もし仗助が3部にいたら?   作:しろた

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時間がかかったわりにあまり原作と変わってないので、
読み飛ばしても問題ありません。。。


ラクダに乗ろう!

33

 

はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・。

 

狭い洞穴の中で、むさくるしい男5人が肩を寄せ合って荒い息を吐いている。

ここはハッテン場のサウナ室、ではない。れっきとした屋外、それも辺り一面砂と岩石しかないような荒涼とした大地のど真ん中である。

 

言うまでもなく、「むさくるしい男5人」というのは我らがジョセフたち一行。

何故彼らが急ぐはずの旅の途中、このような場所で足止めを食っているのか。

時は半日ほど遡る。

 

 

 

「ラクダぁ~~!?んなもん乗ったことねぇぜ。」

「つーかじじいも乗ったことあんのかよ。」

 

ラバーズを再起不能にし、新しいパンツをはいた正月元旦の朝のようにさわやかそうな様子の承太郎と合流した一同は、カラチから船で海を渡り、アラブ首長国連邦に入国した。

 

現在は購入した高級車に揺られ、次に取る進路をジョセフが説明している。

アラブ首長国連邦のアブダビから北西へ100km先にある村、ヤプリーンは、地形的特徴から移動手段としてセスナを常備しているらしく、その村でセスナを手に入れ一気に砂漠を抜けようと提案するジョセフ。

 

問題は、ヤプリーンに行くまでの移動手段。

岩石や崖が邪魔をし、車でまっすぐ突っ切ることはできない。そこで彼が考えついたとっておきの乗り物が、ラクダだったというわけだ。

 

「砂漠の絵を描け」と小学生に課題を出せば、おそらく大半の子供が請われてもいないのに描き入れてしまうだろうほどに、砂漠と言えばラクダ、と連想する人間は多い。

だがしかし、一体そのうちの何人が生涯を終えるうちにラクダで砂漠を横断することがあるのか。ポルナレフが不安に思うのももっともな話である。

 

とはいえ、世界中にイメージが浸透するほど、古くから砂漠に住む人々にとってラクダは最良のパートナーだった。身体の構造一つ一つが、過酷な砂漠を踏破するための最適解となっているラクダを利用することは、突拍子ないもののように感じる半面、意外に理に適った選択なのだ。

 

高級住宅街を抜け、どんどんいびつになる道を似つかわしくない高級車が走る。

向かった先のラクダ商のテントで、ジョセフが購入して十数キロも走らせていない高級車と人数分のラクダの物々交換を申し出た。さすがアメリカの不動産王。一般人には出来ないことを平然とやってのける。

 

おそらく桁が二つほど違うだろう不釣り合いな商談を手早くまとめ、おまけとして水のタンクまでいただいた一行は、キャラバンのように隊列を組んでラクダを歩ませた。

どうしてか一人だけ絆創膏だらけになっている人物がいたが、それはまぁ触れないでおこう。仗助もラクダの唾液まみれの人物には触りたくなかったようだ。

 

数十キロ先まで見通せるほど何もない風景と、日本の猛暑日よりかるく10度以上は高い灼熱地獄がジョセフたちの感覚を狂わせる。

 

もうどのくらい進んだか。

街並みは地平線の中に消え、進行方向にもまだ目指す村の影は見えない。

 

町の中にいる間からずっと「誰かに見られているような気がする」と言っていた花京院が、ここでも気配を感じるのか、ラクダをとめて後方を仰ぎ見る。

同じく視線を感じていた承太郎がスタンド越しに双眼鏡をのぞくが、一抹の違和感を覚えるもののこれといって変わったところは見つからない。

 

会話の流れで時計を確認したジョセフが驚きの声を上げた。

時計の短針は既に8の数字を超えている、にもかかわらず太陽は全く沈んでいない。

それどころか周囲の気温が一気に上がり、太陽がどんどん頭上へと昇ってくる始末だ。

 

こんな奇妙な出来事はスタンド攻撃でしかありえない、と、ラクダから飛び降りて近くの岩陰へ転がり込む一同。その間にも気温は急激に上がり続け、彼らの体力と水分を奪っていく。

 

このままでは埒があかない。

敵との距離を探るため、花京院がギリシャ神話のイカロスのように、ハイエロファントを上空へ展開して太陽に近づけていく。その距離が100mを超えたところで、不気味に太陽が脈動しだした。

敵が何かを仕掛けてくる前に花京院がエメラルドスプラッシュを撃とうとするが、その時点で敵の準備動作は終わっていた。花京院よりも一歩はやく、太陽がレーザーのような光線をまき散らしだす。

 

 

「仗助ッ!!俺とポルナレフが攻撃を跳ね返すから、地面に穴を開けろッ!!」

「おうッ!!」

 

承太郎とポルナレフが光線をしのぐ間に、仗助が岩を砕いて一部変形させ、内部に5人が留まれる空間を作り出す。ジョセフが光線にやられた花京院を回収して急遽作られた洞穴へと逃げ込んだのを確認し、承太郎とポルナレフも中へ逃げ込んだ。

 

ポルナレフにとって、甲冑や剣は本体の付属品のイメージなのか、剣で光線をはじいた彼に目立った怪我はない。だがもろに攻撃をくらった花京院と、スタンドのこぶしで光線を無理やり退けた承太郎はそれぞれに怪我を負ってしまった。

 

 

そうして場面は冒頭へ戻る。

 

 

仗助に怪我を治してもらいながら、花京院に声をかける承太郎。

 

「まだいけるか。」

「あぁ、仗助に怪我は治してもらった。スタンドを操るのに支障はないさ。」

「一体お前ら何を・・・。」

 

承太郎は光線をこぶしで弾きつつも、冷静に相手の力量を見極めていた。

多少の負傷は免れないまでも、あの光線一発一発に自分を即死させるほどの威力はない。

で、あるならば。

 

「ジジイ、ポルナレフ、仗助。俺と花京院はこれから外に出る。」

「んなッ!?」

「い、いかん!そんなことをすれば集中砲火を浴びるぞ!」

 

あまりにも無謀と思える承太郎の策をジョセフが止める。だが承太郎も意見を曲げる気はない。

 

「出るとは言っても実際に出るのは俺とハイエロファントグリーンだけだぜ。花京院の

 スタンドなら俺一人くらい持ち上げられる。」

「敵が僕達をずっとつけてきていたとすれば、いくらでも不意打ちをする機会はありました。

 それがハイエロファントグリーンを近づけたところで、突然攻撃を仕掛けて来た。

 よっぽどあの太陽に近寄られたくないか、それとも上空から見られては困るなにかがあ

 るはずです。」

 

それなら俺だって剣で弾き返せるぜ、というポルナレフの意見は却下された。単純にスタンドの資質の差で。

仮に数多来るだろう敵の熱線をシルバーチャリオッツが数発防げたとしても、途中で剣が使いものにならなくなってしまえば、ポルナレフと花京院は敵の格好の的となってしまう。

この場合、如何に上手く攻撃を跳ね返せるかというより、いざというときにスタンドがどれだけの攻撃を受けても行動不能に陥らないか、その耐久力こそが求められるのだ。

 

「あんな攻撃をどれだけ受けようが片っぱしから弾き返してやる。」

「と、言うわけだ、仗助。何かあれば頼んだぞ。」

 

こうしている間にも、塩を振りかけられたナメクジのように、異常な高温によって瞬く間に水分は失われていく。

二人の決意が揺らがないことを感じ取ったジョセフが、二人にゴーサインを出した。

 

「シルバーチャリオッツッ!」

「ドラララァッ!!」

「ついでにわしもハーミットパープルッ!!」

 

3人が付近の砂を盛大にかきまわし、砂煙を作って一時的に岩周辺の姿を隠す。

砂の煙幕の中へ身を投じる承太郎とハイエロファントグリーン。

彼らの背にはどんな困難も乗り越え、道を切り開く漢の覚悟がみなぎっていた。しかし・・・。

 

砂の中に姿を消したと思った彼らは、意外なほどあっけなく穴に戻って来た。

 

「・・・ウヒヒ」

「ウックックック」

 

顔を見合わせ笑いだす承太郎と花京院。

 

「おい大丈夫か?」

「どうしたっつーんすか。」

「まさか光線が頭に直撃したか?」

 

心配をする3人をよそに、スタンドの目で承太郎と同じものを目撃しただろう花京院が、ある一点を指し示した。

 

「やれやれだぜ・・・。」

「・・・本当に、暑さでおかしくなっていたのかもしれない。あんな単純なことに気付かなかったなんて。」

 

砂煙の晴れた外、花京院の示す先には同じような形の2つの岩があった。その岩が作る影を見比べ、からくりに気付いたポルナレフも、しょーもないと笑う。

 

「オラァッ!!」

 

スタープラチナが石を投じると、何もない空間に穴が開き、誰かの悲鳴がした。直後に太陽のスタンドが消え、辺りは夜の姿を取り戻す。

 

 

空間の亀裂に見えたのは、ただの鏡に開いた穴だった。

鏡を利用して、どこでこしらえたのか快適なメカに乗って彼らを追跡していたDIOの刺客は、スタープラチナの投げた石が頭に直撃し、完全に意識を失っている。

所詮鏡は鏡。姿を隠すと言っても周辺の景色を愚直なまでに反射させることしかできないし、少し見る角度を変えれば簡単にボロを出す。むしろ、これまでの移動中によくバレなかったと称賛を贈りたいところだ。

 

 

 

「お、俺も花京院さんに言われて影に気付いたぜ~。」

 

光線にやられたラクダを治し、暑さで倒れたラクダへ壊れたポリタンクに残っていた水をやりながらそう主張する仗助の目は、激しく泳いでいた。

 




原作と違って回復役がいるからこそ多少の無茶はできるはず。
無茶する必要もないくらいわかりやすかったのですぐ終わりましたが。


次回はいよいよ。。。
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