オーバーロード~至高の人形使いと自動人形~   作:丸大豆

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七話

カルネ村―――――

 

 

「何だ、問題無いじゃないか」

 

僕が村に到着すると、〈死の騎士(デス・ナイト)〉は斬りつけて来た相手を盾でふっ飛ばし、その実力に恐れて逃げ出そうとする獲物は持っているフランベルジュで真っ二つに切り裂き、その亡骸を犠牲者と同レベルの〈従者の動死体(スクワイア・ゾンビ)〉に変えていた。

ちらっと見ただけでも結構な数の騎士の死体が横たわっており、村人には被害は無く、正直な話「コレ、僕要らなくね?」という気さえしてくる。

 

「な、何だお前は!?」

 

「魔物を連れて……び、ビーストテイマーか!?」

 

ようやく気付いたか、と言うか僕は人形使い(ドールマスター)であってビーストテイマーじゃない。

アウラが誇りを持って世話をしている魔獣達は可愛げがあって好きなんだけど……やっぱり、彼等から見れば一緒に見えるのだろうか、心外だな。

 

僕はその魔物呼ばわりされた人形、ミンチ・オブ・グレイブを指の繰り糸で操作し、上半身から最大本数10本中、3本の半透明の腕、〈見えざる手〉を出現させる。

その手に死体となった騎士達が持っていたロングソードを握らせて―――――

 

「ぐげっ…!!」

 

「かぁっ…!!」

 

「ゴボッ…!!」

 

失言した奴とその近くに居た二人に投擲する。

結果は頭を貫いて死亡、喉を貫いて死亡、心臓を貫いて死亡という見事な三連コンボだ。

随分と綺麗に決まって、妙な達成感すらあった。

 

「ひぃああぁぁぁあああ!!!」

 

「て、敵だ!! コイツも敵だぁ!!!」

 

「何、当たり前の事を言ってるんだい?」

 

彼等の絶叫が耳障りだったので手近に居た奴を一人、さっきの様に拘束。

折角だしコイツからも色々聞いておくか。

 

「君達は一体、何処の人なんだい?」

 

「わ、我々はバハルス帝国のも、者だ…」

 

バハルス帝国……この世界にはそんな国があるのか。

僕は成程な、という意味を込めて頬を掻く動作をする。

すると、その動作が人形と連動してしまい、騎士の拘束がさらに強いものになってしまった。

 

「あがぁあぁあ!!! ち、違います!! 我々は、スレイン、法国の、者ですぅ!!!」

 

どっちだよ……?

 

すると周りの連中が口々に「馬鹿野郎!」とか「何て事を!」とか言って来るので僕は理解する。

 

コイツ等がやっているのは“偽装工作”だ。

どうやら、このスレイン法国の連中がバハルス帝国の物であろう甲冑を着て、その国に罪を着せたいらしい。

国の事情なんて僕には分からないけど、その為に無抵抗な人達をコイツ等は殺すのか……。

 

「ふむ……ありがとう」

 

「し、喋ったでしょう…? だから助け……」

 

―――――バタン!!

 

その言葉を最後まで言わせる事は無く、僕はソイツをまるで没にしたデザイン画をシュレッダーに入れるかの様な気軽さで、ミンチ機構を持つ人形の中に入れて内部のスクリューを起動させる。

 

「あぎゃがががばばばばばばああぁぁぁああ!!!」

 

「別に、誰も喋ったら助けるなんて言って無いじゃないか」

 

少し痛い目に遭った位で情報を喋るとは、この世界には「士道不覚悟」という言葉は無いらしい。

武士道が騎士道と同じかどうかは知らないけど。

 

それにしても偶然とはいえ、有益であろう情報を得られた、それについては感謝しておこう。

 

 

「お前ら! お、俺はこんな所で死んで良い人間じゃない! 時間を稼げ!! 俺の盾になれぇ!!」

 

まーた、煩いのが居るよ…。 しかも下種度MAXな台詞吐いてるし……もしかして隊長さんか?

僕は億劫な指の動きで人形の手を操作し、隊長と思わしき奴の両足を掴み、逆さ吊りにする。

 

「あひゃぁああ!! おまえら! かねだ! 200金…500金貨やる!! だから助けろぉ!!」

 

この期に及んで金で命が助かると思ってるとか、本当に救いようが無いな……。

 

メンドクサイからさっさとコイツをミンチにしようとして、考え直す。

思い返せば僕がコイツ等を殺したいのはニグレドを悲しませた連中に関係しているから“かも”しれないのであって、直接コイツ等の被害に遭ったのはこの村の人達だ。

なら、すぐそこでひと固まりにされてしまっている人達に意見を訊いてみるのはどうだろうか?

僕等のギルドも基本姿勢は多数決だ、これは良い考えだとばかりに僕は村人達に話し掛ける。

 

「村人の皆さん! 僕の声が聞こえてますか!!」

 

声を掛けられた村人達は全員が体をビクッと震わせる。 ちょっと凄惨に殺りすぎたかな…?

 

「皆さんはこの連中に家族を、友人を、恋人を殺されたのでしょう!? 今、此処に居ない逃げた方だってひょっとしたらもう死んでいたり、犯されているのかも知れない!! そこで質問です! 今、僕が拘束している男は金で命を助けて欲しいと言いました! そんな彼を許しても良いという方は手を上げてください!!」

 

僕の言葉に村人達は誰も手を上げない、代わりにその眼にはどろりとした憎悪が浮かんでいた。

 

「はい! 皆さん、ありがとうございました!! …うん、決めたよ。 君は派手に殺るから」

 

「あ!? あ!? あ、あ、あ、あ、あぁぁあああぁぁぁ!!!」

 

死刑宣告を受けて面白い位に顔色を変えるコイツを見て、昔の事を思い出す―――――

 

 

小学生の頃、僕には仲良くしていた男友達が居たのだが、彼は上級生からイジメを受けていた。

だから僕は現場を目撃した時、そいつ等を教室から持って来た椅子でしこたま殴りつけた。

結果として、その件でイジメは教師とそいつ等の親に知られる事になり、彼のイジメは止んだ。

その後、僕は教師に叱られ、父母と姉に泣きながら殴られ、その友達からも避けられるようになったので、この年齢まで“そういった衝動”を抑えて生きて来た。

 

あの時のイジメっ子と今、目の前の男の怯えた顔が重なり、僕は今の感情を口に出す―――――

 

「た  の  し  い  ね」

 

「うひゃわぁぁぁあああぁああああ!!!」

 

彼の絶叫を聞きながら僕は腕と指を動かして人形をもう一つの形態に変形させる―――――

 

 

「出で座せい、〈スプラッター・オブ・グレイヴ〉」

 

 

現れたのは十字架の上半身を瞬時に草木を切る為の物では無い、生物を斬る為に特化したデザインの真っ赤なチェーンソーへと変えた人形、〈スプラッター・オブ・グレイヴ〉

変形中も拘束され続けていた隊長さんは恐怖のあまり失禁し、その眼は血走っていた。

 

「逆さ吊りの状態で股から斬られると心臓に届くまでは生きているらしいよ、試してみようか」

 

「やめろ! やめてください!! お金! 払える限り、払いますから!! おねが……」

 

僕はその言葉を無視し、右手首を十字を切る様に振る。

 

―――――ギュイィィィィィン!!

 

するとチェーンソーが起動し、さらに突き出した左中指を下ろして、“処刑”を開始する。

 

 

「いぎゃおぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぁあおかねおぉおぉおかねおかあげまじゅああぁぁ!!!」

 

 

―――――彼は真っ二つになり、“処刑”は終了した。

 

 

「喉まではまだ息があったな……そりゃ、映画と同じって訳じゃないか」

 

タブラさんに見せて貰ったスプラッター映画を参考にしたのだが、やっぱり現実とフィクションは一緒にしちゃいけないな。

汚ない人間の返り血も人形に付いちゃったし、この殺り方は失敗したかも。 うん、反省。

 

「いやだ…いやだ…いやだ!!!」

 

「助けて、助けて神様!!!」

 

「―――落ち着け、撤退だ!! 動ける者は準備を整えろ! あんな死に方はご免だ! 急げ!」

 

お、気配はあるのに邪魔して来ないからてっきり固まってるのかと思ったら生存者に激を飛ばしている騎士が居た。

実質的なリーダーはこの人だったのかな?

 

「俺が時間を稼ぐ!! お前らは先へ行け!!!」

 

彼はそう叫んで僕に突進して来たので、折角だから白兵戦の練習をしておこう。

僕は繰り糸を外し、彼が渾身の力で振るって来た剣を―――――

 

「なっ!?」

 

左手で掴んで。

 

―――――ゴキャッ!

 

右手で首の骨を折る。 

これ位の速さなら余裕で対応出来るな、今できる限りでの実験はこんな物か。

 

 

 

後に残ったのは精神的な支えを失って崩れ落ちている残りカスしかいない。

“法国出身者”だからなのだろうか、彼等はブツブツと「神様」という単語を口にしているのだが、人々を虐殺する事を認める様な神様なんて崇める価値が無いと思うんだけどなぁ…。

 

さて、これからどうすべきかと考えていると空から聞き覚えのある声が聞こえて来た。

 

 

「〈死の騎士(デス・ナイト)〉よ、そこまでにしておけ」

 

その言葉で死の騎士(デス・ナイト)はピタリと動きを止める。 やっとお出ましですか…。

僕は顔見知りが来た事に安堵していたが、その声の主が守護者統括と共に地上に降り立ち、この場に居る全ての者達に己の名を語った時、無い筈の心臓が止まるかと思った。

 

「はじめまして、諸君。 私の名はアインズ・ウール・ゴウンという」

 

……っ!? ………そうか、そういう事か…モモンガさん。 あなたの考えが、理解出来た。

それがあなたの出した結論なら、僕はそれに従おう。

 

「…次は僕から…皆さん、僕の名前はソウソウ。 アインズさんの同志です。 そして彼の隣りに控えるのは僕等の優秀な部下であるアルベド。 今後とも宜しく」

 

そう言って僕はアインズさんに優しく目配せをする。

それを受けた彼は少し身を震わせた後、僕に軽く頷き、生き残った騎士達に命令をした。

 

「……諸君等には生きて帰って貰う。 諸君らの上し…飼い主に伝えろ」

 

「次にこの村を襲うのなら、僕等は君達の故郷に今以上の責め苦を与えに行ってあげる、とね」

 

僕等の言葉に電池を入れたばかりの玩具の様な激しい動きで顔を上下させる。

ってか、さっきアインズさん“上司”って言おうとしたな、リーマンか!?

いや、元リーマンの現骨人間だけど、このギルマス。

 

「確実に主人に伝えろ。 行け」

 

その言葉を最後に、襲撃者達は一人も居なくなった。

 

 

後は死の騎士に自身が殺してゾンビ化させた連中と僕が殺した連中の後片付けを命じ、助けた村人から情報を貰おうと思ったのだが、初手で金銭目的だとハッタリをかましたらこっちが引く位の感謝を受けた。

 

曰く―――――

 

 

「何も出来なかった私達の力になって頂きありがとうございます!」

 

「あなた方は我々の思いを汲んで、奴らを撃退してくれた恩人です!」

 

「謝礼は私達が払える最高限度をあなた達にお支払致します!」

 

 

どうやら僕が隊長格を殺す時に被害者の皆さんから確認を取った事がプラスに働いたらしい。

アレのお陰で「恐ろしい風貌と力を持っているが理性的で義侠心を持った人達」と認識して貰えたので話が早くて正直、助かった。

アインズさんからは「流石はソウソウさんですね!」と褒められたのだが勘弁して欲しい…。

過度な期待を掛けられるのはナザリックの皆だけで十分だよ…。

 

その後、村長さんが早速謝礼金の話を始めようとしたので「皆さんお疲れでしょうから少し間を置いてから」と宥めて、僕等はアルベドを除いて二人だけで休憩を取る事にした。

 

 

「ハァ……演技するのも疲れるなぁ」

 

「お疲れ様です。 立派でしたよ、“アインズ”さん」

 

「ソウソウさん……済みません。 勝手に決めてしまって、でもこれには…」

 

「大丈夫、意図は分かってますって。 少なくとも僕はあなたがその名前を名乗る事に不満はありません」

 

「………ありがとう、ございます」

 

「と言うか、何でガントレットと、よりにもよって“嫉妬マスク”付けてんですか。 そっちの方がビックリですよ」

 

嫉妬マスクとは簡単に言えば「クリスマスにカップルがイチャコラしてる時間、ゲームやってる非モテ共へ運営様からのプレゼントじゃーw」というこちらに対して喧嘩売ってるとしか思えない、ある意味で呪われたアイテムだ。 ちなみに僕も持っている。 悪いか。 悪いか…。

 

「い、いや…これは変装ですよ。 どうやら皆、私達の見かけに驚いていた様なので…。 ソウソウさんは大丈夫ですか?」

 

「あぁー……人形の手は装備で隠れてますし、この顔は表情が滅多に動かないので、仮面って事にします。 瞳の色と髪が動く事に関しては……新薬の実験の副作用って事で一つ」

 

「新薬実験……助けた姉妹の姉の方から聞いた話では、この世界にも薬師が居るそうなのでそれでごり押しましょうか」

 

ふと、アインズさんの言葉に疑問を覚える。

思い返して見ればあの姉妹には彼の“素顔”と“本名”を知られているじゃないか。

そこを尋ねてみると彼はこう返した。

 

「ええ、その為に今から結界で保護していた彼女等を迎えに行くついでに少し魔法による記憶操作の実験をしてみようかと思いまして。 ソウソウさんも良かったら行きませんか?」

 

「僕は大丈夫ですよ。 此処に残って自然に心癒されながら村人達をアルベドと一緒に守ってますから」

 

「分かりました。 それでは行って来ますね」

 

 

森の方へ去って行く彼に僕は手を振って見送る。

そして近くの木陰に腰を下ろし、ギルド〈アインズ・ウール・ゴウン〉そのものになった人の想いを考える。

 

彼はきっとこの世界に来ているであろうプレイヤー達に「自分達は此処に居る」と言う事を伝えたかったのだろう。

それが危険な行為だという事は十分に理解している。

けれど博打を打たなければ欲しい物は手に入らない、僕等の欲しい物はそれだけの物(存在)なんだから。

ギルドマスターがそう決めた以上、僕の役目は彼が無理をしない様に支えるだけだ。

 

でも……ナザリックの皆は内心、どう思うのだろうか?

彼等は全員が僕等の言う事を肯定してくれる。 それは嬉しいのだが無理をしていないだろうか?

 

特にアルベド…今は「モモンガを愛している。」という設定を付与された彼女の心境は愛する者がその名を変えるという事にどれ程の葛藤があるのだろうか?

彼女はタブラさんの、僕が友人だと思っている人の娘と言って良い存在だ。

出来る事なら幸せになって欲しいと願っている。

僕が彼女の為に出来る事とは一体………………

 

 

――――――――――

 

 

その後、僕は帰って来たアインズさんと共に村長夫妻から報酬確認という名の情報収集をしていたが、村人達の葬儀の準備が出来たから話を中断し、僕等も折角だから参加しようと村長宅から出て来た瞬間、自分に向けられた二つの視線を髪から感じ取る。

 

「どうしました? ソウソウさん」

 

「アインズさんは先にアルベドと一緒に共同墓地に向かって下さい。 僕は後から行きます」

 

「……それは構いませんが、まさか敵ですか? 後詰めからの連絡は来てませんが」

 

「大丈夫、荒事じゃ無いですよ。 さぁ、行った行った」

 

僕がにこやかに背中を押すと渋々ながら彼はアルベドの元へ向かう。

心配してくれるのは嬉しいのだが本当に問題は無いのだ。 何故なら―――――

 

「君達! 君達は葬儀に参加しなくて良いのかい!?」

 

「「ひゃあ!!」」

 

僕が突然声を掛けると可愛らしい悲鳴を上げながら近くの木に隠れていた二人の姉妹が顔を出す。

思い返せば、彼女達を助ける為に此処に来たというのにすっかりその存在を忘れていた後ろめたさもあり、お姉さんの方に座高を合わせて普段より優しい声色で話し掛ける。

 

「どうして僕を見ていたんだい?」

 

「あ、あの私はエンリ・エモットと言います。 この子は妹のネム・エモット。 そ、その私達を助けて頂き、ありがとうございました!!」

 

「ありがとうございました!」

 

ヤバい……………凄い申し訳ない気持ちになった。

まさか、ここまでストレートなお礼の言葉を貰えるとは思っても見なかった。

ゴメンね、ホントにゴメン。 君達の事忘れて騎士をミンチにする事に夢中になっちゃって。

 

「……君達は、僕の顔が怖くないのかい?」

 

「ゴウン様からお話は聞いています。 遠くの国で錬金術の勉強されていて、その時に新薬の実験の失敗で顔を焼かれ、髪が動き、目が金色になってしまったと。 それで得られた力のお陰で私達を助けてくれたんですから、怖がったりなんかしません!」

 

「そ、そうかい……ありがとう」

 

どうやらアインズさんの名前の件といい、彼の記憶操作はうまく働いている様子だが、それ以上にこの子は良い娘であるらしい。

と言うか、顔が焼かれた設定は余計だろ。 あの骨、僕に恨みでもあんの?

 

「私、てっきり髪に関してはタレントだと思ってしまって……」

 

“タレント”? 村長からの情報には無かった物だ。

もっと詳しく訊くべきか無知を晒す危険を冒すべきかを考えていると彼女が勝手に続きを語ってくれた。

 

「あ! タレントって言うのはその人が生まれつき持っている特別な力の事で、私の知り合いの薬師の子も……ってすいません! 錬金術師様が知っているであろう事を説明しちゃって」

 

いや、良いよ! 全然OK! むしろありがとう! そして、ありがとう!!

でも錬金術師か……一応、人形作成の一環でジョブは取っているけど本来ならその名はタブラさんの方が相応しいんだろうな。

 

「いや、構わないよ。 さて…お礼も済んだのなら葬儀に向かうとしようか」

 

「……ええ、そうですね」

 

「………」

 

「……知り合いが亡くなったのかい?」

 

「はい……父と、母が」

 

馬鹿! 僕の馬鹿!! 地雷を踏んじゃうなんて!! 僕だって大切な子が死んで悲しかったじゃないか!!

どうするべきか……そうだ。

 

「二人とも、慰めになるか分からないがこれをあげよう」

 

僕は二人に銀色のチェーンとヘッド部分が紋白蝶を模ったネックレスを渡す。

 

「……これは?」

 

「わー…綺麗」

 

「僕が昔作ったアイテムでね。 両親の代わりになるかは分からないが、君達を守ってくれるだろう」

 

この〈紋白蝶の羽ばたき〉は僕がユグドラシルに慣れ始めた頃に作った物で装備者に一分間、レベル50クラスの攻撃を無効化できる加護を受けられる。 

再び使用するには一日間を置かなければならないという所謂、処女作というヤツだ。

今じゃ使う機会も無いだろうし、折角だからこの子達にあげる事にしよう。

 

「そ、そんな! 受け取れません!! ゴウン様からも角笛を頂いたというのに!」

 

角笛……あれか、〈小鬼(ゴブリン)将軍の角笛〉か。

流石はギルマス、いらないアイテムとはいえ、無課金者に施しをするなんて廃課金者の鏡だな。

 

「アインズさんは僕の友人でね。 彼が君達に施しをしたというのなら僕も同様の扱いを君達にしなければいけない。 受け取ってくれるね?」

 

「…はい。 何から何まで本当にありがとうございます」

 

「凄い綺麗! ありがとうございます……えっと、えっと」

 

「アインズさんは僕の名前を教えてなかったのか…では自己紹介だ。 僕はソウソウ、アインズさんの友にして同志さ。 宜しくね、エンリ、ネム」

 

「は、はい! 宜しくおねがいします! ソウソウ様」

 

「こんな素敵な首飾りをくれてありがとうございます! ソウソウ様!!」

 

 

そして僕は彼女達と共に共同墓地へ向かう。

 

さっき殺した騎士達が朽ち果てた醜い人形程の価値しかないのなら、彼女達は可愛らしいビスクドールと言った所か。

自身の価値観の変貌に戸惑いながらも僕は自分の作品を褒めてくれた姉妹を守る様に歩く。

 

自分からは数多く抜け落ちてしまったであろう人間性を輝かしい位に持っている彼女達に羨望の眼差しを向けながら………。

 

 




モモンガさんがついにアインズさんになりました。
仲間がいるのにこの名を名乗ったのは、自身とその仲間の願いを叶える為でもあります。
アルベドとソウソウにガッチリとした会話をして貰いたい、というのも私の個人的な理由の一つですが。

しかし、エンリ将軍に更に力与えちゃったけど、もうとんでもない事になって無いかコレ。
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