ダンジョンにキリトが潜ってるのは間違っているだろうか 作:ボストーク
皆様、こんばんわ。
連休のお陰でなんとか執筆時間がとれたので思ったより早くアップできました。
今回のエピソードは、基本的に『キリトと盾』の続きなんですが……どこがとは言いませんが、今までよりちょっとエ○いです(^^
えっちいのがお嫌いな方はご注意ください。
第027話 ”チャプターの最初からカッ飛ばすリズベットは間違っているのだろうか”
さてさて……
例え章は変わりても、相変わらずのリズベット・アームストロングの小さなお城……ここ【
「ところでキリト、この防具って誰の作?」
少し珈琲の香りのするキスの後、名残惜しそうに唇を離しながらリズは再び職人の顔を戻ると、前々から気になってたことを聞いてみた。
「ああ、えっと……【ヴェルフ・クロッゾ】って人の作品らしい」
「”クロッゾ”? それってもしかして……鉄仮面被って巨大MA乗り回してるって」
「いや、それカロッゾだから」
まさかとは思うが……ネタをふったリズもそうだが、即座に反応したキリトもガノタなのだろうか?
「そういえば昔、親が後生大事に隠し持ってた同人誌で【Pia☆カロッゾへようこそ!】っていうのがあってね……」
「それ絶対に陵辱系だろ!? というか当時のお前って、正真正銘の14歳じゃなかったのか……?」
「失礼ね。今だって”この世界”においては14歳よ? ちょっと育ち過ぎたかな?と思わなくも無いけど……」
とリズは結構自慢の胸を手で揺すってからにっこりと微笑み、
「でも育った責任の半分以上はキリトの責任だと思うんだけどなぁ~。散々、わたしのことを
「ぐふっ!? いや、まあ戦闘の緊張からの開放感と生命の危機に瀕した故に子孫を残そうとする生存本能といいましょうか……」
キリトの言うことはあながち間違いでもない。
現在の世界でも慰安所を設ける風習の無い軍隊ほど、戦場での婦女暴行が発生し易いという統計がある。
「ふ~ん……それでわたしの処女、”全部”キリトに奪われたってわけなんだぁ~」
「も、もしかして後悔してます?」
「ずぇ~んぜん♪ 初めての時の無理やりっぽいのも含めてカケラほども後悔して無いわよ?」
他意無く微笑むリズである。
それにしてもこの娘のキリト弄りの腕前は相当なものだろう。
***
「その話は後にしてっと。クロッゾってあのかつては『魔剣の一族』って呼ばれてたクロッゾ?」
「そうかもしれないけど、単なる
「確かにそっちの方が確率はあるかぁ……でも、結構気に入ってるみたいね?」
「まあね。強度のわりには軽いし、人間の間接可動域をよく考えられてて動き易い。軽甲冑のお手本みたいな代物だ。おまけに安かった」
「特に最後のが重要そうね?」
にんまり笑うリズに、
「なんせ零細ファミリアなもので」
苦笑するキリトだった。
「でもまあ、コイツの唯一気に入らないと言うか……アレな部分があってさ」
キリトが指差す場所には製作者と並んで小さく銘が刻んであり、
「……確かにアレね」
その軽甲冑には【
”けいとくちん”……
貴方がもし
景徳鎮とは中国北部にある古い都市の名前で、一説によれば漢代……要するに三国志の時代から陶磁器を生産してる由緒正しい焼き物の街である。
無論、鎧に付ける様な名前じゃない。
というか割れやすい陶器を連想させる名前を鎧につけるなんて、むしろ縁起悪すぎだろう。
「”軽くて特別で珍しい”甲冑って意味で名づけたんだろうけど……その字を並べたら、えらく珍妙な銘になったものねぇ~」
呆れるというよりいっそ感心したようなリズの
「多分だけど、売れなくて
だがリズもキリトも知らない。そして知らないとは幸せなことでもある。
この銘は某クロッゾ氏製作の代物にしては、まだ”まともな部類”だということに……
「ねえキリト……そういえば、わたしってばガントレットとレガースに銘を入れ忘れてたのを思い出したんだけどさ」
「そう言われれば、確かに銘を聞いた覚えは無いな」
「もしかして、さ……このセンスに合わせないと、駄目?」
「勘弁してください」
***
結局、ガントレットは【
ちなみにクイックドロウとは英語で
実際、背中に背負った長剣はともかく、ガントレットに仕込んだ
「この装備とキリトの体格やアビリティから割り出した盾となると……金属製で中型(一般に長さ30~60cm位。一般的な盾)のタイプが一番妥当かな?」
あまりに間が空いてしまった為に忘れてしまった皆様もおられるかもしれないが、本来キリトが矛盾武具店のドアを叩いた理由は、先のミノタウロス戦で興味を持った盾についてリズに相談するためだった。
「そのココロは?」
「小型(30cm以下:小盾)の物は防御面積や防御力が低すぎてキリトの『当たらない戦闘スタイル』なら持っても持たなくてもあまり変わらなくなる。だったら血盟騎士団時代みたいにソードブレイカーかマン・ゴーシュかスティレットみたいに『盾として使える短剣』を装備して、必要に応じて使う”変形二刀流”にしたほうがずっとマシよ」
どうやら血盟騎士団の頃のキリトは、盾は使わずに頑丈な短剣でその代わりとなす変形二刀流で防御に対応していたらしい。
「大型(60cm~100cm:大盾)の物は重さより大きさ的な意味で駄目ね。キリトの動きそのものの邪魔になるわ」
「なるほど……流石は
やたらと感心するキリトにリズは苦笑して、
「あのねぇ~。このくらいの指摘は、盾を使い始めたばっかの初心者でもできるわよ」
ちなみに論外なのでリズは言及しなかったので、100cm以上の物は”壁盾”と呼ばれ、古代ローマ帝国の”スクトゥム”のように重防御密集陣形などに良く使われている。
いわゆる防御専門の装備で、厚さや大きさによっては持ち歩くのではなく地面に突き立てて文字通りの”壁”として使うため、長剣片手に大立ち回りを繰り広げるキリトには縁のない代物だろう。
「そういうもんなのか?」
「そういうもんなの。まあ、ここからが一応は専門家の腕の見せ所なんだけど……キリト、
「違いは?」
「センターグリップ型は手の動きに合わせて自由に向きをつけられるから扱い易く初心者向けって言えるかな? アイロン型は腕全体に固定できるからセンターグリップ型に比べてより強い衝撃に耐えられるけど、その分自由に動かせないから性能を引き出すならより高度な技術がいる……ってとこよ」
「なら迷うことは無いさ。元々左手自体は何かを握らずフリーにさせておきたいから、篭手に固定できるタイプの方が助かる」
「キリトならそう言うと思ってたわよ」
と呆れながらも楽しそうにリズは微笑んだ。
***
「とりあえず盾っていうものを感じるなら……うん。これがちょうどいいかな?」
そうリズが取り出したのは、良く見かける縦長の前後に引き伸ばした五角形を基本とした、先端が尖り後端が鈍角を描く盾だった。
また断面から言えば中央が分厚く縁に行くほど薄くなる構造で、全体として受けた攻撃を逸らし易いようになだらかな曲面を描いているこれまオーソドックスな構造だ。
「尖ってるほうを前に向けて装着するのよ。そうすれば単なる防御だけでなくてキリトのセンスなら打突武器としても使えるから」
「こうか?」
「う~ん……ちょっとベルトと止め具の調整をするから動かないで」
身体を密着させてくるリズに柔らかな感触と女の子特有の甘い匂いに、思わずまずい場所に血液が集中するのを感じる肉体年齢的には
「……嬉しい」
膨張するそれに気付かないほどリズベットさんは鈍くはないし、浅い付き合いでも無かった。
「ちゃんとまだわたしに女を……牝を感じてくれるんだね?」
「あ、当たり前だろ! リズみたいな魅力的な女の子と密着して何の反応も示さないほど、俺は枯れてないし男を捨てちゃいないさ!!」
いっそ珍しいまでの慌てっぷりを見せるキリトである。
そこには普段のどこか飄々とした姿ではなく、歳相応……いや
その姿に女として、あるいは一匹の牝としての原初的な何かを刺激されたのだろう。
「ねぇ、キリト……今は、さ」
リズは悪戯っぽく、何より艶っぽく微笑み……
「な、なんだよ?」
「お口でいい、かな?」
***
「一番絞り、ご馳走様でした♪」
先から根本から、喉の奥までつかって一滴残らず搾り尽くし、ついでにシャフト(?)にこびりついた残滓まで綺麗に舌で舐め取ったリズは、ごくんと喉を鳴らして白い液体を飲み込みひどく満足げだったという。
「お、お粗末様でした……でいいのか? この場合」
「お粗末なんかじゃないわよ? 相変わらず立派なモノだったわ♪ 流石、何人もの生娘の瓜を破ってその血で磨き上げた名刀ね~」
「なあ……俺はこんなとき、どんな顔をすればいいんだ?」
「笑えばいいと思うわよ?」
「それなんてエ○ゲ主人公だよ……しかもブラック・パッケージ系の」
「黒が好きなんだし、いいじゃない♪」
エ○シーンを期待した読者諸兄には大変申し訳ない。
やはりモロ書き&ガチ書きはタグ的な意味で不可能だった。
後は皆様の想像力に期待するしかない、が……
もし、深夜アニメ放送版の謎の光ラインのようなぼかし表現に対し、販売版的な意味での限定解除のフルバージョンをお望みの方がいるならば、感想欄に『わっふるわっふる』と……いや、なんでもないです。
「ねえ、もしかしてだけど……キリト、かなり溜まってた?」
「うっ……何を根拠に?」
「量的というか勢い的というか……?」
キリトは『ハァ~~~ッ』と深々と溜息ををつき、
「リズには誤魔化しはきかないか」
「あったりまえじゃない! 男と女の関係になってから、一体何年たったと思ってるのよ?」
「返す言葉もないなー」
力なく笑うキリトにリズは真剣な表情で、
「女神ヘスティアは、夜のお相手はしてくれないの? いや別に夜じゃなくてもいいんだけど」
「ヲイヲイ……相手はかの有名な
リズは本日何度目かの呆れた表情で、
「アンタってば、女好きの癖に格好付けというか……相変わらず変な所でお堅いのね~」
「生憎と俺はこういう生き方も気に入ってるんでね」
ハハッ!と変に爽やかな乾いた笑いを浮かべるキリトに、
「あ・の・ね~。そんな無理が来るくらい我慢するなら、いつでもわたしのところに来なさいっての! わたしだってキリトに会えるのは嬉しいんだし、抱かれるのはもっと嬉しいんだからね?」
「いや、でもそれって
途端に難しい顔をするキリトだったが、
「だ~か~ら~。わたしはそれでいいって言ってるの! わたしと寝るのがアンタの
リズは再びキリトの頭を抱きしめ、柔らかく自分の胸に押し付けると……
「聞きなさい。恋愛だの何だのって、所詮は感情と感情、エゴとエゴのぶつかり合いよ? 恋愛なんて決して綺麗なだけのものじゃないわ。むしろ何かが壊れれば、直ぐに淀んでドロドロの真っ黒になってしまうものなの……だからこそ、わたしは尊いと思ってるけど」
「……うん」
「わたしはキリトが好き。この気持ちに嘘はないし、例えキリトにだってこの気持ちは否定はさせないわ」
「絶対に否定なんてしないよ」
「わかってる。だからね、キリト……『キリトが誰が好きでも』わたしの気持ちは変わらない。だってそうじゃない? キリトを好きって気持ちは他の誰でもない、わたしだけのものなんだから……ね? わたしだって充分に
リズは魅了されそうなほど艶やかに微笑み、
「こうやってキリトを独占できる機会なんて、滅多にないんだからね?」
***
抱き合っていた。
ただ、二人は抱き合っていた。
どれほどの時間が流れたのだろうか?
秒単位? 分単位か? はたまた1時間もそうしていただろうか?
「キリト……アンタの盾は必ずわたしが作るわ」
「ああ。リズ以外には頼みたくない……」
ゆっくりとリズはキリトの黒い髪を撫で、
「だからお願いがあるのよ」
「どんな?」
「わたしも一緒にダンジョンへ連れてって♪」
皆様、ご愛読ありがとうございました。
とりあえず始まった新章スタートは如何だったでしょうか?
ちなみにキリトとリズは肉体年齢こそ14歳ですが、生存年齢は倍の28歳ですからー。
旧世界の年齢加えて累計28年生きてますからー。
大事なことなので二度言いました(笑)
何を言わんとしてるかは、本編を読んでいただいた皆様には委細承知のことと(^^
ただ、精神の成長はわりと肉体に引っ張られるので精神年齢が28歳と言えないあたりが実に微妙です。
それにしても……このシリーズのキリトって、ハーレム体質のわりには存外に尻に敷かれるタイプだったのかと。
どうやらリズも一緒にダンジョンに行くみたいですし、次回から果たしてどんな巡りあいがあるのやら~。
それでは皆様、また次回にてお会いしましょう!
新章もどうかよろしくお願いします。