ダンジョンにキリトが潜ってるのは間違っているだろうか   作:ボストーク

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皆様、こんばんわ。
今回のエピソードも原作1巻の時間軸なのですが……うん。やはり色々間違っています(笑)

皆様からのご指摘で判明したのですが、話の途中からエイナの名前がエリスに変わっていて『誰だよ?』ってことになってました。それどころか『エリス・ヴァレンシュタイン』なる謎の人物まで出てくる始末……どうしてこうなった?
大変、申し訳なかったです。
多分、修正できてると思いますが(滝汗)


第011話 ”冒険者ギルドにハリセンが常備されてるのは間違っているだろうか”

 

 

 

ここはオラリオ名物【地下迷宮(ダンジョン)】、実際に魔物(モンスター)の巣窟であるので正しい意味で魔窟と言える。

 

その第15階層で全体的に消耗してる感じがするが、それでも未だ高い戦闘力を誇るパーティーがあった。

オラリオでも最大手のファミリア、精鋭揃いの【ロキ・ファミリア】のダンジョン攻略選抜パーティーだ。

 

アクシデントもあったがとりあえず落命した者はなく、弛緩した雰囲気はないがでもどこか安心した空気があった。

 

それもその筈で、【ロキ・ファミリア】は中層(ここ)とは比べ物にならないほど強いモンスター犇く51階層で戦ってきたのだ。

しかも旧階層主(モンスターレックス)に下克上して屠るほどの実力を持った新種モンスターとの遭遇戦というオマケ付きで。

それに比べれば15階層のモンスター相手は油断はしないが気楽な相手だった。

 

 

 

さて、ソロで逃走ミノタウロスを追っていたアイズ・ヴァレンシュタインと付録(?)のベート・ローガが無事に合流したのはいいのだが……

 

「ところでアイズ、君は確か【エリュシオン】の試し切り役(テスター)を引き受けていたんじゃなかったのかい? あの剣が見えないようだけど……どうしたんだい?」

 

先ほどのアイズの『ダンジョンで黒豹さんに出会った』発言はあまりにツッコミ所が多すぎたために、とりあえずパーティーメンバーは真相究明を後回しにすることにしたらしい。

ただ、『キリト』なる名前は覚えておこうと思った。

 

ならばファミリア団長にしてパーティーリーダーの”フィン・ディムナ”は次なる疑問を口にした。

記憶が正しければ、ミノタウロスを追いかける前のアイズは確かにミノタウロスを追跡する前には左腰に下げた愛剣【デスペレート】以外に、背中により大柄の黒い長剣【エリュシオン】を背負っていた筈だ。

 

アイズは再びどう答えようと迷った。

小首をかしげながら迷った結果……

 

「これ」

 

差し出したのは一本の純戦闘用というより野営用(アウトドア)の汎用ナイフだった。

そう、エリュシオンとテスター権を譲る際にさりげなくゲットした、キリト曰く『知り合いのまだ新米の枕詞が取れない鍛治師の卵が練習用に作った』らしい代物だ。

 

「……ちょっと見ない間に、随分小さくなってしまったね?」

 

「フィン、今はボケるところなのか?」

 

そう珍しく苦笑するのは副団長で”とびっきりのエルフ(ハイ・エルフ)”の”リヴェリア・リヨス・アールヴ”だった。

 

『や~ん♪ 団長可愛い~♪』とある意味艶かしく肢体をくねらせる”ティオネ・ヒリュテ(アマゾネス姉妹の姉の方)”だったが、メンバーもこの状態の彼女と係りたくないのかなんとなくスルーされていた。

 

この後、【失われた(?)超高額剣】の委譲の経緯と行方について一悶着あったのだが……このあたりはロキ・ファミリアにとっては平常運転の範疇だろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

***************************************

 

 

 

 

 

さて、再び舞台は巡って数時間後……

 

 

 

ここはオラリオ、魔窟都市。

今日も硝煙の匂いたなびき鉄錆臭い雨が降る……というのは”別の街(ウド)”の話だ。

簡単に言えばオラリオは、神々の降臨する前からダンジョンを攻略する冒険者を相手に繁栄を手中にした街であり、また同時に欲望渦巻く街でもある。

 

もっともこの街を闊歩する黒尽くめの少年にとっては、神と人間という特殊社会構造の中で渦巻く欲望などあって当たり前のものでしかなかった。

故に騙されないよう警戒はすべきであるが、恐れるようなものはない。

 

まがいなりにも街中には秩序があり、治安が守られ、真昼間からモヒカンがバイクで走り回って火炎放射器で『汚物は消毒だーーっ! ヒャッハァーーーッ!!』とはしゃぐこともない。

なにより公共という概念があるのが素晴らしいと思っていた。

 

何しろこの黒い髪にコート風の黒い衣装+軽甲冑に加え、背中に背負った”漆黒の長剣”が新たなトレードマークになりそうな少年が”この世界”で生きてきた時間の大半は、治安だの公共だのなんて概念はどこ吹く風の大地だったのだから。

 

『弱者は食われ、強者が生き残る』

 

弱肉強食という大自然の摂理がそのまま適応されたような場所に生きてきたゆえに、彼の考え方は割とシビアだ。

参考に彼……キリト・ノワールが残した台詞の一部を引用しよう。

 

『殺し殺されまた殺して、そうして俺たちは飯を食う。それが命をつなげてゆくのさ』

 

だそうな。

一応、”この世界”での年齢は公証14歳のはずだが、一般的な基準では計れない器がありそうだ。

 

そのキリトがオラリオの街、北西のメインストリートを抜けてどこに向かっているかと言えば……

 

 

 

***

 

 

 

「冒険者になってまだ半月のド新人が、何いきなりソロでダンジョン二桁階層まで攻略しに行ってるんですかぁーーっ!! おまけにミノタウロスとエンカウント・バトルとか何を考えてるんですっ!!」

 

”スパコーン!”

 

「Ouch!」

 

景気良く響いたのは、キリトの頭を直撃したハリセンの音。

ここは北西のメインストリートにある白亜の”万神殿(パンテオン)”、冒険者のための公共機関の最上位に位置する【ギルド】であった。

正確にはロビーに隣接するよろず相談窓口に使われる一室だ。

 

キリトの頭に小気味いい一撃を入れたのは、

 

「”エイナ”さん、いきなり酷いですよ~」

 

そのシック&フォーマルなパンツルックがよく似合う、綺麗と可愛いが絶妙な配合で交じり合ったようなハーフ・エルフの女性……”エイナ・チュール”にキリトは涙目になりながら抗議の声をあげた。

 

「ええい、お黙り! Lv.1という立ち位置も考えずにダンジョンの奥に入ろうとするおバカな子には、まだこれでも足りないぐらいです!」

 

エルフの特徴である長い耳を逆毛でも立てるようにピンといからせた彼女は、なまじ美人なだけに中々に迫力がある。

差し詰め『怒髪天を突く』の耳版と言ったところか?

基本怖いもの知らずでならすキリトでも、オラリオに来た当初から何かと世話になってるエイナには頭がどうにもあがらないようだ。

 

「キリト君、いい? あなたは自分が凄く幸運だって自覚した方がいいわよ? 駆け出し冒険者がミノタウロスと遭遇して生き残れるなんて、本当ならありえないことなんだから」

 

「私は誰の挑戦でも受ける……!」

 

某往年のプロレスラーのマイクパフォーマンスのような発言をするキリトだったが、

 

「ほっほ~う……君には”反省”という言葉を魂の奥底にまで刻んだ方がいいのかしら? もう笑ったり怒ったりできなくなるレベルで」

 

ジロリと碧玉石(エメラルド)色のジト目で睨まれたキリトは、

 

「すいません。ちょうしにのりました」

 

つい台詞が全てひらがなになるくらいに小さくなってしまう。

なるほど確かにこの世には階層社会権力構造(ヒエラルキー)が存在すると実感できる瞬間でもあった。

 

 

 

***

 

 

 

「それにしても……普段の君ならもうちょっと、心持ち、毛先ほどには自重してるはずでしょ? それがどうして今日に限って?」

 

何やら普段のキリトの行動がうかがい知れるようなエイナの発言だが、

 

「それなんですけどね、ちゃんとした理由があるんですよ」

 

キリトは軽くスルーして背負った長剣、新たな相棒となった【ΕΛΥΣΙΟΝ(エリュシオン)】を鞘ごと外してエイナに預けようとする。

片手で軽々と扱うキリトを見てエイナは気軽に受け取るが、

 

「重っ!?」

 

咄嗟に持ち手を片手から両手に持ち替え、剣を取り落とさなかっただけでもエイナを誉めていい。

エリュシオンは分厚く長い両刃の刀身と長い柄をもつ堂々とした大剣であり、キリト以外が持てば重さは見かけ相応の物となるのだから。

普通の街娘であれば持ち上げることさえ難しい重量だろう。

 

「実はアイズ・ヴァレンシュタインからその剣、【エリュシオン】の試し切り役(テスター)権を譲られたんですが……流石に実戦で使ってみないと剣の特性とか理解できないし、弱いモンスターばかりだと『現状で俺が引き出せる限界性能』が把握しきれなかったんで、少し背伸びしてみたんです」

 

キリトはその後に「だけど冒険的なことはしてませんよ? 剣の性能がある程度は把握できたから下の階層に行ったんですし」と付け加えたが、エイナには聞こえてないようだった。

 

「ちょ、ちょっと待って! 今、なんて言いました……?」

 

「えっ? だから【エリュシオン】の性能がある程度は把握できたから下の階層に行ったんで、エイナさんのいつも言う『冒険者が冒険をしちゃいけない』に抵触する行動はしてないって言ったんですけど? スペックから考えると現状で俺が引き出せる威力や能力だけでも11階層までは行けたと思うんですけど、他の装備が心許無かったから10階層で引き上げてきたんですし」

 

「そこじゃないです。いえ、今の発言も十分に聞き捨てならない部分を含んでましたが、それは後回しにして……誰に何を譲り受けたと言いました?」

 

「えっと……アイズからエリュシオンのテスター権を譲り受けたと言ったんですけど……?」

 

怪訝な表情をするキリトに、聞き間違いでないことを確認したエイナは思わず天を仰いで呪詛の言葉を呟きたくなった。

かの”剣姫”を抵抗無くファーストネームで呼んだことも気にかかったが、優先すべきはそこではなかった。

 

「キリト君……君は一体ダンジョンで何をやったの!?」

 

 

 

***

 

 

 

『ダンジョンの浅い階層でミノタウロスとエンカウント・バトルしてたら剣姫ともエンカウントして剣のテスター権もらたった』

 

キリトの説明を要約するとこんな感じなのだが……そのあまりに予想の斜め上を行く超展開に、基本は真面目な事務受付のエイナは今度こそ激しい頭痛を感じてしまう。

 

「こ、この子は……」

 

なんて言っていいやら言葉に迷うエイナに対し、キリトは能天気に笑い、

 

「人生ってホント予想外の出来事に満ち溢れてますよね~」

 

その屈託の無い表情にエイナは思わず拳を入れたくなったが、その衝動を寸でのところで自制して抑えた。

思ったよりも忍耐強い自分を誉めてやりたくなったのと同時に、キリトに無茶をしすぎだと怒ったらいいのか、あるいは出鱈目すぎと呆れたらいいのか、もういっそのこと破天荒だと誉めてしまった方がいいのかと悩んでしまう。

 

(確かに出会った当初から規格外の子ではあったような気がするけどね……)

 

そんなエイナの葛藤を知ってか知らずか、キリトはこんなことを切り出した。

 

「ところでエイナさん、ちょっと聞きたいことがあるんです」

 

「なに? もしかしてアイズ・ヴァレンシュタインさんのこととか?」

 

可能な限り疲れた表情を出さないようにして、一番可能性の高そうな質問をエイナは先回りしてみるが、

 

「いえ。アイズのことで特に聞きたいことは今はありません。あったとしても本人から直接聞きますし」

 

さらりととんでもない発言が出たような気もしたが……この程度流せないようならキリトと付き合うことなんてできないと悟ったエイナは、視線で先を促す。

 

「今日来た理由なんですが……テスター権の委譲手続きってどうすればいいんですか?」

 

エイナは『頭痛薬はどこだったかしら? 【ミアハ・ファミリア】製のよく効くやつ』と思いながら、資料を取る為に席を立ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





皆様、ご愛読ありがとうございました。
エイナさん初登場の回でしたが、楽しんでいただけたでしょうか?

しかしエイナ……相手がいたいけな白兎ではなく、ふてぶてしい黒豹(笑)だとマヂ容赦ない(^^

次回も新キャラが登場しそうな予感ですが、楽しみにしていただければ嬉しいです。
それではまた、次回でお会いしましょう♪

追伸:実は投稿後の修正が過去最多になってるのは内緒です(汗)
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