはあったことがないけどな。
まぁそんなことはいい。それより、めいだ。何故帰ってこない…さすがに遅すぎやしないか?
めいが友達と遊ぶという時はしっかり連絡を入れてくる。これは昔から変わらない習慣だ。
だが、連絡がないとなると…うーん…嫌な予感がする。
すると、突然おれの携帯が震えた。
おれは半ばダッシュで携帯に駆け寄りディスプレイを確認する。画面にはめいの文字。どうやらメッセージのようだな。
メッセージを流し目でよむ。
「家から1番近くにある倉庫。早く来ないと保証はしない」
おれは上着と携帯をとり、全力でかけだしていた。