国立魔法大学付属第一高校入学式。
開始より30分早めについた少年は最前列に座ることにした。
この学校では入試の成績で一科と二科に別れ、その間にはどうにもならない差別が存在していた。
そしてそれは入学式から如実にあらわれる。
席は決まってなく、本来どこに座ってもいいはずだが、自然と前列は一科生、後列は二科生と別れるのだ。
そしてその暗黙の了解を破ると無用な争いが生まれる。
最前列に座った少年もまた、一科生であった。
「隣、いい?」
少年が読書をしながら時間をつぶしていると、不意に声をかけられた。
「いいよ」
横に二人の少女が腰をかける。
友達同士なのだろうか。
友人と同じくこの難関学校に合格して、なおかつ一科生になるとは結構珍しいんじゃないか、と少年は思った。
「ねぇ」
さっきの少女から声がかかり、少年が振り向く。
「私、北山雫。よろしく」
「光井ほのかです。よろしくお願いします」
突然の自己紹介に少しギョッとしたものの、少年はなるべく動揺しないように自己紹介を返す。
「俺は兵部惣介。よろしくな」
「兵部さんの髪、白髪なんて珍しいですね」
「肌も真っ白。羨ましい」
そう。兵部の外見は人間離れした肌の白さに艶のある白髪、赤い目といったとても珍しいものだった。
「俺はアルビノだからね。生まれつき体中の色素がないんだ」
「へー。そんなこともあるんですね」
「ところで二人は友達同士なの?」
「私とほのかは幼馴染。親友といってもいい」
なるほど、と納得したところで入学式が始まった。
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入学式が終わり、兵部、雫、ほのかの三人はIDカードの受け取りに動いた。
ここでもやはり一科と二科は自然に別々になっていた。
兵部は結構露骨に差別があるんだなぁ、とほのぼのと思っていた。
差別意識が強いのは差別を受けている者のほうであり、そうでない人は割りとどうでもいいと思っている人も少なくないのだ。
兵部もどちらかというと、どうでもいい派だ。
とはいえ差別撤廃に向けて積極的に動こうという気はさらさらない。
所詮は人事。流れに逆らわず、流されているほうが波風立たずに楽なのだ。
「俺、A組だわ。二人は?」
兵部はIDカードを確認して、雫とほのかにそうたずねる。
「A組」
「私もです。三人ともA組ですね」
よかったです、とほのかが喜びをあらわにする。
雫も表情はあまり変わらないもののどことなく嬉しそうだ。
「これから私と雫はホームルームに行きますけど、兵部さんも行きますか?」
今日はもう授業も連絡事項もない。
せいぜい自己紹介や友達作りのための軽い交流ぐらいだろう。
行かなくても問題はない、そう結論付けて兵部は断ることにした。
「俺はもう帰るよ。理論分野の勉強が少し遅れているんだ。帰って少しでも勉強することにするさ」
「真面目なんですね。がんばってください」
「意外。がんばって」
兵部は二人に激励の言葉をもらって、また明日と返してその場を立ち去った。