もし仗助が3部にいたら?   作:しろた

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話をしよう!2

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翌日。すっかり日は高くなっているが、昨夜の夜更かしがきいたのか仗助とポルナレフはまだ眠っていた。

そこにトントンと遠慮がちにノックが鳴る。

「ルームサービスは頼んでねぇぞ~・・・」と夢うつつに応えながら薄眼をあけたポルナレフ。

その視界いっぱいに、光ったメロン、ではなく花京院のハイエロファントグリーンが映り込んだ。

 

「うおわぁあああッ!?」

 

サカサカサカ、とポルナレフが寝床にしていたソファをひっくり返しながら座った姿勢で後退する。

その声の大きさに何事かと仗助も飛び起きた。

 

「な、なんだ驚かすなよ、花京院のスタンドじゃあねぇか。」

「なんだ、はないでしょう。いつまで経っても反応がないからまた敵に襲われたのかと

 思って心配したというのに。」

 

それより早く鍵を開けてくれませんか、とスタンドを介して平然と告げる花京院を、仗助が部屋に招き入れる。

 

「あれ、花京院さんて承太郎さんと一緒にチケットを予約しに行くんじゃあなかったんスか?」

 

ジョセフの話が長くてうとうとしていたが、確かそんなことを言っていたはずだ。

 

「それがどうやら承太郎において行かれてしまったみたいでね。仕方がないからヒマ

 つぶしにプールサイドで日光浴がてら読書でもしようと思ってたんだ。仗助も一緒に

 どうだい?部屋で寝ているのも悪くないが、良い気分転換になるかもしれないよ。」

 

どうやら花京院なりに気を使っているらしい。

自分が意識していないだけで周囲にはバレバレだったのか、と考える仗助をよそに、「プール」という単語に耳をダンボにしたポルナレフが食いついた。

 

「おっほ!このホテルにゃあプールまであんのかよ!行こうぜ仗助!水着着たナイス

 バディなねーちゃんたちが俺らを待ってるッ!!お前も潔癖そうなツラして実は

 ムッツリかぁ?この、この!」

 

床から勢いよく立ちあがり、肩に馴れ馴れしく触れるポルナレフの手を「お前は誘ってなかったんだが」と言いながら花京院がうっとおしげに払う。

仗助は仗助で「俺純愛派なんでナンパとかしたことないんスよね~」と、割とノリ気のようだ。いそいそと櫛で髪型を整えだしている。

まぁプールに着いたらこのうるさいのも黙るか、と思い花京院は二人と連れだってプールへと赴いた。

 

一人で行動する承太郎が心配と言えば心配だが、これから追いかけても観光客でごった返している広い町の中上手く見付けられるかわからないし、何かあっても承太郎ならば一人で対処できるだろう。そのように仗助は結論付け、花京院とポルナレフの後についていく。

仗助はある種、承太郎に対し盲信に近い感情を持っていた。

彼は気付いていない。『向こう』の承太郎と違って『こちら』の承太郎はまだスタンド経験の浅い一介の高校生であることを。

 

 

 

惜しげもなく自慢の肢体を衆目にさらしながらキャッキャウフフと戯れる美女たち、水中をマーメイドのように華麗に泳ぐクールビューティ・・・そんなものはなかった。

 

プールサイドは閑散としており、ぽつぽつと黒服サングラスの集団を侍らせた恰幅の良い中年男性や、リタイア後に残された余暇を精一杯楽しまんとする老夫婦がいるだけで、思い描いていた美女の美の字も見当たらない。

 

それも当然だ。なにしろホテルのトイレから変死体が発見されたのはつい昨日。

普通の神経を持つ人間ならば、そのホテル内で無防備に遊びたいとは思わないだろう。

身を守る術を持たない若い女性であればなおのこと。

 

ガクリと膝を落とす2人をしり目に、花京院は空いていたデッキチェアに腰をおろし、悠々と読書を始める。

 

「・・・花京院さん、知ってたんスか・・・。」

「まぁね。これくらい想像すれば簡単にわかるだろう?」

 

はぁ~っと大きなため息をつき、この人友達少ないだろうなと失礼なことを考えながら、仗助は花京院の隣に腰を下ろした。

正確には「少ない」のではなく「居ない」のだが、仗助にそれを知る術はない。

 

すっかり拗ねてしまったポルナレフがぱちゃぱちゃと手で水を掬う音をBGMに、しばしの沈黙が訪れる。

 

(・・・・・・き、気まずいぜぇ~~・・・)

 

気分転換のつもりでついてきたが、この沈黙はいただけない。

そもそも花京院の人を喰ったかのような唯我独尊の態度は、あのいけすかない某漫画家に通ずるものがある。

早々に会話を諦めた仗助がこぼした。

 

「あ~ぁ。ゲームでもありゃあ時間なんてあっという間なのによぉ~・・・。早く全部

 片付けて、家でのんびりF-MEGA Xでもやりてぇな~~。」

 

それまで読書をしていた花京院が、グリンッ!と顔を仗助に向けた。

 

「F-MEGA・・・『X』だと・・・?」

 

ゴゴゴゴゴと効果音を背負っているかのような花京院の迫力に一瞬怯むが、そのまま続ける仗助。

 

「え?花京院さんもF-MEGA知ってんスか?あぁそっか。この時代じゃあ『X』

 出てねぇのか・・・。」

 

『向こう』では昨年、F-MEGAの続編が別ハードで発売された。

長年F-MEGAをプレイしていた仗助は、溜めていた小遣いを惜しげもなく放出し、新作を購入。

日夜母親に蹴られながらも自己記録更新にいそしんでいた。

 

3Dを駆使し、自在にコースもエディットできるようになった『X』の魅力を語る仗助。

仗助の話に釣られ、花京院も初代の魅力を話しだす。

初代F-MEGAもまた独自の魅力を持っているため、どちらが良いという話ではない。どちらも良いのだ。

あそこのBGMは最高だ、とか、実はあのカーブにはこんな裏ワザがあって、など、意外なところで嗜好の共通点を見つけた二人の話は大いに盛り上がった。

 

 

「花京院さんも相当F-MEGAやりこんでますねぇ~。参考になったっス。」

「それは良かった。仗助の話を聞いて僕も『X』がやりたくなってきたよ。」

「・・・この旅が終われば、きっと出来ますよ。未来で。」

「『X』が発売される頃、僕は20代後半か。何をやってるんだろうな。」

 

その言葉に仗助は答えることができなかった。

 

『向こう』では承太郎とジョセフにしか会っておらず、その他の面々の話題を耳にすることもなかったからだ。

自分が過去に来た事によって史実が変わり、花京院ら3人が仲間になったという考え方もできなくはない。

できなくはないが、彼らが仲間になった経緯に仗助はほとんど絡んでいないのだから、可能性は低いと言わざるを得ない。

きっと彼らは自分が居ても居なくてもジョセフたちに力を貸してくれていたはず。

ならば、『向こう』で彼らは何をしているのか・・・。そもそも彼らは『居る』のか。

 

 

沈黙する仗助の姿に、花京院も同じような推論に辿り着いたのだろう。それでも。

 

「もしキミの居た『未来』に僕がいなかったとしても、きっとその結末に後悔はないさ。」

 

花京院はこともなげにそう告げた。さらに、幾分かおどけた様子で言葉を続ける。

 

「まぁなにかあったら、キミのクレイジーダイヤモンドで治してくれるだろう?あんなに魅力

 を語られたら、僕はF-MEGA Xをやるまで死んでも死にきれない。」

「・・・あぁ!もちろん任せて下さいよ!一緒に対戦しましょうッ!」

 

そこから、対戦といえばあのゲームはどうだこうだと更に話が広がる。

二人の談笑を背に、空を見上げてポルナレフがぽつりとつぶやいた。

 

「平和だなぁ・・・。」

 

 

 

どうにも話し込んでいたらしく、昼食にはいささか遅い時間になってしまっている。

そろそろ承太郎も帰って来ただろうと3人はジョセフ達の部屋へ向かった。

 

予想どおり、承太郎は帰って来ていた。予想と違っていたのは承太郎が右手を負傷しているという点。

なんでも花京院に化けた敵スタンド使いにやられたのだという。

ただ当のスタンド使いは承太郎の手できっちり再起不能にしてきたそうだが。

 

「この程度の傷なんざ怪我のうちにもはいらねぇぜ。」

 

自分たちがのんきにゲームの話題で盛り上がっていた頃、承太郎は敵スタンド使いと交戦していたのだ。

承太郎は不要だというが、刺激される罪悪感のまま仗助が承太郎の怪我をみるも、彼に出来ることはなかった。

 

仗助は様々な物を「元に戻す」ことができる。しかしそれも「パーツ」があれば、の話だ。

敵に吸収されただとか、この世から消え去ったような肉体的損傷には能力の効果が及ばない。

 

変形させることで無理やり傷口をふさぐくらいならできるかもしれないが、下手をすれば皮膚がひきつれてまともに動かせなくなってしまう。

本人の言うように、自然治癒に任せた方が良いだろう。

あるいはジョセフの波紋によって自己治癒力を高めてもらっても良い。

 

「・・・オマエが気にすることでもねぇだろう。」

 

承太郎の優しさが痛い仗助だった。

 




イエローテンパランス
「あ、ありのまま今起こったことを話すぜッ!
 俺はようやく出番が来たと思ったらいつの間にか終わって(ry」
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