もし仗助が3部にいたら?   作:しろた

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カレーを食べよう!

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シンガポールで元密航者の少女と分かれ、ホテルで立てた予定通り、一行は数日をかけ列車と船でインド、カルカッタを目指す。

 

道中承太郎は、敵スタンド使いから仕入れたDIOの刺客の情報を話した。

中でも「吊られた男」はポルナレフが探し続けて来た妹の敵、「両右手の男」だという。

男の名前はJ・ガイル。どのような方法かは不明だが、戦闘には鏡を使うらしい。

 

(・・・鏡、ねぇ・・・。)

 

光を反射して姿を写すもの。

「鏡を利用する」というのが鏡の中の世界を移動し引きずり込むような能力であれば手も足も出ない。

しかし、移動手段が限定され、かつ鏡の中から攻撃してくるというのであれば話は別だ。

 

仗助は参考になるか分からないが、と前置きをしてポルナレフに自身の体験を語った。

『向こう』に居た頃、殺人鬼吉良の屋敷を捜索した際に遭遇した吉良の父親が持つスタンド能力を。

吉良の父親は死してなお息子を守るため、亡霊となって写真に住みついていた。

 

写真に写された対象の『魂のエネルギー』を支配し、写真の中で対象に攻撃することでそれを現実世界に反映させる。

写真への攻撃は囚われた自身の魂エネルギーへの攻撃に直結しそのまま自分にかえってくるため、直接吉良の父親を攻撃することもできず。

その場は機転をきかせた承太郎が吉良の父親のみが写真に写った状態を作り出し、それきっちりと折りたたんで逃げ道をなくすことで、からくも窮地を脱することができた。

 

この作戦を元に、もしも鏡から攻撃してくるスタンド能力であれば、鏡の直線上に何か光を反射する巨大なものを配置し、ぴったりと合わせてしまえばスタンドを捕らえる事ができるのではないか。

 

真剣な面持ちで話を聞いていたポルナレフの横で、「まるでファンタジーやメルヘンのような話だな。」と花京院が感想を述べる。

 

「相手がメチャクチャ素早かったり、自由に移動できたりしたら、捕まえる前に逃げられ

 ちまうかもしれないっスけど。」

「いや、ありがとうよ仗助。『鏡を使う』っつーやつの能力にいまいちピンとこなかったが、

 なんとなく対処法は思いついたぜ。」

 

ふつふつと復讐心をたぎらせるポルナレフ。

その姿に、仗助は形兆を殺されたあと、視野狭窄に陥りまんまと敵スタンド使いにしてやられた億泰がダブって見えた。

 

 

 

カルカッタに到着したジョセフたちを出迎えたのは、むせかえるかのような人、人、人の群れであった。

金を持っていそうな外国人観光客を取り囲み、「バクシーシ!」と御布施やチップをせがむ老若男女。

何度も訪れたことがあると語っていたアヴドゥルの他、意外にも水があったのか、承太郎も平然としている。

 

それ以外の面々はあふれ出る人々のパワーに圧倒され、なんとかレストランに辿り着いた頃にはすっかり精神的に疲れてしまった。

 

 

香辛料のきいたチャイを飲み、ほっと息をつく一行。

メニューが来るまでの間にと用を足しにポルナレフが席を立つ。

なにやら去り際気障な台詞をはいていたが、すかさず花京院が毒舌で返した。

 

運ばれてきたカレーを主体とした料理は中々に美味しい。

日本で流通しているイギリス経由の小麦粉で炒めたルーとは異なり、さらさらとしたスープのような形状のカレーは様々なスパイスが複雑に混じり合っていて、色彩も豊かだ。

 

ジョセフたちがポルナレフを待つこともせず料理に舌鼓を打っていると、血相を変えたポルナレフがレストルームから飛び出してきた。

そのままレストラン内の客を一瞥し、ジョセフ達の座るテーブルを素通りして外に向かう。

 

何事かと食事を中断して後を追う一同を振り返りもせず、外を歩く群衆の姿をせわしなく見つめたままポルナレフが抑えきれない激情を吐露する。

 

「ついに、ついに会えたぜ!妹を殺したド腐れ野郎にッ!!」

 

今しがた、鏡の中から自らを攻撃せんとするスタンドにポルナレフは襲われた。

鏡を使うスタンド使い、「吊るされた男」の暗示を持つスタンドに。

話に聞いていた妹のかたきが近くに居るというだけで、居ても立っても居られないのだろう。

ポルナレフはここからは別行動を取らせてもらうと一行に言い放つ。

 

挑発することでポルナレフを引きとめようとするアヴドゥルの言葉に挑発で返し、足早にその場を去ろうとするポルナレフ。

それでもなお食い下がるアヴドゥルを、ジョセフが止めた。

 

「仗助、お前もついてくるなよ。お前には助けてもらった借りがあるから俺一人で戦って

 きたとはいわねぇ。だが、この憎しみは!復讐は!俺だけのもんだ!お前が背負って

 いいもんじゃあねぇッ!!」

 

誰の手も借りたくないというのはポルナレフの偽らざる本心だ。

しかしその内には仲間を自身の事情に巻き込みたくないという思いもあった。

ジョセフ達と一緒に居るよりも、単独行動を取ることで真っ先に自分を始末せんとする敵に遭遇する確率は増えるに違いない。

敵に襲われるのを待つのは性に合わないため、積極的にこちらからも探すつもりではあるが、ノコノコ向こうから現れてくれるのであれば願ったりだ。

 

投げかけられた血を吐くようなポルナレフの言葉に、仗助も引き留めようとはしなかった。

去っていくポルナレフの背に、ジョセフが告げる。

 

「わしらは明日、バスに乗ってベナレスへ行く。それだけは覚えておいてくれ。」

「・・・あぁ。短い間だが世話になったな。」

 

言外に、それまでに帰ってこいというジョセフ。

言葉の意味を理解しつつも、もう合流する気はないかのように別れのあいさつを述べ、ポルナレフは人混みに消えていった。

 

 

 

夜になってもポルナレフは戻ってはこなかった。

重い沈黙の支配する夕食を早々に終え、ベッドの上に寝転びながらぼんやりと天井を見ていた仗助に、承太郎が声をかける。

 

「変な気は起こすなよ、仗助。」

「・・・別に、ポルナレフを探しに行こうなんて考えちゃあいねーっスよ。承太郎さん

 こそ、止めなくて良かったんスか?」

 

仗助自身が復讐を心に誓うことはなかったが、兄形兆を殺された後の億泰の姿をずっとそばで見てきたのだ。

普段は内なる暗さを微塵も見せず仗助らとバカ騒ぎに興じていた億泰も、兄を殺したスタンド使いの話になると態度を一変させていた。

 

『兄貴を殺したこいつに、俺がカタをつけてやるッ!俺の心の中で真実はそれ一つだッ!!』

 

もしあの時、あのうすらさびれた場所で億泰の行動を制止できる距離に自分がいたとしても、億泰とレッドホットチリペッパーの間に割って入るようなことはしなかったろう。

それで親友の気が晴れるなら、とすら思っていたかもしれない。

むしろ、そのような場合に止めに入るのはあくまでも理詰めで行動する承太郎と、もう一人の親友、康一の役割だった。

 

しかしどうにも割り切れないのは、あの時とは違ってポルナレフがどうなってしまっても分からないからだろうか。

億泰はまだ目の届くところに居た。だから彼が裏をかかれ返り討ちにあいそうになったときも、すんでのところで間に合わせることができた。

だが今ポルナレフが殺されたとしても、何も知らずに自分は旅を続けることになるのだ。

 

「あいつがいようがいまいが、俺がやるべきことに変わりはねぇ。」

「・・・なんスかその言い方。ちょーっとカチンと来たんスけど。」

「・・・本当のことを言ったまでだぜ。」

 

当初から言っていたように、ポルナレフは復讐という目的のために同行していた。

異なる終着点を目指す人間が、たまたま道が同じだからといっとき行動を共にしていたにすぎない。

承太郎の内心まではわからないが、もやもやと気の晴れないところで淡々と正論でもって切り捨てるかのような承太郎の物言いに、苛立つ仗助。

 

「そりゃあ承太郎さんはすげぇっスよ。こないだだって一人で敵を倒してなんでもねぇ

 よーに帰ってきてたしよ。さっすが、時まで止められる人は言うことが違うっスね!」

 

思わず出てしまった皮肉に対し、承太郎から返ってきたのは仗助の予想とは異なる反応だった。

 

「待て、今なんて言った?」

「だから!無敵のスタープラチナで何でも解決できるお人にとっちゃ、俺らのことなんか

 居ても居なくてもかまわねぇとか思って・・・」

「そこじゃあねぇ・・・。『時を止める』?・・・一体何のことだ。」

 

「は・・・?」

 




カレー食う前にトイレに行くポルナレフェ・・・

裏設定として。
ジョセフはポルナレフが帰ってきてもいいよう3部屋頼んでますが帰って来そうにないので、
急遽簡易ベッドを入れてもらってツインの部屋に学生組が3人寝泊まりできるようにしました。
なので仗助と承太郎が話してる時、花京院は長風呂でもしてたんじゃないですかね。。。
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