もし仗助が3部にいたら?   作:しろた

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2015/9/23 エンプレスのやられ方含め大幅に改訂しました。


女の子を助けよう?2

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「ひっかかりやがって。やっぱりスタンドが見えてたな。」

「な、なんのことか・・・。」

 

女はなおもしらを切る。

だが仗助も、先ほどの返答のみを根拠に彼女を疑っているのではない。

 

まず、彼女の登場はあまりにもタイミングが良すぎた。

ホル・ホースを取り囲む一行の中で、女は当然のことのようにポルナレフを止めに入っていた。

 

スタンドが見えない一般人の視点からすれば、凶器を振りかざしていたわけでも、ホル・ホースに殴りかかろうとしたわけでもないのに、だ。

ポルナレフは気炎を上げていたものの、手には何も持っていなかった。

実際にはシルバーチャリオッツが剣を構えていたと分かるのは、スタンド使いだけだ。

 

ここまでであれば、まだ偶然の産物と納得できなくもない。

そこで仗助は確かめた。クレイジーダイヤモンドを発現させ、親切を装い治療を申し出る。

 

傷を治すと言ったにもかかわらず、ポケットに手を突っこんだまま動かない仗助。

それを不審に思うことなく、女は治療を施そうと腕を伸ばしたクレイジーダイヤモンドに反応していた。

 

 

「すっとぼけてんじゃねぇぞコラァ!てめぇがスタンド使いだっつータネは割れて

 んだよッ!」

 

もしも本当に巻き込まれただけの被害者なら、殴ったあときっちり怪我を治した上で、たんまり慰謝料でもなんでも払ってやるぜ、という仗助の言葉には本気で「やる」という凄みが感じられる。

 

これ以上言い逃れようとしても効果は薄そうだ、と、それまでの「事情を知らない被害者」の皮を脱ぎ捨て、一転して無表情になった女が横目で何かをチラリと確認した。

ついですうっと息を吸い込み、大声で叫び出す。

 

「キャー--ッ!!何をするの!?誰か助けてぇーー!!殺されるぅーーッ!!」

「あァ?」

 

女性の悲鳴をききつけまわりの家からなんだなんだと住民が顔をのぞかせてくる。

異邦人の喧嘩に巻き込まれるのはごめんだと遠巻きにチラチラと様子をうかがっていた通行人も、かよわい美少女が襲われていると知り義憤を覚えたようでわらわらと集まって来た。

 

「ち、ちがうッ!これは違うんじゃあッ!!」

 

慌てて弁解をするジョセフだが、誤解するなと言う方が無茶だ。

第三者からすれば、大勢の体格の良い男たちが怪我をしたいたいけな少女をよってたかって取り囲んでいるようにしか見えない。

 

自分から注意がそれたのを好機と見て、女が腕を振り血をまき散らしながら逃亡する。

女を追いかけんとするジョセフ達の目の前に、ヒクヒクと額に青筋を立てた警察官が立ちはだかった。

 

「ちょっと、署まで来てもらえませんかねぇ・・・?」

 

 

 

女は必死に足を動かしながら、次に自分がどう行動すべきか考えを巡らせる。

仗助の言い当てたとおり、この女はホル・ホースの世界中に数多いるガールフレンドの一人、ではなく、その一人に化けた新たなるDIOの刺客であった。

 

(チィッ!あのクソガキのせいであたいの華麗な作戦がおじゃんになっちまったよ!!

 だけどこのまま終わってたまるもんかいッ!!)

 

彼女のスタンド「エンプレス」は、本体の血を対象に付着させることでその血を依り代として発現する。

ひとたびスタンドが発現すれば、じわじわと対象の肉体に融合しながら栄養を吸収して人面瘡となって、宿主の肉だけでなく周囲の動植物をも貪欲に取り込んで成長していき、やがては宿主の全てをのっとることも可能だ。

 

あの場に姿を現した時、女はさりげなく怪我を負ってその血をジョセフたちの誰かに付け、一人一人スタンド能力の餌食にしようと考えていた。

ところがまんまと仗助の誘導にひっかかりその正体を暴かれてしまったため、こっそりと彼らに同行しつつ機を狙うことができなくなってしまった。

再度姿を変えて近づいたとしても、不躾に近寄りついてくる不審人物など先刻の二の舞になるだけだ。

あくまでも人面瘡を利用した変装は彼女のスタンド能力の副産物でしかなく、制限なしに一瞬で様々な姿に変化できるわけではないのだから。

 

だがしかし彼女はただでは転ばなかった。

逃げる際、ごく微量だがジョセフたち一行に血を振りかけることに成功していたのだ。

深夜、彼らが疲れて寝入る頃を見計らって成長し、スタンドを出す間もなくその頸動脈をかっ切ることができれば。

 

人面瘡は宿主の肉体に同化しているが、「スタンドはスタンドでしか倒せない」という原則は適用される。

よって自然界にある火であぶろうが、水に沈めようがダメージを受けることはない。が、逆に言えば「スタンド攻撃は効く」。

 

宿主の肉体のみを栄養にした場合、その他の物から栄養補給をするより成長するのにやや時間がかかる。

それ故、首に手が届くほど成長するまで発見されないでいられるかどうかはいちかばちかの賭けにはなるが、この際仕方がない。

 

 

 

(おっと。この顔はばれちまってるんだったね。)

 

女は人目の届かない路地裏に入り、まとっていた人面瘡を解いた。

地面にどさりと美少女を模した肉塊が落ちる。

とりあえずはと路地の奥に置かれた投棄されて久しそうな壺の中にそれを押しこむ女の容姿は、一言で言えば醜女とよばれる類のものだ。

 

さて次は何処に身を隠そうかと女が通りに出ようとしたその時、頭上から伸びてきた茨に拘束された。

 

「それがきさまの本当の姿か。」

「まったく、スタンドをまとって美女に化けていたとはのぅ。」

 

驚いて顔を上げる女。

建物の屋上からつい今しがた巻いたと思っていたジョセフ、仗助、花京院の3人が彼女の逃げ道をふさぐように飛び降りてくる。

 

 

ホル・ホースの時と同じ轍を踏んでなるものかと、女が逃げ出す前に、既に花京院は気付かれないよう細く細く伸ばしたハイエロファントグリーンの触脚を女の足に結び付けていた。

 

スタンドを展開しながら花京院が敵の現在地を逐次報告する。

仗助が建築材に使用されている日干し煉瓦や漆喰の一部を、砂や石灰に「戻す」。

仗助の生み出したものを用いてジョセフが念写によって街の地図を作り、進むべきルートを確認する。

それぞれの能力を駆使し、彼らは女に先回りしていたのだ。

ちなみに承太郎とポルナレフは集まっていた警察官らの足止めを行っている。

 

「行け、仗助ッ!!」

「ドォラララララアアアアァッ!!」

 

仗助が女を射程距離に捉えたのを確認し、ジョセフが茨の拘束を解いた。

悲鳴を上げる間もなくクレイジーダイヤモンドのラッシュを全身に受けて路地の一角である廃墟の壁に激突する女。

人と壁の区別もせずに絶え間なく打ち込まれる無数のパンチの威力とスピードはすさまじく、人面瘡の展開も間にあわないまま周囲の壁とともに女の身体が「壊され」ていく。

 

そして「破壊」のあとに起こる「再生」。

 

クレイジーダイヤモンドの能力により女が壁と同化していく。

みるみる内に「人面瘡」ならぬ「人面壁」が出来あがった。

 

首から上だけ壁から出した女へ、ジョセフが問いかける。

 

「お前の知っていることを全て話し、もうわしらに関らないと誓うなら、解放してやろう。」

「わ、わかったよ・・・。」

 

口さえ開いてくれれば十分。

具に思考を映し出す機械はなくとも、ジョセフのハーミットパープルの能力で〇×程度の正誤であれば地面の砂で事足りる。

時折混じる嘘を見破りながら女にプレッシャーをかけ、彼らは彼女の知りうる情報を引き出していく。

 

女は金で雇われたらしく、DIOや他の刺客に関しては有益な情報を持ち得ていなかった。

女の能力の詳細に嘘いつわりが無い事を砂上で確認し、仗助と花京院に頷くジョセフ。

 

「あんたの能力がどんなものかはわかった。身体の不調にさえ気を配っていれば簡単に

 対処できることもな。もはやあんたはどうやってもわしらを殺すことは出来ん。この

 街を出る間際にでも、自由にしてやろう。これからは一獲千金の夢など見ずに、

 まっとうに暮すんだな。」

「もしまたしょーこりもなく襲ってきたら、今度こそ完全に再起不能にしてやるぜ。」

 

「はっ、ハイィ!!」

 

自由に、とはいえDIO側に接触されれば厄介なことになるため、しばらくの間はきっちり監視をつけさせてもらうが。

直接スタンド攻撃を受けたわけではない彼らにしてみれば、これが精いっぱいの妥協点なのだ。

 

自分の身体が無機物と同化していく感覚は例えようもなく恐ろしいのだろう、もちろん女に否はなかった。

 




たんまり慰謝料でもなんでも払ってやるぜ(ジョセフが)

仗助って自分の能力で一体化させたものは治せるのかなぁ、という疑問がなくもないですが、ここでは治せるということにしています。
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