もし仗助が3部にいたら?   作:しろた

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空条邸に行こう!1

 

一通り暴れ気が済んだのか、クレイジーダイヤモンドを引っ込めた仗助に承太郎が話しかける。

 

「そろそろ気は済んだか。」

「あ?・・・あーーーなんか知んねぇけど、割って入っちまって悪かったっス。」

 

先ほどの「プッツン」状態から戻り、自分がやらかした周囲の状況を見渡しながら仗助は素直に謝った。

どうもこの髪形をけなされるとむかっ腹が立って、などと言い訳になるのかならないのかよくわからないことを言っている。

 

「それはまぁいい。どの道こいつ、花京院と言ったか。こいつをぶん殴って

 色々と聞きだそうと思っていたからな。」

 

こいつ、のところで床に倒れている花京院を顎で指す承太郎。

 

「さて、そろそろこの騒動に気付いて先公共が飛んできそうだな。俺はこいつを

 連れてこのままフけさせてもらうぜ。オマエにも付いてきてもらおう・・・。

 あぁ、そういや名前をきいてなかったな。」

 

承太郎が言うように、授業中であるにも関わらず幾分か周囲が騒がしいようだ。

仗助はうなずいた。

 

「あーっと、俺は東方仗助です。俺にも何が何だかさっぱりわかんねーッスけど、

 ここにいちゃあヤベーってこたぁわかりますよ。あ、でもその前に。」

 

再び仗助の背後からスタンド、クレイジーダイヤモンドが出現した。

クレイジーダイヤモンドの向かう先には、倒れたまま意識の無い保険医と、先ほどまでベッドの上で苦しみ悶えていたが今は失神している不良が居た。

ちなみにもう一人の生徒もあまりの展開に脳内処理がついて行けず茫然自失としている。

 

 

本来であれば敵かも知れない相手に自身の能力を見せるのは危険だろう。

しかし、仗助はあっさりと承太郎にスタンド能力を披露した。

それは承太郎が自分の知る「承太郎」にあまりにも似すぎており、他人とはとても思えなかったからだ。

この何もかもが理解不能な状況下で、仗助は無意識に頼れる人物として承太郎を認識していたのかもしれない。

 

「クレイジーダイヤモンド!」

 

先ほど暴風のように周囲を破壊しまくっていた様とは異なり、どこか優しささえ感じさせるように、クレイジーダイヤモンドは倒れていた二人にそっとコブシを触れさせた。

すると、まるでビデオの逆再生を見るかのように、触れられた二人の傷は一瞬でもとに戻っていく。

流石に流れた血までは戻っていないが、二人の呼吸は穏やかになり、断続的におきていた痙攣も止まった。

血さえ付いていなければただ眠っているように見えるだろう。

 

その光景を見て、表情には出さないものの、内心で承太郎は驚いていた。

何せ彼がスタンドを知ったのはつい先日のことだ。これまで見て来た数少ないスタンドの中で、破壊ではない能力を持つものは珍しい。

 

(いや、ジジイのスタンドも破壊というより情報収集向けのもんだったな)

 

そういえば、仗助はどことなく承太郎に、というよりも彼の祖父であるジョセフ・ジョースターに似ている気がする。

 

「お待たせしましたっス。んじゃあーとっととトンズラしますか。って、俺の顔になんかついてますか?」

「・・・・なんでもねぇ。行くぜ。」

「行くって、そういやこれから何処に行くんスか?」

「ついてくりゃあ分かる。」

 

そうして二人は未だ意識の無い花京院を担ぎつつ、学校を後にした。

 

 

 

 

帰宅には随分と早い時間帯ではあるが、学校を抜け出した承太郎、仗助、そして気を失っている花京院。

うち仗助は、巡る街並みにどことなく違和感を覚えていた。

もちろん初めて訪れた町の風景に見覚えがあるはずもないのだが、この違和感の出所は何なのだろうか。

 

たとえば、道ですれ違う女性の服装。異様に少なく感じるコンビニエンスストア。ゲームショップのショーウィンドウに展示されている品々。

 

それらを目にするにつれ、仗助の中で一つの仮説ができあがっていく。

しかし話は後だ。まずは一刻も早く承太郎の目指す目的地に辿りつかなければならない。

何しろ先ほどから周囲の目線が痛いほど突き刺さってくる。

 

それも当然と言えるだろう。

平日の午前中にいかにも不良然とした男2人が、意識の無い同年代の男を担ぎながら歩いているのだから。

早く人目につかない所にいかなくては、いつ警察官に呼びとめられてもおかしくはない。

 

 

仗助が不安と羞恥で冷や汗をかきだした頃、承太郎の言う目的地に到着した。

そこは広大な土地を延々と塀が囲っており、これぞ日本建築とでも雑誌に紹介されるような立派な門が鎮座している。

 

思わずぽかんと口をあけ、足を止めて目の前の門を仰ぎ見る仗助。

その横で花京院を仗助に預け、承太郎はなんでもないように門を開け、中へと入っていった。

仗助もあわてて花京院を引きずりながら彼の後に続く。

 

そのまま建物に入ると、鼻歌を歌いながら家事にいそしんでいる様子の外国人女性が居た。

 

洗濯物を干していた女性は、ふと何かに気付いたように部屋の中へ入っていく。

承太郎は構わずにどんどんと屋敷の中を進み、そのまま女性と会話を始めたようだ。

 

ゆっくりと承太郎の後を追っていた仗助に、承太郎がふり向き話しかけた。

 

「俺はこれからちょいとジジイを呼んでくる。オマエはそいつを適当な部屋にでも運んでおけ。」

「へ?ちょっと待っ・・・!?」

 

仗助の抗議は、先ほど見かけた女性によって遮られることになる。

 

「まぁまぁ!貴方達、承太郎のお友達?あら、そちらの子、どこか具合でも悪いのかしら。

 大変!すぐに休めるところを用意するわね!」

「えッ、あー・・・」

 

どうやらこの女性は承太郎の母親のようだ。人の話を聞かず勝手に物事を進めるところがよく似ている。

 

女性、自己紹介によると空条 ホリィという名前らしいが、彼女はてきぱきと寝床の用意をしてくれた。

そこに花京院を横たえながら、仗助の頭の中には先ほどまでの不安と動揺が再度押し寄せてきていた。

 

空条 ホリィ。

以前仗助は承太郎からその名前をきいていた。承太郎の母であり、自分の腹違いの姉である女性の名前を。

 

 

街中で感じた違和感、自分の知る人物によく似てはいるがそれよりもかなり若い承太郎という青年。

そして「こちら」に来る直前に聞いた川尻 早人の言葉。それらは一つの答えを指し示している。

 

「あの、ホリィさん・・・?すっげー変なこと聞きますけど、今年って西暦何年でしたっけ?」

 

不躾な、突飛とも思える仗助の質問に、それでもにっこりとほほ笑みながらホリィは答えた。

 

「ん?どうしたの突然?・・・えーっと、今年は1987年だけど?」

 

その言葉を理解するとともに、仗助の顔は蒼白になった。

 

 

石と一体化したかのように硬直する仗助のいる座敷に、ぞろぞろと三人の男が入って来る。

一人は先ほどまで同行してきた空条 承太郎。

続いて、褐色の肌をし、螺髪をパリコレにでも登場するスタイルに進化させたかのような特異な風貌をもつ中東系の外国人の男。

そして最後に、既に老齢に差し掛かっている証として頭髪の色は抜け落ち、肌にはしわが刻まれているにもかかわらず、身体全体から精力があふれ出ている白人男性。

 

老齢の男が優しいまなざしをホリィに向け、落ち着いた声色で告げる。

 

「ホリィ、ちょいと頼まれてくれんか。ここで寝ている彼の様子はわしらが見ておくから、

何か気のきいた飲みものでも持ってきてくれ。」

 

もちろん、その言葉は自分がここに居ては都合が悪いから告げられたのだろうと言うことは分かりきっていたが、ホリィは素直に従い、部屋を後にした。

 

「さて・・・承太郎からおおよそのことは聞いておったが・・・ふむ。」

 

眠っている花京院の頭に手を乗せ、老齢の男ジョセフが告げる。

 

「駄目じゃなこいつは。手遅れじゃ。」

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