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Spirits母艦ミネルバ。
予期せぬ戦艦の登場に多くの者達が動揺を隠せない。
それをCICと一体化した戦闘ブリッジの中、艦長席に座った艦長ニキ・テイラーは冷めた目で見ていた。
「タンホイザー起動。前方のモビルスーツ隊を蹴散らします」
「了解! タンホイザー起動! Geist各機に打電! 射線上より退避せよ!」
オペレーターのラ・ミラ・ルナがニキの命令を繰り返す。そしてミネルバも艦首ハッチが開き、砲台がせり上がってきた。ここでようやく連邦兵達もミネルバの行動に気付き、退避を始める。だが既に砲台にエネルギーは充填している。既にその行動は遅い。
「て―――ッ!!」
ニキの号令が響く。
ミネルバの最大武装、陽電子砲タンホイザーが空に無慈悲な破壊の光を走らせた。
次々と光の中に生まれる光。モビルスーツが爆散する輝きにニキは軍帽の下で目を細める。
そしてミラから照射完了の報告を受けると、その目は再び前を見た。
「これより基地上空まで最大船側で向かいます! 向かってくるモビルスーツにはありったけの砲弾と弾丸を撃ち込みなさい! 我らで道を開くのです!」
ニキの号令でミネルバが動きだす。彼女の言葉通り、近づくモビルスーツに容赦なく砲撃、銃撃の雨が降り注いだ。いくら連邦の基地とはいえ、モビルスーツには限りがある。そしてその大半はビリーとレイチェルの活躍によって撃ち落とされていた。ましてリーンホースJr.にも向かっている部隊はセリカのフェニックスゼロによって既に海の藻屑。エースクラスはエリス、クレア、エルフリーデに止められている。
それにこの艦の速度は他の艦に追随を許さない上、ブースターも積んでいる。
よってミネルバを止める事はできない。止められるはずも無い。
「さぁ準備は整いました。後は貴方達次第ですよ」
『はいっ!』
ニキに繋がれた通信から元気の良い少年少女の声が響く。彼らの声に彼女は頷いた。
後の事を彼女達に託して。
そして彼女の思いを託された少年少女はミネルバの甲板にいる。ミネルバの猛スピードの中で、彼女達は踏ん張るように。だがしっかりと視線は基地を向いていた。
「みんな、覚悟は良い? 全てはこの為、この一回のチャンスの為の作戦よ。ここであたし達が失敗する事は許されないからね」
風になびくオレンジ色の髪を抑え、先頭に立つ少女が振り返る。言葉は厳しい。それにはここまで自分達を導いてくれたGeist。それにSpiritsへの感謝と、託された責任が込められていたから。
だが後ろに控えた三人の少年少女は、それがただ厳しいだけの言葉でない事を知っている。
彼女から感じるのは自分達ならできるという確信と信頼だ。
だから後がない一発勝負という悲壮感は誰からも無い。微塵も無い。
そんな仲間達の顔を見た少女、ティアナ・ランスターもまた不敵に笑うのだ。
「上等。それじゃ……ミッション、スタート!」
ティアナの号令と共に四人同時に駆けだす。向かい風の強風などなんのその。力強くも足取り軽やかに向かうは甲板の端。その先に道は無い。砲火飛び交う機械人形達の戦場の空だ。しかし四人は迷うことなく、甲板からその空に身を躍らせた。
一層の強風が渦を巻き、体は重力に従い高速で落下を始める。眼下の基地に向けて真っ逆さま。
『Stand by Ready! M-System Startup!!』
そのタイミングでティアナ達のデバイスが起動した。四人を包み込む閃光。そしてそれとは別に空色の道、ウィングロードが基地へと三本伸びる。
途端に閃光が爆ぜた。爆ぜた閃光の中から勢いよく飛び出したティアナ達がウィングロードの上に着地し、その上を滑り下りて行く。風を裂き、氷の上を滑る様に突き進むティアナ達。一歩間違えればその速度に殺される死と隣り合わせのジェットコースター。だがティアナ達は止まるつもりが無い。止まろうとも思わない。如何にそれが殺人的な速度でも、周りには自分達の数十倍も大きなモビルスーツがあっても、当たれば体が弾け飛ぶような弾丸が飛んでいても、既に己という矢は放たれた。後はその矢を目的地に突き立てる事だけを考えれば良い。それ以外の思考は邪魔。それだけに今は集中を重ねる。
「スバル、あんたが先行! やるべき事は分かってるわよね!」
「オッケー! ウィングロードの制御はあたしとマッハキャリバーでやるからしっかりついて来てよ!」
「よしっ! エリオはきっちりキャロとフリードをエスコート! ちゃんとうちのお姫様を守りなさいよ! 王子様!」
「お、お姫様ですかぁ?」
「王子より騎士が良いです!!」
「突っ込むとこソコ!?」
先行したスバルが思わずずっこけそうになりつつもなんとか立て直す様を見て、ティアナはほっと安堵を浮かべた。彼女の後方からはキャロとフリードを抱きかかえたエリオがいつもの真面目な顔で滑って来る。軽い冗談のつもりだったが、エリオの真面目さには通じなかったようだ。反面キャロは自分がお姫様抱っこされている事実に顔を赤くしている。
(ま、この状況でそう切り返せるだけマシってもんね)
何せ何か一つでも間違いが起きれば、M-Systemで強化されたバリアジャケットでも無事では済むまい。
事実自分達を捕え切れず後方では爆発が起こり、弾丸は空を裂いている。先頭に立つスバルとマッハキャリバーがウィングロードを制御し、回避コースを選択してくれなければ途端にそれは現実となるのだ。
しかし高速で滑り降りているというのに、なんと基地の遠いことか。思考が高速回転し、感覚が狂っているのかもしれない。ティアナとしてはモビルスーツが彼女達を補足する前にさっさと到着してしまいたかった。
「ティア!!」
スバルの悲鳴が聞こえた。ミネルバの援護射撃を掻い潜った一機が迫っている。後もう少しだと言うのになんと間が悪い。万事休すか? そんな思いがよぎった時だった。
『させないっ!!』
聞き慣れた声が響いた。迫るウィンダムから突き抜けてくる光の剣。背後から一突きされたウィンダムが、今度は縦に真っ二つになった。その背後から姿を見せるのはレイチェルのバイアラン・カスタム。
彼女がティアナ達の援護に来てくれた。そしてウィンダム達を近づけさせまいと、拡散メガ粒子砲をばら撒いてくれる。
その援護を受け、遂に基地が目の前まで迫ってきた。目標はその屋上。スバルから先行したティアナとエリオ、キャロを乗せたウィングロードが急に弧を描き、三人は屋上の上空に放り出される。
方向転換をする事で速度を殺せば後は自由落下。まずはティアナが床に受け身を取った。ごろごろと何度も転がったが、なんとか止まってくれた。
「ふーっ、ふーっ……。し、心臓に悪過ぎるわ……。ジェットコースターなんて二度と乗るもんか。ってかよく生きてたあたし。よくやったあたし。あ、あははははは……」
優雅な着地には程遠く、心臓は今もバクバク言っている。頬を引きつらせるティアナの目には大粒の涙が光っていた。とは言え、なんとか上手くいったのは機動六課の訓練の賜物。無事帰る事ができたら、なのはさん達にお礼を言おう。絶対言おう。
そう言えばエリオとキャロは? ちゃんと着地できたかしら?
我に返り辺りを見渡すと、キャロとフリードを抱えたエリオがストラーダを逆噴射させる事で落下速度を相殺している姿が見えた。
ティアナに比べ安定した着地。落ち着いた所でキャロとフリードを解放し、エリオも安堵の息を漏らしながらキャロに微笑んでいる。……何故だろう。何か釈然としない。
「みんな~! どいてどいて! 危ないよ~っ!!」
しかしスバルの声でそうも言っていられなくなる。最後の残ったスバルがウィングロードから飛び出し、そのままの速度で屋上に突っ込んでくるではないか。
あの馬鹿! 減速しなさいよ! ティアナは叫びそうになったがスバルの顔に焦りが見られない。 むしろ笑っている。絶対何かやらかす気だ。ティアナはすぐにエリオとキャロに動くように指示を出した。
ティアナの予感はむしろ正解に言えるだろう。スバルは直感的に閃いていたのだ。この作戦、いわば強襲奇襲のオンパレードだ。実の所、ここでくつろいでいる時間はあまり無く、これから中に突入しなければならない。
「だったら工程を一個すっ飛ばしちゃおう!!」
『……Really?』
「本気も本気! 大マジさぁ!!」
マジですか? と怪訝そうな声のマッハキャリバーに勢いで返事をすると、着地と同時にスバルは大きく体を傾けた。バイクレーサーがコーナーを曲がるように膝をするかとも思える程に体を傾け、彼女は大きな弧を描きだす。ギャリギャリとマッハキャリバーのローラーが音を立てる。彼女も必死に床をグリップし相棒がそのまま倒れないように必死だ。そして弧を描き切ったスバルが向かうは屋上入り口。本来ならそこから突入する算段だった場所。
これだけ目立つやり方で屋上まで来たのだ。予想では既に連邦兵やテロリストが待機しているとティアナ達は思っていたし、事実待機している。が、何を思ったのか白き一角獣の少女が猛スピードで突っ込んでくるではないか。
思いも寄らない方法での突入と、思いも寄らない事態に流石の兵士達も呆気を取られ動く事ができない。
そしてそれが決定的な命取りになる。既にスバルは拳を振り上げ、魔力スフィアが眼前に出現していた。
そこから放たれるのはスバルのとっておき。
「ディバィィィン……バスタ―――ッ!!」
空色の魔力が奔流となって突き抜け、轟音が響き渡る。一撃必倒ディバインバスター。どこまでも突き抜ける意思の体現化はどこの世界でも変わる事が無かった。そしてそこに立ち塞がるモノは何であっても吹き飛ばす。今回はそれが屋上の入り口であり、そこに待ち構えていた兵士であったというだけだ。
「……よしっ! あいたぁ!」
「よしっ! じゃない! 何考えてんのアンタは!」
せっかくキメポーズまで取っていたスバルの脳天に、ティアナの垂直脳天チョップが叩き降ろされた。
スバルとすれば相手が待ち構えているのは当然なのだから、ここで時間を食うより一気に突破してしまった方が楽だと思ったのだが。しかしティアナは勝気な瞳を更に吊り上げて、うずくまるスバルを見降ろしている。
「あんたねぇ! 確かに待ち伏せはあったけど、フェイクシルエットで上手く誤魔化せば良い話でしょう! こっちから無駄に大騒ぎしてどーすんのよ!? それでレンさんに何かあったら元も子もないでしょ!!」
「……あ」
サーッとスバルの顔が青くなっていく。つい調子に乗ってしまったと思った時にはもう遅い。もう砲撃はぶっ放してしまった。こっちにも強力な力があると知られてしまった。この突入で警戒されるのは百も承知だが、更に警戒レベルを上げてしまった。
「あ、ご、ごめんティア!!」
「ったく、まぁしょうがないわ。どの道バレるのが早まったと思う事にしましょ。ここからは予定通りにキャロは探査魔法でレンさんとゼノンさんの位置を特定。エリオはフリードと一緒にキャロの護衛。露払いはあたしとスバルでやるわよ!」
とにかくやってしまった物はしょうがない。警戒レベルが上がるのは頂けないがまだ想定の範囲内だ。
だからプランに変更は無い。当初の予定通りレンとゼノンの救出を最優先する事にする。
泣きそうな顔のスバルの肩を叩き、ティアナは頷いた。まだ大丈夫。目でそう語るティアナにスバルも気を引き締め直す。この切り替えの早さもまたスバルの長所。彼女が立ち直った事を確認し、四人と一匹は崩れた屋上入り口から階段へ身を躍らせていく。
◆
「くっそ! 無茶苦茶も良い所だ!」
『だが事実、彼女達は基地まで辿り着いた。お前達は突破されたんだよ』
思わずついた悪態が漏れていたらしい。エンネアはちっと舌打ちを鳴らした。
気にする事は無い。どんな事を言われても彼女を止めていたエルフリーデのギャン改は虫の息。自分が手を下さなくても、残りの地上部隊がトドメをさすだろう。ならばここを離脱し、基地の援護に行かなければならないと急ぎ踵を返した。
だが事はそう簡単には運ばない。動こうとした矢先、上空から降り注ぐビームの雨に足が止められる。
アラーム音と共にビリーのファイバーが迫っていた。拡散ビームをまき散らしながらシナンジュに向けて一直線。
その意味する所にエンネアの顔が青冷める。逃げようにも周りは拡散ビームの檻。最後の抵抗とばかりに既に装填していたロケットバズーカがファイバーの左バインダーを直撃し爆発するも、それは本当に文字通り最後の抵抗に過ぎなかった。加速のついたファイバーは止められない。
「XLサイズモビルスーツの弾丸だ! 遠慮しないで持ってけぇっ!!」
ロング・ブレード・ライフルを横一文字に構え、ビリーが叫ぶ。遂にファイバーがシナンジュを捕えた。
加速と重量によってビリーの言う通りの弾丸となったファイバーの体当たりは、いくらシナンジュでも支え切れるものではない。地面を削り、砂埃を上げながらシナンジュが押されていく。そしてその勢いに負けたシナンジュが弾き飛ばされた。何度も何度も地面を転がり、ついぞそのまま起き上がる事は無い。
形を保っているだけまだ良いだろう。盾は砕け、装甲は剥がれ落ちている。しかし内部の機関はグシャグシャになっているに違いない。とてもではないが自力で起き上がるのは不可能。
ただしそれはファイバーもまた同じだ。バインダーを失った事で機体のバランスは大きく崩れ、地面に叩きつけられていたのである。ロング・ブレード・ライフルは根元から折れ、シナンジュと同じ様に動く様子が無い。
その姿にエルフリーデは必死にビリーを呼びかけた。まさか捨て身の特攻をするとは露にも思っていなかったのだ。まして自分の勢いで地面に叩きつけられる様を見せられれば必死にもなる。
『おい! ビリー! 返事をしろ! おいっ!!』
『……ンだよ。ったく……、うるせぇなぁ……』
それは何度目の呼びかけだったろうか。通信越しに聞こえてきた声にエルフリーデの顔に安堵が浮かぶ。
そしてファイバーのバインダーが取り外され、ゆっくりとコアユニットであるギャプランTR-5が起き上がり、ゆっくりとギャン改に向かって歩いてくる。
『貴様、動けるのか?』
『あ~? まぁなんとかって所と言いたいが、正直頭がガンガンする。実は結構ヤバい』
あの衝撃を直にビリーも受けたのだ。それは当然だろう。しかしそれでもビリーはギャプランをギャン改まで近づけ、コックピットを開いた。エルフリーデもコックピットを開き、二人は直に向き合う。
お互いボロボロだ。ヘルメットのバイザーは砕けてもう意味を成していないし、体も五体満足なのが奇跡にも思える。そんな状態で手招きするビリーの意図を察し、エルフリーデはギャプランへ乗り移った。
ギャン改はもう動けない。かと言ってこのままでは敵の良い的だ。名残惜しいが、機体を捨てて行くしかないのである。
「操縦はできるな?」
「任せろ。それくらいはできる」
「んじゃあ、俺はお前の感触を膝で味わうとしますかね……」
「っ!! 貴様という奴はこの期に及んで!!」
ビリーがそんな事を言うのもある意味仕方ない。何せエルフリーデはビリーの膝の上に座って、体を密着させている状態だ。だがもう少し空気を読めと振り返ろうとした彼女だったが、聞こえてきた寝息に怒りも急速に萎えていく。
ビリーはこの戦いの先陣を切り、今までずっと制空権を取っていたのだ。疲労はピークに達した上でのあの特攻。緊張の糸が切れてしまっても当然だった。
「……これは貸しだからな!」
ならばエルフリーデが今すべきはこの男と無事に母艦へ帰ること。こんな所で詰めを誤るわけにはいかない。そうと決まれば急がねば。彼女はギャプランを変形させ、空に飛び出す。遠くにまだ戦っているクレアとレイチェル。そしてエリスの姿が見えた。彼女達を残して離脱するのは忍びない。しかし彼女は彼女達が無事に帰って来る事を信じて、ギャプランを母艦へと飛ばしたのだった。
◆
『参った。参りましたよ。ミネルバが帰還していた事もそうですが、あんな方法で基地に突入してくるなんておもしろいですねぇ。いやぁ完敗完敗』
巨大ヒートホーク、デッドエンドGヒートホークを肩に担いだスーパーカスタムザクF2000からニューロ・レンの笑い声が聞こえてくる。実際彼にとってみれば笑うしかないのだ。エンネア達から聞いた限り、あちらの世界にミネルバはいない。記録にそれらしきものがあったらしいが、それももう何年も前の事だ。
落ちる時代に誤差でも生じたのだろう。てっきりそこから無理にワープでもして、次元の狭間に囚われていたものと思っていた。それがなんの前触れもなくこの戦域に姿を見せたのだ。
これを笑わずしてなんとする。
『こんな隠し玉があるなんて、貴方達も人が悪い』
『少しでも貴方達のそんな言葉が聞けるなら、少しは報われるというものね』
『かもしれません。で、どうします? これ以上続けると言うのなら、これ以上完膚無きまでに貴方を叩き潰しますが? 実力差は分かったでしょう?』
ニューロ・レンの見上げる先には宙に浮いて距離を取るF91の姿がある。殆ど無傷のザクに比べて、その損傷は酷い物だ。片足はもがれ、ヴェスバーも一つ失っている。辛うじて大破は免れているが、純白のガンダムの面影はどこにも見当たらなくなっていた。
『……悔しいけど、嫌という程その実力差を感じているわ』
率直に、素直なエリスの感想だ。空を飛べないあのザクに対し、戦況を有利にする為に空を飛んだのではない。エリスは空に追いやられたのだ。そこが唯一の逃げ場だったから。
地上戦、スーパーカスタムザクF2000の猛攻に彼女は防戦一方でしかなかった。ライフルは装甲に弾かれ、ヴェスバーですらあの機体は耐える。ならばと接近戦を仕掛けようにもあのヒートホークは凶器そのもの。荒れ狂う嵐の様に振られては近づくこともままならない。更にミサイルとマシンガンによって動きは制限され、次第に力を奪われていく。結果、空に逃げることしかできなかった。ここが地上だからまだ逃げる事ができた。宇宙だったら勝敗はどうなっていただろう。ゾクリ、体が震えあがる。
『無謀に突っ込んでこない辺りまだ落ち着いてますね。しかし勿体ない。その機体に乗っていながら貴方はまだ認められていないんですね』
『くっ!』
ニューロ・レン。彼女にとってはマフティーの言葉が胸に突き刺さる。
何を言いたいかは百も承知だ。F91にはまだ奥の手がある。だがそれは機体に搭載されたバイオコンピューターが認めたパイロットのみが使う事を許されるもの。今のエリスではまだそれが許されていない。
何も彼女だけに限った話ではなかった。かつてF91に搭乗した誰もがブチ当たった壁。そして誰もがこの機体から降りた。未だこの世界でF91に選ばれたパイロットはいないのである。
それを彼は「勿体ない」と言ったのだ。
『それならこれでお開きですね。僕は一刻も早く基地に戻らなければならないので。大佐の事ですからコーヒーでも飲みながら待っているんですよ。……次はそのガンダムの性能をフルに発揮してくれる事を願っていますよ』
ザクが振り返り去って行く姿をエリスは見ている事しかできなかった。F91が構えたビームライフル。
そのトリガーにエリスの指がかかっていたというのに。
「っ!!」
後に残ったのは計器に拳を叩きつけ、悔し涙を流すエリスだけだった。
2
ティアナ達は廊下を走り回っていた。キャロが探査魔法を精一杯広げてレンとゼノンの反応を探しているがまだ見つかっていない。流石に基地全域とまではいかないのだ。ならば反応があるまでとにかく足で稼ぐしかない。
だが基地内にはまだ兵士が残っている。探査魔法のおかげで彼らの足取りも分かるのが救いだが、相手も馬鹿ではない。互いに連絡を取り合い確実に包囲網は狭まってきていた。
「駄目です! この先にも反応があり! このままだと囲まれちゃいます!」
「オーケー。ならもう道は強行突破しかないってわけね。キャロはそのまま探査を続けてちょうだい。エリオ、何回も言うけどキャロの事頼むわよ。スバル、覚悟は良い?」
「もちろん!」
「んじゃ、この曲がり角で仕掛けるわよ!」
キャロの探査魔法だとエンカウントはこの曲がり角。こっちのアドバンテージは相手がそこにいると分かっている事だ。鉢合わせになった瞬間、速攻で勝負を決める事が何よりも重要だ。
スバルが先行し角を曲がる。目に入ってきたのはぎょっとした顔の兵士数人。銃を構えさせる暇なく、空色の稲妻が走った。
「……は?」
誰かが呆けた声を出す。目の前で起こった事が信じられず、夢なのではないかと疑ってしまう。
仲間がありえない速度で遥か後方まで飛んでいったのだ。大人の男が弾丸の様に。爆薬を使った訳でもない。投げ飛ばされた訳でもない。それを成したのはたった一人の少女の拳。どこにでもいそうな少女の一振りの拳で少女が大人の男を殴り飛ばしたのだ。
常識が音を立てて崩れていく。彼女は何だ。何が起こった。
目の前の事に思考が追いつかない時、人は全ての動作を止めてしまうもの。しかし彼らも素人では無い。思考が追いつかなくても反射的に体が動くこともある。
そして正に今、兵士達はそれに相応しく無意識に引き金を引こうとしていた。
だが仲間を殴り飛ばした少女の背後から、別の少女が飛び出す。天井にアンカーを撃ち出し、自分達の頭上へしなやかに飛び出してくる。何が起こっているのかは分からない。それでも兵士達は銃の引き金を引いていた。しかし当たらない。何かが少女を守り、その体まで弾丸が辿りつかない。
「ESP!?」
「ノン。Magicよ」
上下逆さまに向かい合う兵士と少女。兵士は地面に立ち、少女は宙返り。向け合うのは互いに銃口。
太陽の光をたっぷり吸いこんだかの様な鮮やかなオレンジの髪が風になびいている。その姿に魅了され、引き金を引く指も止まってしまう。
太陽の光を垣間見た。しかしその後に待っていたのは意識の喪失という闇の底。
着地後、意識を失った兵士を見降ろしてティアナは安堵の溜息をついた。体に倦怠感が一気に押し寄せる。一見涼しい顔をしていても、殺傷能力のある実弾と正面からやりあえば体力も精神も大幅に削られるのを身を持って実感してしまう。
時間はかけられない。時間をかければかけるほど包囲網は狭まる。体力と精神が削られていく。レンとゼノンの危険が高まっていく。大丈夫。まだ思考回路は正常だ。
「急ぐわよ。外だってそろそろ限界が近い。あたし達が時間をかければかけるほど状況は悪くなってくわ」
焦る気持ちを必死で抑えながらティアナは三人と一匹に振り返った。何度も襲ってくる爆音と揺れ。外での戦いも終盤戦に入っているだろう。そして再び駆けだそうとした時だった。
「いいや、これ以上君達が基地内を走り回る事は無い」
正面から声が響いた。さっと各々のデバイス達を構える。
しかしそれにも慌てる様子もなく、靴音は規則正しい音を立ててこちらに近づいてきた。この世界において魔法というアドバンテージを得ているティアナ達の方がその靴音によって追い詰められている気分だ。
廊下の先の曲がり角。姿を見せたのは銀髪眼帯に男物の連邦制服を着た少女。彼女は驚くティアナ達に笑いかけると、クルリと背を向けた。
「私の名前はペンデ。レン殿とゼノン殿を探しているのだろう? ついて来なさい。案内してあげよう」
「……素直に従うと思ってるの? 貴方が誰かは知らないけれど、私達を簡単に案内する理由が無いわ」
「探査魔法で見つけられなくて困っているのだろう?」
「!!」
ペンデの発した言葉に場が凍りつく。彼女は肩越しから目を細めた。
「当然さ。彼らがいる部屋は我々によってジャミングがかけられている。故に探査魔法では感知する事ができない。と言っても、信じる信じないは君達次第だがね。無理強いはしないが、無駄に走りまわって見つけられないのもお笑い草。ここは罠かもしれない相手の手に乗ってみるというのも一興ではないかね?」
<ティア……>
<分かってる>
スバルが念話で語りかけてくる。ティアナもそれに答えながら頭をフル回転させていた。確かにこれだけ走りまわっても見つけられないのはおかしい。キャロの探査魔法有効範囲からしても、そろそろ何かしらの反応があっても良い頃会いなのだ。しかし反応は無い。既に移動された? あのゼノンの偽物が嘘の情報を握らせた? 可能性としてはある。レンを餌として別の場所に自分達を誘いこむという事だ。
しかし……。
「早く決断したまえ。もう時間は残り少ないぞ」
「……分かったわ。今はあんたに従う。案内をお願いします」
「懸命な判断だ。来たまえ」
虎穴に入らずんば虎児を得ず。ティアナの判断はスバル達も反対する理由が無い。
ここでペンデを信じる事は大きなリスクだが、もしも彼女が本当の事を言っていればリターンは大きい。
既に歩きだしたペンデを追い、ティアナ達もその後を追い始めた。
入り組んだ迷路の様な基地の内部。途中からその内装が無機質なものから、生活感溢れるものへと変わっていく様にティアナ達は目をきょろきょろと見渡すばかり。そんな中でスバルがペンデに尋ねる。
「レン兄とゼノンさんは無事なんですか?」
「気になるか?」
「当然です! ゼノンさんにはお世話になってるし、レン兄はあたしのお兄ちゃん……っていうか、あたし達全員のお兄ちゃんで、大事な先輩なんですから!」
「そうか……。ならば少し覚悟をしておいた方が良い」
「え?」
聞き返すもそれ以上ペンデは何も語ろうとはしなかった。嫌な予感がスバル達に流れる。
そして辿り着いた扉の前。ペンデが四人と一匹に振り返った。
「ここにレン殿とゼノン殿がいる。だがその前に約束をして欲しい。ここから先、何があってもそれを現実として受け止める事。希望を捨てない事。良いかい?」
意味が分からない。顔を見合わせる四人だったが、ここでそれを拒否する理由は無かった。それに扉の前に立つペンデはティアナ達がそれを了承しない限りそこから動くつもりが無いらしい。
迷う四人。しかしもう迷っている時間は無い。ティアナが一歩前に出てペンデを正面から見据えた。
「約束します」
「二言は無いな?」
ペンデが確認する。ティアナは頷いた。
「はい」
「ならば扉を開けよう。そして君達の目で現実を確認したまえ」
ギィィ、と音を立てて扉が開かれ、ゆっくりと世界が広がる。四人がゆっくりと一歩を踏み出す。
そして部屋の中の光景を視界に収めたその瞬間だった。
「……何をしている?」
「聞きたいのはこちらの方ですペンデさん。これは一体どういう事ですか?」
「どう、とはどの事を指すのかな?」
「全て、ですよ」
そう言ったティアナの手にはクロスミラージュ。銃口はペンデのこめかみに押し付けられていた。
ティアナだけではない。スバルも、エリオも、キャロもとっさに体が動いていた。
スバルのリボルバーナックルはエクスィの眼前に。エリオのストラーダはドデカの首筋に。キャロから離れたフリードがオクトに向けて牙を剥いている。
「レンさんに何をしたんですか?」
尋ねるティアナの声は絶対零度の冷たさ。もしもの時は容赦なく引き金を引く事だろう。
ペンデもそれは重々承知。エクスィもドデカもオクトも、自分達に向けられた敵意に対し、驚いた様子は無い。全ては予測の範囲内だから。自分達を見た彼女達が、何よりも今のレンを見た彼女達がこんな行動を起こすのは至極当然だと分かっていたから。
「……銃を下ろしなさいティアナちゃん。みんなもだ」
「ゼノンさん! でも!」
「良いからここは儂の顔に免じて退いてくれないか。君達と彼女達の間に起こった事は聞いたよ。だが、儂とレンをここで助けてくれていたのは紛れもなく彼女達だ。儂は彼女達に恩がある。だからここは黙って退いてくれるとありがたい」
その様子をゼノンがゆっくりと諌める。しかしティアナ達としては納得がいかないのが本音。ゼノンもそれが分かっているのか、それ以上は何も言わなかった。しばし四人の視線がゼノンに集まる。が、一人。また一人と各々の手が退かれ、ゼノンはほっと大きな息を吐きだした。
「レン兄! しっかりしてよレン兄!! 一体どうしちゃったの!?」
手を退けるや、スバルが椅子に座ったままのレンを呼びかける。エリオが、キャロが駆け寄り、フリードがレンの頭の上に乗る。そしてティアナもようやくレンの傍に行く事ができた。
しかしその顔は再会を喜ぶものではない。目の前に起こっている事を受け入れられない悲痛の顔。
ペンデの言っていた事はこういう事かと今更理解した。何があってもそれを現実として受け止める事と、その覚悟。だがこんなの簡単に受け止められるものか。
椅子に座ったレンの瞳に光は無い。
それどころかまるで人形だ。一切の感情を出す事も無く、ただただ息をするだけの人形。
人から何か抜け落ちた抜け殻が目の前にいるという現実なんて。
「……一体何があったか説明してくれませんか? 戦闘機人ナンバーズのディードさん。それともセイン、オットー。貴方達のどちらかが説明してくれるのかしら?」
ティアナの鋭く厳しい視線がペンデ、エクスィ、オクトに向けられる。怒りを必死に抑えこんだ視線はそれだけで心臓を射抜かんとするほど。しかし三人は鎮痛の面持ちで目を伏せるばかり。
「私が説明しよう」
「ペンデさん……。初対面だけど貴方も戦闘機人なんでしょ? 正確にはそのアバター。貴方を含め、ここにいる戦闘機人は全てジェイル・スカリエッティがジェネレーションシステムに送りこんだプログラムで間違いない、ですね?」
「さすがというか、まさかアバターの事を知っているとは思わなかったな」
一瞬面食らったか顔をしたペンデだったが、すぐにそれも消え去る。そしてまずはティアナ達に一礼をした。
「まずは始めまして。私の本当の名はチンク。戦闘機人ナンバーズのNo.5にして彼女達の姉。正確には君の言う通り私達は父、ジェイル・スカリエッティがこの世界に送りこんだアバターというプログラムだ。地上本部と六課襲撃の際は妹達が随分と世話になったようだね」
「正直会いたくなかった、知りたくなかったというのが本音ですよ。っていうか、今はレンさんです」
「……正確な事は私達にも分からない。言えるのは彼の心が壊れてしまったという事だけだ」
「答えになってない!!」
ティアナよりも早くスバルが声を上げる。レンの手を握りしめ、スバルは滅多に見せる事の無い本気の怒りをペンデ。いや、チンクにぶつける。
「なんで!? なんでレン兄の心が壊れなきゃなんないの!? そもそも何でレン兄ばっかりこんな目にあわなきゃなんないのさ!! 世界の為に戦って、ミッドに飛ばされて、やっと帰って来れて、セリカさんにも会えたのに……。あたし達を守って、こんな所に連れて来られて、何でレン兄の心が壊されなきゃなんないの!? 分かんない。ホント全然分かんないよ! もっと納得できる説明をしてよ!!」
幼い頃からレンを知っているスバルだから。彼がどんなにこの世界に帰って来たかったを知っているスバルだからこそ彼女は現実を受け入れられない。ずっと溜めこんでいた感情が爆発している。あまりの仕打ちに彼女は自分の事のように悔し涙を流していた。
外の戦闘の音も今は小さく、スバルの彼女の嗚咽が大きく部屋に響く。ティアナもキャロも心の中の何かがぽっきりと折れてしまった事を自分で感じていた。言葉も出ない。足も、手も動かない。
何をどうして良いかさっぱり分からない。
しかしその中で、たった一人だけ顔を上げている人物がいる。
彼は無言でレンに歩み寄ると、自分の背にレンを担ぎだしたのだ。その行動に誰もが目を見張る。 エリオの体はまだ小さい。対してレンは立派な成人だ。エリオがレンを担ぐには無理がある。けれどエリオは多少ふらついたもののしっかりと床を踏み締め、前を向いた。
「皆さん、ペンデ……チンクさんが僕らに言った事を思い出して下さい。僕らはあの人に約束したはずです。何があっても現実として受け止め、希望を捨てない事を。レンさんの心が壊れた。信じられないけど現実なんです。でも僕はレンさんを信じます。この人はこれで終わる人じゃない。きっと僕らの所に帰って来てくれる。そう希望を持ちましょう。その為にも僕らは僕らのすべき事を全力でやらなくちゃ」
ゆっくり一歩、また一歩と進んでいく。最初にキャロが続いた。ティアナも続いた。そしてスバルが最後に続いた。四人でレンを押さえ、部屋を出て行こうとする。
チンクがゼノンに目を向けた。彼はそれに頷くと、今度は彼自身が四人に歩み寄りひょいとレンを自分で抱え上げる。それに目をぱちぱちとさせ、きょとんとしている四人にゼノンは片目を瞑って見せた。
「儂がレンを引き受けよう。この中じゃ儂が一番逃げるのに役立たずだからな。せめてレンを守るくらいさせてくれ」
「……分かりました。レンさんをお願いします」
「うむ。承知した」
ティアナにそう返事をしてからゼノンは一度振り返る。そこにはもう名前を偽る必要のなくなったチンク、セイン、オットー、ディードの四人が並んでいた。彼女達には良くしてもらった。だがここでお別れだ。今までの感謝の気持ちを込めてゼノンが礼をする。四人はそれを笑顔で見送ろうとしていた。
「ところがね、事はそう簡単に運ぶ物じゃあないんですよ」
突然扉が開く。ティアナ達はそれにすぐに反応、各々のデバイスを手に取る。
扉の向こうにはあの蛇の様な目をした男、連邦の裏切り者である大佐が多くの兵と共に立っていた。
「いやはやペンデ殿。足止め御苦労様です。おかげでこうして一網打尽にする準備が整いましたよ」
「た、大佐! 何を言っているんだ!? 私はそんなことした覚えはないぞ!」
大佐の言葉にチンクが全力で反論する。だが振り返ったティアナ達の目は一気に疑いの物へと変わっていた。そして大佐はこれは困ったと大袈裟に肩を竦めてみせた。
「おやおや、もう演技なんてしなくて良いんですよ? 全ては打ち合わせ通りじゃないですか。突入してくる者達がいれば貴方達がレン・アマミヤとゼノン中将の所へその者達を案内する。その間に私達が包囲網を整える。そういうシナリオでしょ?」
「嘘だ! 私達はそんなつもりで彼女達をここへ呼んだんじゃない!! 私達はただレン殿とゼノン殿を彼女達に引き合わせたかった。それだけだ!」
「だからもうそんな演技はしなくて良いんですって。もう化けの皮は剥がれているんですから」
いっこうに話にならない。チンクは唇をこれでもかと噛んだ。
甘かった。もう何を言ってもティアナ達には届かないだろう。元々敵対していた両者が故に、大佐の言葉は疑心となってティアナ達の心に深く食い込んでいく。言葉だけではティアナ達の疑心を取り除く事はできないだろう。
全て大佐の思い描いたシナリオだと言うのか。まんまと踊らされた自分が悔しくて仕方ない。
何か打つ手はないのか。思案するチンクだったが、状況はなおも悪い方向へ転がり始める。
大佐の奥から姿を見せた少年と少女が二人。少年の姿にティアナ達は目を見開き、少女達の姿にチンク達の体がビクリと震える。
「レ、レン兄……?」
「ノーヴェ、ウェンディ……」
そこに現れたのはマフティーことニューロ・レン。そしてその傍らにはエンネアとエンデカ。
「あれ~? もう名前隠さなくて良いッスか~?」
「チンク姉達が本名晒しちまったんだ。あたし達までそれに付き合う必要ねぇだろ」
「それもそうッスね~。しっかしノーヴェよくあれで生きてたッスよね? XLサイズの体当たり。シナンジュぼろぼろになってたじゃないッスか?」
「安全装置が働いたからな。まったく肝を冷やしたっつーの。お前こそあの緑、放っておいて良かったのか?」
「決着はちゃんとつけたかったんスけどね。こっちが優先ッス」
「君達、ほんっとマイペースだよね? 話、進めて良い?」
勝手に話している彼女達に、ニューロ・レンが頭を抱えている。しかし気を取り直したのか、ニューロ・レンは改めてティアナ達に視線を向ける。当の本人達はすっかり青くなり、何度もレンとニューロ・レンを見比べていた。
「はじめまして。僕が誰なのか気になっているんですよね? その様子だとチンクは僕の事を話していないようだから自己紹介といきましょう。僕はそこで抜け殻になってるレン・アマミヤをオリジナルにして生みだされたニューロ。ニューロ・レンと呼んで下さい。あ、マフティーでも良いですよ。でね、会った早々で悪いんだけど……」
スッとニューロ・レンが手をかざす。後ろの兵士達が一斉に銃を構えた。
「大人しく捕まってくれないかな?」
ここだ!
刹那のタイミングでチンクの周りに出現したナイフの群れと一斉照射。
ティアナ達とニューロ・レン達を切り離すようにナイフが床に、壁に次々と突き刺さる。
驚く暇も考える暇も与えない。チンクの指がパチンと音を立てた。
一斉に光に包まれるナイフの群れ。
ノーヴェとウェンディがニューロ・レンを引っ張り、大佐が素早く兵士の群れの中に身を隠す。
大爆発が部屋の中に巻き起こった。