ダンジョンにキリトが潜ってるのは間違っているだろうか   作:ボストーク

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皆様、こんばんわ。
なんとか筆の乗りと勢いに任せてエピソードを仕上げました。
限りある時間と資源は大切にせねば(笑)

さてさて今回のエピソードは……前半はサブタイ通りにある意味、ろっけんろーるな生き方をしてるリズパパ&ママのお話で、後半はちょっとノリが変わるかも?

今更ですが……なんかこのシリーズって、今のところダンジョンより圧倒的に地上ステージが多いですね~(^^





第023話 ”リズのママ&パパがある意味ロックな生き方をしているのは間違っているだろうか”

 

 

 

キリト、よく聞いて。

アンタはたしかに神の眷属(ファミリア)になったのかもしれない。

でも神はアンタの上や後ろにいることはあっても、アンタがどれほど望んだところで決して横に並び立つことは無いの……

だから忘れないで。

天を仰ぎたくなった時にも、地上には常に”わたし達”が居るってことを……

 

 

 

***

 

 

 

「”この世界”での私の名前は、【リズベット・アームストロング】よ♪」

 

「ん? アームストロング? つい最近、どこかで聞いたような……?」

 

「そりゃそうよ。だってゴブニュ・ファミリアの副団長、”鉄槌担いだ合法ロリ(ハンマーロリ)”こと【ヴィータ・アームストロング】は、わたしのママだもん♪」

 

それは驚愕の事実だった。

 

「ええぇ~~~っ!! ヴィータさんがリズのお母さんだって!?」

 

「うん♪」

 

キリトはまじまじとリズを上から下まで見回し、

 

「……あの小さな肢体(からだ)のどこに詰まってたんだ……?」

 

「バカね~。いくらわたしだって、この姿のまま生まれたわけじゃないのよ?」

 

「そりゃそうだけどさ……」

 

まあ、キリトの驚愕もわからないではない。

リズのこの世界の肉体年齢は14歳だが、身長は同年代の少女の平均身長(人間基準)と比べても少し低めなくらいなものの、胸は同水準を文字通り大きく上回り、むしろスタイルのいい女子高生と張り合っても引けをとらないだろう。

対してヴィータは、人間基準ならどっからどう見ても10歳以下……

 

「ママは原種(オリジナル)に近いドワーフと一緒にノームの血が入ってるから、あんなにちみっこいのよ」

 

「原種に近いドワーフ? ああ、『あの男はオッサンで女はロリ』ってファンタジー系の定番の」

 

「そういうこと。もっともこの世界じゃあ、ドワーフは純血種とかにあんまりこだわりがないみたいだから……混血が進んでどんどんガタイはよくなってきてるみたいよ? かくいうわたしだってパパは狼系獣人族(ライカンスロープ)なんだし」

 

確かにオラリオを見る限り、人間とあまり身長の変わらないドワーフやその血脈は多いようだ。

 

「……まさかリズのお父さんって○リコン?」

 

「それ、ママの前で絶対に言ったら駄目よ? さもないと”噴焔の貫鎚(ラケーテンハンマー)”とか普通に飛んでくるから」

 

その技名は聞き慣れないが、なんとなく自分がミンチになるイメージが浮かんだキリトはコクコクと頷くしか出来なかった。

 

「まあ、わたしは否定しないけどね」

 

「否定しないのかよ!?」

 

「だってママ公認のお弟子さん(あいじん)、ミウラって男の娘っぽい女の子なんだけど……身長も胸もママと大差ないし。それどころかこれ以上大きくならないように、ママったら大枚叩いてディアンケヒト印の妖しい成長抑制剤(まほうやく)まで取り寄せてたみたいだから」

 

「お~い」

 

「ママはいつも平気な顔してるけど、あれで結構自分の幼い容姿にコンプレックス持ってるからね。自分と正反対みたいな女がパパの隣に立つ(愛人になる)のを毛嫌いしてるみたいよ? パパはパパでちっちゃい()のほうが好きみたいだから問題ないけど」

 

普通、老いた正妻は若い愛人を自分の容姿に衰えにより旦那を取られる恐怖、若さに対するどうにもならない妬みから嫌悪するのだが、死ぬまでおそらく容姿の変わらない……変わったとしても人間より遥かに変化の少ない”不完全変体”じみてるヴィータの悩みは、どうやら別のベクトルを持っていそうだ。

 

「逆だ! 逆! いくらなんでも問題ありすぎだろっ!?」

 

激しいツッコミのキリトに対してリズは涼しい顔で、

 

「ここは”旧世界”じゃないのよ? 今更、この世界の倫理観や価値観にツッコミを入れたところで意味は無いわ。大体、ママだって『あん? 一人前の狼が自分の群れ(ハーレム)作るなんて当たり前だろーが。むしろようやく二人目なんて少なすぎるくらいだぜ? それにオレも鍛冶師の仕事やらファミリアの運営やらで忙しいから、あんまり構ってやれねーしな。だからちょうどいいのさ』って具合だし」

 

『そこに愛はあるのか!?』と問い正しくなるような言動だが、夫婦揃って(つがい)への愛情値はMAX固定なのだから何を況や。

実際に本当にヴィータにとっては少ないくらいなんだろう。現に同じファミリアの親しい人物によると『アイツほどの雄なら、中規模ファミリア作れるくらいの雌の取り巻きがいてもおかしくねーんだけどな』的な発言をしてるらしい。

もっともハーレムと呼ぶにはあまりに少ない人員の理由が、ヴィータに対する愛情の高さゆえなのだが。

 

「二人?」

 

「もう一人いるのよ。同じライカンスロープの娘なんだけど、群れから見捨てられて死にかけてたところをパパに拾われたって娘が。アルフって名前なんだけど、パパは今、アルフとミウラ連れて二人の見聞を広めるのを兼ねてモンハン込みの武者修行に行ってるわよ。今はどこの空の下にいるのかなぁ……」

 

「なんかリズの父さんってスゲーな……見習いたくはないけど」

 

キリトは絶対に人のことは言えないと思うが……自分のことを棚にあげるのは人間、もしくは知的生命体の習性みたいなものだから仕方が無い。

 

「ちなみに幼態固定するのは、ママによれば避妊の意味もあるみたい。生理こなけりゃ孕みようもないものね? まあ、わたし的には異母弟妹はウェルカムなんだけど」

 

「生々し過ぎる!!」

 

 

 

***

 

 

 

「リズ……俺はなんだか、お前の特徴的(ユニーク)な性格形成の過程を垣間見たような気がするぞ……」

 

「あははっ♪ そこまで影響受けてないって。だってわたし達異世界者(フォリナー)は、SAO開始時までの記憶を持って生まれてくるんだもの。全くの何も知らない赤ん坊じゃないのよ? 例え”シリカ”だって一廉の自意識くらい確立してるわ」

 

キリトは、一緒に居た期間は短くとも同じ選抜部隊(パーティー)で幾多の激戦を潜り抜けた”最年少の仲間(リトルドラゴン)”のことを思い出す。

 

「ちょっと待て……その台詞を鵜呑みにすると、リズ達はもともとアレな性格の素養があったってことか!?」

 

「アレな性格って表現には、あえてツッコまないでいてあげるけど……ふふん♪ まだまだ甘いわよ部隊長(ごしゅじんさま)。我々は転生とこの”容赦ない世界”という二重苦により、自我(エゴ)を強化された人間なのだよ♪」

 

リズ、君はどこの鉄仮面だ?

 

「なんたる破滅的真実……」

 

「キリト……ブーメランってネット・スラングまだ覚えてる?」

 

「はっ?」

 

「アンタだって、この上なく立派に同類よ?」

 

「絶望した! この容赦ない世界に絶望した!」

 

 

 

***

 

 

 

「ところでキリト、わざわざわたしの店にまで足を運んだのは楽しくトークするため? わたしは別にそれでもかまわないし、むしろ嬉しいけど」

 

「リズの顔を見に来たってのもそりゃあるけどさ」

 

「こんな顔でよろしければ、いくらでもどうぞ♪」

 

クスクスと愛らしく笑うリズにキリトは少し眩しそうに目を細め、

 

(女の子って鮮やかな生物だよなぁ……)

 

つくづくそう思う。

 

「実は折り入ってリズに相談があったんだ」

 

「わたしに? 何?」

 

 

 

【矛盾の紋章《エンブレム・オブ・パラドクス》】を掲げている通り、リズの得意武器はキリトとパーティーを組んでいた頃から長尺の鎚矛(メイス)とスパイク付の丸盾(タージュ)だ。

詳細はいずれ語られると思うが……実は鍛治技能を持ちのリズは、自ら鍛えたメイスとタージュを携えて参戦したため、その製造にも扱いにも長けていた。

 

 

「へぇ~。キリトが盾ねぇ……敵の攻撃は避けてナンボ&流してナンボのキリト君が一体、どういう心境の変化?」

 

「そんな大げさな話じゃないよ。ただダンジョンをソロで攻略する関係上、どうしても単独持久戦が想定されるだろ? なら受けるダメージは、少なければ少ないほどいい。回復薬(ポーション)だって安くはないしな」

 

「なるほどね。キリトはしばらくソロで行くの?」

 

「他に選択肢はないよ。ウチのファミリアは人が居ないからさ」

 

「ふ~ん……ヘスティア・ファミリアか」

 

「どうかしたのか?」

 

「別に。ところで現在、団員は募集してるの?」

 

「団員じゃなくて眷属(ファミリア)な? 年中無休で受付中さ。リズ、まさか入ってくれるとか?」

 

それは社交辞令のようなものだったのだろう。

今のところしばらく二人でやっていくというヘスティアの方針ではあるが、ファミリアのメンバーは居るに越したことは無い。

それにダンジョン中層にチャレンジしようと思ったら、必然的にパーティーを組まざる得ない。

無論、別のパーティーに混ぜてもらうという手もあったが、オラリオに来て半月程度のキリトにそんなコネはあるはずも無かった。

 

いや……正確には、エリュシオン絡みで既にコネは出来そうなのだが、肝心のキリトがその可能性に気付いていなかった。

だが、リズはさらりと

 

「考えとくわ」

 

と短く返しただけだった。脈無しと判断したキリトは苦笑しながら、

 

「期待しないで待ってるよ」

 

 

 

***

 

 

 

「とりあえず盾の話をする前に防具一式確認させてくれる? 消耗具合をチェックするついでに使用頻度を確認したいわ」

 

「了解」

 

幸いと言うべきか?

キリトは。矛盾防具店を出てすぐにダンジョンに潜るつもりだったので完全装備だった。背中には背負う”最適化する長剣(オプティマス・ソード)”こと【エリュシオン】にバックパック。

身体にはいつものマントの機能も併せ持つロングコート風の衣装にメタリックシルバーの金属篭手(ガントレット)にニーガードと一体になった脛甲(レガース)を組み合わせ、上半身には同じくGGO風の銀のブレスプレートとALO風のショルダーガードを装着していた。

原作に比べればガントレットとレガースがある分だけ重装備に思えるが、オラリオのダンジョン冒険者の水準なら間違いなく軽装と言えた。

 

「ガントレットの機巧(ギミック)は上手く作動してるみたいね?」

 

「ああ。リズのお陰でばっちりさ」

 

実はガントレットとレガースはリズベットお手製のそれであったりする。

 

 

 

リズはキリトにあげたナイフが練習品であった通り、今のところ鋭く薄く鍛える刃物の製造は練習中だが、基本は鉄塊である鈍器や盾などは大得意だ。

それとは真逆の趣味が入りまくってる細工も好きこそものの上手なれということで得意としていた。

 

さて、ここでキリトのガントレットについて説明しておこう。

基本構造は一枚素材ではなく曲面的な金属パーツ五つを多重連結したキャタピラ構造をしており防御力を維持しながら極力腕の動きを邪魔しないように考慮されている。

また、外側には前進角を持つ突起がパーツごとに設けられており、単純な打撃用スパイクとして使える他にも相手の剣を絡め取り一種のソードブレイカーとして使うことができた。

また内側にはこのガントレット最大の特徴と言えるギミックが組み込まれていた。

それは超硬金属(アダマンタイト)を極限まで細く伸ばし、それ自体が武器として使える強度を持つ強化鋼糸(メタルストリング)を巻きつけた”リール”だった。

イメージ的には”アカメが斬る!”のラバックが手袋に仕込んでいたリールを、手首から肘にかけてギミックとしてセットしてると思えば判り易いかもしれない。

またメタルストリングの先端には、投擲する際に鏃のような尖り”カエシ”の付いた分銅が取り付けられていた。

 

キリトが”旧世界”にいた頃に学んでいた古流実戦武術【永全不動八門】の各流派は、敵を倒すことを目的とした現代風にいうなら複合戦闘技術であり、槍や刀といった主武装以外にも鋼糸/各種手裏剣の扱い、徒手空拳の対術の研鑽にも余念が無かった

そのためにこのようなギミック付のガントレットのアイデアをキリトが出し、リズの手により組み上げられたのだった。

 

最初の代物は二人が出会った直後に作られたものだったが、今のそれに比べれば甚だ稚拙な代物だったという。

だが、二人が同じ戦場(いくさば)で同じ風景を見る中でその技術は磨かれ蓄積され、新たなアイデアも盛り込まれ今の形になったのだ。

 

言うならばこのガントレットは、キリトとリズを過去から今に繋ぐ『目に見える形の絆』の一つなのかもしれない。

 

さて、それはどんな絆だったのだろう?

それは風と大地に刻まれた、時には血腥い物語だった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




皆様、ご愛読ありがとうございました。
またまた閑話的なエピソードでしたが楽しんでいただけましたでしょうか?

実はリズパパの名前が作中には出てこない罠(笑)
ヴェアウルフらしいけど誰だろうなー(棒

後半はなんだか色々フラグが立ってたような気もしますが……
もしかしたら次のエピソードは、キリトとリズの出会いの物語かな?

地味にシリカも名前だけ登場してましたね?(^^

本当に先の長い物語ですが、お付き合いくだされば幸いです。
それではまた次回、お会いしましょう!

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