この話には「キャラ崩壊」「SEKKYO」「KAKUGO」成分が含まれています。
これらが苦手な人は、下の方でちょっと間をあけてるところから読まれることを推奨します。
16
呪いのデーボとの戦闘後、ジョセフとアヴドゥルの部屋に集まり戦闘結果の報告と今後の方針について話し合う一同。
空路に続き海路までダメ、となると残る移動手段は必然陸路となる。
丁度良い事にシンガポール駅でタイまでの列車のチケットを予約できるようだ。
タイからはビルマ連邦社会主義共和国(ミャンマー)をぬけてインドを目指す。
ただタイとミャンマーの国境付近にある山岳地帯では盛んに麻薬製造がおこなわれ、政情も不安定だという。
無用なトラブルに巻き込まれないため、また時間を短縮するためにも、危険とは知りつつもそこで再び海路を選択。
小型クルーザーであれば長距離移動は出来ないもののジョセフでも運転できる。
都度船のみを即金即決その場買取すれば少しは敵の付けいる隙をつぶすことができるはずだ。
すでに時刻は夕方、今から予約に行っても間にあわなかろうと、ジョセフは承太郎と花京院に明日チケットを手配しに行くよう依頼し、ミーティングを終えた。
この二人に仕事を頼んだのは、ホテル到着早々に敵と戦闘となったポルナレフと仗助に対するジョセフのちょっとした配慮だ。
事実、ポルナレフと仗助は戦闘で疲れたのか、戦闘報告を終えた後、つづく今後の進路の話し合いの間ずっと船を漕いでいた。
欠伸を噛み殺そうともせず、話し合いが終わるとみるや、二人はさっさと部屋へ戻っていく。
あの後彼らはポルナレフの部屋の戦闘痕を一見して目立たないよう修復し、掃除までしたのだ。
そのお陰でトイレで見つかった変死体の捜査のため、宿泊客全員に簡単な聞き取りを行いに部屋を訪れた現地警察官も特に彼らの関連を疑うことなく、あっさりと帰っていった。
彼らの体は一刻も早い休息を求めていた。
元に戻したとはいえ、敵に襲われた部屋でそのまま一人寝るのはどうにも落ち着かないのだろう。
ポルナレフは仗助の部屋のソファーを貸してほしいと願い出る。
仗助の方も誰かと居たい心持ちであったため、すんなりそれを承諾した。
そのまま眠りにつくかと思われた二人だが、部屋に入り、寝支度を整えるうちに疲れ過ぎて逆にハイテンションになったようだ。
夜中の修学旅行生のようになんでもない馬鹿話に花が咲く。
と、目に涙まで浮かべて笑い転げていたポルナレフが唐突に真剣な顔をした。
「なぁ、仗助。」
「なんスか急に。トイレならあっちっスよ。」
「ばっか、違ぇよ。・・・お前さ、人を殺したことねぇだろ。」
ポルナレフの言葉にピクリ、と仗助が反応する。
「まぁ平和な日本で暮していりゃあそれも当り前かもしれねぇがよ。これまでのお前の
行動から、ある程度戦い慣れてんのはわかるぜ。だが、どこか甘さがある。大方
これまで遭遇した敵は再起不能にしたか、直接とどめを刺していないんだろう。」
実際には殺すよりもある意味残酷なことをしているが、概ねポルナレフの指摘は当たっている。
攻撃をする際に「相手が死んでもかまわない」という認識でコブシを上げることはあった。
それでも結果として仗助が直接誰かの命の芽を摘んだことはなかったのだ。
「俺ぁ何も遭遇した敵を必ず殺せと言ってるんじゃあねぇ。けどよ、俺は俺の復讐の
ためにこの旅に同行している。お前の甘さで足を引っ張られんのはゴメンだ。」
いや、違うそういうことを言いたいんじゃない、と後頭部をガシガシとかきながらポルナレフは続ける。
「俺たちを殺しに来る敵にいちいち情けをかけてちゃあこっちの身がもたねぇってこった。
だから・・・つまりまぁ・・・あんまり気にすんなよ、仗助。」
そこでようやく仗助は、これまでの旅の中「死」に触れるにつけ、知らないうちに小さなわだかまりが膨らんでいたことに気が付いた。
ホリィを助けると決意した時、飛行機の中でタワーオブグレーと対峙した時、覚悟は決めたはずだ。
それなのにまだこうして黒い何かがくすぶっているのは、理屈では整理できないものだからなのだろう。
それを乗り越えるのは自分自身で心に決着を付けるしかない。
同じく日本で暮していたはずの承太郎、花京院と仗助では何が違うのか。
スタンドは精神のヴィジョン、自分の心を映し出す鏡のようなもの。
仗助のスタンドはパワー、スピード共に強力な攻撃力を持ってはいるが、基本的には「何かを守る」ことに向いている。
敵スタンド使いアンジェロに祖父を殺された時も、文字通り怒髪天を突くほど頭に血がのぼっていた。
それでも仗助が心に誓ったのは復讐ではなく祖父の意思を継ぎ「杜王町と母親を守る」ことだった。
「向こう」で承太郎がクレイジーダイヤモンドを「この世のどんなことよりも優しい能力」と評したのは正鵠を射ている。
つまり、仗助は優しすぎるのだ。
その点で承太郎や花京院とも、復讐のために色々な物を切り捨ててきただろうポルナレフとも、根本からして異なっていた。
だがしかし、今はポルナレフの不器用な気遣いを嬉しく思う仗助。
相手を殺すという覚悟ではなく、どんな手段を使っても、平穏なる日常を守り抜く覚悟。
皮肉にも、彼が目指すものはあの殺人鬼が持っていたそれに似ていた。
「・・・ありがとう、ございます。ポルナレフさん。」
「チッ、柄にもねぇこと言っちまったぜ。つーかそのポルナレフさんってのやめてくれ
ねぇか?呼ばれる度にどうにもむずがゆくなっちまうぜ。」
ははは、と暗くなりそうなその場を和ませようと笑うポルナレフにつられ、仗助も笑う。
ついでに礼というわけではないが、この機会に仗助は自身の事情を話すことにした。
未来から来たのだと言う、通常では信じられないような仗助の話に口をはさまず、時折合いの手をいれながらポルナレフは最後まで聞いてくれた。
「ふぅ~ん。随分とまぁ物騒なスタンド能力があったもんだなぁ。」
あっさりと話を信じるポルナレフに、逆に仗助が驚く。
「いや、前々から変だとは思ってたのさ。DIOからお前らを殺して来いって命令された
時によ、ジョースターさん達についての情報も渡されたんだ。ジョースターさん、
アヴドゥル、花京院は簡単なプロフィールからスタンド能力まで。承太郎のも推測
交じりじゃあったが一応は載っていた。そん中で、お前の情報だけが外見の特徴以外、
なぁんにも無かったんだよ。」
初めは急遽同行することになったお人よしなのかと思っていた。
ところが実際に彼らに会ったことで、ジョセフや承太郎との血縁を感じさせる仗助の容姿に違和感を覚える。
ポルナレフに渡された情報からもわかるとおり、DIOは承太郎の情報をある程度把握していた。
自身の野望を邪魔してくる存在としてジョースターの血筋に連なる人間は、あらかじめ調べさせているのだろう。
にも関わらず、ジョースターの血統に目を光らせているDIOが、能力の詳細についてはともかくとして年齢的に戦力になり得る仗助の情報を全く掴めていないのはおかしい。
さらに、決定打となったのは海で漂流していたときの仗助とアヴドゥルの会話だ。
あのときポルナレフはまどろんでいたが、完全に眠ってはいなかった。
偶々聞こえた会話の中、まるで同一人物が二人同時に存在しているかのような仗助の口ぶりに内心混乱したのだが、当然のように話を続けるアヴドゥルの様子に、何か事情があるのだろうと察し口には出さなかった。
「・・・ポルナレフって。」
「ん?」
「なんとなく雰囲気が億泰に似てんなぁ~って思ってたけど、頭良かったんスね。」
「どぉ~ゆ~意味だおいぃ!!」
にぎやかに夜は更けていく。
ポルナレフっておちゃらけてるけどいち早く殺気に気付いたり、
単独で某ボスまで辿りついたりして、結構鋭いと思うんです。
なんでDIOがジョセフたちの情報を知ってたか?
花京院は肉の芽植えたときにききだしただろうし、
ジョセフは自分と同じ能力持ってるから。
アヴドゥルはスカウトに行くくらいだから情報出回ってたんじゃないかと。
なので肉の芽被害者のポルナレフも能力バレちゃってるんだろうなぁ。