Fate/overlord ~雨生龍之介は死と出会えたようです~   作:bodon

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書きたいから書いた今は後悔している。




出会い

 「みったせー♪みったせー♪み・た・し・て・み・た・せー♪」

 

 深夜。

 軽薄なリズムに合わせ、オレンジ色の髪が特徴の、中肉中背の20代の青年、雨生 龍之介は足先を器用に使い、手元の古い埃を被った古本を片手に、何か複雑な幾何学的な図柄を描いていた。

 

 「え~と、繰り返す都度に四度…あれ五度?えーとただ満たされる時を破却する……だよな~?」

 

 しかしその内容は、彼自身いまいち把握し切れていないようで、呪文を唱える姿は、明かりを消したダイニングに唯一の光源として光る、ブラウン管に写る連続殺人犯について報じるニュースキャスターにでも渡して読ませた方がよりそれっぽく、呪文らしく言ってくれるはずだ。少なくとも雨生 龍之介のように下手な歌のようには言わないだろう。しかし…

 

 「うん。みたせ、みたせ、みたしてみたしてみたせっと、ハ~イ今度こそ五度ね、OK!…ん?」

 

 『━━━れまでに起こった三件の殺害現場すべてに、被害者の血で描かれた、魔法陣と思われる謎の図柄が残されていたことが━━━』

 

 「う~ん、ちょ~とハメを外し過ぎちゃったかな~」

 

 「━━━━━━」

 

 龍之介がソファにもたれ掛ると、そこの座っていた男……いや、”男だった物”は、その振動でゆっくりと、何も感じさせないように倒れた。

 そこは血だまり、くだらない内容にテレビを消したことで、月明かりしか入らない闇。

 男だった物、女だった物、須らく恐怖に歪めた顔は、その死の直前がどれほど恐ろしいものかを如実に表していた。

 このような光景を作り上げたものなど一人。そう思えばニュースキャスターの作った演技よりも、血の匂いが充満したこの場に、軽薄な歌のような呪文は逆にその光景を作った……雨生 龍之介の狂気を表す、映画に登場する殺人鬼のような狂った感性を、彼自身は表しているのかもしれない。計算してやっているかは別にしてだ。

 龍之介は唯一の生存者……不幸な者といった方が好いか、とにかく龍之介が生かしている、この場において殺人鬼の気まぐれで生きている少年に、龍之介は語り掛ける。

 

 「ふー……悪魔って本当にいると思うかい?坊や~」

 

 「うッ………うッつ………」

 

 年端もいかない少年は、もはや恐怖でまともに話せるはずもなく、ガムテープで縛られた体は風邪でも引いたかのように震えている。

 

 「新聞や雑誌だとさー、よく俺のこと悪魔呼ばわりしたりするんだよねー。でもそれってもし本物の悪魔ががいたりしたらちょっとばか失礼な話だよねーそこんとこすっきりしなくてさー」

 

 子供相手に話しているから少し幼く話しているのか、元々このような話し方なのか、どちらにしても少年は答える事など出来なく、龍之介は自分本位でしか語らない。

 

 「ちゃーす!雨生 龍之介は悪魔でありまーす!!……な~んて名のちゃっていいもんかどうか」

 

 「ひうッ………ぐ……」

 

 「そしたらこんな物見つけちゃってさ、家の土蔵にあった古文書?みたいな奴なんだけど」

 

 少年に見えるように、手に持っている本を見せる。

 それはかなり古く、所々虫食い穴で読めないが、辛うじて日本語としてわかる。恐らく数十年前の古い言い回しで書かれたものだ。

 

 「どーも家のご先祖様、悪魔を呼び出す研究をしてたみたいなんだよね~、そしたらさ~本物の悪魔がいるかどうか確かめるしかないじゃ~ん」

 

 最近マンネリ化してきた”死の探求”。映画やゲームで始め、偽の死を見て興味が出始め、死とは何かと考え始めた、次第に蟲から動物。果ては人にまでエスカレートしていった。

 初めて手に掛けた姉は今でも覚えている。あれが真に命と、そして死と向き合った瞬間であり、そこから決壊するのは早かった。その後の話は日本各地をフリーターとして回り、すでに三十人近く殺してきた。そのどれもが違う殺し方で、一人殺していけばいくほど死についてわかり、そして遠のいていくのが分かった。

 近くて遠い、龍之介にとって”死”とは永遠のテーマであり、彼は異端の芸術家、探究者でもあった。

 元来人より無気力な人間で、しかし死の本質を見分けるのが得意なあまり入れ込み、拘りと好奇心に突き動かされ生きている芸術家肌。それが雨生 龍之介であった。

 ただ最近は、彼の芸術活動が一時スランプ状態になり、ここは一旦原点回帰と、初めて殺した姉を隠した、実家の土蔵まで来て見つけたのが、今彼が持っている本であり、書かれている内容を読んでいくと、龍之介はすぐさまインスパイアされたというわけだ。

 言葉の節々からも、その行いを楽しむかのような喜色を孕んでいる。これから行うことに対する純粋な好奇心や、もしかしたらという、淡い希望を龍之介は隠そうともせずに。

 

 「でもねー、万が一本当に悪魔とかが出てきちゃったらサー、何の準備もなく茶飲み話だけってのも間抜けな話じゃん」

 

 どちらかと言えば自分の危険よりも、相手に対しての敬意。そういったものの方が、龍之介は悪魔に対しての深い尊敬の念を抱いていた。

 故に……

 

 「だからねー坊や」

 

 「…………?」

 

 「もし悪魔さんがお出まししたら……一つ殺されて見てくれな~い?」

 

 「!!!うう………うわあああ、くぐぐッあああああ!!!」

 

 「………ふ、あははははははは!!」

 

 少年の様子がおかしかったのか、龍之介は何気なしに見た番組が、思いのほか面白かったかのように笑う。

 元々あまり期待していなかったことだ。できたらいいな、程度の遊びの間隔、龍之介自身重要なのは結果ではなくその過程、儀式を行うことて、今まで違った視点で死を知るということが何よりも重要なのだ。

 もちろん本物の悪魔が来てくれたらうれしい、そこからは少年を生贄にでもして、自分の死について語らい、できれば教えもいろいろ乞いたいとも思っている。

 しかしここまで言い反応をしてくれるとうれしいものだと、龍之介は思う。

 両親を目の前で拷問し、殺し、血を抜き、今の至るまで見せたかいがあったものだと。

 

 「悪魔に殺されるのってどんなだろうね!?貴重な体験っつ痛って!!」

 

 少年の反応に笑っていると、龍之介は左手に鋭い痛みを感じた。

 次第にそれは僅かに発光しながら浮かび上がり、次第に消えながら、残ったのは血のように赤く、片羽のような文様が浮かび上がる。

 

 「………なんだ、これ?……」

 

 異変はその直後から起こった。

 血で描いた魔法陣が先ほどの紋様以上の光量を発し、プラズマが舞い、(エーテル)が部屋を充満する。

 龍之介はただその光景に目を奪われながら呆然と立ち尽くすだけであった。だが……

 

 「は………あぁ」

 

 もしも、とは考えていた。

 神の存在を確信しているのだから、悪魔もいるかもしれないと、そう思っていた。

 純粋なうれしさもある、しかしそれ以上に予想外過ぎた。

 

 「あ………」

 

 「━━━━━…………」

 

 悪魔を呼び出すのではなく、もっとすごい、果てしなく深い存在が来たら。

 

 自身が求めて止まなかった存在が現れたら。

 

 こんな簡単に?こんな間近に?疑問など目の前の存在を完全に認識した瞬間に消え去った。

 

 龍之介は確信する。

 

 

 「………神様」

 

 龍之介はその日、(かみ)と出会った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 (なにこれ)

 

 アインズ様、聖杯戦争参戦!!!




アインズ様って龍ちゃんの理想じゃね?
というわけで死の支配者と死の探求者、二人合わせて残虐超人的な感じのアトモスフィアな感じになる話ですはい。
一応書籍が主ですが、まだ続いている途中ですので独自設定のパラレルワールドの英霊としてのアインズ様にしました。やったーパラレル!!bodonパラレルだーい好き!!
……いや書籍設定はなるべく取り入れますよ?話の都合どうしても無理なものや、現在9巻まで出ていますが、オーバーロードの全容はまだまだ分かりません。ですので基本妄想で補う!!
あっでもあんまりにも矛盾したことがあったりしたら感想なんかでご指摘があるとうれしいです。

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