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黒が緋に染まる。
緋とは火。火とは花。機動六課を苗床に咲き乱れる紅蓮の大花。
誇示するかのように灼熱の花弁を開き、花粉を散らすかのように火の粉が飛び交う。
その花弁の周りを飛ぶ真紅の少女がそこに居た。
「ラケーテン……ハンマーッ!!」
少女の声に愛機が応える。魔力をロケットの様に噴出させ、少女の体が一気に加速した。
行く手を阻むガジェット・ハンブラビの装甲など、彼女にとっては紙も同然。無残にも少女と愛機グラーフアイゼンによって粉々にされ、炎の花を広げる六課上空で別の花を次々と咲かす。
「っくしょう! キリがねぇ!!」
バラバラと炎の中に消える残骸に目を向けながらその少女、ヴィータが悪態をつきたくなるのも無理は無い。六課襲撃の報を受けてリインと共に最速で戻ってみれば既に六課はガジェットによって紅蓮に包まれていた。そのリインは今、グリフィス達と共に消火に当たっている筈だ。ならばとこうしてガジェットの撃墜に出てはみたものの、その数はこれまでに以上。いい加減ヴィータにも疲れが見え始めていた。
「いくらスカリエッティの狙いがレリックっつってもよ。こいつはちっとばかし過剰戦力じゃねーのか?」
「それだけドクターが貴方達を認めているという事ですよ」
「!!」
『Panzerschild!!』
突然の声。同時にグラーフアイゼンが魔法を発動し、正三角形の魔法陣がヴィータの眼前で何かを受け止めていた。それが光の剣だと彼女が認識した途端、振りあげられたもう一刀も一緒に視界に入る。
やべぇ! とヴィータの直感が警告を鳴らし、とっさにとった行動は魔法の盾を炸裂させて距離を取る事だった。炸裂させた魔法の影響で煙が立ち込める。しかしその煙を裂いて飛び出してくる人影に、ヴィータは半ば反射的にグラーフアイゼンを振り上げていた。
「くっ!?」
ガンッという音と声。そして手に残る衝撃の残滓。どうやら上手くカウンターが入ってくれたらしい。
流石にその人影も後退せざるを得なかったのか、ヴィータから距離を取らざるを得ない。そこでヴィータは漸く人影を見る事が出来た。
彼女もまた少女。いや少女と女性の中間と言った所か。栗色の長い髪、美しく整った容姿だが鋭い目がヴィータを睨みつける。そして両手には赤い刀身の長剣が二本。青いボディースーツの首元には「XII」の文字。
漸くお出ましか。こちとらさっきからガジェットばっかりでいい加減うんざりしていたんだ。
ヴィータはぐいっと額の汗を拭い、負けじと彼女を睨み返す。
「テメェ、戦闘機人だな?」
「……よくお分かりですね。流石は機動六課スターズ副隊長と言った所ですか」
ヴィータの指摘に彼女はきょとんと目を丸くし、まるで自分が戦闘機人だとばれた事が信じられないと言った素振りを見せている。
いやいや、分からいでか。本気で戦闘機人だと分かられない自信があったというのか。……ああ、あの驚きぶりは本当に自信があったのだろう。溜息が自然とこぼれてきた。
なんというか調子が狂う。気合いを入れたというのに、それが削ぎ落とされるようだ。
「あたしじゃなくても分かるだろ。そんだけピチピチした全身タイツ着てんのお前らくらいだぞ? なんだそいつは。嫌味か? それともスカリエッティの趣味か?」
「前者の意味は分かりませんが、ドクターの趣味、というのは否定できません。これしか服というものは用意されていませんし。そうですね。それを踏まえて私は貴方に一つ尋ねたいのです」
「……なんか嫌な予感しかしねぇんだが、とりあえず言ってみろ」
「貴方みたいなフリフリロリータ服はどこで手に入るのですか?」
「知るかっ!!」
弾かれた弾丸の様にヴィータが飛び出した。これ以上はこちらのペースが狂ってしまう。どうにも自分のペースに持って行けないのはヴィータの精神衛生上、大変よろしくない。
だから、ここは速攻で決める!
カートリッジの炸裂と共にグラーフアイゼンから吹き出す魔力の噴射を最大限に高め、ヴィータは一気に間合いを詰めた。体を回転させながら放つそれは直撃コース。会心の一撃とも言えるそれに彼女は確かな手応えを感じる。
「あ、そう言えば私ディードって言います。以後お見知りおきを。スターズ副隊長、八神ヴィータさん」
「な……!? んなバカなっ!?」
しかしその手応えも当たらなければ意味が無い。
ふわり、ディードと名乗る少女の体が舞い上がった。グラーフアイゼンの一撃を受け流し少女はヴィータの頭上、まるで海面を跳ねるイルカの様に躍り出る。それが回転を止められないヴィータの目にはスローモーションのように流れていった。勿論、ディードがそのまま長剣を振ろうとする一挙手一投足。それすらも感知できる程に。
気付いた時には自分の体が斬り飛ばされていた。遅れてやってくる痛み。背中が大きく裂かれ、真紅の騎士甲冑に鮮血の赤が上塗りされる。
(……やべぇ! かなり良いのもらっちまった!! 次、間に合うか!?)
だがヴィータの思考はすでに次に移っていた。痛みは我慢すれば良い。彼女がかつて生きてきたベルカ戦乱の世ではこの程度の傷を何度も経験してきた。それ故の思考。騎士としての思考がヴィータに次の選択を迫る。グラーフアイゼンはまだ手にある。まだ、戦えると手の中で脈打っている。
「アイゼンッ!! ロードカートリッジ!!」
『Explosion!!』
脈打つ感覚から爆発の衝撃へ。ヴィータの声にグラーフアイゼンがカートリッジをロードし、ラケーテンフォルムの噴射口が再び炎を噴き出す。
ギチギチと嫌な音が脳髄に響き、一層の血しぶきが舞った。それでも構わず、ヴィータはアイゼンを横殴りに繰り出す。
驚いたのはディードだ。先のカウンターで彼女は勝利を確信していたのだ。後はトドメの一撃を叩き込めばそれで終わると本気で思っていたのだ。それなのに目の前の騎士は自身の傷口が広がるのも恐れずに、それどころかまだ一撃を放ってくるではないか。
ゾクリと身の毛がよだつ感覚に襲われたディードが攻撃を即座に中止し、防御行動を取ったのは最早反射に近い。そしてそれが結果的に彼女を救う事になる。
ガキィン! と一際甲高い音が響き二本の長剣が間一髪ドリルと化したグラーフアイゼンを受け止めていた。しかしそれだけだ。気持ちの面ですでにディードは負けている。戦乱の世を駆け抜けた歴戦の騎士に生まれて間もない戦闘機人では一撃に対する想いの重さが全くと言って良い程に違い過ぎた。
「アイゼンッ! もう一発だ!!」
『Jawohl!!』
再びヴィータの声にグラーフアイゼンが応え、もう一発カートリッジをリロード。更なる魔力の炎を噴射する。下手な小細工などない純粋な力に想いを乗せ、遂にヴィータがグラーフアイゼンを振り抜いた!
砕け散る二本の長剣と共に弾き飛ばされるディード。だがまだ終わってはいない。噴出魔力を維持し、今度はヴィータが追撃を仕掛けた。背中の痛みは遂に熱を持ってヴィータの意識を奪おうとしている。だがそんなものは気力で封じ込め、彼女は次の一撃で終わらせようとしている。
だと言うのに、だと言うのに。
「IS発動、レイストーム」
ヴィータがディードを捕える事は無い。
目の前に広がる緑光の奔流。それに目を奪われた瞬間、光は鞭となってヴィータの体を打ちつけた。
能力を隠していたのか、それとも新手か。
答えは後者。ディードの前に姿を現したのは彼女と同じ顔をした少女だった。
同じ顔ではあるが、少女の姿はズボンにノースリーブジャケット。髪も短く揃えられ一見すれば少年とも見間違える少女がディードを守る様に立ちはだかっている。先の光も彼女が放ったものだった。
問題はそこまで接近していてヴィータが気付かなかった事だ。なんらかのステルス能力を持っているに違いない。体中から煙を上げて落下していくヴィータはぼんやりとした意識の中でそう判断していた。
またもやカウンターを貰ってしまった為か、体に力が入らない。なんってこった。戦闘機人の一人も倒す事ができないなんて……。こんなの、こんなの悔しすぎる。
自然と目尻に涙が浮かんだ。
「らしくないなヴィータ。お前がこんな簡単に諦めるとは思わなかったぞ」
しかし、落下が止まった。聞き覚えのある男の声も聞こえてきた。
その声のなんと力強い事か。気の遠くなるような年月、いつも静かにその声はヴィータの傍にあったものだ。
昔も、今も、変わらぬ声にヴィータの口角は自然とつり上がっていく。
「……ハッ! 誰が諦めるって? 馬鹿言ってんじゃねーよ。こんなの諦める内にも入らねーっての」
一度は萎えていたヴィータの心に、今は赤々と火が灯っている。赤はヴィータの色だ。彼女の騎士甲冑が真紅であるように、彼女の心もまた真っ赤な火が灯ってこそのヴィータだ。
だからこその悪態。自分の声で更に己を鼓舞させ、真っ赤な火を紅蓮へと燃え上がらせる為の悪態だ。
「それならば良いがな。ならば早急にケリをつけるぞ。時間はもうあまり残されていないらしいからな」
「……ああ。どうやらそうみてーだな。行くぜ! ザフィーラ!!」
「応!!」
彼女を抱きかかえていたのはヴォルケンリッターの一人。盾の守護獣ザフィーラだった。その彼が瞬時に狼へと姿を変え、涙を拭ったヴィータがその背に乗る。そしてそのまま狼が宙を駆けた。
迎え撃つは刀身を取り戻した光剣を構えたディードと、双子の戦闘機人No.8オットー。
鉄槌を振りかざし、狼と共に駆けあがる騎士を前に二人は頷きあうとオットーが仕掛ける。
再び緑色の光が無数に放たれた。迫りくる光の矢を掻い潜り狼と騎士は縦横無尽に空を駆け登るが、そこに待っていたディードが光剣を振り上げる。しかしすっかり気力を取り戻したヴィータの振るう鉄槌はもろともしない。背中の傷は熱を持ち一層ヴィータを蝕むが、それも気にならないほどの気力で今度こそ核実にグラーフアイゼンがディードを弾き飛ばす。
「オオオオオオッ!!」
狼の咆哮が燃える大花に照らされた夜空に響き渡り、ディードとオットーの間に白い魔力の楔が突き出した。ザフィーラの鋼の軛だ。ヴィータが紅蓮の炎とも言うべき闘争心の塊であるならば、ザフィーラは白き鉄壁の心。仲間を守るという彼の強くも純粋な意思を象徴するかの様な、純なる白。そしてこの鋼の楔だ。楔とは物と物を強く結びつける道具。常に一歩引きながらも仲間を見守り、時には強く結びつける為に間に入る実に彼らしい魔法の形だ。だが楔とは逆に物を割る為の道具でもある。一度その強い心が敵に向けられた時、結びつける力は物を割る為の力へと反転するのだ。
今もそう。瞬時にしてディードとオットーの連携を見抜いたザフィーラがその間に楔を打ち込み、それを分断させている。そして負傷したヴィータはザフィーラが駆ける事でフォローする。
盾の守護獣ここにあり。
いぶし銀の輝きを見せる狼にディードとオットーは次第に焦りを感じずにはいられなかった。
ヴィータとザフィーラがディードとオットーという戦闘機人とぶつかる中、地上本部から駆けつけたフェイトもまた六課近くの海上で戦闘機人とぶつかっている。四肢から極光の輝きを見せる戦闘機人No.3、トーレ。一度彼女に苦渋を舐めさせられているフェイトにとって、彼女は越え無ければならない相手として認識されていた。
彼女が彼女である為に。プロジェクトFの産物として彼女をお嬢様と呼ぶトーレにだけは勝たなければいけない。加えて今回はタイムリミット付きだ。視界の端、召喚魔法陣から出現してくるガジェット。それが次々と機動六課に向かっていく。それなのに機動六課の中にはまだ消火活動や、負傷者の避難誘導をしている局員が残っている。彼らの支援に一刻も早く向かわねばならない以上、トーレにかけられる時間はそう長くはない。
「だから、今日は本当の本気で行くよ!! バルディッシュ!!」
『Get set.』
「ほぅ……」
思わずトーレも感嘆の声を上げた。それほどまでに凄まじい魔力がフェイトの全身から溢れている。
それは闇夜を切り裂く一迅の雷光。余計な部分を削ぎ落とし、黒のレオタードとも言うべき姿になったフェイトが魔力ケーブルに繋がれた二振りの剣を構えていた。
「薄い装甲。防御を捨て極限まで速さを求めたという事ですか。当たれば落ちる背水の陣という事ですか。……面白い。その意気や良し! ならば今度こそ完膚無きまでに落として差し上げましょう!!」
トーレが歓喜の声を上げ、極光が更に輝きを増した。
フェイトも静かに二振りとなったバルディッシュを構え直す。剣の名はライオットザンバー・スティンガー。フルドライブであるライオットブレードから更に発展させたリミットブレイクの姿。そして彼女の姿はトーレの指摘の通り、防御を捨てた超高速形態。リミットブレイク、真・ソニックフォーム。
(確かにトーレの言う通り防御はほぼ皆無。一撃でも貰えば先は無い……。でもこれが今できる最善の形。迷うな。今できる事、それに集中するんだ)
神経を研ぎ澄ませ、フェイトが飛び出した。音が後方へと置き去りにし、光が牙を剥く。しかしフェイトが雷光ならばトーレは極光。共に速さを武器にする者同士がその刃を交えれば、そこは一段次元の違う戦場となる。
常人にすれば数秒。その間に二人は何度も刃を交えた。共に二振りの剣。交わり、離れ、剣劇は常人には認知すら難しい時の中で繰り返される。そして二人の時が常人と同じ時間に戻った時、その体には無数の傷跡が残されていた。互いに決定打を入れさせず、刃は紙一重でその肌を裂いている。たかだか数秒。されど数秒。常人とは違う時間の中での攻防はすっかり二人の様子を変えてしまっていた。
「これはなかなかどうして。デスティニーインパルスの速さに食らいつくとは」
「トーレが言った通りだよ。これは私の背水の陣。今は自分を追い込むことでしか貴方に追いつく事ができないけど、いつかきっと追いこして見せる」
「いつか……ですか。そのいつかが来ると思っているのがまだ甘いのですよ! フェイトお嬢様!!」
「!!」
気付けば飛翔する刃が迫っていた。ブーメランの様な形のそれは立派な重斬撃武器。が、気付いてしまえば今のフェイトに避ける事は難しくない。危なげなく避けたフェイトだったが、その後がいけなかった。
一瞬でもトーレから意識が外れてしまったのだ。そしてトーレにしてみればそれだけで十分な時間。瞬く間に距離を詰めると両手の大剣、エクスカリバーを叩きつける。間一髪ライオットザンバーで受けるも、トーレが繰り出す蹴りが彼女の腹部に突き刺さり、一気にその体は急降下。海へと叩きつけられ、一際大きな水柱が立った。
大きな波紋を広げる水面を見つめるトーレ。その横には無表情で同じ様に水面を見つめる戦闘機人がいる。ブーメラン型の重斬撃武器を持ち、首には「Ⅶ」の刻印を持つ彼女は戦闘機人No.7セッテ。ディード、オットーと共に戦闘機人、ナンバーズ最後発組であった。
しかし二人とは違い、セッテには感情の欠片も見られない。ただ淡々とフェイトが浮かび上がって来るのを待っている。トーレはそんな妹に小さな溜息を漏らしていた。
(確かに我々のコンセプトから考えればセッテは完璧とも言える。余分な物が一切ない完全なる戦闘マシーンだ。だがそれでは駄目なんだよセッテ。何故ドクターが我々に意思を持たせたか。何故ファントムペインと関わらせたか。それが分からなければ、この先は無いぞ)
妹を案じるのもまた姉の役目と、トーレが助言をしようとした矢先。海面から再び水柱が巻き上がった。
来たかとトーレとセッテが身構え、降り注ぐ海水の中で目を凝らしてフェイトの姿を探す。
「上か!」
トーレの言葉の通り、フェイトは上空高く舞い上がり彼女の身長程もある大剣となったライオットザンバーを振り上げている。セッテでは回避に間に合わない。そう判断したトーレが一気に加速した。大剣となったライオットザンバーではさしものトーレとて一撃の重さで負けてしまう。なればと体を回転させ、遠心力の重みを乗せてトーレはエクスカリバーを振り抜いた。そこに丁度フェイトも大剣、ライオットザンバー・カラミティを振り抜く!
だがトーレは気付くべきだったのだ。自分が今、どんな状態であるかを。そしてフェイトが振り下ろしたものが何であるかを。
大剣と大剣が交差した瞬間、一気に電撃が弾けた!
トーレの体を文字通り電撃が走る。大剣を通り、四肢まで突き抜ける痺れ、衝撃、身を焼く熱。
(やら……れた!)
その中でも意識を保っていたのは流石と言うべきか。全身が麻痺し、思う様に動かない中トーレは自分の身に起こった事を正確に把握していたのである。
先の水柱によって今の彼女はずぶ濡れだ。加えてライオットザンバーの刀身はフェイトの魔力で高圧電流をまとっている。それを受けたトーレの体に海水を伝って高圧電流が流れ込んだのだ。
電撃はフェイトの先天資質。コントロールさえ間違わなければ彼女に危害を及ぼす事は無い。
「ぐっ……、セッテ!!」
電撃を受けながらもトーレはセッテの名を叫ぶ。それだけでセッテは動きだした。斬撃と緻密な魔力制御の影響でフェイトの動きは止まっている。今ならセッテのスピードでもフェイトを捕える事ができるだろう。セッテもそれを理解していたからこそ、トーレの言葉だけで動きだしたのだ。
だが、フェイトは慌てる事はしない。これもまた想定内。罠はまだ残されているのだから。
「レヴィ!! 今だよ!!」
「アイアイサー!!」
フェイトの声と共に飛来したのは蒼雷をまとう電光の妖精。フェイトの更に上空から舞い降りたレヴィが大きく拳を振りかぶっている。拳に蓄えられているのは、彼女の電撃!
「雷靭拳!!」
再び電撃が闇夜を裂いた。しかし今度は金色の電撃ではなく、蒼の電撃。セッテの体に打ち込まれたレヴィの拳から発せられた電撃が彼女の体を蒼で包みこむ。
唖然として声も出せないトーレの体をフェイトのバインドが縛り上げる。そして気を失ったセッテも同様にバインドがかけられた。ボディースーツは所々破け、体からは煙も上がっている自分達の姿のなんと無様かと、トーレは唇をぎゅっと噛み締めるしかない。
完全に油断した。背水の陣で挑んできたフェイトの力量を完全に見誤ってしまった。
忌々し気に見上げるとフェイトが再び二本の剣を構えてこちらを見ている。その隣ではレヴィも同じ様に両腕についた刃を構えていた。
「……トーレ、確かに貴方は強い。その子もきっと強いんだろうね。でもこっちもなりふり構っていられないんだ。だから、悪く思わないでね」
「悪く思う事などありません。地形を有効に使う事もまた立派な戦術。それを見抜けなかった私達が愚かだったというだけの話ですよ。それにしても正直驚きました。まさかブラッドが熱を上げているその子まで来ているとはね」
「へへーん。フェイトが海に落ちた時にボクから声をかけたんだ。それでとっさにこの作戦を考えたってわけ。いやー、思ったより上手くいって良かったよ!」
「成程。貴方が近くに居た事も見抜けなかったとは、ますます自分が情けないですね。良いでしょう。確かにこの勝負、我々の負けです。ですが、奥の手はまだあるんですよ!」
急にトーレの目に力が宿った。まだ何か手があるのかと身構えたフェイト。そしてその答えは直ぐに現れる。
空に走る幾つもの魔法陣。ガジェットを呼び寄せたあの召喚魔法陣だ。また性懲りもなくガジェットを追加するのかと思ったフェイトだったが、次の瞬間、冷水を浴びせられたかのように一気に血の気が引くのを覚えた。
現れたのはモビルスーツサイズのガジェット。フェイトにしてみれば巨人ともいうべきガジェットが空の魔法陣から次々と降下してくるではないか。
「そんな……。モビルスーツサイズのガジェットまで出してくるなんて……」
「なりふり構っていられないのはこちらも同じ事だと言う事ですよ。フェイトお嬢様」
「くっ! 早く皆を避難させなきゃ!」
「おやおや、私達をこのままにして行く気ですか?」
思わず飛び出そうとしたフェイトにトーレが囁く。モビルスーツサイズのガジェットが出てきたからには消火作業を中止させ、一刻も早く局員達を避難させなければならない。しかし、だからといって今トーレ達の傍を離れる事もできないのだ。もしもこれがいつものガジェット達だけであればまだなんとかなっただろう。トーレとセッテを連れてでもフェイトは六課に向かうつもりだったのだから。なのにモビルスーツサイズのガジェットから局員達を避難させるのにトーレ達がいては迅速な行動ができない。
折角トーレ達を捕えた千載一遇のチャンス。それを取るか、局員達を取るか。
フェイトに選択が迫られていた。
だがこの場において、たった一人だけ動じていない人物がいる。
レヴィだ。彼女だけが慌てる素振りも無く、モビルスーツサイズのガジェットに「おー」と歓声を上げている。
「ん~、あれはなんだっけなぁ。ジムとも違うし、ジェガン? いや~違うなぁ……。なんだっけなぁ。槍持ってるモビルスーツってそんなに多くないんだけどなぁ……」
「レヴィ! 暢気にしてる場合じゃないよ!?」
「大丈夫だって。ボクがここにいるってことがどういう事か分かるでしょ?」
暢気にモビルスーツの名前を思い出そうとしているレヴィに苛立つフェイトだったが、ひらひらと手を振っているレヴィの言葉の意味に「あっ」と声を上げた。
「そういうこっとー♪ それじゃ、出番だよ!!」
パチン!
天高く伸ばしたレヴィが指を実に良い音を鳴らした。
それが合図であったかの様に轟音を立てて、粒子が光と共に闇を駆ける。
着地したもの、まだ空にいるもの関係無く撃ち抜き、次々と爆散させていく光景をフェイトは歓喜の、トーレは苦渋の表情で見つめていた。
未だ燃え上がる六課の炎と、ガジェット・モビルスーツの炎の中にそれはゆっくりと飛来する。
一機は天使を翼に大型のライフルを持つウィングガンダムゼロカスタム。
一機は金色の関節に二挺のライフルを持つストライクフリーダムガンダム。
シュテルとディアーチェ、ユーリの機体がフェイト達の眼前に姿を見せていた。
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姿を見せたシュテル達。フェイトは間に合ってくれたかと安堵の息を漏らし、トーレは間に合ってしまったか忌々し気に唇を噛んでいる。そしてレヴィはぶんぶんと大きく両手を振って二機を歓迎していた。
「うおーい! 王様~、ユーリ~、シュテる~ん! ナイスタイミングだよ~!」
『貴方も無事なようで何よりですが、単独行動は控えて下さい。不用心ですよ』
『まぁまぁ。そのおかげでフェイトさんも無事だったわけですし、結果オーライですよ』
「そーだよ~。じゃなきゃフェイトが危なかったんだから!」
『それについては異論ありませんがね……』
『そこまでだ。レヴィ、お前はフェイトとその戦闘機人を連れてヴィータ達の援護に行け』
シュテルの小言を止めるディアーチェの声は珍しく緊張に満ちたものだった。長年の付き合いだ。シュテル達はそれだけでこの場に危険が訪れる事を察知する。そしてレヴィがフェイトの手を取り、トーレ達を引き連れながら最速でこの場を離脱していった。
残されたゼロカスタムとストライクフリーダム。二機の目は空の一点、立ち込めてきた暗雲を見つめている。分かっているのだ。未だ姿を見せぬあの機体がそこから現れるのが。
「さて、あの女王を相手にどれだけの事ができるかのぅ」
洩れた呟き。柄にも無くディアーチェは震えている。いざ対面するとなった矢先、自分の体を貫いたあの感覚を思い出してしまったのだ。一度植えつけられた恐怖と屈辱がここに来て彼女を縛りつけようとする。拭おうとすればするほど、それは蜘蛛の糸のようにディアーチェの体に絡みつき、めりめりと食い込んでいく。
(くっ、今更何を躊躇う! 屈辱を晴らすと誓ったであろう! 紫天の王たる我が、これしきの事屈服できんでどうする!!)
『恥じる事はないぞ。ディアーチェ』
それは青。深い海の底を思わせる暗い青の体。
そして赤。幾多の血を吸ってきたかと思わせる黒い赤の羽。
雲を裂き、それはゆっくりと舞い降りてくる。夜の闇は彼女の外套。遠く燃え盛る炎はその降臨を祝福し、喝采を浴びせるかのように更に滾り、ゆっくりと外套を脱がせていく。
ナハトヴァールと融合し、夜の女王を名乗るアメリアスの搭乗機。
その名はバルバトス・ミラージュ。
『絶対的な力を前に恐怖を覚える事は恥ではない。お前は我に一度敗れているからな。何もできず、ただの一撃で沈んだ哀れな小娘が女王に恐怖を覚えるのは当然だろう?』
「……戯言を……」
『虚勢を張らずとも良い。ふふ、分かるぞ。我にはお前の恐怖が手に取るように分かる。我を前にして紫天の王が小娘の様に脅え、恐怖の縄がお前の体が食いこんでいくその様がな!!』
アメリアスの嘲笑う声が高々と響き渡る。だがディアーチェは俯き、ギュッと唇を噛み締めるばかり。
悔しいが反論できないのだ。今も操縦桿を握る手が震えている。体に絡みつき、縛り上げる蜘蛛の糸が全てを奪っていく。これが恐怖。抗う事のできない恐怖。
瞬間、ごぉ、という轟音と眩い閃光がストライクフリーダムのコックピットに響いた。
『これ以上私達の王を侮辱するのは止めて頂けませんか?』
『ほぅ……?』
それはゼロカスタムがバスターライフルを撃った音だった。その白き翼の堕天使が夜の女王を前に一歩も揺るがずに翼を広げ、銃口を突き付けている。そしてそのコックピットではシュテルがバルバトス・ミラージュに侮蔑の眼差しを向けていた。
『恐怖を恥じる事は無い。それについては異論ありません。恐怖は誰もが持つ感情。それを偽る事になんの恥がありましょうか。我が王ディアーチェ。それもまた貴方が生きている証。ただのプログラムでしかなかった我々が真に生きている証なのです。恥じる事は無い。ですが飲まれる必要もありません。貴方には私がいる。レヴィがいる。ユーリがいる。この世界で再会し、出会った仲間がいる。そして……』
不意に言葉が途切れる。何かを話そうとして、それを躊躇って。
しかしシュテルは侮蔑の眼差しから一転、とても穏やかな、そして安らぎに満ちた笑顔と声を発する。
『私が愛した男がいるのですから!』
黒い風が吹いた。
それは突然雲を割り、一直線にバルバトス・ミラージュへ吹き降りる。
一刀。アメリアスは即座にバルバトス・ミラージュを動かすと間一髪これを避けた。しかし黒い風はその軌道を変えると振りむき様にもう一刀を薙ぎ払うも、今度は抜き放ったビームサーベルで受ける。
『今だっ!! 行け! アプロディア!!』
『何っ!?』
その脇を通り過ぎる機体があった。CAT-X1/3 ハイペリオンガンダム。緑の光に包まれる白いガンダムがアメリアスに目をくれる事も無く炎の機動六課へと下降していく。その機体を操る者を知ったアメリアスが交わる剣を振り払おうとするがそうはいかない。黒い風。いやハルファスガンダムを駆るレンが追う事を許しはしなかった。
『だからディアーチェ、我が王よ! 恐怖を感じてもそれに飲まれる必要は無いのです! 貴方には私達がいる。貴方を支える多くの者が貴方の力になる!』
そこにシュテルも参戦。ゼロカスタムのビームサーベルを抜き放つとバルバトス・ミラージュに切りかかる。機体の翼を広げ距離を取るアメリアス。しかし追いすがるハルファスとゼロカスタムの剣。互いの隙をフォローし、息の合った連携を取る姿はかつての世界で共にあった時から何ら変わらない。いや、この四年でその連携は更に磨きがかかっていた。次第に押されていくアメリアス。そして二機肩を並べて同時に振られた剣をアメリアスはビームサーベル一本で受ける事になる。
『アメリアス、貴方は我が王を侮辱した。私達の王を小娘と嘲笑った。その罪、万死に値します!!』
『何をぬかすか! お前の王はその恐怖に飲まれ身動き一つできんではないか! 臆病風に吹かれた王なぞ既に王に非ず! 小娘と笑う事になんの躊躇いも無いわ!!』
『言わせておけば好き勝手な事を!!』
ゼロカスタムの背部ブースターが出力を上げる。それにハルファスも同調した。二機の出力に流石のバルバトス・ミラージュもそれを抑える事ができない。三機は剣を交えたまま急降下、轟音と共にバルバトス・ミラージュは地面に叩きつけられた。
衝撃が各パイロットを襲う。それでも攻撃を続行しようとしたシュテルとレンだったが、突如感じた悪寒に慌てて機体の距離を取る。何故ならバルバトス・ミラージュの羽から放たれた閃光が天高く伸びたからだ。もしもあのまま攻撃をしようものなら、その閃光に機体を貫かれていたに違いない。
更に放たれた幾筋もの光が地面を砕き、炎の花を更に咲かす。さしものゼロカスタムとハルファスでも距離を取らなければならなかった。
『小娘ぇ……。貴様は恐怖に飲まれぬというのか。このアメリアスとバルバトス・ミラージュを前にしても恐怖に飲まれぬと言うのか!』
『……いいえ。私にも恐怖はあります。ですが貴方と対峙しても飲まれぬ自信があるのです。言ったでしょう? 私には王が、レヴィが、ユーリが、キリエがいる。そしてレンがいる。仲間と、愛する人が隣にいれば恐怖に飲まれることなどないのです。というか、何度も言わせないで下さい。……恥ずかしいんですから』
『だってさ。レン、良かったね~、ちゃんと聞いた? シュテルちゃん一世一代の告白だよ?』
『……ああ、うん。まぁ……嬉しいんだけど、俺も結構恥ずかしい……』
『というかねシュテルちゃん! 抜け駆けは駄目って前からお姉さん言ってるでしょー!!』
『い、良いじゃないですか!! い、勢いって大事だと思います!! キリエは普段からレンにべったりなんだからこれくらい多めに見て下さい!!』
『それとこれとは話が別ですぅ~!!』
『お、おいおい。今はそこで言い合ってる場合じゃないと思うんだけど……』
『『レンは黙って!!』』
『あ、はい……。すんません……』
あーだこーだと白熱する女子二人の剣幕に当の本人、コックピットで正にたじたじである。そしてアメリアスも置いてけぼりを食らった挙句、話に付いて行くことができずに言葉も出ない。
仲間? 愛する人? そんなもので恐怖に飲まれぬ自信があるだと?
理解できない。全く理解できない。
当然だろう。アメリアスは愛を知らない。仲間と言えばスカリエッティやキール達がそれに当たるのだろうが、それは彼らに利用価値があるというだけの事。互いの利益の為に徒党を組んでいるだけに過ぎない。利用価値がなくなれば切り捨てるだけ。『裏切り』のコードを持つ彼女らしい価値観と言える。そして彼女と融合したナハトヴァールにもそんなものは必要なかった。プログラムらしく、無機質に余分な物を一切必要としていない。
最初からそれを知らぬ者同士、融合した所で理解する事などできないのだ。
『えぇい!! 我を愚弄するのも大概にせい!!』
遂に我慢できなくなったアメリアスの怒号が響く。理解できないならそれでも良い。ただこの状況は許せない。自分を前にしても揺るがぬその姿が堪らなくアメリアスの感情を逆撫でするのだ。
『恐怖に飲まれぬというのであれば、我の力で更なる恐怖を与えてやれば良い。さすれば仲間という惰弱な支えなどすぐに粉々になるであろうよ!』
『だからお前は分かっておらぬというのだ。アメリアスよ』
『……ディアーチェか』
上空に居たストライクフリーダムがゆっくりと降りてくる。王と盟主の機体にゼロカスタムとハルファスは道を開け、片膝を付いて頭を垂れた。王の帰還。それに相応しい姿でストライクフリーダムが大地に降り立つ。
『シュテル、そなたの言う通りだ。余は恐怖に飲まれ大事な事を忘れていた。お前がいて、レヴィがいて、ユーリがいて……。ああ、そうさな。それにそこの馬鹿とキリエもいてこその紫天の王。何を恐怖に飲まれる必要があろうか。それを思い出させてくれた事。感謝するぞ』
『勿体なきお言葉。それでこそ我が王です』
『うむ。ならばこの場は我がとユーリが引き受けよう。そなたはレンと共に行け。既に到着しているはずの奴らの姿が無いのが気になる』
『御意。……さぁ行きますよ。レン、キリエ』
立ち上がり翼を広げるゼロカスタムにハルファスが続き、二機が飛び上がった。それを見送りディアーチェは操縦桿を握り直すと、ちらりと後ろを見る。そこにはいつもと変わらぬ微笑みを浮かべている紫天の盟主。ディアーチェの心の宿り木とも言うべき優しき盟主に、彼女は少しだけ頬を掻いた。
「ユーリ、不甲斐ない姿を見せたな。だが我はもう恐怖に飲まれん。ここからは我らの戦場よ。共に来てくれるか?」
「紫天の盟主は王と共に。私はどこまでも貴方と一緒ですよディアーチェ」
「……感謝する」
翼が雄々しく開いた。それはまるでディアーチェがユーリとユニゾンした時の魄翼の様に、ストライクフリーダムがその翼を開いたのだ。金色の関節が輝き、両手に持つ銃をバルバトス・ミラージュへ向ける。
そして負けじとバルバトス・ミラージュもその翼を広げ、大剣とも呼ぶべきビームサーベルを構えて見せた。
『ふん。我の恐怖から抜け出せたとて、一機で何ができる。我の力はお前がよく知っておろう?』
『ああ、知っているさ。今でもお前にこの腹を撃ち抜かれた時の事を思い出してしまうよ』
『所詮は強がりという事か』
『だからどうした!!』
張り上げたディアーチェの声は自信に満ちていた。いつものように傲岸不遜。相手が誰であろうと、自分が王であるという絶対的自信だ。そしてその自信は彼女を見下していたはずのアメリアスが一歩引いてしまう程のプレッシャーとなり、場の空気が一変する。
『刮目せよアメリアス! 我こそが絶対にして無二の紫天の王、ロード・ディアーチェ! 闇から暁へと変わる紫の空の様にお前の恐怖という闇。この紫天の王が振り払ってくれる!!』
両手に持つビームライフルが閃光を放った。だがバルバトス・ミラージュはその光を一跳びで乗り越え、上段からビームサーベルを切り降ろす。避けられるや否や、ディアーチェもライフルを腰に戻してビームサーベルを抜き放つと、その一撃を防御。だが振り抜かれたその威力に後退せざるを得ない。
しかし地面が砕ける程強く踏み締め、ストライクフリーダムが前に出た。バルバトス・ミラージュもすぐに体勢を整え迎え撃つ。交差する光剣。鍔迫り合いの輝きが宵闇を照らした。
眼下には燃える機動六課。漸くそこに到着したレンとキリエのハルファス。そしてシュテルのゼロカスタム。本当ならばすぐに下降し、仲間達の所へ行かなければならないだろう。既に仲間達の所へは戦闘機人を退けたヴィータ達。そしてそれに合流したアプロディア達が向かっている筈だったから。
しかしやはりと言うか、そう簡単にはいかないらしい。
最大の障害となるべき機体が彼らを見つけた途端、姿を現したのだ。
ダブルオークアンタとヤークトアルケーガンダム。
キールとアミタ。そしてブラッドがレンとキリエ。シュテルを待ち構えていたのである。
ここまで来ればもう言葉は要らない。交わすべき言葉はとうの昔に尽きている。
あるのは互いにぶつかり合う信念だけ。
無言でそれぞれの機体が剣を抜いた。
『シュテル、キリエ。この戦いが終わったらさ、話があるんだ』
『……レン、それって露骨な死亡フラグじゃない?』
『ですね。縁起でもない。私はそんなの認めませんよ? もしも貴方が倒れたらフェイトとレヴィとエリオに電気ショックをしてもらいますからね。勿論、最大出力で』
『ほんっっっとお前ら可愛くねーな!!』
『『え?』』
『あ、嘘です。はい。ホントすいません』
もしかしたらこの二人には一生頭が上がらないんじゃないかとさえ思えてしまう。しかしフラグと言われてはい、そうですねとも言いたくない。それをフラグで終わらせない為にも、茶番はここまでにして後は目の前の二機に集中するしかない。
『さぁ行くぞシュテル! キリエ!』
『はいっ!』
『りょーかいっ!!』
黒と白の翼が大きく羽ばたく。
緑と赤の粒子が応えるように輝きを散らす。
ハルファスとクアンタ。ゼロカスタムとヤークトアルケー。
四機が四機、互いの敵を見定め、燃え上がる炎の上で正面から火花を散らした。