公開討論会当日。
全校生徒の半数が講堂に集まる一方、兵部は図書館で自習をしに来ていた。
図書、といっても今ではほとんどデジタル化されていて、紙の書物というのもめっきり少なくなっている。
自習をするだけなら家でもできるのだが、先日の放送室ジャックの件もあり、討論会に乗じて何か起こるかもわからないから、と非番にも関わらず校内にいるようにと命じられていたため、こうして図書館まで足を運んでいた。
(今日はずいぶん空いているな)
兵部は空きブース席を探しながらそう思っていた。
といっても探す手間など必要ないくらい空いていたのだが。
(みんな講堂に行っているのか。暇人か)
主義主張のためなら、何をやってもいいと考えている人たちと”討論”などできるはずもない、と考えている兵部にとっては、そういう感想しか思い浮かばなかった。
兵部は黙々と勉強を始めた。
彼は15歳にして世界トップレベルの大学を卒業しているだけあって、いわゆる普通科目はもはや高校では学ぶことがない(歴史は少し怪しいが)。
ゆえに魔法幾何学や魔法工学など、魔法理論を中心に勉強していた。
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兵部が集中して勉強している最中、突如図書館内に白い煙が充満し始めた。
火事か、と思うが直後、それはないと結論付ける。
そもそも図書館に火元はないし、煙が黒くない。
兵部が黒い小銃型CADを片手にブースから外に出ると、図書館の出入り口付近にガスマスクをかぶった三人の男がいた。
「なんだ?もしかしてこれ、テロってやつか?」
「おい!そこのお前!CADを床に置け!!」
テロリストはマシンガンを構えながらそう叫んだ。
しかし、兵部は無視して自身の携帯端末を操作する。
「……渡辺さん、図書館で自習中にマシンガン持った人たちが侵入してきたんですけど」
「なんだと!?講堂でも同じようにテロリストが侵入してきた。無事取り押さえたが、そっちは、取り押さえられそうか?」
「殺していいのなら、問題ありませんが……」
「なるべく殺さずに取り押さえてほしいところだが……」
「貴様!何をしゃべっている!!」
まるで緊張感を感じさせない兵部の行動に、数秒フリーズしていたテロリストたちだが、我に返りマシンガンを構え、そう叫んだ。
それでも一向に会話をやめない兵部に対し、テロリストの一人が痺れを切らして発砲する。
放たれた三発の銃弾は兵部の体に当たると同時に反射し、テロリストのマシンガンを破壊した。
「なっ!?何が……」
テロリストは何が起こったのか理解できずに狼狽する。
そうこうしている内に兵部は摩利との会話を終わらせていた。
「殺していいってさ」
「ひぃ!」
兵部はテロリストの方に向き直り、三日月のように口を歪めてそう言った。
その悪魔のように、冷酷で、残酷で、狂気的な笑みにテロリストたちは後ずさる。
兵部が摩利に言われたのは、極力殺さないこと、当校の生徒は殺さないことの二つだけだ。
ゆえに兵部は目の前のテロリストを、
もとよりマシンガンを持っている敵に容赦をするつもりはない。
兵部が一歩一歩テロリストたちに近づいていくと、テロリストたちはそのプレッシャーに耐え切れず、錯乱し、マシンガンを連射し始めた。
しかし、マシンガンでは兵部を傷つけることすらかなわない。
すべての弾丸が反射され、マシンガンを破壊し、テロリスト自身に返って来る。
「学習しないなぁ……俺に銃なんて効かないのに」
三人のテロリストは被弾したまでも、まだ生きていた。
腹、腕、足、など即死には至らぬところに被弾したからだ。
兵部はテロリストに近づき、傷に触れた。
すると次の瞬間、テロリストは全身から血液を噴き出し絶命した。
「そうか。血液を逆流させるとこうなるのか」
「ひぃぃ!」
残り二人のテロリストも同じ手順で絶命させた。
兵部は三人の死体から、1人が中指にアンティナイトの指輪をしていたことに気づき、回収する。
「使う余裕すらなかったのか。まぁ使っても効かないんだけどな」
そうつぶやいて、その場をあとにする。
兵部は扉を開け、ロビーに出ると、すぐに二人のテロリストを発見した。
小銃型CADを敵に向けると、
――モード『
CADが変形し始め、銃口が大きくなった。
そして、銃口に白く発光した球体ができると、次の瞬間には一筋の光が伸び、テロリストの頭部を貫く。
そして、続く第二射で二人目のテロリストの排除に成功する。
その後も銃弾は反射し、テロリストを発見次第、
兵部は1階にテロリストはいないことを確認し、2階に登ると特別閲覧室の前に、4人のテロリストを見つけた。
そのうち一人は第一高校の女子生徒・壬生紗耶香だ。
兵部はまず特別閲覧室の扉に手をかけたテロリストを、警告なしで
「きゃああああ!!」
「くそ!魔法師め!!」
目の前で急に絶命した同士を見て、紗耶香が悲鳴をあげる。
一人が拳銃を抜き、発砲する。
紗耶香は喉の奥で悲鳴をあげた。
しかし、兵部は当然のごとく反射する。
少し軌道ずらして反射したおかげで、そのテロリストは自らの銃弾が眉間を打ち抜き、絶命した。
「壬生!何をしている、指輪を使え!!」
残りのテロリストの叫びで、紗耶香は急いで指輪を使い、逃走する。
その間に兵部が魔法を使えなくなったと勘違いした、いや、アンティナイトを使えば絶対に魔法が使えなくなると盲信していたテロリストは、拳銃の引き金を引き、自らの銃弾でその命を散らした。
「三下のキャストジャミングなんか効果ねぇよ」
兵部は必死に逃げる紗耶香の後を追う。
さすがに生徒に向かって
また先日のようにボディブローでもしようか、と考えていると、出入り口から達也、深雪、エリカの三人が入ってきた。
ちょうど兵部と達也たちで挟み撃ちにした構図だ。
「達也に司波さんにエリカじゃないか。もう図書館内の掃除は終わったぞ。あとはそいつを捕縛するだけ」
「……そのようだな。しかし……やりすぎじゃないか?」
「兵部って意外と……容赦ないのねぇ……」
二人が館内のあり様を見て、そうつぶやく。
「まぁ、今はそんなこといいからさ。そいつ、どうすんの?」
「くっ」
兵部が顎で紗耶香を指し示して、そう聞くと、彼女は悔しそうに表情を歪めた。
そこでエリカが発言する。
「壬生先輩については、私に任せてくれないかな」
「そう。じゃあ任せた。俺の仕事はこれでお終いっと」
それから、エリカ対紗耶香の勝負が始まった。
その横で兵部は深雪に血のりを落としてもらってから、雫とほのかの無事を確認した。
その間にエリカが紗耶香に勝利し、気絶させることに成功。
気絶した紗耶香を達也が保健室まで運んだ。
兵部のCADはドミネーターばりに変形します。
さらに完全思考型CAD。
通常モードは汎用型で人を殺せる威力の攻撃魔法は使えません。
排除モードは特化型で余裕で人を殺せる魔法が入っています。