問題児たちと箱庭最強が異世界から来るそうですよ? 作:shu.
悠が“ノーネーム”へ向かうと黒ウサギ達が集まっていた。
「おーい、黒ウサギ」
「あ、悠さ…………ってどうしてそんなにフラフラなんですか!?」
「あっちで色々あったんだよ…………色々と」
昨日の事を正直に言えるわけもなく、色々で済ませる悠。
「はぁ。そうですか」
「そんなことより。早く行こうぜ」
「そうですね」
そして、“ノーネーム”と悠は“フォレス・ガロ”へと向かった。
ーーーーー
“フォレス・ガロ”の居住区画に到着した“ノーネーム”と悠はその景色を不思議そうに見ていた。
なぜなら居住区画はまるでジャングルのように木が生い茂っていたのだ。黒ウサギとジン曰く“フォレス・ガロ”は普通のコミュニティらしい。
ジンは近くの木に触れて何かを確信したかのように手を離す。
「間違いない鬼化してる!」
「ジン君。ここに契約書類が貼ってあるわよ」
飛鳥が木に貼ってある契約書類を見つけ全員がそれに注目する。
[ギフトゲーム名 『ハンティング』
・プレイヤー
久遠 飛鳥
春日部 耀
ジン=ラッセル
・勝利条件
ホストの本拠地内に潜むガルド=ガスパーの討伐
・クリア方法
ホスト側の指定した武具でのみ討伐可能
指定武具以外は“契約”によりガルド=ガスパーを傷つけることは不可能
・敗北条件
降参かプレイヤーが上記の勝利条件を満たせなくなった場合
・指定武具
ゲームテリトリーにて配置
・宣誓
上記を尊重し、誇りと旗の下“ノーネーム”はゲームに参加します
“フォレス・ガロ”印]
「これは…まずいです」
契約書類を読み終えるとジンは表情を曇らせた。
「このゲームはそんなに危険なの?」
「いや、ゲーム自体は簡単で単純だ。問題なのは指定武具以外では奴を傷つけることを“契約”により不可能になっているところだ。これで春日部や飛鳥のギフトでガルドを傷つけることができなくなった」
「はい、すいません僕の落ち度でした。あの場で契約書類を作っておけば…」
ジンは申し訳なさそうに頭を下げる。
「で、ですが何かしらヒントがあるはずです。もしそうでなければ“フォレス・ガロ”の反則負けとなります。黒ウサギが審判を勤めている間は反則は出来ません」
「遠慮することはない全力やれ」
「ええ、そのつもりだわ」
「わかった」
「わかりました」
悠の言葉でやる気を出した三人は門をくぐりゲームが開始した。
ーーーーー
「暇だ、黒ウサギ見に行ったらまずいのか?」
ゲーム開始からしばらく経って退屈になった十六夜は黒ウサギに尋ねる。
「お金を取って観客を招くこともありますけど今回は最初に取り決めてないので無理です」
「なんだよつまんねえな。ジャッジマスターとそのお付きってことでなんとかなんねえのか?」
「黒ウサギの素敵耳ならここからでも大まかの状況は分かります。状況確認できない隔離空間でもない限り侵入は禁止です」
「このウサギさんマジ使えねえ」
「せめて聞こえないように言ってください!凹みますから!」
黒ウサギは泣きながら十六夜に突っ込む。
「はぁ、ちょっとぐらい静かに出来ないのかお前らは」
悠は深くため息をついた。
ーーーーー
しばらくしてゲームが終了したのを伝えるかのように木が一斉に霧散して行った。
それと同時に十六夜、黒ウサギの二人は走りだそうとしたが悠に止められた。
なぜ黒ウサギが慌てるのかと言うとゲーム中に耀が重傷を負ったのである。
「話してください悠さん!このままでは耀さんが」
「落ち着け!!」
悠はそう言いながら黒ウサギと十六夜を抱える。すると三人の視界が一瞬にして変わった。目の前には傷を負っている耀がいる。
「来てきてくれ“ラファ”」
悠がそう言った途端に周りから粒子が現れ、人形になっていく。そして、人形になった粒子は一気に弾け、そこにはオレンジ色の髪に白夜叉よりちょっと高いぐらいの身長の女の子が現れた。
「呼んだ?お兄ちゃん!」
「あぁ。早速で悪いんだがこの女の子を治してやってくれないか?」
「わかった!」
ラファと呼ばれる女の子は笑顔でそう答えると耀の傷口に触れる。すると耀の傷がみるみると塞がっていく。
「おわったよ!」
ラファが笑顔で言う。たった数秒で耀の身体にあった傷はなく元通りになっていた。
「ありがとな、ラファ」
悠はラファの頭を撫でる。
「ん~、もっと撫でて!」
子どもの様に甘えてくるラファを見て微笑んでしまう悠。
「ゆ、ゆゆゆ悠さん!?そ、そそそその方ってもしや“
黒ウサギは震えた声で悠に聞いた。
「
十六夜が黒ウサギに質問する。
「
黒ウサギは興奮気味に説明する。
「説明するのは後だ、とりあえず“ノーネーム”に戻って春日部を休ませた方がいい」
そう言いながら悠は耀を抱き抱えた。
「さて、戻るとするか。一応ラファもついてこいよ」
「わかった!」
そして七人は“ノーネーム”の本拠へと戻って行った。
ーーーーー
耀を医務室で寝かせた後、悠とラファを含めた“ノーネーム”は談話室へ集まっていた。
「で?話をしてくれるんだろ」
最初に言葉を発したのは十六夜だった。
「あぁ、まず最初に黒ウサギが言っていた“英雄”は多分俺のことだ」
「!?」
悠の言葉に驚いたのは黒ウサギだけだった。
「なぁ、悠は英雄と呼ばれる程の何をしたんだ?」
すると悠ゆっくりと口を開いた。
「今となっては何故かわからないが、五年前、七桁に四桁クラスの魔王が大量に現れたんだ。その数は………三十」
十六夜と飛鳥二人は驚いた。四桁の魔王が、それも三十もの軍勢で襲ってきたのだ。驚かないはずがなかった。
「そして、私達“ノーネーム”が名と旗印を奪われる前のコミュニティ“アルカディア”はその魔王の軍勢に立ち向かいましたが、魔王一人一人の強さと数の多さに圧倒され撤退しようとした時、一人の少年と十人の天使が現れました」
黒ウサギも一緒になって説明する。
「それがたまたま下層にいた俺たち、“
“
これが“十一天騎”全員の名前だと悠は言った。
「そして、“
「その少年は俺だ。俺はその時死んではいなかったが意識不明の重体だったらしい」
悠が黒ウサギの説明に補足をいれる。
「やがて、魔王は全て討伐されました。が、重体の少年を除く十人の女性は突然箱庭から消えました」
「そして、残った俺は英雄と言われ、俺とその十人の天使をまとめて“
ここで悠と黒ウサギの話を終えた。
「質問なんだが、消えた天使十人はどこにいったんだ?」
十六夜の質問に悠が答える。
「それぞれ違う異世界に飛ばされたんだよ。原因は今もわからんがな」
「じゃあ、二つ目。なぜその天使十人の一人がここにいるんだ?」
「それはね、お兄ちゃんが見つけてくれたんだよ!」
「「「「なっ!?」」」」
悠とラファを除く全員が驚く。例えばここにいるラファを見つけるには何千、何億とある世界から一つの世界を引き当てなくてはならないからだ。
「言っておくが一つ一つの世界をしらみ潰しに探した訳じゃないぞ?」
「お兄ちゃんは私達天使と…えっと…「共有体」そう!共有体だから私達天使がどこにいるかわかるんだよ!」
悠の言葉にラファが補足をいれる。
「なるほどなそれが悠が箱庭を去った“とある理由”なんだろ?」
「あぁ、俺はこいつらをまた集めるために箱庭を去ったんだ」
悠は十六夜の言葉を素直に肯定した。
「さ、話はこれで終わりだ。今日は疲れただろう。特に飛鳥はな。今日はゆっくり休め」
「ええ、そうさせてもらうわ」
そう言いながら飛鳥は談話室を出た。
「さて、俺もちょっと休もうかな」
そして、悠も談話室を出た。
次回!金髪ロリのレティシアが登場します!