問題児たちと箱庭最強が異世界から来るそうですよ? 作:shu.
悠の話が終わった後、大勢のコミュニティに旗を返しながら打倒魔王を掲げる自分達“ノーネーム”の名を売っていった。十六夜が考えた作戦では、目的の魔王を誘き出しつつ、他に誘き出された魔王を隷属させてコミュニティを強化し、他の打倒魔王を思うコミュニティと連携を取っていく作戦らしい。第一段階は成功と言えるだろう。
そしてその日の夜に談話室で黒ウサギと十六夜、悠の三人でこれからのことを話していた。
「ゲームが延期?」
「はい・・・申請に行った先で知りました。このまま中止の線もあるそうです」
「黒ウサギ、白夜叉に言ってどうにかならないのか?」
「どうにもならないでしょう。どうやら巨額の買い手が付いてしまったようですから」
十六夜の表情が目に見えて不快そうに変わった。
「チッ、所詮は売買組織ってことかよ。エンターテイナーとしちゃ五流もいいところだ。“サウザンドアイズ”にプライドはねぇのかよ」
「仕方がないですよ。“サウザンドアイズ”は群体コミュニティです。今回の主催は白夜叉様のような直轄の幹部ではなく傘下コミュニティの幹部、“ペルセウス”。双女神の看板に傷が付く事も気にならない程のお金やギフトを得れば、ゲームの撤回ぐらいやるでしょう」
達観したような物言いの黒ウサギだが、悔しさで言えば二人の何倍も感じている筈だ。しかし仲間を取り戻すにはギフトゲームをするしか方法はない。だから今回は運がなかったと諦めるほかないと黒ウサギが考えていた時、悠が口を開いた。
「大丈夫だ、もしもの時は俺が動く」
そう言いながら悠は黒ウサギの頭を撫でる。
「んっ………ありがとうございます」
黒ウサギは悠に撫でられて嬉しそうに目を細めていた。
「こっちから殴り込みに行くのは駄目なのか?」
「“ペルセウス”は“サウザンドアイズ”の幹部を務めているコミュニティです。万が一揉め事を起こしてはただでは済みません」
「その万が一があっても悠ならなんとか出来そうだけどな。だが、協力してくれている悠に最初から頼るわけにもいかねぇからな、次回に期待するしかねぇか。ところでその仲間ってのはどんな奴なんだ?」
「そうですね・・・一言でいえば、スーパープラチナブロンドの超美人さんです。加えて思慮深く、黒ウサギより先輩でとても可愛がってくれました。近くに居るのならせめて一度お話ししたかったのですけど・・・」
「それってそこにいるやつのことか?」
「おや、嬉しいことを言ってくれるじゃないか」
黒ウサギは十六夜が指差した方を見て、驚き窓の近くに寄る。
「レ、レティシア様!?」
「様はよせ、黒ウサギ。今は人に所有される身分だ。”箱庭の貴族″ともあろうお方がモノに敬意を払っていては笑われるぞ」
黒ウサギが錠を開けると、レティシアと呼ばれた少女は談話室に入室した。
レティシアは金の髪をリボンで結び、赤いレザージャケットに拘束具を彷彿させるロングスカートを来た姿は、黒ウサギの先輩という割には幼く見えた。
「こんなところからの入室ですまない。ジンには見つかりたくなかったのでな」
「そ、そうでしたか。あ、今すぐお茶を用意するので少々お待ちください!」
黒ウサギはスキップを踏むような軽い足取りでお茶を準備しに行った。
その瞬間、レティシアは悠の所へ走り、抱きつく。
「おっと」
悠はレティシアを優しく受け止め頭を撫でる。
「久しぶりだな。レティシア」
「あぁ………もう会えないかと思っていたんだぞ?」
そう言いながら抱きつく力を強めるレティシア。
「ごめんな。もうどこにも行かないから」
「んっ、絶対だぞ?」
「あぁ」
と、ここで十六夜の視線に気づく悠。
「おい、十六夜。鑑賞するなら黒ウサギにしとけ。黒ウサギはレティシアと違う方向性の可愛らしさがあるだろう」
「あれは愛玩動物だから、鑑賞するより弄ってナンボだろ」
「否定はしない」
「否定してください!」
紅茶のティーセットを持ってきた黒ウサギが口をとがらせて怒る。
「して、今日はどの様なご用件で?」
「用件という程のことではない。新生“ノーネーム″がどれほどの力を持っているかを見に来たんだ。ジンに会いたくないのは会わせる顔が無いからだよ。お前達の仲間を傷つける結果になってしまったがな」
「なるほどな。だからあんなジャングルみたいになっていたのか…………お前、強いだろ?」
「な、何を言ってるんですか十六夜さん!?レティシア様は純血の吸血鬼にして”箱庭の騎士″と呼ばれるお方なのでかなりお強いです」
黒ウサギの言葉を聞き十六夜は納得したようにうなずいた。
「なるほど。だから、美人設定なのか」
「は?」
「え?」
「いや、何でもない。続けてくれ」
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「実は黒ウサギ達が“ノーネーム″としてコミュニティの再建を掲げたと聞いた時、なんて愚かな真似を……と思っていた。それがどれだけ茨の道となることを、お前が分かっていないとは思えなかったからな」
「……………」
「コミュニティを解散するように説得するため、お前達と接触するチャンスを得たとき……看過出来ない噂を耳にした。神格級のギフト保持者が“ノーネーム”のコミュニティに同士として入ったということをな」
全員の視線が十六夜に集まる。レティシアは白夜叉からにでも聞いていたのだろう。
そしてどうやら十六夜が世界の果てにいる蛇神を倒したということが広まっているらしい。
「そこで私は一つ試してみたくなった。その新人達がコミュニティを救うだけの力を秘めているかどうかを」
「結果は?」
「生憎、ガルドでは当て馬にもならなかったよ。ゲームに参加した少女達はまだまだ青い果実で判断に欠ける。こうして足を運んだのはいいが、私はお前達にどんな言葉をかければ良いのか」
レティシアは苦笑いをする。十六夜は呆れたようにレティシアに言う。
「違うね。アンタは声を掛けたくて来たんじゃない。昔自分がいたコミュニティがしっかりと自立していけるか、それを見たかったんだ」
「………ああ。そうかも知れないな」
飛鳥と耀の実力は判断できない。そして十六夜に至っては実力すらも分からない。いくら悠が居るからといっても、万が一があるかもしれない。
レティシアの心には不安が残っていた。その不安を見透かすように十六夜が言う。
「その不安、払う方法が一つだけあるぜ」
「何?」
「実に簡単な話だ。アンタは“ノーネーム″が魔王に対抗できるかという不安を抱いている。なら、俺をその身で試したらいい。―――――どうだい、元・魔王様?」
やっとレティシアを出せました!早くルイオスぶっ飛ばしてレティシアとのイチャイチャを書きたいです!