1
あ、これはマズイ。絶対マズイ。何がマズイってあれ、0ガンダムの形をした何かじゃん!!
召喚魔法陣から姿を見せた0ガンダムを見たレヴィの素直な感想である。
ブラッドとの戦闘を続けながら目に入って来た異質な何か。それの危険性を本能で察知した彼女はくるりと踵を返す。が、そうは問屋が卸さんよとブラッドが回りこむ。ブラッドとの戦いが中断されるのはレヴィも悔しいが、今はそれどころではない。
「退いてよ! あれ、絶対ヤバイ奴でしょ!? ボクは行って皆を守らなきゃ!」
「あいつらを守る? お前にとってそんなにあいつらが大事なのかよ!?」
「大事だよ! ブラッドにした事は許せないけど、そんな人達だらけじゃないって事くらいブラッドだって分かってるでしょ! なんで分かってくれないのさ!」
交わされる刃と交差する瞳。ルビーの瞳がブラッドを見据えて離さない。
ちっ。
小さな舌打ちと共にブラッドが身を引いた。いつもの仏頂面で、本当に嫌そうにレヴィから顔を背けて、ブラッドは大剣を収める。彼もあの0ガンダムの異質さには気付いていた、というより知っている。だがそれに対し、良い印象を持っていない事も確か。あんな物、モビルスーツでも何でもない。それを止めに行こうとするレヴィも止めたい所だが……。ブラッドは溜息を吐きだした。どうやら根負けだ。
「……確かにお前の言う通りあれはヤバイ。0ガンダムのナリをしちゃいるが、中身は別モンだ。お前のビギニングでも抑えられるとは限らねぇぞ。ま、それでもお前は行くんだろうけどな」
「行くよ。行かなきゃなんない。で、でね。できればブラッドにも助けてほしいな~、なんて……」
少しもじもじしながら上目で見てくるレヴィに、ブラッドは息を詰まらせた。狙ってやってるのか、ただの天然なのか。どちらにしても性質が悪い。レヴィの事だから後者なのだろうが、ブラッドには効果てきめんだ! 無自覚って怖い!!
そんな彼女にブラッドは黙って0ガンダムを指さす。既に0ガンダムは銃を構え始めていた。最早一刻の猶予もままならないだろう。ブラッドへのお願いという名の説得を諦めレヴィは飛び出した。飛びながらバルフィニカスをフルドライブへ。雷が走り、重なる様にビギニング30が姿を現す。
コックピットシートに座りレヴィは愛機を更にフルスロットル。0ガンダムの狙いははやて達だ。今から直接迎撃に向かっても間に合わない。となればレヴィにできる選択肢は一つしかなかった。
「ifsユニット最大展開!」
アースラやはやて達の前に立ちはだかるビギニング30。はやて達が何か言っているのが聞こえたが、レヴィはそれを敢えて聞かない事にした。今は集中したい。魔力も最大限に使って、ifsユニットに重ね合わせる。そして0ガンダムが遂にトリガーを引いた。
迫りくる光の奔流。レヴィは真正面から何層にも重なったifsユニットでそれを受ける。かつてあちらの世界でジェネシスが現れた時の事をレヴィは再現しようとしていた。ifsユニットはそれぞれがiフィールドを発する。あの時ニキ達が使ったバリアフィールド。あれが何層にも重なったiフィールドの力を使った防御フィールドならば、小規模ながらでも再現できるはずだと思ったからだ。
だが0ガンダムの一撃はレヴィの予想を遥かに上回る出力を持っていた。それでもとレヴィはありったけの魔力をビギニング30に注ぎ込む。今度はレンがハルファスを生まれ変わらせた時の要領だ。魔力量だったらレンに負けない自信がある。つーか、むしろボクの方が魔力量多いし! と自分を鼓舞してレヴィは魔力を放出し続ける。
だが現実は非情なもの。ifsユニットが遂に砕けた。小規模ながらバリアフィールドを生みだしていたとはいえ、遂に限界が訪れたのである。だがレヴィは諦めない。ビギニングの両手を広げ、魔力のみで光を受け止める。
恐怖は無かった。何故なら予感があったからだ。
きっと彼は来てくれる。なんだかんだ言いながら彼はいつも自分を助けてくれるもの。
『あーくそっ!! やっぱ見てらんねぇ!!』
ほらね。
コックピット内に響く声にレヴィはにっこりと微笑んだ。
紅に輝く機体が飛来する。トランザムを起動させたブラッドのガンダムアストレアタイプF2だ。右腕のプロトGNソードにトランザムによって一気に解放されたGN粒子が集中する。本来アストレアはツインドライヴではない為ダブルオーライザーやクアンタの様に爆発的なGN粒子を引き出せないが、このアストレアなら話は別だ。
「ニュージェネレーションメモリー!! 俺に力を寄越しやがれぇぇぇぇっ!!」
アストレアのGNドライヴが唸りを上げる。真紅に輝くアストレアが今度は真紅に“燃え上がる”。
ニュージェネレーションメモリー。それがこのアストレアに組み込んだ。いや、ブラッド自身に組み込まれた切り札。
プロトGNソードからまるでライザーソードの様に光の剣が伸びた。
それを一気に光の奔流に叩きつける。光と光がぶつかり、眩い光が空に満ちる。
勝ったのはブラッド。横から入り込んだ光の剣が砲撃を切り裂いた。
「あ、はは……。やっぱりブラッドは凄いや……。ボクね、そんなブラッドの事、ホントは大好きなんだよ?」
目の前の光が消えていく中、レヴィは誰にも聞こえないようにそっと呟く。
こんなの聞かれたくない。だって聞かれたら恥ずかしいから。
ビギニング30は最早スクラップ寸前だった。装甲は砕け、四肢も無い。戦闘は勿論できそうにもない。
光が機体を包む。溶けるように消えていくビギニング30からレヴィが姿を現し、ふっと全身から力が抜けた。もう飛ぶ程の魔力も残っていなかったのだろう。だが、その体をそっとアストレアが受け止める。
「ったく。相変わらず無茶ばっかしやがる女だ」
「だってそれがボクってもんでしょ?」
宙に浮いたままのアストレア。コックピットから出てきたブラッドがそれこそ飛ぶようにレヴィに駆け寄る。悪態をつきながらもどこか嬉しそうな彼に抱き起こされ、やっぱりレヴィは笑った。
「どうするの? このままボクを連れていっちゃうの?」
「あぁん? お前、ここでそれ聞くか? ……いくらなんでもそれは無理だろ」
顔を上げたブラッドの頬が引きつる。それもそのはず。高町なのは、フェイト・T・ハラオウン、八神はやて、ヴィータの四人に彼は囲まれていたのだ。ゆっくりとレヴィを降ろすブラッド。その体をバインドが拘束する。自由が奪われた瞬間、ブラッドの全身を衝撃が突き抜けた。スタン系の魔法がかけられたのだろう。如何ともし難い痺れが走り、自分の体を支える事の出来なくなったブラッドが倒れ込む。
薄れていく意識の中、レヴィが何か言っているのが聞こえた。しかし指一本動かせないこの状況でブラッドができる事は何も無く、あるのは当然こうなるよなという一種の諦めだけだった。
◆
0ガンダムの一撃は防がれ、ブラッドが堕ちた。彼の脱落はこの上無く痛いが仕方ない。邪魔に入った時点でこうなる事は彼だって予想できただろう。自業自得と言わざるを得ない。しかしまだ0ガンダムは健在。所詮一撃を防いだに過ぎない。計画にまだ支障は無い。
「皆、ブラッド君が堕ちたよ。今しがた管理局に拘束された所さ。と言ってもあの力のマテリアルの少女を守ろうとした結果なんだけどね」
スカリエッティの周辺に展開する空間ディスプレイ。そこに映っていたのはキールとゾディアック。そしてティーダ・ランスターの顔。皆、呆れていたり、苦笑していたりと様々だ。
「戦力不足は否めないが、私は計画を止めないよ。という訳で状況を確認しておきたい。ティーダ君。君の方はどうだい?」
『こっちはゼストの旦那と現場に到着。地上本部に再度侵入しているよ』
「なるほど。その様子だと目的の一つ目は達成できたようだね。ホント、君達には特別に許可を出したんだ。心残りがないようにとゼストに伝えておくれ」
『了解だ』
「キール君とゾディ君の方はどうだい?」
『こちらも予定通り。ポイントの確保は終了しています。時空管理局の一団と遭遇しましたが……、まぁお引き取り願いましたよ』
そう言ってゾディアックが肩を竦める。ま、質量兵器を持たない船団なんて勝負になりませんけどね。と一言付け加えて。
「ゆりかごが動いた事で次元航行部隊が出張ってきたんだ。さすがに情報が早い。ゆりかごが月の周回軌道に乗ればおいそれと手出しはできなくなるからその前にケリをつけたかったんだろうが、相手が悪かったな。宇宙にはキールとゾディが行っている。ゾディの言う通り、質量兵器の無い船団じゃ話にならない」
「シュテル君。ラナロウ君の説明に補足だ。次元航行部隊にはきっとアルカンシェルクラスの砲台が装備されていたに違いない。君達のモビルスーツを除けば、管理局が保有する最大戦力だろうよ。しかし如何せん大型砲台だ。モビルスーツの敵ではない」
どういう事だと言いたげなシュテルの視線に答えたラナロウに、スカリエッティが続けた。これくらいの情報など洩れても構わないというのだろう。ここが聖王のゆりかごという場所である事はルーテシアから聞いていたが、月の周回軌道に乗れば手出しが難しくなるとはどういう事なのかがシュテルにはさっぱり分からない。そしてそれ以上に次元航行部隊が撤退したという事に顔が青くなる。きっとそこにはクロノもいた筈。有能な彼の事だからきっと先陣を切り、部隊を指揮していたに違いない。今はとにかく彼が無事である事を願うのみだ。
『スカリエッティ。とにかく俺達は仕事をこなしたぞ。お前もいつまで遊んでないで、さっさとこっちに来い。これ以上アミタをお前の道具にするなら俺がお前を撃つぞ』
「怖いなぁキール君。まぁもう少しだよ。まだ彼女の意識がうまくゆりかごにリンクしていなくてね。アメリアスが最終調整を行っているはずだから、もう少しでそちらに行けると思うよ。それに後方の憂いは断っておかなきゃ。あの機動六課を中心にした部隊は何かと目障りでね。0ガンダムまで出したんだし、ここで潰しておくに限ると思うんだよ」
キールの苦言に浮かぶはスカリエッティの歪んだ笑い。負けない自信があるのだろう。0ガンダムの力は証明された。ビギニング30を失った機動六課には第二射を防ぐ手立てはない。それはこうしてここで悠長に長話をしている事からも汲み取れる。ドッゴーラ以上の抑止力として0ガンダムがいる限り、はやて達もおいそれと踏み込む事ができないのだ。
『……スカリエッティ。悪い事は言わないから、アメリアスを急がせた方が良い。策士、策に溺れるという言葉もある。取り返しのつかないことになっても俺は知らないからな』
「忠告、感謝するよ」
そんなスカリエッティにキールはその言葉を残して画面を閉じた。他の仲間達も次々と画面を消していく。再び甲板はシュテル達だけになった。
そして彼はシュテルを一瞥した後、再び0ガンダムに指示を下したのだった。
◆
再び動き出した0ガンダムにアースラのブリッジでどよめきが起こる。
先の一撃であのモビルスーツの力は嫌というほど味わった。今のところははやて達が全力で抑えているが、再びあの銃撃と言う名の砲撃を撃たれれば、いくらアースラの防御フィールドでも防げるかどうか。
それに空戦魔導士達も積極的にゆりかごへ攻撃を仕掛けようとしているが、ガジェット・ハンブラビに阻止され未だに取りつけない状況にある。
それでもリインは出撃したいと焦る気持ちを必死に抑えて情報解析に集中する。はやてが0ガンダムにかかりきりである以上、空戦魔導士達への指揮はこのアースラが行わければならない。それには情報解析に通じたリインの力が必要不可欠。だからはやては敢えてリインとユニゾンせずに戦う選択をした。自分が指揮を満足に執れない時の為の予防策として。
しかし先ほど入った次元航行艦隊撤退の報せが尚も気持ちを焦らせる。あのクロノ提督が率いる次元航行艦隊がたった二機のモビルスーツに撤退させられたのだ。現状目の前にいる一機のモビルスーツですら苦戦を強いられているというのに、その報せは今にも砕けそうな心のヒビを更に大きくするだけだった。
「失礼するぞ」
そんな時だ。ブリッジの扉が開き、のそりと一匹の狼が入って来る。ヴォルケンリッター、盾の守護獣ザフィーラだ。そしてその背にはヴィヴィオ。傍らにはカチュアがいる。
突然の来訪にリインは目を丸くした。一体何事だろう。そんな訝しげな視線にザフィーラも気付き、一つだけ頷いた。
「忙しい所すまない。ただどうしても伝えたい事があるとヴィヴィオが聞かなくてな」
「あたしからも謝るよ。でもこれだけは伝えたくて。リイン、話を聞いてくれるかな」
「……分かりました。お伺いしましょう」
予感めいたものがリインに走る。ザフィーラとカチュアの様子からも只事ではないと感じる。
リインはふわりとヴィヴィオの前まで飛ぶと、どこかポカンとした様子の彼女にいつも通りの笑顔を向けた。焦ってはいけない。彼女はまだ幼いのだから、一つ一つしっかりと聞いてあげなければ。
「ヴィヴィオ、どうしたのです? 何をリインに話してくれるのですか?」
「んーとねー」
外は戦闘の真っ最中だというのに、ヴィヴィオは脅える様子も見せずに無邪気な笑みを浮かべた。
肝が据わっているのか何なのか。苦笑したくなるのを必死に抑え、耳を傾ける。
「んーとねー、おそとでたい!!」
「ちょっ!? そ、それはちょっと無理なのですよ~」
「えー? だってアプロディアからおねがいされたよ? ヴィヴィオがおそとにでてくれれば、みんながかえってこれるってゆってたよ? ヴィヴィオ、みんなにあいたいもん。だからおそとでたい!」
「……どういう事ですか?」
ヴィヴィオの話についていく事ができず、リインはザフィーラとカチュアに視線で助けを求めた。
だが当の二人も逆に困った顔を向けてくるばかり。これは彼女の妄言か? それとも本当にアプロディアがヴィヴィオに話しかけているのか? 実際、アプロディアからの声が聞こえない以上真偽の程を測る事はリインにはできない。だがこの話が本当なら、状況を変える一打になってくれるかもしれない。
「お二人はどう考えます? ヴィヴィオの言葉を信じるんですか?」
「私は信じていいと思う。ずっと一緒に過ごしてきて、ヴィヴィオが嘘や妄言を言う子じゃない事は分かっているつもり」
「俺も同感だ。外が危険だというのなら俺がヴィヴィオを守ろう。盾の守護獣の名に誓って敵には指一本触れさせん」
「……ヴィヴィオ、アプロディアとお話は今もできるのですか?」
「できるよー」
「ならばこう聞いて下さい。ヴィヴィオ自身に危険は無いのかと。もしも少しでも貴方に危険があるのであれば許可する事はできません。別の方法を使って下さい、とね」
「わかったー」
外のガジェットの群れに対し、このアースラも何人もの空戦魔導士が弾幕を張ってくれている。その中にヴィヴィオを出すという事だけでも危険なのに、また六課襲撃の時の様な事が起こすような事があってはいけないのだ。リインがそこを確認したいというのは当然だろう。
ヴィヴィオが瞳を閉じる。途中で「うん、うん」と何度も相槌を打っている姿は本当に会話をしているようだ。緊張の面持ちで見守る一同。不意にヴィヴィオが目を開いた。
「だいじょうぶだって。ちょっとだけヴィヴィオのちからはかりるけど、あのときみたいなことにはぜったいならないってゆってるよ」
「そうですか」
その言葉でリインの決意は固まった。彼女は振り返るとブリッジクルー全員に向けて声を上げる。
「八神部隊長達、全員に緊急通達! これよりアースラは独自に緊急ミッションを開始します。後方の空戦魔導士はアースラの防御を優先。前線の魔導士達も防衛ラインの維持を継続して下さい!」
「……良いんですか?」
ずっと話を聞いていたグリフィスの目が尋ねていた。リインの覚悟の程を。本当にヴィヴィオの言葉を信じるのかと。
しかしリインも引かない。もしも希望があるのなら。この状況を打開できる何かがあるのなら。このいきなり訪れた一条の光明に賭けるだけの価値がこれにはある。
「全責任は私が持ちます。皆さんに責はありません。だから……」
「水臭い事言わないで下さい。僕も貴方と同じ部隊長補佐で、指揮官補佐です。責任なら一緒に持ちますよリイン空曹長」
その覚悟を受け取ったグリフィスの口調が柔らかくなった。リインの覚悟が聞けたのなら止める理由はない。彼だけではない。ルキノやシャーリーも同様に頷いていた。
これは現場の総意。だからリイン一人の責任ではない。
そんな仲間達の思いにリインの目がじわりと滲んだ。だがそこから滴が流れる事は無い。まだだ。まだこれからなのだからここで涙を流すことはできない。
ぐしっと乱暴に涙を拭い、凛と前を見る。鼻先がじんじんする。拭っても溢れてこようとする涙をぐっと堪え、リインは深く頭を下げるのだった。
2
「アースラが緊急ミッション!?」
<リインの奴、何考えてんだ!?>
<ヴィヴィオをアースラの甲板に出すって、そんなの駄目だよ! 危なすぎる!!>
<でもザフィーラとリインが守るって。それにヴィヴィオが言っている事が本当なら……>
「これ以上の打開策は無いってことか……」
はやて達に送られてきたアースラの緊急ミッション。0ガンダムを必死に抑えている彼女達に一様に戸惑いの声が念話で聞こえてきた。現場の総意という事で既にミッションは動き出している。しかし特になのはには懸念の色が強い。きっと機動六課襲撃の際にヴィヴィオの傍にいられなかった事がフラッシュバックしているに違いなく、できるなら今すぐヴィヴィオの傍に行きたくて仕方がないはずだ。
だがはやてにはそれが許可できない。エース四人が集まっても0ガンダムを食い止めるのに精一杯だ。
そうでなくても気を抜けば一瞬でこちらの命が消し飛ぶだろう。大きさに似合わず意外に俊敏。なんと言ってもその身を包むGNフィールドをなかなか貫く事ができない。あれを貫くには大魔法しかないが、それには高速詠唱を犠牲にしなければいけない。それはこの状況では悪手だ。どうしたってこちらの動きが止まり、そこを一撃で狩り取られてしまう。現状できるのはバインドで動きを制限しての波状攻撃。それでも維持が精一杯だ。
それになのはの言い分も分かるとしても、聖王のゆりかごが空に浮き、それなりの時間が経っているというのに近づけやしないでいる。ガジェットを出す以外に動きがない事も不気味だが、それ以上にこれ以上の引き延ばしは致命傷になる可能性だって高い。
「なのはちゃん、ヴィヴィオを信じて。何よりもザフィーラとリインを信じて。うちの守護騎士二人が守ると言ったらそれはもう騎士の約束、盟約や。絶対にヴィヴィオにこれ以上の危険はさせへん」
<分かってる。分かってるけど……>
言い合いながらも巨大なバインドで0ガンダムを縛るなのはの額にも汗がにじむ。動きの止まった所にヴィータの鉄球が、はやての光弾が降り注ぐ。しかし爆煙の中でバインドが砕け、すぐに振られる光剣が二人を狙った。そこに割って入るフェイトのバルディッシュ・フェイスレイヤーの刀身。人の身でありながら等身大モビルスーツにも負けない巨大な魔力の刀身が正面から激突し、一気に弾き合う。
「フェイトちゃん!」
<大丈夫! それよりもはのは、ヴィヴィオの事は分かるけど今はこっちに集中しよう! 私達がここで崩れたらそれこそヴィヴィオに危険が及ぶんだよ。ここでこのモビルスーツを抑える事がそのままヴィヴィオを守る事になる事を忘れないで!!>
フェイトからの強い激が飛ぶ。その言葉になのはも気を引き締めた。
なのはの様子にはやてもほっと胸を撫で下ろす。一時の動揺はあれど、なのははこれで持ち直すなだろう。後はここをどう突破するかなのだが……。
<はやてさん、聞こえる?>
「マリアさん?」
<話は聞いたわ。でもその前にもう一つ援軍がそっちに到着するから。そこを起点に一気にゆりかごを攻めて! その間になのはさんはアースラまで後退してヴィヴィオを守る。それならイケるんじゃない?>
「援軍ってまさか……」
<そうよ。うちのエースと王様、盟主がそっちに到着するわ……って早っ! もう来た!!>
地上のスカリエッティアジトに突入していたマリアからの通信だ。どうやら予想以上の速度で、マリアの報告が事後報告になってしまったようだ。そしてそれに驚く暇もなく、はやて達は大きな魔力の波動を感知。真っ赤に燃える灼熱が四人と0ガンダムの間に割って入ってきた。
両手に大剣を構えるその姿にはやて達は驚きを隠せない。地上本部、六課襲撃の際にも見たそのシルエットを忘れるはずがない。何故ならそれは、彼女達の敵であるティーダ・ランスターの使っていた機体、マスターフェニックスだったからだ。
『マーク・ギルダー、只今到着! ここは俺が抑える。モビルスーツにはモビルスーツってな!』
しかし外部スピーカーから聞こえてきたのは紛れもなくマークの声。一体何がどうなっているのか分からない彼女達の前に揺らめく翼を広げ、ディアーチェが降り立つ。
「王様! なんでマークさんがマスターフェニックスに搭乗してるんや!?」
「色々あるんだ。後でまとめて報告してやる! それよりもマリアの意見はどうする? 我は全面的に賛成するぞ」
「それは私も大いに賛成や」
開口一番、二人の王はそれだけで話をまとめてしまった。なんだかんだ言いながらもそこは阿吽の呼吸だ。集まるなのは達も展開の早さに少々困惑しているが、正直そんな時間は無い。とにかくチャンスができたのだ。ヴィヴィオの言葉から一気に風が吹いて来ている。この追い風に乗らない手は無い。
「よし。ではナノハよ。これからお前を押し出すからアースラに行き、ヴィヴィオを守るが良い」
「……!! そっか、アレを使うんだね?」
「ああ。スターゲイザーのヴォワチュール・リュミエールを使えばこれくらいの距離、雑作もなく飛び越えられる!」
「うん!」
0ガンダムとマスターフェニックスの衝突が始まった。いくら0ガンダムが強大でも、マスターフェニックスを相手にはこれまでのようにはいかない。交わるGNビームサーベルとクロスバインダーソードが何度も鍔迫り合いを続ける中、なのははアースラのいる方向にRHドライバーを向ける。同時に背中のヴォワチュール・リュミエールがその輪を大きく広げた。
『A.C.S Stand by』
RHドライバーの先端に生まれる魔力刃。そしてその周囲に発生する四枚の羽。レイジングハートのA.C.Sモードが起動し、ヴォワチュール・リュミエールも光度を増し、その中に魔力の膜を作る。
その背後に控えるはヴィータ。グラーフアイゼンを担ぎ、いつも通り浮かべる不敵な笑み。
「遠慮なくブチかまして良いんだな?」
「ああ。この中で瞬発力、インパクトの威力、その両方を兼ね備えているのは鉄槌の騎士。貴様を置いて他にはいない。遠慮なくブチかませ!」
「そういう事なら全力でいかせてもらうぜ!」
「お、お手柔らかに~。大丈夫だって分かっててもドキドキものだよ~」
珍しくなのはから聞こえる弱気な声に誰もが苦笑した。しかしそれを撃ち込むヴィータは何故か楽しそうだ。距離を取り、グラーフアイゼンを構えるとカートリッジをロード。魔力が噴出し、アイゼンをロケットと化す。そしてヴィータも小さな体に力を込め、極限まで力を溜めた所で一気に解放。自らの力、アイゼンの推進力。加えて独楽の如く回転し得られる遠心力。
ヴィータの得意とする魔法、ラケーテンハンマーだ。
「銀河の彼方まで……行ってこ―――――――――いっ!!」
「うちょ!? それ酷くなああああああぁぁぁぁぁぁ……ぃ」
それはやり過ぎ!! 総ツッコミが入った瞬間、アイゼンがヴォワチュール・リュミエールに文句無しの打点、インパクト、威力で叩きつけられた。会心の一撃とはこの事だ!
魔力の膜が虹色に波打つ。ヴィータの放つ会心の一撃の全てをエネルギーに変換。さすがに文句を言おうとしたなのはの体を押し出し、一気に最高速へと押し上げ、一筋の流星へ。文句の全ては遥か彼方、なのはの絶叫と共に木霊する。
唖然とそれを見送るはやて達。ヴィータは実に清々しい顔をしている。
「……改良の余地があるかもしれんな」
ディアーチェがポツリと呟いた。
◆
「ヴィータちゃんのあれはちょっと酷いと思うんだ」
『I think so.』
「だよねー!」
伊達に空戦魔導士をやっていないとはこの事か。未知の速度にもすぐに適応したなのはは少女らしく、頬を膨らませていた。レイジングハートのサポートがあるとはいえ、それでも眼前のガジェットを的確に撃ち落としながら進む姿とは不相応ではあるが。
「見えたっ!」
ガジェットと交戦しながらなら数分はかかるだろう距離にいたアースラがものの数秒で視界に入る。すかさずレイジングハートが状況確認を行った。リンクしたなのはの瞳に甲板の状況が映る。白い甲板の上、囲んでヴィヴィオをザフィーラとリインが必死に守っていた。空戦魔導士達の弾幕をすり抜けたガジェットが数機見える。
「レイジングハート、ここから上昇をかけて速度を落とそう。上昇後は再度旋回して下降をしながらのディバインシューター、いけるよね?」
『No problem.』
「よぉし。行くよ!!」
ぐっとRHドライバーを構え直し、流星はゆるやかに上昇。雲も突き抜けよとばかりに上昇すると、急旋回し下降を始める。それでも並の魔導士ならブラックアウトを起こしかねないが、そこは日頃から鍛えている賜物だろう。ギリギリではあったが、なのははブラックアウトを起こすことなくディバインシューターを起動させる。
「シュ―――トッ!!」
放たれた光弾が流星雨となって降り注ぐ。堪らないのはガジェット・ハンブラビだ。突然降り注いだ流星雨に抗う術もなく、次々と爆散する。同時に多くの魔導士達も、ましてアースラの甲板にいたヴィヴィオ達も訳が分からずに呆けている事しかできない。だが漸く姿を見せたなのはの姿に一気に歓声が上がった。エースオブエースが来てくれた。彼女がこの窮地を救ってくれた。天使の如き神々しさを纏う彼女に歓声は尽きる事がない。
「なのはママ!!」
「ヴィヴィオ!」
そして甲板に降りたなのはにヴィヴィオが飛び付く。ザフィーラとリインに守られ、後ろでずっとカチュアに支えられていても、やはり本物の戦場に出れば一気に恐怖心が高まる。そこになのはが現れた事は何よりもヴィヴィオの心に安らぎを与えるだろう。そんなヴィヴィオをしっかりと抱き止めたなのはも、彼女が無事であった事に安堵しつつ、それでもゆっくりと優しくヴィヴィオに語りかけた。
「なのはママも一緒にヴィヴィオを守るよ。だからヴィヴィオも自分のできる事をしっかりやろうね」
「うん!」
「ザフィーラさんとリイン。それにカチュアもヴィヴィオを守ってくれてありがとう。私も一緒に守らせてくれるかな?」
「うむ、勿論だ」
「これで百人力です!」
「カチュア、私の代わりにヴィヴィオを支えてくれる? 私はここから援護射撃をするから、ヴィヴィオに付いてあげられないんだ」
「うん、任せて。……ほらヴィヴィオ。おいで」
「ん!」
なのはから離れてヴィヴィオはカチュアの下へ。なのはとフェイト以外でヴィヴィオが最も心を許しているのはカチュアに違いない。その姿はまるで本当の姉妹の様だ。そんな二人にそっと微笑み、なのはは再度空へ身を躍らせた。
「援護射撃行きます! 空戦魔導士の皆さんもタイミングを合わせて下さい!」
なのはの声で魔導士達も各々のデバイスを構える。アースラを囲むように光弾が次々と展開された。
「一斉射撃、シュ―――トッ!!」
下された号令と共に始まる一斉射撃。その弾幕にガジェット・ハンブラビは近づく事すらできなくなる。
そして乱れ咲く爆炎の中、ヴィヴィオはそっと瞳を閉じた。さっきから心が温かい。なのはが来てくれた。一番会いたい人が来てくれた。でもまだ足りない。ヴィヴィオが会いたい人はまだいるのだ。
レン。ティアナ。スバル。エリオ。キャロ。フリード。そしてアプロディア。
みんなにヴィヴィオは会いたい。だから。だからヴィヴィオは空に両手を広げて呼びかける。
「アプロディア! ヴィヴィオはここだよ! みんな、みんなまってるんだよ!!」
突如、虹色の魔力がヴィヴィオから噴き出した。虹は空へと駆けのぼり、瞬く間に渦を巻く。
それはなのはですら驚く程の魔力量。だが不思議とそこに不安は無い。むしろ優しく、温かく、何かを呼んでいる。そう思える魔力の虹が空を疾る。そして虹は巨大な魔法陣を空に描く。
「来たっ!」
窓に顔を張り付けてレヴィが歓喜の声を上げる。できるなら今すぐ飛び出していきたいだろうが、その肩にシャマルが手を置いて止めた。今のレヴィは行っても戦力としては不十分。今は我慢の時と彼女はグッと拳を固める。
<ディアーチェ!>
「うむ! 全く遅いのだあいつらは!」
ゆりかごに向けて攻撃を続けるディアーチェとユーリ。四方八方に展開する魔力の剣が固定砲台を貫き、ニヤリと笑うディアーチェの顔を爆発の光が照らす。
「待っていたわよ!」
地上のスカリエッティ基地。そこにいても感じる魔力にマリアも声を上げる。周りはガジェットの群れ。しかし臆する事なくマリアは魔力弾を撃ち続けた。
「さぁここからだ。ここからが俺達のステージだ!」
0ガンダムを抑えつけたマスターフェニックス。そのコックピットでマークも力を振り絞る。
しかし0ガンダムも光の翼を大きく広げ、がっちりと両手を組んだマスターフェニックスを押し返そうとする。
「だからお前みたいなのに邪魔される訳にはいかないんだよっ!!」
負けじとマスターフェニックスの背に生まれる炎の翼が逆に0ガンダムを押し戻す。その勢いは止まらず、0ガンダムをゆりかごに叩きつけた。その衝撃に少しだけシュテルの拘束が緩む。全身は無理でも口だけならなんとか。彼女は必死に頭を振り、なんとか魔力糸から自分の口を解放する。
「レンっ!」
口をついたのは愛しい人の名前。遠くに見える虹の魔法陣からはっきり感じるその魔力。
間違いない。あの虹色の魔法陣。あそこには彼がいる。
ヴァリアントザッパーが震えている。未だ眠りの中にいる彼女も気付いているのだろう。求めている人がすぐそばまで来ている事に。
「ならば行って下さい。私なら大丈夫ですよ。貴方とレンが来てくれると信じていますから。だから彼の力になって下さい」
瞬間、ヴァリアントザッパーが光を放ちシュテルの手から飛び去っていく。
真っ直ぐに虹色の魔法陣目掛けて、それは空に軌跡を描いた。
「……」
「わざと見逃しましたね?」
背後にいるラナロウは何も答えなかった。それがかつての仲間への義理なのか、それとも何か思惑があっての事なのかはシュテルには到底思いつかない。そこにあるのは彼が見逃してくれたという事実のみ。
しかしそれだけで良かった。拘束されダガーナイフを突き付けられているこの状況だというのに、今のラナロウから敵意という物をこの瞬間だけは感じなかったのだから。
そして虹色の魔法陣が砕ける瞬間が来た。
◆
降り注ぐ虹色の魔力結晶。姿を見せたのは一隻の艦。アースラよりも大きく、武骨な武装を整えた戦う為の艦。その名はミネルバ。かつて一度ミッドチルダに現れ消えていったSpiritsの母艦。
その先端に立つ五人と一匹の人影。拳を握り、銃と槍を構え、マントを翻すのはスバル達機動六課フォワードチーム。そしてその中心で彼は片膝をつきながら、じっと前方のゆりかごを見ていた。
「アプロディアの指定した時間軸に来れたみたいね。ホント、できるなら開戦前に帰って来たかったわ」
「しょうがないよ。このタイミングでしか繋げられなかったんでしょ?」
「そうですね。スカリエッティの思惑を逆に利用しないとヴィヴィオの負担が大きすぎるってアプロディアも言っていたじゃないですか」
「ピンチなのは変わらないけど、それが私達の帰還する唯一のチャンスだったんですからね」
「わ、分かってるわよ。ちょっと言ってみただけ。みんなでそんなに責めないでよ。もぅ……」
オレンジの髪を風に揺らし、口を尖らせるのはティアナ。その隣でスバルとエリオ、キャロが笑う。
帰還してみれば戦場のド真ん中だというのに、彼女達には気負いも恐怖も無かった。やっと帰って来れた。たとえこれからすぐに戦闘に入るとしても、まずはこの帰還を喜びたい。四人の顔にはそれがありありと浮かんでいる。
それを中心の彼も止めようとはしなかった。ただじっと彼女達の声を聞いている。
そこに一筋の流星が飛んで来た。それを分かっていたかの様に彼はおもむろに片手を上げ、流星はそこに飛び込んでくる。
収まったのはザッパーモードのヴァリアントザッパー。シュテルから飛び去ったキリエそのもの。
それをしっかりと握りしめ、彼。レン・アマミヤはニィっと口元に笑みを浮かべる。
「ごめんな。帰って来るのに結構時間かかっちまったよ」
(ううん。でもちゃんと来てくれた。ちゃんと呼んでくれた。だから私は目を覚ました)
「呼んだ? おいおい、俺はまだ口に出して呼んじゃいないよ。心の中じゃ呼んだけどね。だからこれはノーカンです」
(む! ずるーい。ならちゃんと呼んで。今度はしっかりとレンの声で)
「ああ、呼ぶさ。何度でも。だからまた俺と戦ってくれ! キリエ・フローリアン!! 今までも、これからも俺と一緒に!」
「うん! 今までも、これからも。私はレンと一緒にいる!」
ヴァリアントザッパーが放つ光の中から桃色の髪の少女が姿を見せた。少女はレンを後ろから抱きしめ、何度も頬をすり寄せ、全身で喜びを彼に伝える。
機動六課襲撃以降、ヴァリアントザッパーの中で眠りについていたギアーズの少女、キリエ・フローリアン。頬笑み合うレンとキリエ。長く離れていた二人の再会。だが悠長にそれを喜んでいる時間は無い。
まだ取り返さなければならない人がいる。だから二人は高らかに声を上げる。
「「ヴァリアントザッパー、セットアップ!!」」
二人を包む魔法の花弁の嵐。その花吹雪の中、レンの頬にそっとキスをしたキリエが光の粒子に変わった。花吹雪と光の粒子が混ざり合う。幻想的な光景の中、レンの体も蒼炎に包まれた。炎はそのまま紺色のプロテクトスーツへ。かざしたレンの手には花吹雪。集まる花が紺色のマントへと変わり、レンはそれを一気に羽織った。
久しぶりに握るヴァリアントザッパーであっても、馴染んだ感触が消える事はない。
そしてそれがレンにこの世界に戻って来た実感を与える。
レン・アマミヤの真の復活である。
「レンさん、ガジェットが来ます!」
「ティアナ!!」
「分かってるわ。レンさん、タイミング合わせてよね!」
「了解だ」
キャロがガジェットの襲撃を報告。ゆりかごに近づくミネルバにガジェットが群がってきた。レンはヴァリアントザッパーを、ティアナはクロスミラージュを。互いに背中合わせに立ち、両手に銃を持ち、二人は同時に魔法陣を展開する。その周囲をオレンジとブルーの魔力スフィアが埋め尽くした。
「クロスファイアーシュート!」
「ラピッドトリガー!」
「「シフト、V.F.R.!!」」
それはレンとティアナの合体魔法。二人の変幻自在の銃撃が織り成す空間制圧魔法、ヴァリアブル・ファイア・リレーション。略してV.F.R.。それはオレンジとブルーの魔力弾の乱舞。ティアナが放つ魔力弾の隙間をレンの魔力弾埋める様に飛べば、そこに逃げる隙間など存在せず、瞬く間に近づくガジェットを殲滅してしまう。
そしてそれを突破口にミネルバはゆりかごへ急速接近。大きく旋回するミネルバの先端で、レン達は甲板にいるスカリエッティ達を眼下に捉える。
「シュテル!!」
レンが声を張り上げ、少女の名を叫ぶ。
「レン!!」
シュテルも声を張り上げ、青年の名を呼ぶ。
「今助ける!!」
「はいっ!!」
交わしたのはたったそれだけの言葉。多くを語らなくても良い。その短い言葉だけで今は十分。
後は全力で、やるべき事をするだけだ。
スカリエッティが相変わらず余裕の笑みを見せている。トーレとセッテが臨戦態勢に入っている。ルーテシアが色の無い瞳でこちらを見ている。そしてラナロウがシュテルにガダーナイフを突き付けたまま、レンに手を伸ばし、クイッと挑発するような手招き。
上等だ。レンのヴァリアントザッパーを握る手にも力が入る。
「行くぞっ!」
レンの号令と共に一同は聖王のゆりかご目掛けて、ミネルバから空中に踊りだす。
待ち受けるスカリエッティ達。ゆりかご攻防戦は更に激化の様相を呈していた。