魔法科高校の桁外れ   作:兵部少佐

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第11話 ブランシュ殲滅

保健室には紗耶香の事情聴取のため、真由美、摩利、克人と生徒首脳陣が勢揃いし、それに加え兵部、達也、深雪、レオ、エリカが集まっていた。

このとき、すでにテロリストは拘束され、首謀者と目される司甲も捕縛し、騒乱はとりあえず鎮圧されていた。

 

話は紗耶香が彼らの仲間に引き込まれたところから始まり、これまでの経緯などを話し、背後組織がブランシュである、と打ち明けて、紗耶香の告白は終了した。

兵部はその話に終始興味が湧かなかったため、ちくわ耳状態で話が右から左へと抜けていく状態だったが、テロリスト殲滅の話題が出たところで耳を傾ける。

 

「相手はテロリストだ。下手をすれば命に関わる。当校の生徒に、命を懸けろとは言えん」

「当然だと思います」

 

克人のその言葉に、達也は淀みなく答えた。

達也はそれでもテロリストを潰しに行くつもりだと答えると、深雪、エリカ、レオも参戦の意思を示した。

少し考えて、兵部も参戦することにした。

アンティナイトを回収するためだ。

 

(こういう機会じゃないと手に入らないからな)

 

兵部は先ほど図書館で殺したテロリストがはめていた、アンティナイトの指輪もすべて回収していた。

しかし、そこで兵部は素朴な疑問を投げかける。

 

「ところで、ブランシュを殲滅するのはいいけど、どこにいるのかわかっているのか?」

「分からない事は、知っている人に聞けばいい」

 

そう言って達也が出入り口の扉を開くと、そこにはカウンセラーの小野遥がいた。

兵部は遥についてまったく記憶に残っておらず、「誰?」という感じであったが、あえてそのようなツッコミはしなかった。

その後、遥が地図上にブランシュの拠点を示すと、意外にも学校の近くであることが判明した。

徒歩でも1時間はかからないであろう距離だ。

 

「車は、俺が用意しよう」

 

その後、兵部たちは克人が用意したオフロードタイプの大型車に乗り込んだ。

助手席には兵部の知らない生徒が座っていたため、兵部は不思議に思ったが、かまわず乗り込んだ。

話を聞くと、どうやら勧誘週間のときに達也に取り押さえられた人らしい。

名前は桐原武明。剣術部の次期エースである。

兵部には興味のない話であった。

 

---

 

茜色に染め上げられた世界の中、夕陽を弾いて低空飛行する兵部惣介が、閉鎖された工場の門扉を突き破った。

その後ろから続いて、大型オフローダーが侵入する。

 

「兵部、ご苦労さん」

「……ホント兵部って、いろいろメチャクチャよね」

 

兵部は時速百キロ超で走行中の大型車から飛び降り、時速二百キロで低空飛行し、そのまま門扉を突き破ったのだ。

もちろん衝突時の反作用は反射しているため、兵部には傷や痛みどころか、触った感覚すら残っているかも怪しい。

そんな様子を見て、達也は労いの言葉を投げかけ、エリカはため息混じりに呆れの言葉をつぶやいた。

その後、達也から作戦を言い渡される。

レオとエリカは退路の確保と逃亡者の始末、克人と桐原は裏口から突入、達也、深雪、兵部の三人は正面からの突入だ。

 

「達也、気をつけてな」

「深雪、無茶しちゃダメよ」

 

居残りを指示されたレオもエリカも不平を鳴らすような真似はしない。

 

「兵部……は大丈夫か」

「深雪、いざとなったら兵部を盾に使うのよ」

「お前ら俺をなんだと思っているんだ?」

 

こいつらには後で『お話』しなくてはならないな、と思いつつ兵部は達也、深雪に続き工場の中に入っていった。

 

---

 

兵部はイライラしていた。

 

工場に入るとすぐにブランシュ日本支部リーダー、司一がご丁寧にテロリストを整列させ待っていた。

そこまでは良かった。

しかし、そこから司一はペラペラと芝居がかった口調で話しまくるのだ。

 

「司波達也、我が同士になるがいい!」

 

兵部の我慢は限界に達しつつあった。

 

――モード『排除(エリミネイション)

 

兵部の右手のCADが静かに変形を始める。

 

「ハハハハハ、君はもう、我々の仲間だ!手始めに君の妹を、その手で始末してもらおう!その次は隣の男だ!」

 

司一は狂ったように命令する。

そのとき、司一の後ろに控えるテロリストの頭が一筋の光に貫かれる。

もはやその男に頭部は残っていない。

 

「いつまで茶番に付き合えばいいんだ?達也」

「確かに茶番だな。付き合わせて悪かった。俺もこの程度の手品ごときが奥の手だとは思っていなかったんだ」

 

司一が使った魔法は意識干渉型系統魔法、邪眼。

催眠効果を持つ光信号を相手の網膜に投射する魔法だ。

達也いわく、紗耶香の記憶もこれですり替えたということだ。

 

「な、なんだお前たちは……撃て、撃てぇ!」

 

司一にもはや威厳取り繕う余裕はない。

呆れるほどに、みっともなく取り乱し、射殺を命じる。

 

「な、な、……」

 

しかし、弾丸は発射されなかった。

拳銃、サブマシンガン、アサルトライフル……。

それらすべてがバラバラに分解されたのだ。

 

(達也か……何をしたんだ、こいつ)

 

と、兵部は一瞬疑問に思うが、司一が逃走したのを見て、すぐに気持ちを切り替える。

兵部はテロリスト達を原子崩し(メルトダウナー)で覆う。

 

「達也、司波さん、追ってくれ。俺はここでゴキブリ駆除をする」

「わかった」

「わかりましたわ」

 

達也は奥の通路へ向けて、歩き出した。

それに追従して深雪も歩き出す。

そこでブランシュのメンバーのうち一人が、ナイフを手に深雪に襲いかかろうと、原子崩し(メルトダウナー)の膜に突進した。

光の膜に触れたところから、溶け、蒸発し、あっという間に下半身のみの存在になってしまった。

光の膜から外へは血の一滴すら出ることはない。

 

「程々にな。拘束できるのならその方がいいんだぞ」

「教えといてやるよ、達也。ゴキブリってのはな、放っておくと増えるんだぜ」

「フッ、知っているよ。嫌ってほどな」

 

---

 

達也と深雪が奥の通路へと消えていった。

 

「さて、ゴキブリ駆除の時間だ」

 

兵部がそうつぶやくと、彼のCADが変形を始める。

 

――モード『殲滅(エクスターミネイション)

 

より銃口が大きく、より広範囲に攻撃ができるように変形する。

そして、原子崩し(メルトダウナー)の膜を解除し、引き金を引いた。

ブランシュのメンバーを幾本にも分かれた、光の筋が貫き、次々と絶命させていく。

兵部がたった一回、引き金を引いただけで、その場のブランシュメンバーは一人残らず絶命した。

 

「駆除完了っと」

 

そうつぶやくと、彼のCADが元の状態へと戻る。

モード『殲滅(エクスターミネイション)』。

それは原子崩し(メルトダウナー)の光線を分散させるためだけの形態だ。

銃口近くに拡散支援半導体(シリコンバーン)を装備することで可能になった。

原子崩し(メルトダウナー)の光線を魔法で分散させる方法が思い浮かばなかったため、仕方なく機械的な性能に頼った、というわけだ。

 

(結構集まったな)

 

兵部はブランシュのメンバーの死体から、アンティナイトの指輪を回収していた。

 

(しかし、達也のさっきの魔法……あれは一体なんだったのだろうか)

 

兵部は改めて床の惨状を見る。

 

(間違いない。部品に分解されている……)

 

兵部はそんな魔法は見たことも聞いたこともなかった。

気になる、が魔法師の世界では、他人の魔法を聞く、という行為はそう軽いものではない。

兵部は先ほどの魔法のことを考えながら、達也たちのあとを追った。

 

 

 





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